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【業界目線】ディスクロードの可能性②「速さの秘密」
by: 佐野 隆

※記事の内容は、通常のロードバイクを使用中の方、ディスクロードを検討中、又は既に使用中の方向けとなっています。

 

◯関連記事1 【業界目線】ディスクロードの可能性①「定義と分類」

 

1.ロード界の現状

ロードバイクにおけるディスクブレーキの必要性ついて業界関係者の多くは肯定的な反応を見せているが、未だに否定的な意見も根強く存在している。

 

まず下述は、代表的なディスクロード不要論の一つピナレロ社の見解である。


ディスクロードの流れに逆行するような動きを見せたのがピナレロだ。(中略)「現段階で真のハイパフォーマンスバイクにはディスクブレーキなど必要がないよ。もちろん将来的にはその必要性があるかもしれないけど、でもその頃には更に進化したブレーキシステムも登場しているかもね。」「今ディスクを欲しがる人は体重が重い人間と長い下りが怖い人くらいじゃない?そう言う人には有効だと思うよ。でもプロでは必要ないね。
もし今チームスカイのメンバー30人が一致してディスクブレーキを欲しいって言ったら別問題だけど、まずはそうはならないだろうしね。それに雨の中での優位性を謳う人が言えるけど、雨が降ったらそもそもペースを落とすからね、別にいらないよ。」ピナレロの言葉は自信に溢れていた。

(引用元http://www.cyclingtime.com/modules/ctnews/view.php?p=21601)


 

その内容の多くがブレーキ規格とプロ選手についてのみ言及し評価をしているが、半年ほどディスクロードの試乗を重ねた私自身の所見を下述する。


ディスクロードという表現からブレーキシステムが注目されるが、ロードバイクとの性能差やその必要性を語る上では、それほど重要な点ではない。

主点はディスクブレーキ化によるフレーム形状及び規格の変化こそが最大の性能差、そして速さの違いの本質である。さらにリムブレーキの脆弱性に不安や不満を持ち、その必要性を感じているのは一般ライダーである。

現時点では、リムブレーキのロードバイクこそが自転車史上ベストである事は多くの実績、経験、歴史が物語っている。

未だ不完全な要素が残るディスクロードよりも、すでに成熟したロードバイクは様々な面で適切である。しかし、既存ロードバイクよりも完成された速さを求めるのであれば、今後はディスクロードを選択するべきである。


 

実は北米市場では、すでにロードの新車販売実績の7割がディスクロードであり、ロードバイク本場の欧州市場もこれに追従した動きを見せ、需要側が業界を大きく先行している状態である。

このためディスクロードに否定的であったピナレロも2018年モデルにはしっかりとディスクロードを揃えいる。また一般ライダーにとってリムブレーキを選択する意味がないとの主張からリムブレーキモデルを省いているメーカーも出現しつつある。

 

2.速さの秘密

2-1 速いバイクの定義

速いバイクの定義とは何であるか?

平地の高速走行には空力が影響し、登坂時は軽量化が効果的であり、そしてバイク剛性が最も重要である。この様に表現してしまうと、重量剛性比と空気抵抗係数により定義されてしまうが、実際はより複雑である為、速さを数値化するのは非常に難しい。

 

例えば剛性の高いフレームは、ライダーの体力を奪い、空力を優先させると重量増になる欠点がある。つまり、乗り手の技術、体力、用途などにより評価が左右され、ある状況で最速であっても速いバイク全体の必要条件に成り得ない。

多くのメーカー開発陣の意見も同様であり、一般的な「快適性」を求めた設計した場合でも、剛性を落としたフレームを不快と感じたり、低いハンドル位置を好むライダーも多いと言う。

だた一方では、タイヤ幅については殆どのライダーが太くエア量がある物を「快適」と感じる様であるが、エア量があるタイヤはエア圧を下げる傾向の為、反応性が鈍くなったり進みが重く感じる場合がある。フレーム剛性などと同様に好み分かれる要素があるのだが、「太いタイヤ」という視覚的な安心感が影響していると言われている。

 

これは、後述するディスクロードの初期インプレッションにも通じる内容である。

 

現在、試乗評価の内容は今までのロードと比較したロードバイク基準のものが多い。ロード基準で判断した場合、安定感の増加による「重さ」「鈍さ」という表現になる。またフレーム下面の剛性があがり「突っ張り感」「リズムが取りづらい」などの表現にもなる。

率直に正しい感想だと思う。

私自身ディスクロードの試乗を重ねるにつれ、ロードバイクの基本動作である「加速」「減速」「巡航」「曲がる」をシンプルに評価すると、始めの「違和感」から次第に、「突っ張り感」は加速のダイレクト感に、「重さ」「鈍さ」は高速巡航の持続性の高さに、「リズムの取りづらさ」はコーナリングの安定感に、そして最後はブレーキングの楽しさの変化した。

さらに同モデルのリムブレーキ仕様と比べると「加速」「減速」「巡航」「曲がる」基本の動作がロードバイクの一歩先に到達しており、既存のロードバイクに頼りなさを覚えていた。

 

2-2重量と空力性能

速さの定義で重量と空力は分かりやすい要素である。

現時点の各社より公表される資料では、重量と空力共にリムブレーキに比べ若干劣るものが多い。

ただし、ディスクブレーキ化はフレーム及びリムの形状や素材などに対する設計の自由度が増すため、今後は重量と空力のデータ値が逆転し、その差が広がるのは明らかである。

 

2-3形状と規格変更の恩恵

先述した「速さの秘密」は主にフレームとホイールの接続構造※にある。

(※ここではリアエンド幅が142mmに拡張され、12mmまたは15mmのスルーアクスルによりホイールが固定されるものを指す。)

 

既存のロードバイクにおいてエンド剛性の重要性は以前から提起されていた。


さりげなく使ってるのが、ナカガワエンドワッシャーなくても十分剛性ありますけどこれを使うとダンシングした時のたわみが少なくていい感じです。ホイールのベアリング性能をフルで生かせてる感じもして気に入っています。

(引用元:ワイズロードお茶の水ブログ「スタッフバイクからだけどみる?」4/26投稿)


リアエンドは金属プレートを左右で挟み込んだ高剛性のモノ。パワーの最終伝達地点であるリアエンドの剛性が低いとそれまで加えたえエネルギーがすべてパー。EMM3の構造なら力を逃がさず推進力に変えてくれます。

(引用元:ワイズロード上野アサゾーブログ「とっても珍しいBOTTECHIA。イタリーメイドの一品です」4/11投稿)


 

さらに、フレームエンドやハブ軸の剛性不足によるホイールの回転性能への不満が「GOKISO」誕生の理由の一つとも言える。

 

3 ロードバイクの聖域

100年以上になるロードバイクの歴史はスチール素材の歴史とも言え、アルミやカーボン等の新素材は90年代後半から本格的に使用され始めたに過ぎない。

ノウハウや経験の蓄積が未熟な新素材も素材自体の進化や成形技術が熟成し、毎年のように「当社比〜%剛性アップ」などと詠われ、既存のスチール素材と比べ全くの別物といって良い程、近年のフレームは性能が進化した。そして世紀を跨ぐ頃には、結果を求めるレース界でスチール素材はその役割りを終えた。

 

さらに時代が過ぎ、軽量化と高剛性のためパーツの内装化、チューブの大口径化が進み、所謂「アヘッドシステム」「インテグラルヘッド」「インテグラルピラー」「プレスフィットBB」などの規格が一般化し、気がつけばフレームエンドつまり5mmシャフトのクイックレバーのみが取り残された状態となった。

 

元々、クイックレバーはロード界の巨匠、伊カンパニョーロ氏が1930年代に発明した画期的な機構で、長らく同社のロゴにも採用されたなど、ロード界では触れてはならない最後の聖域であった。

ロードの歴史を鑑み、MTBなど他車種と現状のロードバイクを改めて眺めると、上半身だけ筋トレを行ったかの様なバランスの悪い身体である。一方でディスクロードには、足かせを外し完成された美しさと力強さを感じる事が出来る。

 

4 ディスクロードの性能を引き出す

ディスクロードは、フレーム下部の剛性感や重心が大きく変化するので、メディア記事やインプレライダーの多くは少なからず「違和感」を表している。

これは自然な事で、一見すると完成されたプロ選手でも、バイク性能の変化と共にポジションやペダリングを合わせロードバイクの走らせ方、進め方を進化させ対応してきた。

同様に今までの感覚のままではディスクロードを乗り熟すことは出来ない。先入観、固定概念を捨て純粋にロードバイクに向き合う必要がある。

私自身もディスクロードを1万キロ程乗り込んだ結果、フレームエンドやハブ軸の剛性が際立っているため、先ずは無理にその存在感を否定せず「ホイールに仕事をさせる感覚」での走りを推奨したい。

 

5.本場プロレース界の動向

結果を重視するプロレーサーの使用率は未だ低い。

これは現状のレースサポート体制が全く整備されていない点が原因である。パンクや落車等のトラブルにより、交換ホイールの準備がない場合は、その場でレースを去る可能性が大きく、主催者や競技団体の協力が不十分な状態である。

また一部バイクブランドのスペシャ、キャノンデール、ジャイアントやシマノ等は積極的な動きがあるが、全体的には選手とチームも使用を拒んでいる様である。

 

一方、ロード界のトレンドを左右するスペシャライズドの創始者マイク・シンヤード氏は、4月12日のメディアインタビューでP.サガン選手とディスクロードについて語っている。


彼はMTBの選手でもあり、MTBではディスクブレーキしか使用していない。すでにロードでもトレーニング時に使用しているが、より多くその姿を見る事が出来るのは時間の問題であろう。

また、2年後にはプロトン全ての選手がディスクロードに乗っている。

そしてP.サガン選手自身もブレーキの制動差を無くすためには、プロトンの選手全員がディスクロードに乗らなければならないとも発言している。


 

プロ選手は、たとえ根拠のない事であってもネガティブな要素は排除しようとする。

またプロ選手の多くは保守的であり、いままでの経験やノウハウを重視する。

本格的にプロトンでその姿を見る事が出来るのは、2018年シーズンからであろう。

 

6.ディスクブレーキ化は必然

・フレームとパーツの剛性が向上する中、最後に残されたエンド剛性不足の解消。

・ディスクブレーキの制動力を受け止められるようになったワイドタイヤの台頭。

・取り回しが自由な油圧ラインの内蔵化により、バイク全体のエアロ効果が更に向上。

・カーボンリムが一般化しつつあるが、リムブレーキでは安定性に関しては解決出来ない問題が多い。

・リア12速以上の多段化を見据えた、リアエンド幅拡充の必要性。

等など

ロードのディスクブレーキ化は、矛盾なく一本の線で繋がり、ロードの未来像を思い描く上で必須事項である。

 

次回の予定

3. 新型コンポはディスクロードに最適化

4. ディスクロードの特徴と注意点

5. 18年各社のラインナップを比較

6. ディスクロードの規格と互換性

7. …つづく。

 

 

 

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