【試乗インプレ】完璧にして究極! SHIMANO『WH-R9270』
by: 実方貴広

『完璧にして究極』なんて、随分ありきたりかつ振り切った表現をしたもんだなぁと思いますが、それ以上に適切な表現が見つからなかったというのが正直なところです。例えるなら、本当に美味しい料理を食べた時は語彙なんて忘れて『美味い』しか出てこないのと同じ事でしょう。自分の語彙力の無さは否定できませんが(汗)、それでも今現在流通しているホイールの中ではこの『DURA ACE』シリーズが極めて完璧に近いホイールという事になると思います。
そんなホイールをC36・C50・C60だけでなく、C36/50・C36/60・C50/60と前後異径の組み合わせも含めて一通り試乗し、必死に頭の中で整理しながら、語彙力の無さを補いながらインプレブログを書きましたので、宜しければ最後までお付き合い下さい(笑)。
ちなみに、6/5(日)まで試乗貸し出し中です !!
【試乗イベント】最新にして最高峰を体感せよ! SHIMANO『DURA ACE』

 

≪総評≫『完璧にして究極』の真意

50FRIM

早速ありきたりな表現になりますが、レースレベルの剛性を有しているのに硬過ぎると感じる事は無く、全モデル驚く程に漕ぎ出しが軽いです。流石に踏み負けるのでは?と懸念していた高剛性バージョンのC60でさえも過剛性に感じる事は無く、拍子抜けする程に漕ぎ出しが軽くて登坂力も優れている等、どのモデルも殆どの項目がほぼ完璧に近いレベルまで叩き上げられていてキャラクター特有の得手不得手を感じにくい為、良い意味でモデル毎の差を感じにくいというのが正直な感想になります。
(本当にインプレ泣かせなホイールです)
また、漕ぎ出しの軽さの他にもう一つ共通して感じたのが『路面への伝達能力が凄まじく優れているのではないか?』という事です。どのモデルもカッチリ感があるのに嫌な硬さを感じにくく、軽やかに加速する要因は何なのか?それは硬さを感じるよりも先にホイールが前へ前へと進んでしまうからだと推測しますが、C36は軽さを活かした加速で、C60は空力性能を活かした加速で漕ぎ出しの軽さを演出しているように感じました。
(じっくり比較試乗すればもう少し解明できる部分だと思います)
そして、その感覚は登坂時においても変わる事は有りませんでした。C36→C50→C60とリムハイトが高くなり重量が増えれば当然登坂速度は落ちますが、ペダリングが重く感じたりモッサリ感じる事は皆無でした。流石にC50では11%、C60では9%を超えた辺りから速度の落ちが顕著でしたが、あくまでもC36と比較しての話ですし、最大斜度になる13%の地点も重さやモッサリ感は無くシッティングのまますんなり通過出来てしまいました。逆にそれ以下の斜度であればC36との差は小さいように感じました。
ちなみに、前回のアルテグラ同士で比較した時は何かと引き換えにその性能を引き出しているみたいな分かり易いキャラクター設定というか妥協点を感じた(価格の制約があるので当然ですね)のですが、DURA ACEはそもそもの基本性能が高く、更にその上に+αでキャラクターが乗っかっているような印象です。(自動車で例えるなら『〇〇〇NISMO』とか『GR〇〇〇』みたいに、元々高性能なモデルを更にファインチューニングした特別仕様車のよう)
『基本性能の高さ(完璧)』+『キャラ毎にファインチューニング(究極)』ゆえに『完璧にして究極』と表現したわけですが、それでいて定価設定が他社よりも数万円安いわけですから、驚きを通り越して愕然としてしまいますね、、、。て言うか、どう考えても定価設定おかしいぞ(汗)

 

評価の基準となるホイール

303FCFRIM

評価基準となるのはZIPP『303FIRECREST(以降FC)』。前後共40mmハイトのリムを採用していながら空力に優れ、最新の45mmハイトと遜色ない巡行性能を有しつつも前後1,352gと超軽量で漕ぎ出しの軽さ・登坂性能も一級品、全ての項目でトップクラスの性能を誇る超オールラウンダーなホイールです。実際にメインで使用してるホイールで、個人的には今のところベストなホイールでしたが、今回の試乗で少なからず認識を改めなければなりません(涙)。それ程までにDURA ACEシリーズは高性能です。相対的に感じたのは、303FCは適度な剛性感で全ての速度域で軽やかに加速するイメージで、DURA ACEはカッチリしていて適度に踏み応えを感じながらも路面伝達力に優れているが故に速度が伸びていくイメージです。なので一概にどちらが良い悪いと評価は出来ませんが、踏める人はDURA ACEを好む傾向にあるのではないかと予想されます。

 

比較のポイントとコース

303FC

試乗コースは全長700m。前半400mは10%未満のだらだら登り、そのあと10~13%の斜度を200m登って最後に最大9%の斜度の坂を50mずつ下って登り返すお決まりの比治山プチヒルクライムコースと、そこへ向かうまでの平坦区間。ちなみに登坂は全てアウターのままで登っての感想となります。加えて今回は各々のインプレ評価だけでなく以下の6項目で数値比較も行ってみました。これは分かり易く伝わって欲しいというのがもちろんですが、自分の頭の中を整理する意図が強いです。
(あくまでも個人的主観による評価です)
①初期加速 ②中間加速 ③巡行性能 ④登坂力 ⑤振動吸収性能 ⑥剛性感
303FC   :①7.8 ②7.6 ③7.2 ④7.7 ⑤8.3 ⑥6.7
C36       :①7.8 ②7.8 ③6.7 ④7.9 ⑤7.0 ⑥7.0
C36C50 :①7.6 ②7.9 ③7.1 ④7.5 ⑤6.8 ⑥7.4
C50       :①7.4 ②8.0 ③7.4 ④7.3 ⑤6.5 ⑥7.4
C36C60 :①7.5 ②8.1 ③7.3 ④7.4 ⑤6.6 ⑥7.3
C50C60 :①7.3 ②7.7 ③7.7 ④7.0 ⑤6.3 ⑥7.8
C60       :①7.1 ②7.5 ③8.1④6.8 ⑤6.0 ⑥8.0
ULT C36:①6.7 ②6.8 ③6.4 ④6.7 ⑤6.5 ⑥6.4
前回インプレしたアルテC36も303FC基準で改めて数値化してみました。
※お借りしたホイールは前回のアルテグラも含めて全てクリンチャータイヤが装着されており、自前の303FCだけチューブレス仕様なので振動吸収性能は比較になりませんが、それ以外のモデル同士で比較出来るように載せています。
んん?!クリンチャー仕様で上記の評価って事は、チューブレス仕様にしたら項目によっては更に評価が上がるってことですよね??
凄いを通り越して恐ろしく感じてきました、、、。

 

『WH-R9270-C36』1,350g(F620g/730g)

3636

初期加速7.8 中間加速7.8 巡航力6.7 登坂力7.9 振動吸収7.0 剛性7.0
シリーズ屈指と言いますか、恐らく全てのホイールの中でもトップクラスの登坂力と初期加速力を誇っていると予想されます。まだまだ試乗出来ていないホイールが多いのも事実ですが、今までで初期加速がトップクラスに優れていると感じたのは、bike ahead『BITURBO ROAD』です。ちなみにお値段は前後で¥594,000-(税込)。登坂性能はこれまで試乗したホイールの中ではベストだった303FCよりも勝っていると思います。巡行性能も十分優秀で35km/h巡行も容易に行えますが、流石にC50やC60と比べてしまうと分が悪いですし、C50ですら想像以上の登坂性能を有しているので、メーカーの表現通りにヒルクライム向きと割り切って紹介した方が良いのかもしれません(それ程に各モデルの基本性能が高いのです)。

 

『WH-R9270-C50』1,461g(F674g/787g)

5050

初期加速7.4 中間加速8.0 巡航7.4 登坂力7.3 振動吸収6.5 剛性7.4
これぞ正しく全方位対応のオールラウンダー。メーカーの謳い文句に偽りなしです。平坦巡航・中間加速は凄まじいの一言ですし、50mmハイトでこれ程までに登坂性能が高いホイールに出会ったのは初めてかもしれません。登りが得意でない自分でも10%の斜度までだったら思っていた程にC36との差を感じませんでした。流石に11%を超えてくるとC36との差が広がりましたが、そもそもC36はトップクラスの登坂力を有していますし、リムハイトが50mmもあるホイールとしては凄過ぎます。
本当にこれ一本で何でも出来てしまうホイールで、ヒルクライム性能を更に高めたい方は後からC36のフロントを、平地性能を更に高めたい方は後からC60のリアを追加すればもう無敵です、、、。
俗にいう優等生過ぎてインプレ的には(良い意味で)面白くないホイールですが、どれを買うかで迷っている方には間違いなくC50を勧めます!!

 

『WH-R9270-C60-HR』1,609g(F751g/858g)

6060

初期加速7.1 中間加速7.5 巡航8.1 登坂力6.8 振動吸収6.0 剛性8.0
最後の『HR』はパワフルなライダーやスプリンター向けに横剛性を20%増加させた高剛性バージョンを意味していますが、↑でも書いた通
り拍子抜けする程に漕ぎ出しは軽かったです。流石に中間加速以降は剛性の高さを感じましたが、登坂力も想像以上に優れているのでファンライドでそこまでガシガシ踏まない方や、エアロロードに見た目重視でC60を装着したとしても持て余す事は考えにくいのではと思われます。
と言いますか、とてもとても60mmとは思えない程の扱い易さに驚くばかりです。試乗コースで13%の斜度を通過する時もそうでしたがアウターのままでもサクサク登れましたし、重量が1,609gもあるようには全く感じません。感覚的には他社のハイエンドモデルの45~50mmを振り回しているのと同じぐらいです。本当に信じられません(汗)
そして、何よりも凄まじいと感じたのが下りでのスピードでした。比治山プチヒルクライムコースを下って帰る際の100m有るかどうかの短いストレートを通過した時の事です。なんと、次のコーナーへの侵入速度がC36比で時速5km以上速かったんです(C50はその中間よりややC60より)!! 100m有るかどうかの短いストレートでですよ?! じゃあ、もっと長い下りのストレートだったら?? はたまたタイムトライアルやトライアスロンだったらどれ程タイムを縮められる?? もしくはクリテリウムなど駆け引きのあるレースで集団走行中に足を止めて温存できる時間がどれ程長くなるのか?? 考えただけでも恐ろしいホイールです、、、。
C60を踏み倒せるだけの脚を持ったライダーならタイムトライアルやクリテリウムで無双出来るんじゃないでしょうか(汗)。

 

如何でしたでしょうか。今回も長文になりましたのでC36/50・C36/60・C50/60の前後異径の組み合わせインプレは次回のブログでお伝えしたいと思います。上記の通りC36・C50・C60ですら結構僅差でしたから今から頭を抱えています(笑)

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