日本最大級のスポーツサイクル専門店!お客様に合わせてスタイル提案!
2026/09/28 11:25
こんにちは、神戸店のカネコです。
前回は、スペインで開催された「ORCA AERO 360° DEALER CAMP」に参加した様子をご紹介しました。
今回はその続き。
Dealer Campでは新しいORCA AEROについての研修はもちろんですが、「ORBEAという会社」についてもかなり詳しく話を聞くことができました。
ORCA、ORCA AERO、TERRA RACEなど、ORBEAのバイクを知っている方は多いと思います。
でも、
「ORBEAって、そもそもどんな会社?」
と聞かれると、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
実は自分自身もそうでした。
仕事でORBEAのバイクを販売したり、組み立てや整備をしたりしていますが、今回スペインで話を聞いて、
「へぇ、ORBEAってそんな会社だったんだ」
と思ったことがたくさんありました。
今回はそんな研修で聞いた話や、ちょっとした小ネタも交えながら、普段バイクを見ているだけではなかなか分からないORBEAをご紹介してみたいと思います。
目次
まず驚きなのが、その歴史です。
ORBEAの始まりは1840年。
スペイン・バスク地方のエイバルという街から始まりました。
現在ORBEAが拠点を置いているマリャビアからも約5kmほどの場所だそうです。
そして面白いのが、最初から自転車を作っていた会社ではないということ。
もともとORBEAが作っていたのは、なんと銃器。
精密な加工技術が求められる製品を作っていました。
さらに研修で聞いて面白かったのが、当時から注文に合わせて装飾を施したり、その人に合わせた製品を作ったりしていたという話。
現在のORBEAを知っていると、ちょっと「MyOっぽい」と思いませんか?
もちろん当時からMyOがあったわけではありません。
でも、一人ひとりに合わせたものを作るという考え方は、かなり昔からORBEAの中にあったようです。
そして、もう一つ研修で聞いた面白い話がありました。
講師の方からは、
「南米へ行くと、今でもORBEAの名前が入った銃器用の弾薬を見つけることがあるかもしれない」
という話まで。
自転車ブランドとしてのORBEAしか知らないので、なかなか想像できない話ですよね。
自分も研修で聞いて、
「そんなところにも昔のORBEAが残っているんだな。」
と驚きました。
その後、時代の変化とともにORBEAは自転車製造へ進み、1931年から自転車を作り始めます。
つまり、自転車メーカーになる前にも90年以上の歴史があるんです。
ORBEAの歴史の中でもう一つ大きな転換点になったのが、1969年です。
経営が厳しい状況となり、当時のオルベア家が事業を閉じることを決めます。
そこで会社を引き継いだのが、そこで働いていた人たち自身でした。
従業員たちが力を合わせ、家族経営だったORBEAを協同組合へと変え、自分たちの手で会社を存続させたんです。ORBEA公式の歴史でも、この出来事を現在につながる大きな転換点として紹介しています。
今回改めて話を聞いてみると、思っていた以上に今のORBEAにつながっているんだなと感じました。
研修の中で説明されていたのが、
「組合員一人ひとりが一票」
ということ。
役職が上だから何票も持っている、ということではありません。
そこで働く人たち自身が会社に関わり、会社の未来を考えていく。
会社と、そこで働く人との距離がとても近いんですね。
そして1971年、ORBEAは独立した組織としてMondragon(モンドラゴン)協同組合に加わります。
モンドラゴンは、協同組合どうしの協力や連帯、そして地域社会の長期的な発展を大切にするネットワークです。
ORBEAの「人や地域と一緒に成長していく」という考え方を知るうえでは、結構大事な背景だと思います。
そして、この会社の成り立ちを知っておくと、このあとに出てくるORBEAの考え方も少し分かりやすくなってきます。
1840年創業と聞くと、
「ものすごく歴史の長い老舗メーカー」
という印象がありますよね。
もちろんそれは間違いではありません。
でも今回話を聞いて感じたのは、ORBEAは昔から同じことを続けてきた会社というより、時代に合わせて何度も変わってきた会社だということでした。
その一つが、研修でも紹介されていた2015年の「New Orbea」。
それまでのやり方を一度ゼロベースで見直して、
「これからORBEAをどういう会社にしていくのか」
「どうやって世界へ広げていくのか」
「もっと良い製品を作るにはどうすればいいのか」
を改めて考えた、大きな転換点だったそうです。
1840年からの歴史を大切にする。
でも、歴史が長いからといって昔のやり方にこだわるわけでもない。
必要なら自分たち自身も変えていく。
このあたりも、ORBEAの面白いところだと思います。
そして今回の研修で、自分が特に印象に残った言葉があります。
「Draw the Line」
直訳すると「線を引く」。
最初に聞いたときは、自分も、
「どういう意味なんだろう?」
と思いました。
ORBEAの公式サイトでも語られていますが、この言葉には単純に「ここから先はやらない」という意味だけではなく、
自分たちはどんな道を選ぶのか。
何を大切にするのか。
そして、未来にどんなものを残していくのか。
その“線”を、自分たちの意思で描いていくという意味が込められています。
ORBEAでは、この考え方を大きく3つの言葉で表現しています。
Daring To Dream.
Staying True.
Leaving a Legacy.
新しい道を切り拓き、挑戦する。
自分たちが大切にしている価値観に忠実でいる。
そして、自分たちが進んだあとに何を残せるのかを考える。
公式サイトでは、その具体例としてMyOによる一部追加料金なしのパーソナライゼーションや、協同組合としてのあり方なども紹介されています。
そして今回の研修では、もう少し会社側の視点からこの考え方を聞くことができました。
もちろんORBEAも企業なので、利益は必要です。
会社を続けるためにも、新しい製品を開発するためにも、利益を出していかなければいけません。
でも、利益だけを追いかけて、会社として大切にしているものを失ってしまっては意味がない。
人。
地域。
環境。
そして製品。
研修ではPeople / Planet / Productという言葉も使われていました。
どこで生産するのか。
どんなサプライヤーと仕事をするのか。
地域に何を残していくのか。
利益をどう使うのか。
そして、どんな製品を作るのか。
そうした一つひとつの選択に対して、
「ORBEAとして、どんな線を描くのか」
を考える。
自分は、そんな意味として受け取りました。
だから「Draw the Line」は、単なるキャッチコピーというより、これまで紹介してきた協同組合という会社の形や、このあとに出てくる生産、MyO、販売店との関係まで、ORBEAのいろいろな部分につながっている言葉なんだと思います。
「どんなバイクを作るのか」だけではなく、
「どんな会社として、そのバイクを作るのか」。
スペックや重量とは全然違う話ですが、自分は今回の研修の中でも、この考え方がかなり印象に残りました。
これも研修で聞いて、
「へぇ、そうだったんだ」
と思った話です。
ORBEAは以前、中国にも自社工場を持っていました。
その後、その工場を閉鎖し、生産の一部をスペイン・マリャビアやポルトガルなど、ヨーロッパ側へ移しています。
ただ、
「じゃあORBEAはアジアで作るのをやめたの?」
というと、そういう単純な話でもありません。
現在もカーボン製品などでは、アジアの生産技術やサプライヤーを活用しています。
今回の研修で面白いなと思ったのは、単純に「どこの国で作ったか」だけを見ているわけではないというところ。
人権や労働環境、環境への取り組みまで含めて考える。
一方で、できるところではより近い地域のサプライヤーを活用する。
生産拠点やサプライヤーを本拠地の近くへ集めることで、品質を確認しやすくなり、問題が起きたときの修正も速くなる。
設計と製造の距離も近くなるので、開発から生産へのフィードバックもしやすくなります。
研修では、こうした考え方をまとめる言葉として「Control」という表現も使われていました。
そして、ここでもう一つ面白かったのが地域との関係です。
近くに必要な技術を持った企業があれば、できるだけ近隣のサプライヤーを活用する。
品質や対応スピードだけではなく、ORBEAがある地域にも仕事や価値を残していく。
こういうところにも、協同組合としてのORBEAらしさが出ている気がします。
「スペインブランドだから全部スペインで作っています」という単純な話ではないんですね。
どこで作るかだけではなく、どう作るか。
そして、自分たちが責任を持って把握できる範囲をどう増やしていくのか。
さっきのDraw the Lineの話を聞いたあとだと、こうした生産の考え方も少し違って見えてきます。
そして、この柔軟な生産という部分は、現在のORBEAを代表するサービスにもつながります。
ORBEAといえば、MyOをご存じの方も多いと思います。
好きなカラーを組み合わせて、自分だけのORBEAを作れる。
これだけでもかなり魅力的ですが、実際にMyOを触ってみると、それだけではありません。
モデルや仕様に応じて、ホイールやギア比、ハンドル幅なども選ぶことができます。
つまり、
「好きな色の自転車を作る」だけではなく、「自分に合った一台を作る」。
ここがMyOの面白いところです。
そして、店頭でも意外と知られていないのが価格。
MyOでは、カラーをどのように選んでもカラーオーダーによる追加料金はかかりません。
一方、ホイールなど、選ぶパーツや仕様によっては完成車の価格は前後します。
実際にMyOを見ていただくと、
「へぇ。こんなところまで選べるんですね。」
となることもあります。
カラーだけでなく、モデルや仕様に応じてコンポーネントやホイールなども選択できるMyO。
1840年、まだ銃器を作っていた時代からあったパーソナライゼーションの文化。
そして、より柔軟な生産体制を作ってきたこと。
そこから現在のMyOまで。
もちろん昔から現在のMyOまでが、そのまま一直線につながっているという単純な話ではありません。
でも今回歴史を順番に聞いてみると、今まで別々に見えていたものがつながってくる感じがして面白かったですね。
ORBEAは高性能なスポーツバイクを作るブランドです。
ロードレースやMTBの世界でも使われ、性能や品質もしっかり追求しています。
一方で今回の研修では、
「Premium is not exclusive」
という言葉もありました。
最初に聞いたときは、ちょっと不思議な言葉だなと思いました。
プレミアムブランドを目指す。
でも、それは高価格で一部の人だけが手にできるブランドにする、という意味ではない。
良いブランドだと認識され、信頼されること。
そして、パフォーマンスやパーソナライゼーションをしっかり追求していくこと。
ORBEAが考える「Premium」は、そういう意味なんだと説明されていました。
これもORBEAらしい考え方だなと思います。
ORBEAについて話を聞いていると、もう一つ印象に残ったのが、バスク地方と自転車レースとの距離の近さでした。
ORBEAが生まれたエイバルでは、「Memorial Valenciaga(メモリアル・バレンシアガ)」というロードレースが開催されています。
研修の中でも名前が出てきたこのレース。
あとから改めて調べてみると、スペインのエリート/U23カテゴリーでも権威あるレースの一つで、若い選手たちにとってプロへの登竜門としても知られてきたレースでした。
こういう話を知ると、ORBEAが単に「スペインにある自転車メーカー」というだけではなく、自転車やレースが身近にある土地の中で育ってきたブランドなんだということが少し見えてきます。
ORBEA自身も、競技が製品を限界まで試す場所であるだけでなく、地域のレースやクラブ、ショップなどにも影響を与えながら、自転車文化そのものが地域に根付いてきたと説明しています。
そしてORBEAにとって、レースは単なる宣伝の場でもありません。
研修では、レースを製品の限界を試し、パフォーマンスを磨いていく場所として考えているという説明もありました。
これが、新しいORCA AEROの話にもつながってきます。
新型の研修で最初に出てきたのは、フレーム形状や重量ではなく、
「今のロードレースは、以前より速くなっている」
という話でした。
製品開発も、まず競技や市場で何が起きているのかを見るところから始まる。
登りだから軽量バイク。
平坦だからエアロバイク。
そんな単純な分け方だけでは、今のレースを説明できなくなってきている。
速度が上がれば、登りを含むコースでも空力の影響は残ります。
だから、
「今のレースで、本当に速いバイクとは何だろう?」
と考える。
そこから新しいORCA AEROの開発にもつながっていきます。
今回は「ORBEAという会社」の話なので、技術的なところはこのくらいにしておきます。
この続きは、次回のORCA AERO編で詳しくご紹介します。
そして販売店で働いている自分として、もう一つ印象に残った話があります。
それが、ORBEAと販売店との関係です。
今回の研修では、ディーラーは単純にORBEAの商品を販売する場所ではなく、
ORBEAのファンであり、アンバサダーであり、ORBEAの一部でもある。
という話がありました。
これは販売する側として、結構考えさせられました。
バイクを並べて、価格やスペックを説明して販売する。
もちろん、それも自分たちの大切な仕事です。
でも、
なぜこのバイクが作られたのか。
このブランドは何を大切にしているのか。
この製品にはどんな背景があるのか。
そこまで自分たちが知って、自分たちの言葉でお客様へ伝える。
それも販売店だからこそできることなんじゃないかと思います。
今回自分がスペインまで呼んでもらい、こうしてORBEAという会社について研修を受けたこと自体にも、そういう意味があるのかもしれません。
ORBEAを知ると、バイクの見え方もちょっと変わる
今回スペインへ行く前から、もちろんORBEAのバイクは知っていましたし、所有もしていました。
また、仕事として販売もしていますし、組み立てや整備もしています。
でも、
1840年から続く歴史。
働いていた人たちが会社を引き継いだこと。
協同組合という会社の形。
モンドラゴン協同組合とのつながり。
Draw the Line。
ものづくりに対する考え方。
MyO。
そして、バスク地方とレースとのつながり。
こうした話をまとめて聞いたことで、ORBEAというブランドの見え方が自分の中で少し変わりました。
だからといって、
「1840年創業だからすごい」
「協同組合だからすごい」
という単純な話ではないと思っています。
自分が面白いと感じたのは、昔から続いてきたものや、ORBEAが大切にしている考え方が、今の製品やサービスにもつながっていること。
そこを知ると、店頭に置いてある一台のバイクも少し違って見えてきます。
自転車を選ぶとき、価格はもちろん大切です。
予算の中でどのバイクを選ぶのか。
どんなパーツが付いているのか。
どれくらいの性能なのか。
どれも購入するうえでは大事なことだと思います。
でも今回の研修を受けて、それだけじゃない自転車の面白さも、もっと伝えていきたいと思うようになりました。
そのバイクがどうして作られたのか。
どんな人たちが作っているのか。
そのブランドが何を大切にしているのか。
そして、どんな土地や文化の中から生まれてきたのか。
そういう背景や価値を知ってからバイクを見ると、同じ一台でも少し違って見えてくる。
価格も大事。スペックも大事。
でも、そのバイクの価値を知ると、自転車選びはもっと面白くなる。
自分たち販売店ができるのは、そういう部分までお客様に伝えることなのかもしれません。
今回スペインで自分が知って面白かったことを、これから店頭でも少しずつお伝えしていきたいと思っています。
今回のDealer Campで聞いて、見て、感じたことを、これから店頭でもお伝えしていきたいと思います。
この記事を読んで、
「ORBEAって、ちょっと面白いブランドだな」
と思っていただけたら嬉しいです。
さて、ここまで会社の話が続きましたが、次回はいよいよバイクの話へ戻ります。
先ほど少し触れた、
「今のレースで、本当に速いバイクとは何だろう?」
という問い。
新しいORCA AEROでは、バイク単体だけではなく、ライダー+バイクで空力を考える「Total System Approach」という考え方が、開発の大きなポイントになっています。
そしてスペインで実際に走ってみて、最初に感じたのは、
軽い!
そこから加速、高速域、登り、コーナリングと走っていく中で、
「これ、本当にオールマイティなバイクだな」
という印象に変わっていきました。
次回は、研修で聞いた開発や技術の話と、実際にスペインの道を走って感じたこと。
この二つを合わせながら、新しいORCA AEROを詳しくご紹介したいと思います。
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