【100% CHIGASAKI】箱根駅伝に思う
by: 遊佐 雪徳

今年も沿道で応援しました.ソフトタッチな着地で音もなく,鍛えられた強靭な体幹のしなりを存分に活かしながら大きなストライドで疾走する箱根ランナーたち…美しい走りに,今年も感動しました.走り終えた選手たちは皆,監督が乗ったサポートカーに向かって一礼.なんと謙虚な姿勢か…選手たちの監督への感謝の気落ちが伝わりました.

 

 

7区間で区間新記録が13個という驚異的な新記録ラッシュとなった今大会ですが,その中で実に選手の85%が着用していたと言われるシューズが「NIKE ヴェイパーフライ」.新記録の誕生に無関係ではないはずです.しかし,シューズも気になるけれどこの話はまた別に機会にすることとして…それ以上にYUSAの心に残ったのは総合優勝を成し遂げた青山学院大学を率いる原監督の優勝インタビューでした.

 

 

原監督曰く,

 

 

「箱根駅伝はあくまでスポーツです.学生の学問とスポーツの両立を目指して,今後も頑張ります」

 

 

青山学院大学快進撃の根幹ここに有り.素晴らしいコメントです.レース直後のコンパクトな優勝インタビューで口を出た言葉ですから,日頃より重視されている指導方針と推測します.世間ではシューズの話題が先行しているようですが…全ては学生本人の未来のためのイベントな訳で,目先の勝利や実績,利益にばかり囚われてはいけない,ということでございましょう.私も,原監督と全く同一の意見であります.

 

 

箱根駅伝から離れますが,現在の日本のマラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦さんは現役時代,エスビー食品陸上競技部所属時に監督にこう言われたそうです.

 

 

「刀っていうのはな,熱く燃え盛るが故に叩かれて鍛えられて純度が上り,あんなに美しくなるんだ.俺がいくら選手を叩き上げたところで,選手が熱くならなければ意味がない.だから瀬古よ,熱く燃えあがれ!」

 

いやはや,こちらの心まで熱くなる話です.

 

 

そしてシドニー五輪で金メダルに輝いた高橋 尚子さんは,メダル獲得後のとあるインタビューでこう話しました.

 

「私は私のチームが世界一だと思っていましたから,あとは私が走って世界一になってそれを証明するだけだ,と思っていました」

 

格好良すぎる…一流アスリートは心もまた一流です.

 

 

仲間や師を想う心があってこそ,技術が向上するのだと思います.心がなければ,感動を与えられる走りが出来るはずがありません.仲間を思う気持ちと師弟関係…スポーツには学ぶところが数多くあります.

 

 

 

 

 

〜視覚の虜※1

ここでひとつ,面白いお話をしましょう.認知神経科学の分野では,他者の動作(例えばランニングフォーム)を見るだけで,見たヒトの脳の中では,見ることに関わる脳の部分が働きますが,見た動作を自分で実際に行う時に働く脳の部位も活動するという研究報告があります.

 

 

すなわち!

 

 

今年初めに箱根駅伝を観戦した多くのアマチュアランナーは,その瞬間から箱根ランナーの美しい走りを無意識に体現しようとしているということです.知らぬ間に,あなたも箱根駅伝の虜になっているということですね♪ 

 

 

私たちは自分の動作に,何らかの欠点や改善点を見出すと,その部分に直接的に意識をおいて動作を修正しようとします.しかし,直接的な意識を持つと,他の部分が新たな欠点となって出てくることがあります.動作を繰り返し,目で見て確認して修正しようとする行為そのものが,知らず知らずのうちに良い感覚を狂わせるという悪循環に陥る恐れがあるということです.みなさんにも,思い当たる節があるのではないでしょうか?

 

形から入ろうとすると,感覚が遠のきます.しかしだからと言って,ただ自分の感覚だけを頼りに生きても前進はあり得ません.日々の練習や鍛錬の中で得られた感覚と感性を信じることが大切です.そしてまた,人生の大事な局面で,自分の感覚と感性が頼り!と,自分に言い聞かせることができるまで,練習を積み重ねることが大切なのだと思います.もちろんこれは,スポーツに限った話ではありませんね♪

 

 

 

不自然の極みの先に,自然体が生まれ

力みの先に,リラックスがある

 

 

ということだと思います.

 

 

 

みなさんはどのように思われますか?

 

※1:アスリートの科学, 小田 伸午 著

 

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ストイックYUSA

2020年1月8日