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【疑問解決】高いペダルを使えば速くなれるの?
by: 柳澤和弥

こんにちは、福岡天神店の栁澤です。

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 言わずと知れたSHIMANOのビンディングペダルである「SPD-SL」には5つのグレードが展開されています。
最もお求めやすい「RS500」グレードで価格が¥9,178、ハイエンドである「DURA-ACE」グレードになるとなんと¥34,822‼これだけで自転車が1台買えてしまえそうな気がしてしまいますね。

こんなに価格に幅がありますが、求められる機能は全てのペダル共通でライダーの足とクランクを一体化させるということただ一つ。

なんだそれだけか!それじゃあわざわざデュラエースなんて選ばずに、一番安いの買って寿司でも行けばいいじゃん!と思われる方もいらっしゃるでしょう。
確かにそれもひとつの選択として大正解です。実際僕も愛車のREREにははじめ「RS500」グレードのペダル(しかもスタッフコガモリが長年使用していたお下がり)を付けて、その他のパーツにお金を回していました。

ですが最近ペダルに関する接客をさせて頂いている際に「良いモノにしたら速くなるのか?」「グレードごとでどこがどう違うのか?」と気になる方が多いように感じたので、今回のブログではこれら5種類のSPD-SLペダルをグレードごとに比較して、その疑問の答えと共にどのモデルがどのユーザーに最適かということをお伝えできればと思います!

そもそもビンディングペダルとは

多くのシティバイクに付いているようなスニーカーなどで気軽に乗れるものとは違い、専用のシューズを履いたライダーの足をペダルに固定しながら乗れるようにするものです。一般にビンディングペダルを使用するメリットとして以下のようなことが挙げられます。

効率的なパワー伝達

足とペダルが一体化することで、ドライブトレイン→リアホイール→地面へと、ペダルから加えたエネルギーが無駄なく伝わりやすくなります。

安定性とコントロール性の向上

足がズレたり外れたりする心配がなくなるため、カーブや急な坂道でも安定した走行が可能になり、コーナリングや加速時のコントロールが向上します。

これらの機能により、ビンディングペダルはレースや長距離走行、さらには日常のトレーニングにおいて、パフォーマンスの向上と安全性をサポートする重要な装備の一つとなっています。

グレードごとの比較

この上なくざっくり言うと、SPD‐SLをはじめとする多くのビンディングペダルは、その価格(グレード)が上がると共に「軽く、硬く」なっていきます。というのも各社独自の技術によって、ボディの素材が強化ナイロン(樹脂)→カーボンコンポジットになったり、それに伴う強度向上からより攻めた肉抜きをするようになるためです。

これによりパワーロスやの減少をはじめさまざまな恩恵が得られますので、そういう点でいえば、確かにグレードを上げることで”速く”なりますね!

では現行の「SHIMANO SPD-SL」シリーズを例にとって、実際どうやって軽く、硬くなっていくのかをその他の情報も交えながら比較していくとしましょう。

各モデルの特徴と比較表

まずはその位置づけと価格から。

モデル グレード 価格
Dura-Ace PD-R9100 ハイ ¥34,822
Ultegra PD-R8000 ハイ ¥24,829
105 PD-R7000 ミドル ¥22,344
PD-R550 エントリー ¥13,917
PD-RS500 エントリー ¥9,178

つぎに素材や構造です。

モデル 重量(メーカー公称値) スピンドル素材 ボディ素材 
Dura-Ace PD-R9100 228g 中空クロモリ  カーボンコンポジット
Ultegra PD-R8000 248g 中空クロモリ カーボンコンポジット 
105 PD-R7000 265g 中空クロモリ カーボンコンポジット 
PD-R550 310g クロモリ 強化ナイロン(樹脂) 
PD-RS500 320g クロモリ 強化ナイロン(樹脂) 

ボディ、スピンドルの違いとその影響

まずはボディの形状とスピンドルの違いからです。

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こちらは上から順にDURA-ACE,ULTEGRA,105グレードのペダルを並べたものです。パッと見はほとんど同じでも、よく見ていくうちに様々な違いにお気づきになると思います。簡単にその違いを解説させていただきます。

まずはじめにボディの肉抜きです。グレードが上がるにつれ明らかに肉抜きか所の数が増え、またその深さが増しているでしょう。メーカーからの正式な公表はありませんのであくまで私個人の予想になりますが、スペック上同じ素材を使っているとはいえ、その品質や精度がグレードごとで違うため、できる処理にも違いが出てくるのだと考えております。

そう言われると上の画像からも若干の質感の違いが見て取れるのではないでしょうか?(DURA-ACEはくすんだ感じ、105はつるっとした滑らかな感じなど…)

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上の画像の左側がR550,右側がR9100です。R9100の方が明らかにボディが薄いのがお分かりになると思います。これは「これくらいの力に耐えなければならない」という目的に対して、カーボンを使った方が素材の量を少なくできるためです。(カーボンの方が重量剛性比において優れている、というやつです。)

次にペダルの軸に注目してみてください。R550は中まで詰まったクロモリ軸ですが、R9100は中空のクロモリ軸が採用されています。材料が減っていますのでもちろんR9100の軸の方が軽くなっています。こんなところでも軽量化をしてくるSHIMANO、さすがとしか言いようがありませんね。

さらに細かいところになりますが、踏み面から軸までの距離(スタックハイト)がグレードが上がるにつれて近くなっています。これも素材の量が減ることでの軽量化に一役買っています。また、グレードが上がるにつれてよく言われるいわゆる”ダイレクト感”の向上もおそらくこのスタックハイトの違いが関与しているものと思われます。

各モデルの詳細とおすすめユーザー

Dura-Ace PD-R9100

・プロレベルの剛性と軽さを求める、妥協なきレース志向の方に。
・「とにかく最高のパフォーマンスを!」という方におすすめ。

Ultegra PD-R8000

・軽量&剛性のバランスが良く、コスパが高いと言える。
・レース志向だけど、Dura-Aceは高すぎる…という方に最適。

(↑参考)以前スタッフコガモリがDura-AceとUltegraを比較したブログがございますので、ぜひこちらもご確認ください。

105 PD-R7000

・コストを抑えつつも本格的な性能が欲しい人向け。
・初めてのSPD-SLペダルとしてもおすすめ。(これについては後述します)

PD-R550

・RS500より剛性が高く、ステップアップしたい人向け。

PD-RS500

・エントリーモデルで固定力が抑えられているため、着脱がしやすい。
・「初めてのビンディングペダルが不安…」という人向け。

 最後に

たくさん情報を詰め込ませていただきましたが、いかがだったでしょうか。自分にはどのグレードが良いか、なんとなくでも決められるようになって頂けていれば幸いです。

先ほど初めてのビンディングペダルに105グレードをオススメしました。これはお値段的な使い勝手の良さもありますが、「ぺダルは完成車のコンポーネントのグレードに合わせる」という風潮があるからです。

トレーニングのためにこれからロードバイクを始めるぞ!という方は恐らくその多くがエントリーやミドルグレードのバイクをお選びになることでしょう。そのバイクのコンポーネントを見てみてください。きっと多くに105が付いているはずです。そのためペダルも同じグレードを選ぶと統一感が出てよろしいのではないでしょうか、ということです。(もちろんなにを採用するかは完全に個人の自由ですよ!!)

以上、福岡天神店の柳澤がお届けいたしました。それではまた次回のブログでお会いしましょう。