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2023/10/11 20:44
こんにちは、ワイズロード船橋店の高橋です。
今回はSCOTTのFOIL RC 10のご紹介です。
目次
スイスの総合スポーツブランドでスキー用品なども販売しています。
ロードバイクでは2001年と2003年に世界最軽量のフレームを発表し、世の中に衝撃を与えました。
直近では東京オリンピックやDSMの女子チームが好成績をおさめています。
SCOTTのロードバイクは用途にあわせてエアロのFOIL、軽さのADDICT RC、快適性のADDICTといったラインナップになっています。
ですが空力が良くて軽くて快適性も良いバイク(ロードバイクにおける究極到達点)があれば用途にあわせてバイクを使い分ける必要はなくなります。
現在のハイエンドモデルはS社のSL8やP社のFなどをベンチマークとして1つのモデルですべてをこなせるバイクを開発する傾向が強いです。
SCOTTもこのトレンドに乗り、ピュアエアロロードとしてのFOILの空力性能にさらに高めたうえで軽さと快適性も向上させるのが開発のコンセプトとなります。
一般的に自転車の空力と軽さ、快適性、剛性のバランスはトレードオフの関係にあります。
例えば空力の良い形状はパイプのアスペクト比(縦と横の比率)が高いのが特徴ですがアスペクト比が高くなるに伴って剛性は落ちてしまいます。
従来のFOILの空力性能をさらに高めながら、軽さと快適性も向上させた新型FOILを開発するのは相当な苦労があったのではないでしょうか。
海外誌によると開発期間におよそ3年、製品化するまでに数えきれないほどのテストを繰り返したとのことです。
FOILの設計はTTモデルのPLASMAをベースにしています。
PLASMA譲りの空力性能は空気抵抗のスイートスポットであるヨー角0°~10°前後(真正面から斜め)に焦点をあてた開発と新UCI規定に対応することで前作比で21%も向上しています。
海外誌のバイクテストでは最上位モデルのFOIL RC ULTIMATEで206ワットという結果でした。
世界最速と言われているシンプロンやストークのバイクは199~202ワットですが重量面ではFOILが約500グラムも軽いため、総合的なバランスを考慮するとFOILは世界最高峰のバイクといっても過言ではありません。
SCOTTはPLASMAの開発の際と同様にFOILの開発にもDRAG 2 ZEROという空力コンサルタント(SWISS SIDEやAERO COACHのような)のサポートを受けていました。
↑FOILがローンチされた際のDRGAG 2 ZERO公式instagramの投稿
DRAG 2 ZEROはE社のフックレスリムホイールを開発したサイモン・スマート氏を筆頭に自転車と空力という分野に特化した技術を持っています。
また、自動車で有名なMERCEDESと親交があり、FOILの開発はMERCEDESのF1チームが所有している最新の風洞実験施設で開発されています。
↑製品テストの様子
FOILにはISO FLOWやエアディフレクターといった速さが可視化できるようなギミックはありません。
SCOTTはライダーとフレームの前方と前後のボトルケージまわり、フレーム後方が空気抵抗の大きい部分であると考え、F01テクノロジーを基にフレーム形状を最適化しています。
F01テクノロジーは2011年ごろに発表された初代FOILの開発の際にMERCEDESとの共同開発によって生まれ、NACA (航空宇宙諮問委員会)からインスパイアされた空力的に優れたフレームデザインです。
砂時計型にシェイプすることで円柱型よりも空気抵抗を削減します。
横方向に狭く、前後方向に幅広なフォークブレードはダウンチューブに発生する負圧領域を最小限に抑えます。
フォーククラウンは幅広で高めにすることで空力的なアドバンテージを得ることができ、最大30mm幅のタイヤに対応します。
アスペクト比高い形状とシートチューブ側とあわせて最適化されたボトルケージの位置が空気抵抗を削減します。
巷ではエアロボトルケージとエアロボトルがトレンドになっていますが海外誌のSCOTTへのインタビューによると効果的な結果を得られなかったため作らなかったそうです。(おそらくゼロではない。)
10°フレアしたシートステーはフレームの前方から流れてきた空気をリアホイールのスポークに空気を押し込むような働きをします。
また、ブレーキキャリパーはシートステーに隠れています。
本モデルに採用されているカーボン素材は2ndグレードのHMXとなっています。
2ndグレードとはいえフレーム重量は約985グラム、フォーク重量は475グラムと他社の類似モデルの最上位グレードと同等の重量に仕上がっています。
製造過程でフレームの繋ぎ目となる部分を減らすことでより少ないピース構成で成形するため、前作比で9%の軽量化に成功しました。
ブレード状のシートポストは3ピース式になっています。
3つうのうち2つがカーボンで1つをエラストマーにすることでサスペンション的な働きをするため、乗り心地が前作比で10%向上しています。
重量は275グラムとなっています。
オプションパーツとして販売されている1ピース式のものに交換すると約100グラムの軽量化が可能です。
3ピース式の方はリアライト内蔵式のエラストマーの販売があります。
海外誌のバイクテストによると最上位モデルのFOIL RC ULTIMATEではT社のエアロロードよりも全体で1割ほど高い剛性値となっていました。
また様々な海外誌のインプレッションをみると「踏んだ分だけ進む」、「エアロなのに快適」、「ハンドリングが良い」、「空力、軽さ、快適性、剛性のバランスが良い」という意見が多く見受けられました。
昨今のロードバイクは専用パーツに縛られることが多いですが上述のようにFOILはパーツの自由度が高いのが特徴です。
ここまでの内容を下記にまとめてみます。
・FOILは世界最高峰の空力性能(206ワット)でありながら軽さ、快適性に優れている。
・DRAG 2 ZEROと共同開発でMERCEDESの風洞実験施設を使用している。
・TTモデルのPLASMAと同じ基礎設計でヨー角0°~10°(真正面から斜め)の空気抵抗に強い。
・他社の類似モデルと比較して全体の剛性が少し高い。
・オプションパーツが豊富。
SHHIMANOのULTEGRAで統一されています。
マニアにうれしいダイレクトマウントハンガーがアッセンブルされています。
低重心化のためにDi2のバッテリーはBB裏に内装しています。
コックピットは一体型ではなく2ピース式になっており、FOIL専用ステムにカーボン製エアロハンドルがアッセンブルされています。
これらはSCOTTの傘下のパーツブランドであるSYNCROS製のものになります。
C社の場合、2ピース式になってしまうと3ワットの空力的損失が生まれてしまいます。
ですがFOILはステムのフェイスプレートの両脇にカウルのようなパーツとハンドルの上ハン部分にディンプル加工を施しているため一体型ハンドルと同等の空力性能を発揮します。
サドルはSYNCROSのBELCARRA V-CONPACT 2.0です。(写真を撮るのを失念してしまいました。)
ホイールはSYNCROSのCAPITAL 1.0 50です。
リムハイト50mm、リム内幅21mmのチューブレスレディ対応のカーボンホイールがアッセンブルされています。
重量は前後で約1630グラムとなっています。
リムの表面には一部ディンプル加工のようなテクスチャが施されています。
ハブは6ポールタイプです。
タイヤはSCHWALBEのONEで前が25C、後ろが28Cになっています。
乗り心地や軽さなどを総合的に判断した結果、前後で異なるタイヤサイズを採用しています。
前述したようにFOILは剛性が高いため、乗り心地を気にする方はチューブレスレディにした方が良いでしょう。
フレームは最大30mmのタイヤに対応しているためフックレスリムなどとも相性抜群です。
ピュアエアロロードながら万能さも持ち合わせている究極のロードバイクとなっています。
10/12時点でFOIL RC 10はメーカー完売で次回入荷未定、当社では船橋店にXSのご用意が1台あるのみなっています。
この機会を逃してしまうといつ手に入るかわかりません、気になる方はお早めにお問い合わせ下さい。