【インプレ】エアロなのにオールラウンダー!SCOTTのFOILはエアロロード存続の鍵となる?
by: 高橋愁

こんにちは、ワイズロード船橋店の高橋です。

今回はSCOTTのFOIL RC 10のテストバイクをお借りして筑波山不動峠へ約130kmのロングライドに行ってきましたのでレビューをさせて頂きます。

【追記】12/17誤字があったため記事の内容の一部を修正しました。

※記事の内容には私の主観が多く含まれていますが予めご了承ください。

総合評価

9.5点/10点中

空力のスペシャリストであるDARG 2 ZEROとの共同開発でMERCEDESの自社風洞で生まれたピュアエアロロード。科学的根拠に基づく圧倒的な空力性能だけでなく、オールラウンダーとしてのバランスにも優れていて乗りやすい。すべてのパフォーマンスにおいて非の打ち所がなく、市場のベンチマーク的存在である北米社製オールラウンダーとの競争力がある。

良い点:数値に裏付けされた性能。ホビーレーサーでも扱いやすい。空力と快適性に優れたパッケージ。高コストパフォーマンス。サイコンマウントやハンドル、ダイレクトマウントハンガーなどのオプションパーツと防水防塵のグロメットが充実している。

悪い点:可視化できるエアロギミックがない。バイクのスペックに合わない低価格なタイヤとチューブ、サドル。DUNCAN SL AERO CFTシートポストは1000kmに1回グリスアップが必要。

FOILのハイライト

・TTバイクのPLASMAをベースにした基礎設計。

・空力コンサルタントのDRAG 2 ZEROと共同開発で、MERCEDESのF1チームが所有する最新の風洞実験施設で開発。

・前作よりも20%速く、10%快適で9%軽くなっている。

レビュー

空力性能

空力性能は乗っただけでは測ることが出来ないのでとても難しいですが、感覚的にどんな速度域でも安定していてペダリングをとめても失速しにくい印象でした。

さらにヘッドチューブのフェアリング効果と極薄のフォークブレードにより向かい風や横風でも安定したハンドル操作が出来ました。

新UCI規定対応のピュアエアロロードなので空力性能は間違いなく良いと思います。

その裏付けとして海外誌の空力テストでは旗艦モデルのFOIL RC ULTIMATEで206Wという結果になっており、V〇N〇EやTA〇MA〇 SL8、DOGMA Fよりも高い空力性能があることを証明しています。

剛性

どんな踏み方でもフレームのたわみ感はなく、芯のある硬さが感じられました。

とはいえAEROADやS5のような、まるで1枚板のような剛性感ではなく、あくまでホビーライダーでも扱いやすい範囲内で高剛性という印象でした。

特にライド終盤の疲弊状態でも剛性の高さからくる脚の疲労感は無く、EMONDAのような懐の深さを感じました。

走りが軽い

FOILは2ndグレードのモデルでもフレーム重量が約985グラムとなっており、競合する北米社製エアロロードなどと比較しても軽いのが特徴です。

下の写真の状態からツールボトルとライトとサイコンを外して約8.4kgでした。

さすがに軽量レース系バイクには重量面で劣りますがヒルクライムでは実重量ほど重さは感じませんでした。

今回テストした不動峠のように勾配が比較的緩く、瞬間的に斜度が10〜17%になるような登りではパワーでゴリ押せる重量だと思います。

とはいえFOIL RC 10のタイヤ、チューブ、サドルは比較的低予算で軽量化の余地があるのでアップグレードをすれば~350グラムほどの軽量化が出来ます。

究極をもとめるならシートポスト、ハンドル、ホイール、クランクをアップグレードすればさらに~550グラムほどの軽量化が出来ます。

コンポーネントをDURA-ACEに組み換えれば6.8kgを目指すことも可能です。

FOILは組み方次第でPINARELLOや北米各社がオールラウンダーと定義している「全体の重量が6.8kgで可能限りエアロなバイク」が実現できるピュアエアロロードではないでしょうか。

見た目よりもずっとニュートラル

個人的に1番驚いたのがマッシブなフォルムからは想像がつかないほど全体的に扱いやすいバイクだったことです。

特に予測可能でクセがないハンドリングは道が狭く、カーブが多い(3.7kmのうち52個のカーブがある)筑波山の不動峠の下りでも問題ありませんでした。

快適性

長い距離を走るなかで路面状況の悪い区間がいくつもありました。

今回のバイクには比較的安価なタイヤとチューブがセットアップされていたにもかかわらず、段差の突き上げ感や微振動による不快感は少なく、快適に走ることが出来ました。

比較として普段乗っているRIDLEYのFENIX SLICではフレームの上半分がしなるような感覚があるのに対してFOILはシートポストで振動を吸収しているような感覚が強かったです。

その理由としてFOILのシートポストは3ピース式になっており、そのうちの1つをエラストマーにすることで重量増を最小限に抑えながら快適性を大幅に向上します。

ですが1000kmに1回、グリスアップが必要なのと1ピース式シートポストと比較して80gほどの重量増になってしまいます。

最大30mm幅のタイヤクリアランスを活かせばさらに快適性を高めることも可能です。

ハンドルまわりの突き上げ感は良くも悪くも普通でした。

ちなみにSUPERSIX EVOなどではセパレートコックピットになると空力的に4ワットの損失が生まれてしまいますが、FOILの場合はセパレートコックピットでも空力的なロスが発生しないのが地味にうれしいポイントです。

ホイール

セットアップされていたSYNCROSのCAPITAL 1.0は50mmハイトながら操作性に優れていて非常に扱いやすかったです。

回転もスムーズで無難に良いホイールという印象でした。

番外編

可視化できるエアロギミックが無い

FOILにはTERKのISO FLOWやCERVELOのVステム、BIANCHIのエアディフレクターのようなエンドユーザーがパッと見て空力性能の高さが分かるギミックがありません。

↑TREK・ISO FLOW

↑CERVELO・Vステム

FOILはメーカーの謳い文句であるPLASMA RC(TTバイク)譲りの設計だけではインパクトに欠けますし、ブランドの知名度なども踏まえると圧倒的な人気を誇る北米社製のバイクと比較するとインパクトに欠けます。

特徴が無いのが特徴?

前述した印象的なギミックがないことについていろいろと考えを膨らませまて個人的な答えを出しました。

それは「目立つ特徴が無いのが特徴」なのかもしれないということです。

冒頭で紹介したように新型FOILの開発のコンセプトは空力性能だけなく、軽さと快適性にも注目した設計になっているため、ISO FLOWのようなギミックを搭載すると重量が重くなってしまうため、トータルバランス(空力、軽さ、剛性、快適性)が崩れてしまうと考えたのではいでしょうか。

あえてシンプルに仕上げることで(TTバイク譲りの空力性能を誇る)ピュアエアロロードでありながら(走りが軽快で快適性も高く、クセが無い)オールラウンダーなバイクになっているのだと思います。

ギミックが無いという観点ではかつてのV〇N〇EがそうであったようにFOILはピュアエアロロードの新しいカタチとして非常にオススメできるバイクです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

ホビーライダー目線で感じたことや思ったことをレビューさせて頂きました。

FOILは12/10時点で今期分はほぼ完売となっていますが、そう遠くはないうちにメーカーから2024年の発表がありますのでもうしばらくお待ちください。

また、ご予約の際はぜひワイズロード船橋店へお越し下さい。

 

 

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