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フロントシングル時代に対抗して、リアシングルバイクを組みました。
by: 木立春之介

フロントシングル

最近のMTB、グラベル市場を見ておりますと、FD(フロントディレイラー)を取払ってフロントはシングル、フロントの変速機の不在を、スプロケットの段数を増やして、ロー側の軽いギアを拡大させてカバー。こんな構成のバイクを多く見かけるようになりましたね。ギア周りのトラブル原因をひとつ潰すことができて、見た目もスッキリとしていて私も好みです。

ここでふと疑問が。「リアシングルのバイクがあっても面白くないか?」割と布団に入ってからこういうことを考えて眠れなくなるタイプです。
若干寝不足気味の翌朝、自宅の駐輪場から、お買い物用にこしらえたキャリアにバスケットを取り付けた、フロント3段、リア8段のクロスバイクを引っ張り出しまして検証をします。

縛りプレイ

前日の夜、ギアの歯数についてネットサーフィンをしていて分かったことが、クロスバイクで一般的に使われるフロント3段の歯数の組み合わせが、多くの内装3段変速ギアの、ギア比構成とかなり近いのでは?ということ。

元から3段変速として出ている変速機と、ギアの構成が似ているということは、リアのスプロケットを適切な歯数にしてやれば、そこまで不便無くFD縛りのサイクリングができるはずです。
RD(リアディレイラー)側は丁度良い塩梅のギアに入れたまま固定。あとはFD3段と、運動不足な己の脚を頼りに自宅から往復30kmのサイクリング。
結果、何となく予想が出来ましたが、呆気なく走破出来てしまい、道中にドラマは皆無でした。
こうしてこの世界にまた一つ、新たなトリビアが生まれたわけです。

「この知識が役に立つことはまず無いだろうな。」

と、思っていたんですが。

GIOS  MISTRAL リアシングルスペシャル

まずはブログの掲載にご協力いただいたオーナー様に感謝申し上げます。

世の中の流れに逆張りしていく、新たなスタイルの誕生です。
FDの3段変速はそのままに、リアのスプロケットを排し、そこにGRUNGEのシングルスギアセットをインストール。

このままだとチェーンが弛むので、元々付いていたRDをチェーンテンショナーの代わりとして再利用することで、環境にも優しい一台に仕上がっております。
リアシングル化をするために必要なのは、リア8段変速の場合、基本的には前述したGRUNGEのシングルギアセットのみで、チェーンにダメージ等が無ければ、元から付いているチェーンの長さを調整することで流用が可能です。今回はチェーンに錆が回っていたので交換しております。

私好みな後ろからのアングル。シンプルで気持ちが良い見た目。テンショナーの代わりに残したディレイラーの黒い塗装が、経年変化でシルバーになってきているのも、ストーリーを感じます。

リアシングル化のメリット

リアの8段変速を失った代わりに得られる対価は何か?
一つ目は”転倒に強い”ことですかね。
転倒したり、ぶつけたりで、変速機が内側に曲がってしまっても、後ろの車輪に変速機が巻き込まれるリスクがかなり軽減されるはずです。
多少のパーツの歪み程度であれば家まで帰ってこれる。なんかちょっぴりミリタリーな概念を感じる素敵ポイントだと思っています。
あとは、毎回のシフトワイヤー交換に掛かる金額が1本分になるので経済的で有難い。

二つ目のメリット”ペダルを漕いだ時の抵抗が少ない”
今回リアシングルで組んでみて初めて分かったメリットなんですが、組み上がって変速の調整をするためにペダルを回していると、そのペダルの回転がなかなかにスムーズで軽いんですよね。

画像が少し暗いので分かりにくいかもしれませんが、チェーンが進行方向に対して斜めになったりせず、ほぼ真っすぐに張られていることが分かります。シングルスピードキットを使うと、リア側の歯車の位置をスペーサーである程度自由に設定できるんですが、今回のケースでは歯車の位置をなるべく外方向に寄せて組んだので、チェーンのラインがほとんど斜めにならず、余計な抵抗の少ないところに出来たんですね。
動作チェックの試走で面白いことに気が付きます。
ペダルを回した時に鳴る、シャラシャラ音がほとんど無い。ピストバイクとかシングルスピードの自転車に乗っている時の感覚に近くて、これがなかなか気持ちが良いんです。思いもよらない副産物を手に入れました。

 

いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介させていただいた車体ですが、長く乗られていた個体ということもあり、全体的なメンテナンスのタイミングに差し掛かっておりました。オーナー様も思い入れのある車体のようで、今後も長く付き合える一台に出来るようにとのご要望をいただいておりましたので、せっかくならイメージチェンジも兼ねて、今回のカスタムをご提案させていただき実現に至りました。
新車だった時の状態に近づける一般的な修理というのもありですが、趣向を変えて、ちょっと面白い仕様にカスタムしてみたり、新車を買うつもりで自分仕様に使いやすくしていくという楽しみ方は、新車の購入だったり一般的な修理とはまた違ったワクワク感があって個人的には好きだったりします。
ご自宅で眠いっているその自転車、ダメージが増えてきていて、そろそろ買い替えを検討し始めている自転車。こういった自転車の第二の楽しみ方としてカスタムをしてみるというのはいかがでしょうか?少し興味が出てきたなということでしたら、気兼ねなく当店までご相談いただけると幸いです。