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試乗会で最も感動した車体は意外にも超メジャーブランド。ドイツの開発チームに今後の方針も聞いてみました!
by: 高橋

 11月16日に開催された「スポーツバイクデモ」に先立ち、前日には「ワイズロードスタッフ試乗会」が行われました。試乗会集合写真

毎度毎度「時間が足りない!」「あのブランド・モデルも気になってたのに乗れなかった。」となるほど、魅力的なイベントです。

今回は計10台のバイクに試乗することが出来ましたが、そんな中一番感動を覚えた車体はMERIDA REACTO Team。エアロロードながら漕ぎ出しからスムーズなうえに無限に加速していけるようなスピードの伸びを見せてくれ、「ビッグメーカーの本気」を垣間見ました。
しかし同時に「弱点」にも気が付きました。安易に選んでは失敗する可能性も秘めていると感じたのも事実です。

そんなMERIDAのロードバイクREACTOとSCLUTURAをご紹介!
加えてMERIDAの企画・開発チームであるドイツのR&D センターの責任者ベンジャミン・ディーマー氏に「MERIDAのロードバイクの今後について」話を聞いてきましたので、公開可能な範囲で少しお話ししていきたいと思います。

 

Made in Taiwanという負のイメージを払拭することから始まった

どのメーカーの話をしていてもよく訊かれるのが「作っているのはどこ?」という質問です。
「台湾製です。」と返すと渋い反応をされますが、今や自転車フレーム製造の大部分を担っているのは台湾です。自社でフレームを制作しているのはごく一部。フラッグシップモデルだけ。というメーカーも少なくありません。

創設者であるアイク・ツェンさんもその問題を認識しており、その状況を変えたいという思いから、1972年にメリダインダストリーを設立しました。当初はオートバイ「ミニバイク」を生産しており、その後もアメリカ市場向けにBMXバイクなども展開しつつ、外部から製造委託を受けるOEM生産をしてきました。

そして1988年。ブランドとしてのメリダを立ち上げ、状況が一変します。

蓄積された量産ノウハウ、コンピュータ制御の生産プロセスの導入によりメリダは世界のトップブランドに駆け上がり、メリダは台湾証券取引所に上場した最初の上場自転車メーカーとなりました。

 

GERMAN ENGINEERING AND DESIGN

メリダの特徴は全ての生産工程が自社で行われていることにあります。台湾の員林に本社を置き、生産も行っています。
さらにはドイツのシュトゥットガルト郊外のマクシュタットという地域に企画・開発拠点MERIDA R&Dセンターを持ち、熱狂的な16人のサイクリストが日夜研究開発・テストを行っています。

 

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「多くのライダーからのフィードバックも受けるが、開発の最終的にははあくまでも自分たちのフィーリング。自分たちが良いと思った方向にバイクはチューニングしていく。」
世界選手権での優勝経験を誇る精鋭揃いだからこその自信に満ち満ちた姿勢でベンジャミン・ハーマー氏は語ってくれました。

緯度の関係からドイツでデザインされたデータが台湾に届くころには工場が始動する時間となり、非常に早いレスポンスで製品の開発を進めていくことが可能となり、成長速度のさらなる加速を促す要因ともなっています。

 

Made in Taiwanの負のイメージという大きな壁を乗り越え、今や世界シェア率No.2まで上り詰めたビッグメーカーMERIDA。
認められたのは他でもなくバイクの性能が世界に認められたからです。

 

前置きが長くなりましたが、MERIDAの集大成REACTOとSCULTURAに乗って感じたことを書き綴っていこうと思います!

 

MERIDA REACTO TEAM

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バーレーン・ヴィクトリアスの使用する旗艦モデル。

フレームはCF5グレードとなり、CF3に比べ軽量かつ高剛性となっています。それにともなって価格もビッグになりますが。

 

ド迫力のVision Metron SL60を搭載

 

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コンポーネントはもちろんDURA-ACE。さらにパワーメーターも標準装備です。

 

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ハンドルはMERIDAのTEAM SLでしたが、現行モデルではMetron 5Dに変更となっています。

 

インプレッション

エアロロードらしからぬ出だしの軽さに驚く

往々にしてエアロロードは低速域ではどうにもモッサリとした鈍重な印象を受けてしまい、その点はクライミングバイクの主戦場といった傾向にあります。

しかしリアクトには一切その感覚がなかったことに驚きました。
60mmものディープリムホイールを履いているとは思えないほどの加速に度肝を抜かれました。

 

無限に加速していくが如く伸びも凄まじい

海外のメディアで公表された空洞実験テストの結果によると45km/hでの測定値は209w。2023年にモデルチェンジしたGIANTのPROPEL ADVANCED SLと同等の空力性能を誇り、エアロロードの最前線にいることが分かります。

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60mmハイトのホイールの影響もあってか、思いのままに伸びていくスピードは会場のテストコースでは持て余すほど。
上が見えない無限に加速できるような印象を受けました。

 

高剛性だが乗り心地はマイルド

フルパワーで踏んでも意のままに加速する剛性は持ち合わせており、剛性が高い事は間違いありません。

しかし、路面からの衝撃は全く不快に感じず、むしろマイルドな印象。

事前に空気圧は5barにセット。乗り心地がやや硬くなると言われるGP5000を装備し、クリンチャーにも関わらずです。

硬いだけのフレームは路面のギャップをもろに拾ってしまい、後半には身体は既に疲弊しきっていることもありますが、このバイクにおいてそれは無いと言い切れるほど。終盤のスプリントにもしっかりと体力を温存できる快適性も持ち合わせていました。

 

唯一のデメリットは無理をすると跳ね返されるピーキーさ

 1周目はケイデンス85~95程度で走行。コーナー侵入時も十分にギアを落とし、コーナー立ち上がりでも無理にトルクを掛けずに加速できるようにしました。この時に感じたのは低速からの加速でも意のままに進んでいく面白さ。そこからケイデンスを落とすことなく徐々に加速していくと、無限に加速していくかのような速度の伸びを感じました。

3週目。あえてコーナー侵入時にギアは落とさずそのまま、コーナー立ち上がりと同時に力任せに踏んだ瞬間にこのバイクの剛性に跳ね返され、思うようにパワーが推進力に変換されていないような感覚を味わいました。ストレートでも一気にギアを4速ほど上げて65~75rpmでパワーでゴリ押ししようとしても同じ結果でした。

もっとパワー系のライダーであればまた感じ方は変わるのかもしれませんが、高回転で坦々と走るスタイルの私の足では最低でも80rpm以上でないとこのバイクを扱いきれないと感じ、逆にその回転数を常時保つことが出来れば、非常に強力な武器となる最高のバイクだとも感じました。

 

そしてそんなじゃじゃ馬の如きREACTOと対をなすような存在のSCULTURAにも試乗したので、REACTOの感覚をベースにSCULTURAの方もインプレしていきます。

 

 

MERIDA SCULTURA TEAM

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同じくフラッグシップモデル。

CF5グレードのフレームにDURA-ACE、TEAM SLハンドル、ホイールはオールランドに扱いやすい45mmハイトが装備されています。

 

今回の試乗ではフラットなコース1つだったため、REACTOとの相対評価が多くなります。
比較的REACTOに有利な条件でしたので、その辺りはご理解ください。

 

REACTOよりも1枚上手な加速性能

クライミングバイクは往々にして低速域での加速で真価を発揮します。
SCULTURAも例に漏れず、拍子抜けするほど軽い力で推進力が生まれます。フラットなコースでREACTOと比較的した場合の初速の差は紙一重でSCULTURAが優勢といった印象。
登りであればまた差は大きくなっていくと思いますが、それを試す術は今回ありませんでした。

 

とても寛容な優しい性格

無茶なペダリングをすると跳ね返されたREACTOとは対象に、SCULTURAでは乗り手の無茶に対して柔軟に対応してくれる印象を受けました。
前記のREACTOのテストライド同様、ギアを上げて低ケイデンスで力任せにペダリングをしたときに、地面の凹凸をしっかりといなしつつ俊敏に加速してくれました。

そして目標とする速度、回転数にすぐに到達するため、体制もすぐに安定し、次の動作への影響も少なくなります。

ストイックな状況に限らず普段のライドでも、ゆったりと走る場合にはケイデンスを気にせずとも走ってくれるSCULTURAの方が向いていると感じました。

 

差別化された性能

こればかりはもはや宿命とでも言うべき部分にはなりますが、どうしても速度の上昇とともに性能の差は顕著になっていきます。
30km/hを超えたらどんなに鈍感な人でも差を感じるのではないかと思うほど、しっかりと差別化されています。

 

REACTO vs SCULTURA

もちろん使い方によってどちらが有利かは変わってきますが、私はREACTOを選びます。

加速性能、巡行性能、快適性のどれをとっても超ハイレベル。
唯一の弱点ともした低ケイデンス時の跳ね返される感覚も、そもそも普段から回転数を意識して走っている私にとってはあまり縁のないシチュエーションです。

逆にゆるく走りたい方や、ロングライドやヒルクライムに使いたいという方、これからスポーツサイクルを始めるという方にはSCULTURAがおすすめです。

何とな~くペダリングしていても進んでくれ、疲労でフォームやペダリングが乱れたときでも、優しく受け止めてくれることが期待できるためです。
また、低速でも爆発的な加速が可能なため、ヒルクライムレースには最適です。

 

今後の方針をドイツの開発チームに聞いてみた

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MERIDAの開発・企画チームR&Dセンターの方々が来日されるとのことで、伊豆のMERIDA X BASEへ。

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REACTOとSCULTURAの今後について質問してみました。(下記Q&Aは他の来場者の方のものも含みます)

 

Q,「モデルチェンジの予定はあるのでしょうか?また、開発エピソードの中で『バイクのデザイン、もっと言うとシルエットも重要視している。それは一目見ただけでMERIDAとわかるだけでなく、走りにも影響するから。』という説明がありましたが、競争が激化する現代で”デザイン”の介入する余地はあるのでしょうか?」

A,「もちろん、常に進化させようと研究開発は進めています。ただ、レギュレーションや安全性、そしてMERIDAらしさを両立させるのは容易なことではありません。
今のREACTOは十分完成された形と言えます。手を加えようにもUCI規定があるからなかなか難しいんです。現状、モデルチェンジの目処は立っていません。」

 

Q,「現在ではクライミングとエアロを両立させた”オールラウンダー”を吉とするメーカーと、シチュエーションごとに性能を特化させるべきとして”クライミングバイク”と”エアロバイク”をキッパリ分けるメーカーの2つに別れている時代だと感じます。MERIDA的にはどっちですか?」

A,「我々は”オールラウンダー”が持て囃されている現状に疑問を抱いています。やはり適材適所があって然るべきだと。そのためREACTOとSCULTURA、どちらも残す予定です。
現行モデルのREACTOとSCULTURAも、コースやゴールの場所によって使い分ける選手もいますが、『8%の勾配までならREACTOの方が有利』とするデータもあります。
次のモデルを作るとしたらもっと差別化してREACTOはよりエアロに、SCULTURAはより軽量にしていきたいと考えています。」

 

 

速度の上昇とともに空気抵抗は指数関数的に大きくなり、空力性能が優位なバイクに軍配が上がります。逆に低速では空力性能よりも軽量なバイクの方に軍配が上がります。

「『8%の勾配までならREACTOの方が有利』にできるほどのライダーが果たして日本に何人居るのだろうか?」

そんな疑問も抱きつつではありましたが、「軽さは正義」と同じように「空力」も優れていて悪いことは何一つない要素の1つであることは紛れもない事実です。

今後のMERIDAのバイクにも期待が高まりますが、逆に言えば今のREACTOはまだオールラウンダーとしても使えると言い換えてもいいのかな?と感じました。

実際に走りはトップクラスに良く、振動吸収性にも優れていたので文句なしの1台です。

 

 

MERIDAのロードバイクの事であれば高橋宛にぜひご来店くださいませ!

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