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【インプレ】IRCから発売されたフックレス対応のクリンチャータイヤを試してみた!!『ASPITE PRO』
by: 実方貴広

ディスクロードが主流になった昨今においてもう一つ主流となりつつあるのがチューブレスホイール。最大のメリットは転がり抵抗の少なさと振動吸収性の高さですが、それでもパンク時のメンテナンス性と信頼性の高さからチューブレス対応のホイールをご使用中の方でもあえてクリンチャータイヤを選ばれる事が少なくないのが実状です。しかし、私がメインで使用しているホイールZIPP『303FIRECREST』はチューブレス専用設計のフックレスリムを採用している為、クリンチャータイヤは基本的に使用不可なのです(涙)。今回IRCから満を持してフックレスリムに対応したクリンチャータイヤが発売されましたので、これは試さないわけにはいきません。フックレスリムは一般的なチューブレスと比較して更に振動吸収性に優れた設計となっておりますので、クリンチャータイヤでどこまでチューブレスに迫れるか期待は膨らみます。

 

IRC『ASPITE PRO S-LIGHT』¥7,480-(税込)

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初代の発売から8年越しに刷新された2代目ASPITE PROは、キナンサイクリングチームを始めとするプロチームへの供給・フィードバックとデータ解析によって開発段階で一度は完成させた金型を作り直しています。金型を作り直すという事はもの凄くコストがかかる話ですが、その拘りと情熱により最高のクリンチャータイヤと言わしめる一本に昇華させました。まさに『従来のクリンチャータイヤを凌駕!チューブレスに迫る強さとグリップを備えた軽量クリンチャータイヤ』という謳い文句に恥じない重量200g(25C)の軽量レーシングタイヤ。今回導入したのは28Cですが、それでも220gと超軽量です。ちなみに、S-LIGHTという名前ですが耐パンクベルトを抜いた軽量モデルではなくセンターに耐パンクベルトが入った、他社で言うところの標準モデルになります(それでもこの軽さは驚きです)。なので、IRCでは標準モデルがサイドまで耐パンクベルトが入った他社で言うところの高耐久モデルになります。
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そして、このタイヤに合わせるチューブも気合を入れて軽量かつ高性能なPANARACERの『R-AIR』をチョイス!!これで合わせた重量も標準的なチューブレスタイヤとほぼ同等になりました。

 

そもそもフックレスって?

フックレス

画像の通りタイヤのビードを引っ掛ける返し(フック)が無いリム形状を指します。フックレスになる事でリムの軽量化が図れるだけでなく、エアボリュームが増える事で低い空気圧でもタイヤの変形を抑えられる為、結果的に転がり抵抗の減少と振動吸収性の向上が図れます。

 

なぜクリンチャータイヤは使えないの?

フックレスリムは基本的にチューブレス専用となりクリンチャータイヤは保証対象外となりますが、これはホイールメーカーが決めているのではなく『ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation)規格』に準拠した話になります。そもそも各ホイールメーカー・タイヤメーカーはこのETRTOが定めた規格に準拠して製品を作っており、700×25Cなどの表記はETRTO規格でのサイズ表記になります。当然フックレスについてもETRTO規格で定められており、フックレスの構造上空気圧を上げ過ぎるとタイヤが外れてしまう危険性がある為、上限が5気圧までと定められています。『え?そんなに低くて大丈夫なの?』と思われた方も多いと思いますがご安心を。80kgオーバーの私でも全く問題なく乗れております。

 

ASPITE PRO S-LIGHTを導入してみた

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画像の通りフックレス形状によるエアボリュームの増大はクリンチャータイヤでも効果がありそうです。これなら乗り心地の良さにも期待が持てるかもと思ったのもつかの間、ここで問題が発生!!
ホイール側は規格の制限でMAX5気圧までなのに対して、タイヤの最小気圧は5.5気圧だったのです、、、。そもそも成立してないじゃん!?て嘆きたくなりますが、もともとチューブレス専用に設計されたホイールですから仕方ありません。それでもダメもとでZIPPの代理店に相談してみると『様々なチューブレスタイヤでテストした結果、一番相性が悪いタイヤでも10気圧以上は耐えられました。が、あくまでもチューブレス用ホイールなのでクリンチャータイヤでの使用は推奨しません』との事。5気圧以上で使用してリムが割れたりタイヤが外れたりしたら大事でしたが、テスト結果を聞いて少しだけホッとしました。
それでもあくまで自己責任でテストしなければなりませんが、
ひとまず第一関門はクリアです(汗)。

 

新型ASPITE PRO S-LIGHTの性能や如何に

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気を取り直して実走してみると、走り出してすぐにグリップの良さに感動しました。これまで使用していたタイヤが1年半位経過していたので当然と言えば当然かもしれませんが、コーナーでのグリップの良さはもちろん、急制動でも明らかに 路面に食いつきます。そして、転がりは素晴らしいの一言で路面抵抗の少なさはかなりチューブレスタイヤに肉薄しているかと!!流石に乗り心地についてはフックレスのチューブレスには敵いませんでしたが、それでもクリンチャータイヤと一般的なチューブレスタイヤだったら中間よりややチューブレス寄りの乗り心地に感じました。『180TPIの極細ケーシングと診断面構造により、しなやかな乗り心地と高い路面追従性を実現』という謳い文句にも納得です!!まぁ、チューブの恩恵も少なからずあると思いますが(汗)、ASPITE PROシリーズの性能は海外メーカーのハイエンドモデルにも全く引けを取りませんし、むしろ同価格帯のタイヤと比較した場合は確実に頭一つ抜けていると思います。
『ちょうどフックレスのホイールを使っててクリンチャータイヤにしたかったんだよぉ』という方は少ないかもしれませんが(汗)、コスト高や円安の影響でタイヤは値上がりする一方ですので、新たなタイヤをお探しの方には吉報となる高性能タイヤのご紹介となりましたよ(握り拳)

 

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