01 / WHAT’S NEW
目次
まず、何が新しいの?
デュラエースのホイールがフルモデルチェンジするのは、2021年の WH-R9270 以来、実に5年ぶり。しかも今回は、リムもハブもスポークも、ぜんぶ作り直されています。
とはいえ、細かい話を並べても仕方ないので、先に結論だけ。変わったのは大きく3つです。
−220gとにかく軽くなった
前モデル比で最大220g減。C36は1,350g→1,170g、C60は1,609g→1,389g。深いリムなのに、前作のC50より軽い計算です。
28-30C太いタイヤ前提になった
リム内幅が21mm→23mmに拡大。いまのレースの主流、28〜30Cのタイヤでベストになるように形から作り直しました。
ハブが「直せる」ようになった
シマノ伝統のカップ&コーンを続けつつ、摩耗する玉受け(カップ)が交換可能に。長く乗る前提の設計です。
02 / CARBON SPOKE
いちばんの目玉は、シマノ初のカーボンスポーク
シマノはこれまで、ずっと金属スポークにこだわってきたメーカーです。それが今回、ついにカーボンスポークに踏み切りました。軽量化のほとんどは、ここで稼いでいます。
スポークは形が2種類あって、用途で使い分けています。
・エアロ(4.0mm × 1.1mm) ── 軽さと空力のバランス型。ロード3モデル(C36/C50/C60)に採用。
・スーパーエアロ(5.2mm × 0.8mm) ── 薄くて幅広の、いわゆる「きしめん型」。空力特化で、C99(TT・トライアスロン用)だけに採用。
本数もモデルごとに最適化されていて、C36が前18本/後21本、C50が前21本/後21本、C60が前21本/後24本。登り向けは本数を減らして軽く、スプリント向けは後ろを増やして踏んでも逃げないように、という振り分けです。カーボンスポークのリーディングカンパニーである VONOA 社との協業で、デュラエース専用設計のものが作られています。
WH-R9370-C50-TL。今回入荷したのはこのモデルです。前593g/後709g、前後で1,302g。
正直に書いておきます。カーボンスポークは、出先で1本折れても、町の自転車屋さんでサクッと直せる代物ではありません。部品はメーカー取り寄せになります。ただ、カーボンスポークのホイールが出てからもう何年も経ちますが、「普通に乗っていて折れた」という話はほとんど聞きません。壊れるかどうかより、折れたときに部品が出てくるかのほうが大事だと思っています。そこはシマノなので比較的安心。
03 / RIM & AERO
リムは、前と後ろで形が違います
新型はリム内幅が23mmに広がって、28〜30Cのタイヤを履いたときにいちばん良い形になるよう、ゼロから作り直されました。しかも、フロントとリアでリムの形(外幅)を変えています。
理由はシンプルで、前輪と後輪では当たる風がまったく違うから。前輪は真正面から風を受けますが、後輪はライダーやフレームが作った乱れた空気の中を走っています。だから最適な形も違うよね、という話。シマノは膨大な回数のシミュレーションと実走テストで、その答えを出してきました。
空力の数字は、30Cタイヤを履いて時速48kmで走った条件で、前モデルより最大2.7Wの空気抵抗減。数字だけ見ると地味ですが、太いタイヤはそもそも空力で不利なので、「太くしたうえで前作より速い」というのがポイントです。

軽量クライマーモデルのC36(36mm)。1,170gというのは、ディスクブレーキのカーボンホイールとしてはかなり異次元です。
04 / HUB
地味にいちばんすごいのが、ハブです
派手なのはカーボンスポークですが、個人的に「これは上手いな」と思ったのはハブのほうです。シマノは今回も、あえてのカップ&コーンを続けてきました。
カップ&コーンは、玉当たり(ベアリングの締め具合)を自分で調整できる方式。スルーアクスルで締め付けた状態でちょうど良くなるように設計できるのが強みで、シマノの試験では、実走に近い荷重条件(垂直500N/駆動方向200N/アクスル締付5000N)で、一般的なカートリッジベアリング比で回転トルクが30%低いという結果が出ています。
そして今回いちばん大きいのが、玉受け(カップ)が交換できるようになったこと。これまでは玉と玉押しは交換できましたが、玉受けはハブと一体でした。長く乗ると玉受けに傷が入って回転がゴリゴリしてくる、というのがカップ&コーンの弱点だったので、ここが直せるようになったのは大きいです。
40万円超のホイールです。3年後、5年後も部品が取れて、直して乗れるかどうか。買うときは見えないけど、いちばん効いてくる部分だと思っています。ほかにも、ハブボディがスリムになって空力的になり、ノンドライブ側はスポークが抜けにくいラビリンス構造になっています。
05 / SPECS
スペックと価格をまとめておきます
| モデル | リムハイト | 重量 | 外幅(前/後) | スポーク(前/後) | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| C36-TL | 36mm | 1,170g | 29.4 / 29.4mm | 18 / 21 | 431,713円 |
| C50-TL(今回入荷) | 50mm | 1,302g | 31.0 / 32.0mm | 21 / 21 | 431,713円 |
| C60-TL | 60mm | 1,389g | 31.5 / 32.3mm | 21 / 24 | 431,713円 |
| C99-TL(前のみ) | 99mm | 792g | 35.2mm | 16 | 276,396円 |
| D-TL(リアディスク) | ディスク | 987g | — | — | 526,216円 |
共通仕様は、リム内幅23mm、チューブレスレッスン対応、センターロック、12mm E-THRU、700c、そしてフリーボディはHGL2(マイクロスプライン)のロード12速専用。11速以前のコンポーネントとは組み合わせられないので、そこだけ注意してください。
前後セットの定価は431,713円(フロント198,847円/リア232,866円)。C99とリアディスクはTT・トライアスロン用の専用構成で、C50などのロードモデルとは別物の位置づけです。
当店に入荷したのは、このラインアップのうちC50-TL。ほかのモデルはメーカー出荷待ちで、C36とC60は11月以降の入荷予定です。
06 / WHY C50
入荷したのがC50で、よかった。売れちゃいました。次回入荷予定年内?予約承り中
今回当店に入ったのは、シリーズのなかでもいちばん人気のC50です。
開発に協力したアルペシン・プレミアテックの男子チームでは、8割以上がC50を選択。平坦やスプリントの日はC60、きつい山岳コースは最軽量のC36、という使い分けだったそうで、つまりC50は「1本しか持てないなら、これ」という立ち位置のモデルです。
50mmハイトで1,302g。日本の一般道を走って、レースにも出て、たまに山にも行く。その全部を1セットでこなしたい人に、いちばん向いています。
今回入ったのがC50でよかった、というのもC36だと「登り専用かな」と迷わせてしまうし、C60だと平坦番長かな。迷わせない1セットってのもありがたいです。











