【春の自由研究】チェーンのグレードとサビの関係
by: 関

みなさんこんにちは。Y’s Road松山店　関です。

 

 

 

今回は自由研究に最適な「実験」をしてみましたのでご覧下さい～

 

 

 

 

 

今回のテーマは、

 

「チェーンのグレードごとのコーティングの種類と、錆の関係」

 

 

 

 

 

自転車屋さんをやっていると、よくサビで真っ赤になったチェーンと遭遇します。

 

 

しかし、どうやら3カ月でダメになってしまうものと、1年放置しても軽微なものがあるようです。

 

もちろん、使い方や、メンテナンス、保管場所などによって大きく変わるはずですが、それ以外にももっとわかりやすいチェーンのグレードも関係しているはず！

 

 

 

今回はそこんところを深く調べてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

今回の被験者たちとそのコーティングを紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

KMC　X11

窒化チタンコーティング

 

 

 

 

シマノ　HG901（デュラエース）

SIL-TECコーティング

SIL-TECは独自のフッ素加工で、低負荷、泥はけ、耐久性に優れます。

 

 

 

シマノのチェーンには主にSIL-TEC・グレー・ブラウンの3種類のいずれかのコーティングがされています。

詳しい素材や処理は明記されていませんが、SIL-TEC＞グレー＞ブラウンの順で良いとされています。

 

 

 

 

 

HG71

8速チェーンの「良い方」のグレード

表面処理は「グレー」と呼ばれるもの。

このグレーはミドルグレードのチェーンによく見られます。

 

 

 

 

 

HG53

8・9・10速チェーンの「安い方」のグレード

表面処理はアウターリンクが「グレー」、インナーリンクが「ブラウン」

 

名前通りインナーリンクが茶色いチェーンで、シマノでは最も安い種類です。

完成車の初期装備にもよく使われます。

 

 

 

 

 

 

 

まずはこの4種類で実験スタート！

 

 

 

 

 

 

 

錆の症状をより顕著に見たいのでまずは完全脱脂します。

パーツクリーナーにどぶ漬け。

油切れはチェーンに最も過酷な環境です。

 

 

 

 

 

 

脱脂したものを水道水で半身浴させます。

 

 

 

 

 

そのまま３日経過、、、

 

 

 

 

 

いい出汁が出てきました。

 

 

 

 

 

 

ここで途中経過

 

 

 

上から

X11

HG901

HG71

HG53

 

 

 

 

 

どれもピンの部分に赤さびが見られますが、HG53以外は拭き取ると落ちます。

HG53は黒く変色し始めました。

 

 

まだどれも動きはスムーズです。

 

 

 

 

 

 

ここで被験者を追加。

脱脂していないチェーンを追加します。

錆びるでしょうか？

 

 

 

 

 

さらに容器を変えて追加で１週間、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果がコチラ！！

 

 

 

 

いずれもペーパーで表面の汚れを拭った状態。

 

 

 

 

詳しく見てみましょう

 

 

 

 

 

 

KMC　X11

ピンの部分が若干錆びているように見えますが、拭えば落ちます。

アウター/インナー共に変化なく、動きもスムーズです。

 

さすがチタンコーティング！

 

 

 

 

 

HG901

ピンの部分に軽度のサビが出ましたが注油すれば落ちるでしょう。

プレートの表面は汚れのみでサビは全く見られません。

動きもスムーズです。

 

 

 

 

 

HG71

ピン付近やプレートも一部錆び始めています。

インナーリンクは黒く変色しています。

若干動きが悪く、ぎこちないです。

 

 

 

 

 

HG53

インナー・アウター共に表面に錆が出ています。

よく見る真っ赤なサビサビチェーンになりかけています。

動きは悪く、実際には交換でしょう。

 

 

 

 

 

オイル付きのままのチェーン

汚れは見られますがピンにすらサビは見られません。

もちろん動きもスムーズ。

 

 

 

 

 

 

 

実験は今も継続中ですが、チェーンごとに差が出てきたのでここでいったん結果を出したいと思います。

 

 

 

2021/12/24追記

実験を開始してから約１０か月が経ちました。

前回の観察以来チェーンは乾いたまま放置しています。

どうなったのでしょうか？

 

 

 

無事なチェーンと錆びているチェーンの差がより大きくなったように感じます。

 

 

 

KMC　X11

キシキシ音がするもののサビや固着はなく注油すれば使えそうな感じです。

 

 

HG901

 こちらも使おうとすれば使えるレベル。

しかし、縁にサビが出ていて一か所動きが悪いリンクも

 

 

HG71

インナーリンクのサビがひどく、動きが悪い。

使用は困難

 

 

HG53

全体的にまっ茶色で固まっている。

使用は不可能

 

 

オイル入りのチェーン

表面の変色は見られるもののキシキシ音はなく動きはスムーズ

 

 

 

 

 

わかったこと

 

 

 

・KMCのX11など窒化チタンコーティングが最強

 

・シマノのSIL-TECもサビに強いが長期間のオイル切れで錆びる

 

・「グレー」のチェーンはある程度サビに強いがオイル無しでの長期間放置は厳禁

 

・安価な「グレー×ブラウン」チェーンはオイル無しではすぐに錆びやすい

 

・シマノチェーンはグレードで顕著に差が出る

 

・適切な注油をすれば悪条件でもチェーンは錆びにくい

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

シマノチェーンの場合

・グレードに応じて錆びやすさが変わる。

 

・高性能を求める方はもちろん、メンテナンスが不安な方ほど上のグレードのチェーンを選びましょう。

 

・どのグレードのチェーンでも注油していれば錆びない

・逆に良いチェーンでも注油しなければ少しづつ錆びる

＊注油しないとサビ以前にすり減って伸びてしまいます！

 

・チェーン交換の際は低負荷・高耐久のSIL-TEC処理チェーンを選びましょう。

アルテグラグレードのHG701以上がフルSIL-TECです！

 

 

 

どんなチェーンでも、 とにかくオイルを切らさないことが重要！！

オイルの切れた高級チェーンより注油した廉価チェーンの方が高性能！

 

 

 

 

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