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【からだを学ぶ】足(足部)が痛い!シューズのせい?足のせい?解決の糸口を紹介します!
by: 高橋

 

1足痛い

今回は足部(くるぶしから下)についてです。

「ビンディングペダル&シューズ」でも「フラットペダル&シューズ」でも足が痛くなる方は参考にして下さい。

 

1.足の形状/アーチの基礎知識

足の形状

以前の取材雑誌から画像を添付して説明します。

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(サイクルスポーツ2021 3月号より)

左から

「エジプト型」:親指から小指にかけて短くなる順に並んでいるタイプです。日本人の約70%が該当するといわれています。シューズはオブリークトゥとラウンドトゥが相性が良くなっています。

「ギリシャ型」:人差し指が一番長い形状で日本人の4人に1人該当すると言われています。シューズはラウンドトゥが相性良くなっています。

「スクエア型」:日本人では少ない前指が並んでいる形状です。シューズはスクエアトゥ、もしくはラウンドトゥが相性良くなっています。

 

 

足長/足囲/高さ/足幅

3足部裏9_t

「足長」:↑右側画像の黄緑の線です、立った状態でかかとからつま先までの長さです(かかとと人差し指をまっすぐにして、一番長い指まで測ります)

「足囲」:↑左側画像の黄色枠のところです。親指と小指の付け根(母指球と小指球)の出っ張りの周囲を測ります。

「足高」:↑右画像の赤い線のところです。足囲とかかわるところでもあります。地面から甲の高さです。

「足幅」:足囲のかわりに用いられることもあります。甲の高さが加味されないので精度にかけますが、測定が簡単なので、計測器では幅を採用しているブランドが多いように思います。

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アーチ:効率よく支え、動作をスムーズに行うためにアーチが必要です。

5内アーチt

↑内アーチ:これが落ちてくると偏平足です。稀に筋肉が付きすぎで偏平足に見える方もいますが骨の位置が適正なら偏平足ではありません。加齢などにより筋力が落ちるとアーチを作り出す骨が下がり、偏平足になります。

6外アーチt

↑外アーチ:外側も若干ですがアーチを形成しています。

 

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↑横アーチ:横にもアーチがあります。

 

2.シューズについての基礎知識

8シューズバラ

(画像シマノHPより)

アウターソール

一番地面に近い部分。上位モデルほどカーボンなどを使用し軽く固くなっています。

ミッドソール

アウトソールとインソールをつなぎ、クッション性やアーチサポートなど足への負担を減らすように考えています。また、より軽量を目指して薄かったりアウターソールと一体化しているものもあるので、総じて「ソール」と理解して頂いても良いと思います。

 

ヒール(カップ)

シューズのかかと部分。足部の安定性と引き上げ時に大きく働く部位なので、各社様々な形状や熱成型でフィット感を上げるなど工夫を凝らしています。

 

インソール

シューズ内に入れ、様々な微調整が出来るモデルもあります。自転車用は前方部分が薄くできているモデルが多いです。アーチサポートのついたインソールなどもあります。

 

アッパー

シューズの上部全般の名称。合皮や牛革やカンガルー革など様々な素材があり、縫製なども各ブランド考えて作っています。

 

紐/ベロクロ/バックル/ダイヤル

さまざまな固定方法があるが、最近はダイヤルタイプが多くラインナップされるようになってきました。

 

 

 

3.ペダルについての基礎知識

フラットペダル

普通の靴で使えるペダルです。

 

 

ビンディングペダル

ペダルと専用シューズがはまり一体化することでペダリングがスムーズに行えます。
踏力が伝わりやすくなり、正しいペダリングをするほどに楽に速く走れるようになります。

歩けるシューズが使えるSPDタイプ(2つ穴)には、両面固定できるタイプ

 

 

片側固定し、片側フラットペダルのタイプがあります。

 

SPDペダルの特徴は「歩けるシューズを選択できる」ことが最大の特徴だと思います。

 

 

 

ロード用のビンディングペダルは3つ穴と4つ穴があり、シマノなど多くのシューズブランドは3つ穴に対応させています。

 

SPD-SL(シマノのロード規格)の特徴は、軽くて踏む面積が大きいので力が伝わりやすいことです。

 

 

 

4.足の形状による痛み

アーチ:疲労によるアーチ/偏平足部分の痛み

疲労が溜まるとだんだんアーチが下がってきます。
結果、シューズのアーチと合わず圧迫が強くなり、痛みにつながります。

インソールでアーチの高さ/固さがいくつか出ているので交換することで改善することもあります。
アーチはサスペンションのようなものと考え、「アーチが落ちなければ踏む力が伝わりやすい」と考えてがっつりアーチサポートされてるシューズもあり、痛みが出ることもあります。
インソールによるアーチサポートの高さと固さは、非常に難しいのでいろいろ試すしかないです。

 

 

外反母趾:親指が人差し指側にまがり、親指の付け根がシューズに当たり痛みがでます。

9外反母趾

↓青線の範囲0-15°までが正常で、曲がることに重症度が上がり治しにくく痛みも出やすくなります。

10外反母趾骨

根本的な対策は普段の靴から気を付けて外反母趾にならないようにするしかありません。
すでになってしまって、母指球周辺に接触痛がある場合は 「接触の少ないシューズを選ぶ」「サポートを入れて接触しないようにする」です。
接触の少ないシューズで、お勧めがあります!

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LAKE シューズの「CX241」

足前部のダイヤルと縫製が分かれていて、解放しやすくなっています!

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左右の大きさが違う方

基本的にはシューズは左右セットですがシューズブランドによっては左右サイズ違いをオーダーできます。
↑のLAKEの238/332/302モデルは、アップチャージしてオーダーすれば左右違うサイズが購入可能です!

LAKEを一例として出しましたが、こういった観点からもシューズを選んで頂けたら良いかと思います。

 

 

5.シューズによる痛み

ヒール

かかとの形状が合わず擦れることで痛みが出ることがあります。
サイズが合わずヒール部に遊びができることで擦れる場合もあります。
足首の角度によりヒールが擦れたり当たってしまう場合もあります。

 

縫製/アッパー

同じブランドでも縫製が違うことも多くあります。「縫い目が当たって痛い」というやつです。
最近はシームレス(縫い目がない)ものなど各社工夫を凝らしています。

意外に痛みが出やすいのがつま先です。特に「親指の高さ」です。
親指の高さとアッパーの高さが合わないと圧迫されて痛みがでます。

 

インソール/ミッドソール

ミッドソール自体のアーチが全く合わないと、インソールによる修正もできません。
アーチサポートがないとアーチがつぶれやすく痛みも出やすく、サポートが高過ぎるとアーチを作る骨も圧迫されて痛みがでたりします。

足型は様々なので、幅が合わず母指球や小指球が圧迫されて痛みが出たり、足先に形状(エジプト型=オブリークトゥとか)が合わずに痛みが出たりします。

 

 

ランニングシューズ

ランニングシューズは、自転車用と比べてソールが柔らかく、しなり過ぎることで足裏に痛みが出やすいです。

自転車用シューズは「しならずに踏力を伝える」のでソールが固めです。
フラットペダル使用の方も自転車に乗るときはランニングシューズよりもトレッキングシューズなどソールが固いシューズがお勧めです。

トライアスリートで、短い距離だからとランニングシューズでバイクパートをこなすと思った以上に足裏にダメージを負うことがあるので注意してください。

 

 

6.ペダル・クリートによる痛み

ロード用SPD-SL系(3つ穴/4つ穴)と、街乗り/MTB/カジュアルに使えるSPD系(2つ穴)

13SPDSL面積比較

足裏との設置面積が大きく違います。
接点が小さいSPDの方が安定性も低いため足首周辺の筋肉などに負担がかかり痛みが出ることもあります。
力も一点に集中するので、ポイントで痛くなることもあります。
母指球には小さな骨(種子骨)があるのでそこでの圧迫により痛みが出ることもあります。
クリートの位置を変えるなどの工夫をし続ける必要があります。

安定感が高いロード用のSPD-SLペダルがおススメですが、歩くには向いていないので考慮する必要があります。

 

内反/外反による痛み(足の外側・小指側が痛くなる)

基本的にビンディングペダルとシューズは水平に平行に作られています。
ですが人の足は浮かすと親指側が上がり、小指側が下がります(前足部内反)。

14カント説明

この角度が大きい人は、踏力が小指側に多くかかることで痛みが出ます。
母指球側が浮くような状態になるため、そこにスペーサー(ウェッジ)を入れる(カント調整)と改善することがあります。

インソールに入れて足先のカント調整を行うもの↓

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外側(左側)が薄く、内側が厚くなっています。

 

 

シューズとクリート間に入れて足部のカント調整を行うもの↓

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7.正しいシューズの履き方/選び方

①足長ピッタリのサイズから試します。ピッタリのものからだんだんと大きくしていきます。
左右の足の大きさが違う場合は大きい方で合わせます。(小さい方はインソールや靴下などでなんとかするしかありません)

②履くときに「座ってから、かかとをしっかりヒールカップと合わせて履く」ことが非常に大切です。
しっかりとかかとをヒールに当ててから、バンド・ダイヤルなどを締めて固定します。

③バンド/ダイヤルなどは「足首側から順番に締める」ことも大切です。
足先の方から締めないで下さい。
しっかりかかとを固定し、中足部のアーチを作る骨を固定することでペダリングをしやすくなり、足前部の過度な圧迫が起きにくくなり、さらに足がシューズ内で前にずれることが無くなります(ずれると足先の痛みにつながります)。

④立って母指球(足前部)に体重を乗せる。ペダリング時のかかとのアングルを考えて膝の曲げ伸ばしをします。
これによって試着時でもかなり実走に近い状態を知ることが出来ます。

 

 

8.足部からの影響について

インソール

足部の安定性やアーチサポートを変えるのに役立ちます。
様々なブランドから様々なモデルが出ています。
足裏とのフィット感が増すことで踏む力が伝わりやすくなったり、膝などの安定感も上がります。
19かかとアライメント

シューズ/ヒールカップ/インソール/カント調整(ウェッジ)などを用いてかかとの角度を最適に保ちます。
↑ふくらはぎのラインに対して、かかとがまっすぐが理想的です。かかとが外や内を向いてしまう方は普段の靴も含めて改善が必要です。

 

体への影響

足部の痛みが無くても、体への影響が出やすいです。
すぐ上の膝に痛みなどの症状が出ることがあります。ペダリング時に膝が外に開いたり内に寄ったり、軌道がまっすぐでない等、ペダリングへの影響もあります。
股関節、腰などの痛みが出る方もいます。

 

脚長が左右で違うことで体への影響が出る方もいます。
その場合は、クランク長を左右で変える/クリートスペーサーを入れて高さを変えるなどの対策をします。

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ペダリングへの影響

クリートの位置調整もペダリングにかかわります。
個人的には「シューズという道具を使ってペダリングをより強力にする」と考えています。
筋肉を使いこなし「ペダリングという非日常的な円運動」を行う⇒そこに専用シューズで効果をより一層高める!

フィットしたシューズと正しいクリート位置はペダリング効率を上げて、楽に速く走ることが出来るツールです!
間違えると体を痛めて速く走れなくなるツールにもなります。

 

以上、参考になるものもありましたでしょうか?

シューズについては各ブランド/各モデルの特徴(熱成型でよりフィット感を高めたものなど)もあるので、ウェア館はじめ各スタッフにお尋ねの上で購入頂ければと思います。

足部で違和感があったら、この記事を確認して頂ければと思います。

 

「痛い」シリーズもよろしくお願いします。

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