旅のベテランほど荷物は少ない?
変わりゆくサイクリング旅行のスタイル
「バイクパッキングとは?」
(Y’s Road Times編集長ブログNo.8)
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●重量級チャンプを目指したあの頃、、、
昔話となりますが、ランドナーやキャンピングといったツーリングモデルに乗った大学生がサイクルスポーツの表紙を飾っていた30年ほど前、夏が近づくと「重量級チャンプ」という恒例企画がありました。
北海道や長野県の名のある峠で取材スタッフが体重計を持って待機、フル装備の旅人を待ち構えて重量を計測、その重さを競うといったもの。現代の軽量化と真っ向異なる時代もあったのです(笑)。
当時中学〜高校生だった私は、ブリヂストンの広告に導かれ「ロードマン(入門モデル)」、「ユーラシア(ランドナー)」、「アトランティス(キャンピング)」をアルバイトで得た資金で乗り継ぎ、キャンプしながらサイクリング旅行する世界にどっぷり浸かっておりました。そして、いつか重量級チャンプになってやろうと、鍋釜フライパン等の家財道具をサイドバッグ詰め込んで、当時は約60kgの装備で旅をしていました。
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●旅人が集まると はじまるパッキング自慢
旅先のあちこちでサイクリストやカニ族(バックパッカーのこと=荷物が大きくて電車の乗り降りに横歩きするから名付けられた?)と出会い、盛り上がる話題といえばパッキング自慢。旅慣れていることを自慢する旅人からは、サイクリストのフル装備には「?」的な意見が当時もたくさんありました。
「旅の達人は荷物が少ない」というごもっともな意見に対し、「自分の荷物は自分で背負うから放っておいてくれ」みたいなプライド(変かも知れませんが、類は友を呼ぶサイクリスト仲間との楽しい世界が当時は存在していました)が邪魔し、そんな意見が増えるたびにフル装備サイクリスト達の荷物が増したのは、サイクルスポーツのアノ「重量級チャンプ」企画が原因だと今でも思っています。
台湾一周中の松坂の旅スタイル( キャンプでないスタイルだと荷物も軽装で済む)
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●西川昌徳君との会話で思い出したこと
私のフル装備サイクリング旅行は大学卒業とともに終わりましたが、以後は世界中に出かけるサイクリストとの交流を楽しんでいます。そのサイクリストのひとりに、西川昌徳君がいます。
西川君は、旅先の海外からスカイプを使って日本の小学校と結び、小学生に世界各国の魅力や自転車旅行の魅力を授業するなど、今までの旅人にはなかったスタイルで情報発信をしているサイクリストです。
最近、彼とサイクリング話で夢中になっているときに、やはりパッキングの話題になりました。
旅をはじめた当初から現在まで、パッキングと装備品は大きく変わりましたとのこと。
衣食住に関わる装備品そのものの機能性の充実、旅先の状況による装備品の選択、さらに海外で出会うサイクリストの影響も加わり、変わっていったそうです。
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●「バイクパッキング」とは? 旅の達人は荷物が少ない!
西川君から提供してもらった画像を見て分かるとおり、旅のスタイルはどんどん簡易化しています。自転車のフレームに添うようなバッグを使い、パッキングするスタイルを「バイクパッキング」と言い、欧米では、FATバイクやシングルスピードバイクでこのスタイルを見かけるようになってきています。
西川君によると装備品が軽量化されたりして機能性が高まり、数年前と同じキャンプスタイルのサイクリングでも、バッグの数や容量は少なくてすむとのこと。このスタイリングのスマートさは、いまの小中学生には格好いいと、特別授業の「ウケ」もいいそうです。
確かに、4つのサイドバッグに追加してのフル装備スタイルは、小中学生に自転車旅行をチャレンジしてもらうための「敷居」が高いのかも知れません。
そんな西川君と会話をしていたら、かつての「旅の達人は荷物が少ない」を思い出した次第です。
桜前線北上中で春満開の日本、自転車旅の季節がやってきました。旅のスタイルは自由であっていいと思いますが、私も「バイクパッキング」でのサイクリングに今年はチャレンジしてみたいと考えているところです。
2007年のスタイル
2012年のスタイル
2016年のスタイル
ワイズロード各店舗には、ツーリング経験者も多数おりますので、装備品等のご相談は遠慮なくお気軽にお声かけください。
西川昌徳(にしかわまさのり)
職業旅人として世界を自転車で旅するサイクリスト。2011年は福島にてボランティアセンタースタッフなど復興支援活動を行なう。
2012年4月ネパールより「ぼくの地球を走る旅」再開。
ユーラシア西端ポルトガルまで日本の小学校の児童と世界をつなぐスカイプ交流会を実施しながら自転車旅を続ける。
松坂佳彦(まつざかよしひこ)
自転車メディアにのべ15年、自転車メーカー&ディストリビューターにのべ9年、2014年7月よりY’s Roadに勤務し現在は広報宣伝部長。自転車専門誌や試乗イベント、サイクリングイベントを多数監修。好きなジャンルはツーリング。
※走行時はヘルメットを被りましょう