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【第4回 ハブOH】オーバーホールの内容と価格の違いを比較【オーバーホールはY’s新橋店】
by: 関 和貴

皆さんこんにちは、ワイズロード新橋店 関です。

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3~4回に分けてワイズロード新橋店自慢のオーバーホール作業の内容を紹介しています。

 

 

今回は最終回、ホイールのハブオーバーホールの作業内容をご紹介します。

 

 

みなさん、ホイール、特にハブは定期的にメンテナンスをしないといけないってご存じでしたか?

 

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後ほど写真で紹介しますがハブの中には、ベアリングという金属の玉が入っていて、グリスで潤滑することでスムーズに回転しています。

 

例えば、チェーンは定期的にチェーンオイルを追加しないと動きが悪くなったり、チェーンがすり減ってしまうのはご存じだと思います。

ホイールのハブも同じように、定期的にグリスを追加しないとサビたり動きが悪くなってしまうのです!

 

また、ハブの構造はメーカーごとに大きく異なり、おススメのメンテナンス頻度や内容が違うのが難しいところ。

気になった方は是非ホイールを見せに来てください!

 

 

作業内容はこの後詳しく紹介しますが、構造によって大まかに3パターン。

 

比較的頻繁に必要なのが「ラチェットのグリスアップ」

「ハブオーバーホール」はホイールの構造によって「清掃&グリスアップ」の場合と「ベアリング交換」の2パターンがあり、工賃は同じですがパーツ代が変わります。

 

 

 

 

お待たせしました、作業風景をご紹介します。

 

 

シマノ

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シマノのディスクブレーキ用のハブをバラします。

 

 

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シャフトを抜くとベアリングの玉が見えました。

 

このように、玉が直接見えるのは「カップアンドコーン式」のベアリングで、シマノやカンパ系のホイールによく採用されています。

このタイプは、定期的に清掃することで長期間使う事ができます。

逆に、長期間使いつぶしてしまうとパーツを交換しないといけなかったり、最悪ホイールごとダメになってしまう場合もあります。

 

 

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フリーボディー側には細かいベアリング玉がたくさん入っています!

 

 

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フリーボディーも外すことができますが、シマノの多くおモデルはフリーの分解は非推奨の為、特に外しても意味はありませんが、固着防止のために一度外しました。

一般的にメンテが必要なラチェットは分解不可のフリーボディーの中に入っているので、シマノの場合はメンテ不要です。

傷んでしまった場合交換することもできますが、シマノのフリーはかなり頑丈です!

 

*最新のデュラホイールなど一部は構造が異なり、メンテが必要です。

 

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ばらした前後輪の中身。

昔ながらのシンプルな構造ですが、シマノにしかない特徴的な構造とも言えます。

 

フリーボディーは基本分解できませんが、以前勉強のためにダメ元でバラしたところ、ラチェットの爪の位置が特殊だったり、極小のベアリングが無数に入っていたり、超特殊な構造でした。

 

 

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パーツをキレイに清掃したのち、新しいグリスで組み戻します。

文字にすると簡単そうですが、掃除では砂粒一つ残るとベアリングを痛めてしまうし、グリスの量や微調整によって回転性能が大きく変わるのでとても繊細な作業です。

 

シマノのホイールは、特別回転が軽いわけではありませんが、非常にスムーズで、防水性能、耐久性が高いのが特徴。

トレーニングやロングライドでガンガン使いたい方には特にオススメ!

コスパも信頼度も高いので初めてのホイール交換にもオススメです。

 

また、カップアンドコーン式の特徴として、使うグリスの種類や量で回転性能や耐久性を高める事ができます!

指定なしの場合は純正に合わせて耐久性重視で調整しますが、ご希望があれば回転を軽くすることもできます!!その分、定期的に清掃に来てください。

 

 

カンパ・フルクラム

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フルクラムのCULTハブを分解します。

ゾンダ・レーシング3以上のモデルはカップアンドコーン式で、ミドルグレード以上はUSBやCULTというセラミックベアリングが標準装備です。

カンパ・フルクラムも比較的耐久性は高いですが、せっかくのセラミックベアリングを痛めないようにこまめなメンテナンスがオススメです。

 

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後輪のラチェット部分。

カンパは構造的に後輪が汚れやすいのが特徴。たくさん乗る方は後輪だけでも毎年メンテした方がいいかも。

 

 

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取り外したフリーボディー。

フリーにもベアリングが入っていて、消耗品なので、数年に一度状態によって交換することがあります。

 

 

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取り外したパーツを清掃。

 

 

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組み戻します。

カンパはスチールベアリング・USBベアリングはグリス。CULTベアリングはオイルで潤滑させます。

オイルを使うCULTベアリングは圧倒的に回転が軽く、スムーズ!!

CULTでないホイールを後からCULTベアリングにアップグレードすることもできるので、メンテナンスと合わせておススメ!

 

 

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カンパのホイールも組み立てによって回転性能が変わるので技術が必要です。

メンテナンスの頻度はたくさん乗る方なら1~2年に1度がオススメ。

特に後輪は汚れやすいので後輪だけ毎年メンテするのもオススメです。

 

 

MAVIC

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マビックのID360ハブ

 

 

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フリーボディーまでは工具なしで外すことができます。

このようにグリスが茶色くサビが染み出ている場合は要注意!

 

 

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最初に見えるのがラチェット。「ランニングフェイスラチェット」「スターラチェット」と呼ばれるタイプ。

MAVICはこの部分に1000kmごと、または雨天走行後に専用グリスを入れる必要があります。

その時に(今回みたいに)サビの兆候が見られれば悪化しないようにすぐに対処が必要です。

 

メンテナンスの知識があればご自身でもできますが、ご不安な方は是非当店にお持ちください。

 

グリスアップを怠ると最初の写真のようにいろいろなパーツがサビて交換が必要になってしまいます。

 

 

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ラチェットを外すとオレンジ色のベアリングが見えます。

 

 

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MAVICやDT SWISS系などほとんどのホイールはハブの中にこのような「カートリッジベアリング」が入っていて、シマノのように清掃はせず、古くなったら新品に交換します。

 

 

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ベアリングを取り外したところ。

交換にパーツ代がかかりますが、交換することで回転性能が新品に戻ります!

 

また、カートリッジベアリングは比較的簡単にセラミックベアリング化できます!

セラミックベアリングは回転が非常に軽く、レースやロングライドでラクに加速することができるので、メンテと同時にカスタムするのもオススメです。

 

 

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MAVICの後輪の中身。

 

細部はモデルによって違いますが、MAVICの他、多くのメーカーはこのタイプの作業になります。

 

メンテナンスの時期は、

 

MAVICの場合、

ラチェットのグリスアップ 1000kmまたは雨天走行後

ハブオーバーホール(ベアリング交換)1~4年前後

 

MAVIC以外の場合

ラチェットのグリスアップ おおよそ半年~1年に一度

ハブオーバーホール(ベアリング交換)2~4年前後

 

*あくまで一般的なイメージです。メーカーの推奨がある場合は準じ、乗り方によっても大きく変わります。

ホイールをお見せいただいたら、ある程度メンテ時期を判断できますのでご不安な場合はご相談ください!

 

 

費用

ラチェットのみのグリスアップは¥3300~(場合によって別途専用グリス代)

 

ハブオーバーホールはどのタイプであっても工賃は前後で約¥10,000~、メーカーや状態によってベアリング代数千円やフリーボディー代1万円前後が必要になることがあります。

 

 

ホイール単品での作業もできますし、車体のオーバーホールと合わせて行うとより気持ちよく走れると思います!

 

とにかく知っていただきたいのは、ホイールは何年もノーメンテで乗れるものではないということ。

せっかくのホイールが傷んで性能が下がってしまわないようにメンテナンスしてあげてください。

 

 

 

修理相談・依頼は予約制です。ぜひお気軽にご相談ください!

TEL:03-5422-1394