【入門編】ピストバイクを知ろう。第一回　ギア編
by: 鈴木達也

どうもこんにちは。新宿クロスバイク館スタッフのスズキです。

皆さんはピストバイクって聞いたことはありますか？当店でも人気なジャンルの一つです。クロスバイクやロードバイクと違い変速機が無く、カスタマイズの幅が広いジャンルのバイクたちが多いです。

元々はトラックレースなどに使われるシングルギアバイクから派生したカテゴリの為、日本で初めて流行った頃はブレーキが無い自転車として色々と話題になりました。

今でもシルエットにはそのころの形をリスペクトした物が多く、FUJIのFEATHERは昔から大きく変わっていないピストバイクの一つですね。

※上記画像はRED HOOK CRIT公式HPより引用

このブログでは何度かに分けて、初めてピストバイクを考えている方向けのいろいろな解説をしていきます。

今日はギア編です。 

ギアってなくても大丈夫？

一番の懸念点であろう「ギア（変速）」について。クロスバイクやロードバイクには前後もしくは後ろ側に「変速機」が付いている事がほとんどです。理由としては平坦な道から登り坂まで色々な場所を走り抜ける為には変速が出来た方が効率が良いからです。自動車でもそうですね。

それではピストバイク（シングルスピード）はどうでしょうか。いわゆるギア比＝ギアの重さについて数字を出してみましょう。

クロスバイク（GIANT ESCAPE R3）の場合

フロント三段×リア八段のギアです。フロントの歯数は重い方から48/38/28T、同様にリアは11-13-15-18-21-24-28-32Tの組み合わせとなります。ギア比の出し方はフロント÷リアの歯数で得られますので、4.36～0.87が最大~最小のギア比になります。

ピストバイク（FUJI FEATHER）の場合

フロントの歯数は46T、リアの歯数は16Tです。ギア比は2.87となります。

どれくらいの組み合わせと同じ？

上記2台のギア比について、近いところはどこかと言うと…
フロント3ⅹリア5で2.66，フロント2xリア7で2.92となりますね。

モデルによって若干の差はありますが、フロントを重いギア、リアを真ん中くらいのギアで走り続けるより少し重いと考えると分かりやすいかもしれません。

個人的な感覚としてはよっぽど斜度のある坂道でなければ問題の無いレベルかと思います。

固定コグとフリーコグの違い

ピストバイクのリアギアには歯数以外にも固定コグとフリーコグというものが存在します。違いとしては足を後ろに回した時に空転するかそのまま後ろに進むかというところ。

固定コグは車輪の回転とペダルの回転が連動する形で動くので、ダイレクトに力が伝わる一方、下り坂や足を休めたいタイミングでも常時漕ぎ続ける必要があります。そのため固定コグを装備して走行する場合はペダルストラップやトゥクリップの装備を推奨します。なるべくペダルから足を離さないようにするのが大事です。

対してフリーコグはクロスバイクやロードバイク、ママチャリと同じ仕様。ペダルを漕がなくても惰性で進みますし、停車時にペダルの位置が良いところに無くても後ろに回して調整ができます。けっこう好みの分かれるところなので、新車をご購入の際はご相談ください。

ギア比って変えられるの？

さて、ギア比とざっくりどれくらいの重さかについて分かったところで、使い方や環境にマッチしているかを考えていきます。上で紹介したFUJIのFEATHERは46Tx16Tの組み合わせが標準装備。でもこのギア比、変えられます。

ギアのカスタマイズをしてみよう。

一言に変えられると言っても変速機が無いのでそもそもの歯数を変える必要が有りますね。簡単に変えられるのはリアのコグと言われるギア（歯）の部分。SHIMANOのフリーコグには16/18/20Tの設定があるので、より軽くしたい時に便利です。

他にも1T刻みでラインナップがあり、ノッチ数の多いホワイトインダストリーなんかもオススメです。

フロントを変えるのってあり？

リアが交換できるならフロントは？という疑問が出てくると思いますが、正直リアよりも高額になる場合が多いです。というのもピストバイクに使われるチェーンがクロスバイクなどに使われるものと違う為、互換性が無く簡単に交換が出来ないのです。

いわゆる厚歯チェーンと薄歯チェーンの話ですね。コグが薄歯に対応していれば使えますが、チェーンの耐久性が落ちたり踏み込んだ時に力が抜けやすかったりと言ったデメリットもあります。よっぽどでなければ厚歯対応のものを推奨します。

ちなみにアップグレードで使われるSUGINOのメッセンジャーシリーズは¥59,400とコグに比べると高額です。とはいえデフォルトで付いているクランクに比べれば性能は全然違うので、カスタマイズとしてはぜひご検討いただきたいポイントです。

次回は「カスタマイズ」編

次回はカスタマイズについて。クロスバイクとの違いやオススメのカスタマイズについて書いていきます。ぜひお楽しみに！