日本最大級のスポーツサイクル専門店!日本で最初のクロスバイク専門館!
2022/02/16 20:09
目次
当ブログをお読みの皆様こんにちは!
新宿クロスバイク館の藤平です。
スポーツバイク業界ではディスクブレーキ化の波が進んでおり、当店で扱いの強いクロスバイクでも既に七割程度がディスクブレーキモデルとなっています。
一部のメーカーでは全てのラインナップをディスクモデルにしているくらいなので、新規購入や買い替えを検討する場合に考慮しないといけない物でしょう。
今回は「ディスクブレーキってオススメなんですか?」という方に向けて、様々なブレーキを身をもって体験してきた私がポジティブな面、ネガティブな面含めご紹介いたします。
自転車のブレーキ構造は大きく分けて二種
車輪外周(リム)を制動するブレーキと、車軸側(ハブ)を制動するブレーキ
ディスクブレーキ流行以前のロードバイクやクロスバイクは前者のリムブレーキが主流でした。
ディスクブレーキはハブにブレーキ面を取り付けて制動する後者のタイプ。
どちらのタイプにもメリット、デメリットが存在するため一概に「どちらが良い」と言えない物になりますが、順番にご紹介いたします。
・リムブレーキについて
車輪外周(リム)を制動するので「リムブレーキ」と呼ばれますが、構造は複数あります。
今回はスポーツバイクで一般的な三種類の物を紹介し、最後にリムブレーキ全体のメリット、デメリットを総括します。
・サイドプルブレーキ
ディスク化以前のロードバイクにメインで採用されていたタイプ
流通しているモデルがとても多く、広いパーツ選択肢が魅力
採用されてきた期間が長い分熟成が進んでおり、コントロール性も制動力も非常に高いレベルにある。
とても音鳴りしにくい。
・カンティブレーキ
(※当店にカンティ式の採用車種が在庫していない為ちゃんとした画像撮れませんでした)
ちょっと古い規格のブレーキシステム
制動力に関してあまり高いとは言えないですが、車輪やフレームとの間に大き目の隙間(クリアランス)を作りやすい為荷台や泥よけなどのアクセサリー取り付けと相性が良く旅用の自転車で採用されている事が多い。
取付部分の構造上フレームの剛性がブレーキに影響を与えてしまうほか、ワイヤー調整の腕が制動力にかなり影響してしまう為メンテナンス難易度は高め。
フレームサイズが小さい場合に相性問題が発生しやすい。
・Vブレーキ
カンティブレーキを進化させた物
かなり古いMTBと非ディスクブレーキのクロスバイクにメインで採用されている。
構造上強い制動力を発生しやすい為、お手頃な価格のパーツを使用してもまぁまぁしっかり止まる。
カンティブレーキと同じくフレーム側の剛性の影響を大きく受ける為、車体によっては音鳴りをしやすい。
半絶滅的規格の為「アップグレードをしたい」と思っても選べるラインナップがほぼ無い。
・リムブレーキの全体的なメリット
ディスクブレーキと比べ軽量でお手頃価格
消耗部分の互換性が非常に高い為、パーツの入手に困りにくい。
回転物の外周を止める構造の為制動力は高くしやすい。
スポーク本数を少なく出来る為ホイール重量は軽い。
・デメリット面
ウェットコンディションになると制動力がとても落ちる
泥や砂などがリム面に付着すると異音が発生し、パーツ消耗も早くなる。
リム面に摩擦熱が発生するためタイヤ、チューブも熱の影響を受ける。
ブレーキパッドが基本的にゴム製の為熱に弱く、強い下り坂などでフェードを起こしやすい。
リム面が消耗すると交換の手間や費用が大きい。
ブレーキダスト(汚れ)が出る量が多く車体が汚れやすい。
ディスクブレーキについて
自転車のディスクブレーキは大きく分けて二種
金属ワイヤーを引いて動作する機械式と、オイルの圧力で動作する油圧式があります。
・機械式ディスク
構造がシンプルなので価格はお手頃
メンテナンスも一般的な工具のみで行える。
リムブレーキと比べ取り付け位置がハンドルから遠い為金属ワイヤーが長くなってしまい、摺動抵抗やワイヤーの一時的な伸びが大きく握力が必要。
多くのモデルは片押し構造の為パッドの片減りや音鳴りが発生しやすい。
雨ざらしの環境で保管する場合ワイヤーの錆を起こしやすい
「ディスクブレーキって制動力高いんですよね?」と言われる事も多いですが、回転物の内側を止める構造の関係でエントリーグレードの機械式ディスクブレーキは同グレードレベルのリムブレーキより制動力が低い場合が多いです。
・油圧式ディスク
お値段は多少張りますが、抵抗が少なくレバーを引いたパワーがしっかり伝わる為軽い力でしっかり止まる。
ブレーキホースのカーブがキツめでも抵抗が増えにくい為ワイヤーフル内装のフレームなどでもブレーキ動作が重くなりません。
ブレーキパッドも両側動作するためタッチ感も良くなります。
メンテナンスには専用の道具が必要な為弄れる自転車店が限られてしまうのがデメリット
・ディスクブレーキのメリット
雨や雪、泥や砂などのバッドコンディション下でも安定した制動力を得られる。(上記画像のような泥でも全然OKです)
熱に強い為長い下り坂なども得意
ブレーキの熱がタイヤ周辺に影響しない為空気圧が安定し、熱に弱いチューブレスやラテックスチューブ、カーボンリムなどのシステムと相性が良い
ブレーキ本体の取り付け位置が低い為車体全体の重心が低い
汚れの出る量が少ない為清掃が楽
・ディスクブレーキのデメリット
車体全体の重量は増えてしまう
価格もリムブレーキモデルに比べて上がる
消耗部分の互換性が難しく、交換パーツの入手に困る場合がある
輪行時に少し気を遣う(慣れでなんとかなります)
メンテナンスを受け入れるショップの数がまだ少ない
基本的に多少の音鳴りがあります
ブレーキとしての性能はどちらでも不満が出ないレベルの製品が販売されていますので、使用する用途や好みで選んでOKです。
「ディスクブレーキの方が高性能」というのは、ブレーキ単体の性能ではなく車体本体の総合的な性能
車輪固定軸(とベアリング)の大型化による剛性、ハンドリング性能UPやリムの形状加工自由度による空力性能のUP、ブレーキ取り付け位置による振動吸収性のUPなど自転車としての走行性能底上げが出来るので、最終的にはディスクブレーキ車の方が高性能と言えます。
軽量さを重視するヒルクライムレースや輪行の気軽さなどにおいてはリムブレーキ車優位ですが、そういった複雑な事情が無く買い替えを検討するのであれば今後のメインストリームであるディスクブレーキ車がオススメでしょう。
雨天での使用、オフロード走行やダウンヒルなど自転車にとってハードな用途を想定するライダーであればディスク車を選ぶべきです。
ユーザーにやっていただく事としましては、消耗品の確認と清掃です。
ブレーキパッドは摩材部分の残りを確認。
残り1㎜以下であればそろそろ交換の時期が近いです。
ローターはブレーキ当たり面とそうでない箇所が段差になっていないか確認
段差が出来ている場合や回転させて大きな歪みがある場合は交換です。
その他レバーの引き量が大きい場合や異音がする場合は自転車店へ相談
清掃は中性の食器用洗剤でOK
大き目のスポンジがあると綺麗にしやすいです
強く擦るとローターの歪みが出てしまう場合がありますので軽い力で撫でて下さい。
鋭利な部分があるので怪我には注意
車輪固定がクイック方式の物はブレーキから受ける力で緩む場合があるので要確認
緩んだまま使用を続けると最悪の場合車輪が脱落します。
構造上油脂の付着に弱い為、チェーンオイルの塗布時などは要注意
スプレーなどの飛び散りがディスクローターに付着すると音鳴りや制動不良の原因となります。
輪行袋に入れる際にディスク部分を保護していないと袋を介してオイルが付着する場合もあります。
珍しい案件だと油脂を含んだ飲食物を溢してブレーキに付着させてしまった方もいらっしゃいますね。
ブレーキ使用後は摩擦による熱が発生しているので、周辺を触ると火傷してしまう危険性も。
ディスク部分は鋭利な為触ると怪我をしてしまう事がありますので注意
油圧タイプの物は消耗部分の摩耗を感じにくく(パッドが摩耗してもレバーの引き量が変わらない)限界を超えて使用してしまうユーザーが多いです。
レバーに来る感触だけでなく、必ず目視での確認をしましょう。
動作時に常にガリガリというような異音がする場合はすぐに使用を中止し、自転車店へご相談下さい。
(長時間ブレーキを掛け続けるとフェードして一時的に音が出る場合もあります。)
上記画像のようなラック式の駐輪場を使用する際はローターが当たらないか要注意
ブレーキローターが曲がってしまうと交換をする必要があります。
上記にもありますが雨ざらしでの長期保管はNG
機械式タイプですとワイヤー内に雨水が溜まってしまい動作不良を起こしやすくなりますし、ブレーキローター(ディスク)部分はオイルで保護する事が出来ないので錆びてしまいます。(※ある程度錆びにくい材質にはなっていますので一般的な雨天走行などは平気です。)
注意点が多く感じるかもしれませんが、リムブレーキ車にも同じような注意点はありますので不便に感じる事はほぼありません。
これは個人的な考えではありますが、ディスクブレーキの性能というのは全てのユーザーに必要な物ではありません。
ですが、「大は小を兼ねる」という言葉の通り性能が良い分には困る事もありません。
選べるモデルの選択肢を増やしたいのであればぜひディスクブレーキ車もお考えいただければと思います。
よろしくお願いします。
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