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2025/03/04 08:00
2025年現在、自転車2大コンポーネントブランドと言えば「シマノ」と「スラム」。しかし、日本のロードバイクシーンではシマノユーザーが圧倒的に多く、スラムを使っている人はあまりにも少ない!特にディスクブレーキ化してからはシマノとの価格差が開いてしまい、気にはなるけど何となく「シマノでいいかな」って感じになっている人も多いのではないでしょうか(私もそうでした…)。という事で、今回は昨年5年ぶりのモデルチェンジしたばかりのSRAM RED AXS E1コンポについて、詳しく解説させていただきたいと思います。
2024年のモデルチェンジによって最も大きな変化を遂げたのがこのコントロールレバー。ブラケット部分は一回りコンパクトになり、握り込みやすい形状に。レバーの支点(可動部)が上方に移動したことにより「てこ」の力が働き、少ない力でブレーキが引けるようになりました。ブレーキピストンの位置も根本的に見直され、ブレーキに必要な力が80%軽減されていると言います。
私も昨年の試乗会で少し試してみましたが、本当に驚くほどブレーキの引きが軽い。MTBのように指一本でも十分に止まれる程。レバーも持ちやすくなっており、これだけでもSRAMを使用する価値があると感じました。旧世代のSRAMを使用している方はレバーだけでも交換することで劇的な進化を感じられることでしょう。
また、よりアグレッシブなポジションを求めるライダーの要求に応え、リーチが長くなっています。現行デュラエースのレバーと比較してみましたが、フードのせり上がる部分までの距離が10mm程度長くなっていました。ステム長を選ぶ際は要注意です。一見、手の小さい人には不向きな形状に思えますが、レバーリーチアジャスト機能を使うことでかなりレバーを近づけられるので、フードポジションからのブレーキングは全く問題ありませんでした。
変速動作やサイクルコンピューターの操作に割り当てることのできるボーナスボタンをレバー先端の内側に設置。エアロポジションをとりながらの変速がしやすくなるので地味に嬉しい進化。
FDの大きな進化として挙げられるのは、リア側のチェーン位置に合わせて自動で移動する、オートトリム機能が備わったこと。ケージ部分が狭くなったことでチェーンを押し上げるスピードが上がった他、SRAMユーザーの悩みの種だったチェーン落ちのしやすさも改善されているようです。オートトリムはシマノ電動コンポでは以前から当たり前にあった機能ですが、今回のモデルチェンジによって両者のFD変速性能差は限りなく小さくなった印象です。

フルワイヤレス駆動なので、着脱式のバッテリーがディレイラーに取り付けられています。FD・RDと共通のバッテリーなので、片方が電池切れを起こしても入れ替えて一時的に動かすことも可能。ちなみに旧型のバッテリーでも動かすことができるので既存ユーザーは買い足す必要はありません。
16g軽量化された新型リアディレイラー。以前は対応するスプロケットの違いでShort/Mediumがありましたが、36Tまで対応の1種類に統一されました。ケージリンク部分にシリコンフルードダンパーが内蔵されており、チェーンが暴れるような激しい動きを吸収するため、荒れた路面を走行時でも安定した変速動作となっています。 オフロード分野に強いSRAMらしい機構ですね。
プーリーは標準で12T/14Tのビッグプーリーとなっており、チェーンの屈折を緩やかにすることで駆動効率を向上。人気のビッグプーリーカスタムが標準で備わっているのは嬉しい点。
前作と形状が大きく変わったブレーキキャリパー。 DURA-ACEのキャリパーと違い左右のボディをボルトでつなぎ合わせる2ピース構造となっていますが、 大胆な肉抜き加工を施したことでほぼ同等の重量に仕上がっています。
ボディサイズそのものはやや大きくなり、剛性がアップ。他にもピストンの位置がわずかに高くなったことで制動力が増加しています。
パッドとローターのクリアランスは十分に取られています。ピストンの戻りが悪くなり摩擦が起こらないよう、素材や構造にも気を配っているそうです。

SRAMロードコンポ用に設計されたPACELINE X ディスクローター。丸みを帯びたローターが7本のアームで大型のアルミスパイダーに接続された、堅牢性と放熱性に優れた構造ですが、SRAM史上最軽量のアルミ素材を使うことで130g(160mm)程の重量に抑えられています。軽さを優先するなら別の選択肢もありそうですが、安全面での信頼性は抜群。

もともと超軽量カーボンクランクとしてヒルクライム等でも人気の高いクランクでしたが、驚くことに-29gもの更なる軽量化を果たしています。
ドライブ側アームに8本のボルトでSRAMチェーンリングを直接マウントできる他、スパイダーをかませることで4armチェーンリングを使用したり、パワーメーター付スパイダーを取り付けるなど選択肢も豊富で、目的に応じて様々な組み合わせでカスタマイズすることが可能。

左アームがアクスルと一体化されている構造。29mm軸のDUB規格のクランクとなっています。24mm軸のGXPクランク仕様がラインナップから消えたので、フレームのBB規格によっては使いにくくなってしまいましたが、最近は対応するBBアダプターも増えてきているようです。
クランク長165mmの実測重量は306gでした。ここまで軽いと剛性は大丈夫なのかと心配になりますが、実際にワールドツアー選手がスプリント時に使用しているわけですから、そこは信頼していいと思います。

スチールを削り出し、CNC加工の徹底的な肉抜きとワンピース構造によって驚異的な軽さを実現したスプロケット「XG-1290」。画像は10-33Tですが実測重量はわずか211g。デュラエースの11-34Tでも253gですから、いかに軽量化を突き詰めているかが分かります。ワンピース構造ゆえに、消耗した歯だけ部分的に交換したりはできないのが弱点。
D1→E1になりスプロケット自体に大きな変化は無いようですが、ラインナップに新しく10-30Tと10-36Tが追加されました。
10-30T:10-11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30
10-36T:10-11-12-13-15-17-19-21-24-28-32-36
特に10-36Tはフロントシングル仕様で使う場合や、ヒルクライムなどで極端に軽いギアが必要な時などに有効な選択肢となりそうです。
取り付けると目立たない部分ではありますが、裏面のデザインが変更されています。XDR規格専用なので、シマノコンポをお使いの場合、ホイールのフリーボディを交換する必要があります。
新しくなったフラットトップチェーン。元々の中空ピン仕様に加えて、外/内プレートに肉抜き加工を施すことで更に13gの軽量化。
チェーンの強度を確保しているフラット構造部分にこんなに穴を開けて大丈夫か?という気もしますが、当然強度テストはクリアしているでしょうし、あとは耐用走行距離が気になるところ。
いかがでしたでしょうか?2019年のAXS登場時と比べると革新的な進化を遂げた訳ではありませんが、個人的にはSRAMで気になっていた不満点がほぼ解消された、正当進化的アップデートだと感じました。フルセットで揃えると60万円台後半にもなる高級コンポであり、競合のデュラエースが50万円台前半であることを考えるとコスパ面では決して優れているとは言えませんが、その性能は甲乙つけがたく、中でも新型レバーによるブレーキの引きの軽さ、フルワイヤレスによる作業性の良さなどはSRAMでしか得られない大きな利点かと思います。
私も次に組むロードバイクにはSRAMを導入してみようと思っているので、完成した際は改めて使用感などをお伝えさせていただきたいと思います!