Y's Road 宇都宮店 じてんしゃの杜
2026/08/14 16:46
ご覧いただきありがとうございます。
Y’s Road宇都宮店の恒川です。
今回ご紹介するのは、PINARELLOのエンデュランスロード「Xシリーズ」のX3です。
長距離を快適に走れる乗り心地を持ちながら、ただ快適なだけではなく、しっかりと速度を出して走れるように設計されたロードバイクです。
目次
価格:¥476,000(税込)
サイズ:51.5(適応身長目安170cm前後)
カラー:D161 KEEN RED(キーンレッド)
PINARELLO X3には、カーボン素材として東レのT600を採用しています。
T600は、東レのカーボン繊維の中では中弾性に位置する素材です。
カーボンフレームというと、「とにかく軽くて硬い素材」というイメージを持たれる方も多いと思いますが、カーボンは素材によって得意としていることが違います。
T600は、超高弾性カーボンのように軽さや極端な剛性を追求する素材ではなく、強度と振動吸収性、扱いやすさのバランスに優れているのが特徴です。
素材そのものの弾性率が比較的低いため、非常に硬くパキパキした乗り味になりにくく、路面から伝わってくる細かな振動をフレーム全体で受け止めてくれます。
そのため、荒れたアスファルトや細かな段差が続くような路面でも、手や腕、腰などに伝わる不快な振動を抑えやすく、長距離を走ったときの疲労を軽減してくれます。
一方で、T600のような弾性率の低い素材は、同じ剛性を確保しようとすると、より多くのカーボンを積層する必要があります。
そのため、T900などの高弾性カーボンを使用した超軽量フレームと比較すると、フレーム重量は重くなります。
X3のフレーム重量も約1,100g前後と、最近の超軽量ロードバイクと比較すると決して軽量な部類ではありません。
しかし、この「ある程度しっかりとカーボンを積層できる」という特徴が、X3ではむしろメリットになります。
外部からの衝撃に対する強さを確保しながら、路面から伝わる細かな振動を吸収できるため、軽さだけを追求したレースバイクとは違った、長距離での快適性を重視したフレームに仕上げられています。
つまりX3は、単純に「軽いカーボンを使って速くする」のではなく、T600の特性を活かして、長時間乗り続けても疲れにくいロードバイクを作ることを重視しているわけです。
ここからがPINARELLO X3の面白いところです。
T600は振動吸収性に優れる一方で、素材そのものの弾性率が比較的低いため、素材だけで高い剛性を出そうとすると、フォークが重くなったり、横方向の剛性を確保することが難しくなります。
特にフォークは、ブレーキングやコーナリングの際に大きな力がかかる部分です。
もしフォークの横方向の剛性が不足していると、高速走行時にハンドルを切ったとき、フォークが大きくたわんでしまい、狙った方向へバイクを向けにくくなる可能性があります。
そこでPINARELLOが採用しているのが、特徴的なONDAフォークです。
ONDAは、フォークを単純な一直線の形状にするのではなく、波打つような独特の湾曲形状にすることで、素材そのものの剛性だけに頼らず、形状によって剛性を確保する設計になっています。
イメージとしては、同じ素材でも、ただの板よりも立体的な形状にした方が曲がりにくくなるのと同じです。
つまり、T600の「振動を吸収しやすい」というメリットを残しながら、ONDA形状によって必要な方向の剛性を確保しています。
その結果、路面から伝わる細かな振動は吸収しながら、コーナリングやブレーキングなどでハンドルを操作した際には、フロント周りがしっかりと反応してくれます。
快適性だけを優先すると、柔らかすぎてハンドリングが曖昧になってしまうことがあります。
X3では、T600という素材の特性をONDAという形状で補うことで、「振動は吸収するけれど、ハンドリングはしっかりしている」というバランスを作っているのがポイントです。
そして、X3の快適性はカーボン素材だけで作られているわけではありません。
フレーム全体の形状も、T600の特性を最大限に活かせるように設計されています。
Xシリーズは、レースバイクのように極端に前傾したポジションではなく、長距離を走りやすいリラックスした乗車姿勢を取りやすい設計になっています。
このようなポジションになることで、走行中の体重がハンドル側に集中しすぎず、サドル側へ適度に分散されます。
特に長距離走行では、手や腕に体重がかかり続けると疲労につながるため、このポジション設計は快適性を高めるうえで重要です。
さらにリア周りでは、T600の持つ振動吸収性に加えて、PINARELLOらしいフレーム形状を組み合わせています。
リアステーを湾曲させ、さらにシートステーを低い位置に接続することで、路面から後輪を通して伝わってくる衝撃を、フレーム後方で受け止めやすくしています。
特にサドルに座っているライダーには、後輪から伝わった衝撃がシートステーやシートチューブを通して直接伝わります。
そこで、T600のしなやかな特性と、リア周りの湾曲した形状、そしてシートステーを低い位置に配置する設計を組み合わせることで、サドルへ伝わる突き上げをできるだけマイルドにしているわけです。
これによって、荒れたアスファルトや長時間の走行でもお尻や腰への負担を抑えやすくなっています。
もちろん、T600を使用しているため、T900などの高弾性カーボンを使用した軽量レースバイクと比べれば、車体重量では不利になります。
しかし、X3はそこを単純に「軽さ」で勝負するのではなく、快適性・安定性・空力性能を組み合わせることで、実際の走行中に速さを維持しやすいロードバイクとして設計されています。
例えば、時速25km前後まで加速したあとに一定のペースで巡航するようなロングライドでは、軽量性だけが速さを決めるわけではありません。
空気抵抗を抑えたフレーム形状によって速度を維持しやすく、さらにONDAフォークによる安定したハンドリングと、T600やリア周りの設計による快適性が組み合わさることで、長時間走っても疲労を抑えながらペースを維持しやすくなります。
つまりX3は、「とにかく軽くして速くする」という考え方ではなく、「長時間走っても疲れにくく、結果として速く走り続けられる」ことを狙ったロードバイクと言えます。
コンポーネントには、SHIMANO 105 Di2の12速を搭載しています。
電動変速なので、レバーのボタンを軽く押すだけで素早く正確に変速できます。
特に登坂中や疲労が溜まったロングライドでは、機械式変速のように大きな力を必要とせず、指先だけで変速できることが大きなメリットです。
油圧ディスクブレーキも搭載されているため、長い下り坂や雨天時でも少ない力でしっかりとした制動力を発揮できます。
PINARELLO X3は、東レT600の持つ強度と振動吸収性をベースに、ONDAフォークやリア周りのフレーム設計によって快適性と安定性を高めたエンデュランスロードです。
さらに105 Di2による電動変速も搭載されているため、ロングライドを快適に楽しみたい方はもちろん、快適性を確保しながらしっかり速く走りたい方にもおすすめできる一台です。
少しでも気になった方は、ぜひY’s Road宇都宮店へお越しください。
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