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【Tech】最近増えてきた”T47″規格のBB。同じT47でも実は細かく種類がある!?間違えないようにご注意ください!!【ボトムブラケット】
by: 松野

横浜ワールドポーターズ店松野です。

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昔から論争の種になる、スポーツバイク業界のBB規格問題。フレームメーカーやBBを作っているメーカーが新しい規格を提唱したり、流行らずに廃れたり…と言う歴史があります。

 

そんな中でも最新かつ採用フレームが増えてきたとある規格がややこしいので注意です!!!

 

 

T47規格

 

そもそもBBの規格には「スレッド(ネジ)」「プレスフィット(圧入)」の二つがありますね。ネジ式はトラディショナルなJIS(BSA)やITA規格があります。

圧入はBB30ぐらいから増え始め、BBシェルがカーボンのみで成形できるPF30やBB386EVOなんかもあります。軽量に作れるのですが、寸法管理やメンテナンス性、音鳴りなどのデメリットがあるので、メンテナンス性を求めてネジ式に回帰してきたところで新しく提唱されたのがT47規格なんです。

※本当は同じ規格でもロードやMTBでシェル幅に種類がありますが、今回はとりあえずロードで使われる幅に限ってお話します。

 

 

新しい規格と言っても、完全にゼロから作られたわけではなくベースとなるのは圧入タイプのPF30BB386EVOです。

まずPF30の寸法は内径が46mmで幅が68mmとなっています。幅が68mmなのはJISと同じですね。

PF30

 

 

そしてBB386EVOはPF30と同じ内径46mmですが、幅をぐっと86.5mmまで拡張した規格です。SHIMANOの提唱するBB86と同じ幅ですね。どうやらSHIMANOのクランクを使うには最大で86.5mmぐらいの幅が都合が良いようです。TREKは少し前までスペーサー類を極限まで減らして90mmまで幅を広げたBB90なんてのを採用していましたが、耐久性などに難があったのか辞めてしまいました。

BB386

 

 

 

そんなPF30とBB386EVOの寸法をベースにネジ山を立ててたのがT47規格なんです。”T”はThreadを意味しており、47はBBのネジ部分の外径を表しています。

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BBのネジ部分をノギスでパカっと挟むとピッタリ47mmという訳です。

 

 

BBシェルの内径はPF30やBB386EVOと同じく46mmです。ネジのピッチは1.0でめねじの谷径はちょうど47mmになります。

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アウトボード規格

そして、同じ”T47″でも種類が分かれてきます。まずはPF30にネジを切ったのと同じ寸法なのがT47 アウトボード(Outboard)です。幅はPF30と同じく68mmになっています。

JISやITAのようにBBシェルの外側にベアリングが配置されるのでアウトボードと呼びます。JIS規格をそのままでっかくしたようなもんですね。大手メーカーではほとんど採用されていませんがビルダー系の金属フレームなどで採用されることが有るみたいです。

ちなみに横浜店で組み立てをしたMULLERはT47アウトボードを採用していました。

 

インボード規格

もうわかるかもしれませんが、BB386EVOをネジ切り化したのがT47 インボード(Inboard)です。当然ながら幅はBB386EVOと同じく86.5mmです。BBシェルが広い為剛性を確保しやすいので大手メーカーはインボード規格のBBを多く採用しています。同じく86.5mm幅のインボードタイプであるBB86よりも大径なため、ROTORなどの30mmスピンドルとの相性も◎ですね。

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 特にMTBで多いのですが、BBシェル内径が41mmのBB86/BB92にφ30mmスピンドルのクランクを組み合わせる場合、ベアリングが非常に薄いので耐久性に難があります。T47ならもともとφ30mmスピンドルを使用する前提に作られたPF30がベースなので設計に余裕が生まれるわけです。

 

T47 85.5

厄介なのがインボードの派生タイプである85.5mm幅のT47規格です…。
TREKがT47を採用する際にBBで有名なPraxis Worksと開発した(らしい)、幅が1mm狭いT47です。

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ベアリングの幅やBBのフランジの厚み(=工具のかかり)などいろいろな理由があるっぽいのですが、とにかく同じT47 インボードなのに幅が1mmだけ狭いのです…!

 

実際どっち…? 

T47 85.5に関しては「TREKのT47はなんか違うらしい」とご存じの方も多いかもしれません。では思いつく範囲で、取り扱いメーカーの中で情報が見つかったT47規格をチェックしてみると…

 

 

COLNAGO⇒85.5
Corratec⇒T47A

CHAPTER 2⇒86.5
ENVE⇒インボード/幅の記載なし

FACTOR⇒T47A
FELT⇒T47A
FUJI⇒記載なし
JAMIS⇒記載なし
LOOK⇒85.5

TREK⇒85.5
WINSPACE⇒記載なし

 


※T47Aは後述します。

COLNAGOは公式サイトに記載がありませんでしたが実測したところV4RsやC68は85.5でした。

 

 

あ、あれ…?TREK規格だと思っていた85.5mmってむしろ86.5より多くない……!?

 

 

対応BB

そんなわけで86.5と85.5が存在するのですが、T47用BBを少し調べてみました。

 

・TOKEN⇒86.5対応。付属のBBスペーサーで85.5も対応。
・Praxis Works85.5のみ対応。
・TNI⇒86.5対応。
・FSA⇒86.5対応。

・Wishbone85.5のみ対応。
・Ceramicspeed⇒86/85.5両対応。…※
・SRAM(DUB)85.5のみ対応。
・SUGINO⇒86.5対応。付属のクランクシャフトスペーサーで85.5も対応。
・ROTOR(φ30mm)⇒86.5対応。付属のクランクシャフトスペーサーで85.5も対応。
・Chrisking⇒86.5対応。付属のクランクシャフトスペーサーで85.5も対応。

  

注意なのは赤字の85.5のみ対応のBBです。知らずに86.5mmのフレームに取り付けてしまうと想定よりも左右ベアリングの間隔が1mm広くなってしまい、BBのシャフトが足りなくなってしまいますね。例えばCHAPTER 2のフレームをSRAMコンポで組むときに純正BBを選んでしまうと上手く取り付けが出来ないかもしれません!

※Ceramicspeedは86.5mmではなく86mmと表記されていました。0.5mmスピンドルスペーサー付属。

 

 

逆に85.5mmのフレームに86.5mm用のBBを付けるとクランクシャフトが1mm余るはずですが、0.5mmのスペーサーを左右に入れてしまえば使えそうですね。
Wheels MFGから0.5mmのクランクスピンドルスペーサーなんかが手に入ります。

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実際にスペーサーでごまかす際は事前にBBメーカーに確認を取った方が良いかもしれませんね。

 

 

T47A

最後におまけのT47Aです。これは圧入式のCerveloのBB Rightのような形式で、左右非対称(Asymmetry)を示すAが付いています。
BBシェルの幅は76.75mm。なんだかすごく中途半端ですね…

 

と、言うのも実はアウトボードと85.5インボードを組み合わせた規格なんです。
左側はワイドな85.5mmと同じで、クランクとのクリアランスを確保するために右側はインボードの68mm。

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確かにインボードのT47と比べると、チェーン落ちなどの際に噛みこんだりしなさそうな感じですね。

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(85.5+68)÷2=76.75という訳なんです。CerveloやCorratec、FELTなどで採用しているみたいです。

 

 


 

 

最新規格…のくせにかなりわかりにくいT47規格。公式サイトに”T47″と表記があっても
T47 68mm

T47 86.5mm
T47 85.5mm
3つ存在するのでお気を付けください!!!


 

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