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【カットモデル】最新12sコンポのSTI&ブレーキキャリパーの中身を観察してみた【メンテナンス】
by: 松野

横浜ワールドポーターズ店松野です。

やってまいりました松野のカットモデルコーナー!壊れて使えなくなったパーツをカットモデルにするためにお客様や知り合いから提供してもらったので休憩時間の暇つぶしにカットしたり、普段は分解できない部分を観察していたりします。

 

今回は最新の12sの油圧STI&ブレーキキャリパーを一刀両断しました!!

 

 

ST-R9270/ST-R8170/ST-R7170

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贅沢にも最新の12sのSTIレバーを3グレード解剖しちゃいました!!

 


12sになってから落車でSTIを壊してしまう事が増えたので3つ手に入りました。どうやら電池のを保持する部分と本体の接着が弱いので、衝撃を加えると割れてしまい動作しなくなります。
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以前のSTIレバーよりも補修部品として手に入る箇所が格段に減っているので壊れてしまうとレバー丸ごと交換になります。皆さん気を付けましょう…。

 

 

DURA-ACEとULTEGRAの主な違いはレバー部分とボルト類の素材です。ブラケット本体は樹脂製なので構造を変えて差別化するのがコストに見合わないのかもしれませんね。なので重量差は左右でたったの41gに収まっています。
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具体的な違いは公表されていないので、もしかしたら可動部分の仕上げやコーティングの違いなどはあるかもしれませんが目視ではわかりません。

 

 

よく見るとULTEGRAでも内部の基盤に「9270」と書いてあります。電装部分はDURAと共通なのでバッテリーの持ちや変速の動作は全く同じはず。
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DURAとULTEはMTBでお馴染みサーボウェーブを搭載しています。ピストンを引っ張るロッドが首振りできる構造になっており、シリンダーに対してガイド部分に角度が着けられています。握りこむと作用点が支点に近づくのでレバー比が下がります。
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MTBの様に急激な変化はないのですが、握りこんでいくと徐々に動作比が変化し後半にかけて制動力が立ち上がるようになっています。

 

 

ちなみにGRX ST-RX825ではもう少しメリハリのあるガイドになっています。
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次は105グレードのST-R7170です。他二つとはバッテリーの数が違うので基盤が異なり、ST-R7120と刻印があります。(クリックで拡大)
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105はサーボウェーブ非搭載なのでロッドはピストンと一体でガイドもシリンダーと直線状になっています。レバー比がほとんど変化しないのでDURA/ULTEと比べると強く握りこんだ際の効きが抑えられ初心者でも扱いやすい設定になっているんでしょうか…?
105

 

空気とフルードを隔てるダイヤフラムを外すとリザーバータンクの形状が分かりやすくなります。エア抜きの際に中身が見えるようになると作業しやすくなりますし、トラブルの際にも役立ちます。
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こんな形状なので、エア抜きの際にはSTIを斜め下向きにしてあげるとエアが抜けやすくなります。逆に頭を上にあげてしまうとリザーバー内にエアが残ったままになってしまいます。

 

 

 

BR-R8170

2セットあるのですが、古いロットと新しいロットを比較したかったので用意しました!STIと違いブレーキキャリパーは壊れないのでなかなか手に入らないのですが、松野が新車を購入して不要になったキャリパーです。新品未使用のキャリパーを壊すのはもったいないのですが、中身を見てみたいという好奇心の方が勝ちました(笑)
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11sとの大きな違いはピストンの素材とパッドクリアランスです。断熱性の高いセラミックス製から(おそらく)フェノール樹脂に変更されました。確かにいかにも樹脂っぽい見た目ですね。
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分解してみて気が付いたのですが、ピストンの直径がφ22mm⇒φ21mmへと小さくなっています。
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ピストンやシリンダーのサイズは動作比率にそのまんま影響します(パスカルの原理)。実際にはレバー内部のアームの長さも関係するのですが、互換性は保たれているので何かで調整しているんでしょうか。

 

 

パッドクリアランスとはつまるところシールがピストンを引き戻す量です。ブレーキレバーを離して圧力が抜けると変形していたシールが元の形に戻る際にピストンを引っ張って戻します。シールの嵌っている溝の幅や形状とかシールの柔軟性でコントロールしていると思ったので断面をBR-R7070と比べてみましたが、溝の寸法はほとんど変わっていないように見えます。ノギスで計測した結果もほとんど変わりませんでした。もしかしたら柔軟性やピストンとの摩擦でクリアランス拡大をしているのかもしれませんね。
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ちなみに今回は23年の1月(VA)に製造された個体と24年の6月(WF)に製造された個体が手元にあります。実はVAの方はとある不具合のあった個体です。
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じっくり観察していたところ、一つだけ異なる点を発見しました!ピストンのシールの硬さが明らかに異なり、こんな風に両側から挟んで力をかけると古い方(VA)のシールの方が明らかに硬いので変形量が違います。また、肉眼で見ると表面の質感も少し違いました。どこかのタイミングでシールの素材や製造方法が変わったのかもしれませんが詳細は不明です。
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最後にエア抜き参考の為に内部を見てみましょう!まずは右側のブロックにはホースから繋がるポートと左ブロックへ繋がるポートが見えますね。
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左右ブロックの締結ボルトの隙間を通って左ブロックへ。旧型もそうなのですが、別で通路を設けるのではなく締結ボルトの穴を使う事で簡略化しているみたいです。
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最後にブリードポートはここから繋がっています。何となくどの角度にキャリパーを向ければエアが抜けやすいかわかってきました。
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普段は見えない油圧ブレーキ。中身がどういう構造なのかが分かれば効率のいい作業やトラブルシューティングに役立ちます。店内のどこかに飾ってあるのでぜひ探してみてください!


 

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