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【空力徹底】NISHIGOバイシクルフェス個人タイムトライアルに挑戦②
by: 佐野 隆

 

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NISHIGOバイシクルフェスの詳しい情報はこちら→大会公式ホームページへ

 

前回のブログはこちら→【空力徹底】NISHIGOバイシクルフェス個人タイムトライアルに挑戦①

 

 

今回は、現時点のコンディションの把握と機材チェックをする目的で参加した「加須タイムトライアル」の様子をご紹介します。

 

◯大会要項

日期/2015年7月12日

会 場/利根川上流河川敷内首都圏氾濫区域堤防強化事業の工事用道路

主 催 /(一社)埼玉県自転車競技連盟

コース/約10km、高低差なし

 

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photo:平坦一直線のコースレイアウト。5km先の折返し地点がある。

 

◯気象

天候/晴れ

気温/32℃

湿度/60%

風速/北東1m/s

気圧/1010 hpa

 

 

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photo:タイムトライアルは距離が短いので、スタート前のウォームアップは念入りに行う。

 

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photo:ヘルメットはKASKバンビーノを新調した。なんともご満悦な表情。

 

 

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photo:緊急事態発生!!スタート直前に前輪がバースト。ゴール後にはさらに後輪もバーストした。

 

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photo:スタートの時間が迫ってきた。いざ健脚自慢の猛者達にスピード勝負を挑む!!

 

◯結果

タイム/14分34秒

平均速度/41.19km/h

順位/7位(出走21人中)臨時登録16〜39歳の部

 

◯検証

①走行データ

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fig:PIONEERシクロスフィアの解析機能を使用

 

平均出力/248.6(w)

平均ケイデンス/103(rpm)

平均心拍数/172(bpm)

 

②空力

空力効果の算出方法はこちら→過去ブログ【空力徹底】タイムトライアルジャパン第二戦

 

Cd*A=Fd*2/ρ*V2

 

Cd=?????:抗力係数

A=?????:前面投影面積(m2)

空力の目安として一般的なCdA値(空気抵抗係数)を用いる。

 

Fd=19.1:抵抗(N)

平均出力248.6Wを全抵抗とし空気抵抗以外を30W(当ブログ内)とする。

 

ρ=1.141:空気密度(kg/m3)

上記気象条件より算出した。

 

V=11.44:速度(m/s)

平均速度41.19km/hを使用する。(本来は加減速分のデータを除く)

 

以上を計算すると

CdA≒0.256

 

以下、有名プロ選手の空気抵抗係数の推測値

 

クリス・フルーム(186cm/68kg)/0.237

ファビアン・カンチェラーラ(186cm/82kg)/0.251

トニー・マルティン(186cm/75kg)/0.244

リッチー・ポート(172cm/62kg)/0.218

リーバ・ライプハイマー(170cm/60kg)/0.214

 

抵抗係数は体格の差により一定の関連性がある。

空気抵抗係数については別ブログにてご詳しくご説明します。

 

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photo:ツール・ド・サンルイスの個人TTを疾走するライプハイマー選手。引用元(http://velonews.competitor.com)

 

 

◯課題

①タイヤのバースト

ホイール/REYNOLDS AERO72クリンチャー

タイヤ/IRC アスピーデPRO24C

チューブ/PANARACER R-AIR

普段は、フロント6.5barリア7.0barでセッティングしていたが、0.5barの欲がダメであった。

後日何度か試してみたがリムとタイヤの相性が良くないらしく7.0bar付近からタイヤビードがズレ始めてしまった。

 

さすがにリスクが大きいので、タイヤはIRCをあきらめSCHWALBEアイアンマン24Cに変更。

 

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photo:空気抵抗軽減効果を狙った特徴的なトレッドデザインを採用

 

 

②ペダリング左右バランス

今回最も問題になったのは、左ペダリングが全く踏めなかった事。

原因はすでに分かっています。

数ヶ月前からオーダーしていた非真円リングが直前に届き、実走テストは一度のみであった事。

テスト時から若干の違和感を感じていたが、今回は機材テストも兼ねていたのでそのまま使用したが、スタート直前までクリート位置の調整をせざるを得なかった。

 

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fig:緑線が出力、赤点下が左右バランス(Ave/30s)

 

平均値では右57%:左43%となるが、後半にかけ徐々に差が広がり、それに伴い出力も低下している。

最終的にはラストスパート時で60:40にまでバランスが崩れていた。

想定出力より低かったのはこのバランスの悪さ…というか、非真円リングによる左ペダリングの違和感が原因である。

 

右左の出力を計算すると

右250*0.57=142.5(w)

左250*0.43=107.5(w)

となる。

 

真円リング使用時のn/power値は285wとなり、ある意味想定通りの結果となっていたはずだが…。

 

 

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img:引用元(http://www.rideabikes.com/tec.html)

 

今回の違和感の原因であると考えられるRIDEAリングは、DUO-OVALという楕円を2つ重ね合わせた独自の非真円形状を採用している。

 

最大歯数を使える有効角度が大きく、踏み込み時間が長いと感じるメリットがある反面、リングの取付け位置を調整出来ないため、最大歯数角度とペダリングの最大トルク角度がズレている場合、「突っかかり」や「抜け」を感じ、最悪の場合は膝の痛みを発症にすることもある。

 

 

次に「PIONEERペダリングモニター」を使用し、通常時のペダリングを解析したものと比較する。

走行内容は約4時間のライディングを行い負荷は持久走から最後のみテンポ走となる。

 

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fig:ロードバイクと真円リングでの走行データ

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上記データ(特に赤丸値)からも分かる様に、真円リングとロードポジションでは左脚の方が有効に働いている。過去の走行データも同様の結果となっていた為、改善すべきは右脚の方だと思い込んでいたのだが。

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fig:ロードバイクと真円リングでのペダリングベクトル

 

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fig:ロードバイクと真円リングでのトルク曲線

 

持久走ペースでペダリング効率の意識をあまりしていないため、回転の後半ではかなりマイナストルクが発生しているが、注目すべきは左脚の法線方向の力を表したピンク線。150°から180°(上図の赤丸)では右脚に比べ「巻き脚」の動きが有効に作用している。

 

考えるに

この「巻き脚」の動きは、ランニングで例えると親指(母子球)で地面を強く蹴っている状態に似ている。

ランニングなどでは一般的に踵から地面に着地をし、外側のアーチを通り小指(小指球)へ、そして親指(母子球)と足裏に力が伝わる仕組みになっている。

 

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img:踵着地からつま先離地までの重心移動の様子。引用元(http://www.asics.co.jp/walking)

 

ペダリングをこのランニングの動きと同種と考えると、地面に着地してから始めに体重を支え踏ん張る小指の動きと、ペダリングの上死点から踏込み、ペダルに体重を乗せ始める動きが一致する。

 

つまりRIDEAリングの速い踏み込み位置(1〜3時)に対応するには、小指(小指球)の踏込みの強さが必要と考えられる。

 

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photo:以前に使っていたインソール

 

一目瞭然、左足の小指は全く踏込めていない一方、親指の踏張りが強く巻き脚が使えている証拠である。

 

◯対策

1、バイクトレ以外で動きのドリルの実施

2、インソールカント角やクリート位置などの調整

3、ペダリング中の左小指の意識づけ

 

本番まであと一ヶ月に迫った。RIDEAリングで行くか、諦めるかの決断を近々にしなければならない。

 

 

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