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2016/07/26 16:36
ロードレース最大のお祭りがおわりました。
結果は大方の予想通りでした。
もう少しアタック的なものでの波乱があるとみているほうとしては面白くなるのですが。落車が今年も多かったですがそれによる波乱は楽しめないので減ってほしいですね。
Loot NL Jumboのチームが使っているバイク、BIANCHIのOLTREXR4の詳細が出てきましたので少しまとめたいと思います。
すでに情報自体は出回っている内容ですがそれに対する個人的意見も含めつつ書いてきます。*ちょっとまとまりなく長いです。
まずはカウンターヴェイルの搭載が一番の目玉でしょう。
ホビー的には乗り心地よくなって良かったーというところですが、プロにとってそれ以上にメリットになっているのが振動吸収性のの向上による走りの向上です。
現在プロがバイクに求めているものの一つであり一番かもしれないのはパワー伝達効率ではないでしょうか。要は踏んだ力を無駄なく推進力に変えるということ。どのメーカーも効率を訴えているのはそういうことではないでしょうか。
剛性を上げるのも反応性の向上という面もありますがパワーが逃げないように、伝達効率の向上になるからです。ただし剛性を上げると単純に言えば固くなって疲労面で効率がさがります。特にプロの200km前後を走るレース、ステージレースはさらに何日も続けなくてはいけない。
カウンターヴェイルはその両面を向上させることが出来る特許技術です。BIAHCHIだけのものです。
またフレーム内での余計な振動が抑えられることによりエネルギー損失を減らしてより推進力へと変換することが出来ます。
ではそのカウンターヴェイルとは?
独自のカーボン構造により粘弾性を持った素材をカーボンの間に挟み込んで成型するために剛性や重量面でのデメリットなく振動吸収性を向上させています。
それは従来のカーボンに対して約80%もの振動を除去できる結果となっています。
展示会にてピンポン玉をフレームに落として跳ねる量の違いの実演を見せてもらいました。跳ねる量は3分の2から半分くらいで跳ねが収まるのもそうとう早かったです。
次にエアロロードとして更なる空力の向上。
CFD解析や風洞実験、フロービジュアライゼーションといった実験のもと更なる改良が進められました。
また前述のカウンターヴェイルによりより長い間エアロポジションが取れるのでそれによる向上もあります。
結果XR2に対して+20w(風洞実験、速度50km時)の向上を得られています。最近はパワー計が普及しているのでこの数値がどれだけのものかわかる方もいるかと思いますが、わかりやすい例だとFTP(1時間あたり出し続けれる最大パワー)をプラス20wしようとすると数年がかりでのトレーニングが必要だと考えるとその大きさがわかると思います。*いろいろと大まかなイメージとしてまとめています。
フロントフォークはAquilaCVの技術を使用した設計で少しがに股みたいな形状をしています。他メーカーもその形状が多くなっているので現在の空気力学的にはベストな形なのでしょう。ちょっと見た目かっこ悪いですが。
それ以外としては
地味にヘッドチューブが短くなっているのがいいですね。レース的なポジションが出しやすくなっています。
全体でバージョンアップといったモデルチェンジです。もともとエアロロードでもナチュラルな乗り味でさらにカウンターヴェイル搭載で走りの効率が良くなったとなればLoot NL Jumboの選手が山岳ステージも含めて使っていたのは納得ですね。
Loot NL Jumboチームまとめ
*以下ネタバレあり
第17ステージ
二回目の休息日後の山岳ステージ、最後は1級上ってすぐに超級の頂上ゴール。
Loot NL Jumboにとって落ち着いた?一日逃げにもメイン集団にも入らず第三集団あたり(新城と同じ集団)とグルペットに分かれてゴール。
第18ステージ
個人山岳タイムトライアル。ただしトッププロにとって完全なヒルクライムでなく速度の乗るコース、機材選択が問われる。
総合順位がないためか3分以上の差でウィルコ・ケルデルマンとジョーシ・ベネットがフィニッシュ。昨年オランダのTTチャンピオンにもなっているウィルコ・ケルデルマン、通常の山岳ステージでも走れているのでもう少し走れるかと思われるので無理せずといったところか。
第19ステージ
休む箇所が少ない山岳ステージ、中盤に超級超えて最後は1級の頂上ステージ。
ジョーシ・ベネットがパレード区間から審判者のすぐ後ろに陣取って逃げる構え。無事に20名ほどの逃げに加わるも落車が多発して、ジョーシ・ベネットも落車してしまう。集団に吸収されたがチーム内最上位15分遅れでフィニッシュ。ウィルコ・ケルデルマンはその少し後ろ18分遅れでベルチャン・リンデマンとともにゴール。ステージ優勝狙いに切り替えているがなかなかうまくいかないものですね。
第20ステージ
山岳三連戦(個人TTが山岳TTなので4連戦?)の最終ステージ、実質最後の総合順位争い。2級・1級・1級・超級を超えてダウンヒル後にゴール。
スタートアタックに乗ったのはウィルコ・ケルデルマン、大きな逃げ集団から少し絞られた30名の逃げにはジョーシ・ベネットも乗っかりました。その後8名程がさらに先行していき、1位イサギーレ・2位パンタノ・3位ニーバリとなりますがウィルコ・ケルデルマンの粘りの走りでその後ろを吸収しましたが下りで落車してしまい2分以上遅れての7位。ただしラスト1キロ前後だったため救済措置がとられタイム的にはアランフィリップと同タイムの49秒遅れに。
第21ステージ
最終日シャンゼリゼ通りの平坦コース。純粋なスプリント勝負。
セプ・バンマルクがスプリントした模様、ディラン・フルーネウェーゲンはどうしたのでしょうか?道中はチームメイトと集団半ばに陣取ってたようですが。セプ・バンマルクはカチューシャ列車に乗って集団前方まであがるも途中離れてしまい、オリカの選手の後ろにつきなおしてスプリントに備えるも大分あしを使っているようで特に伸びることもなく18位でゴール。
Loot NL Jumboの結果
総合順位はウィルコ・ケルデルマンの32位、1時間24分遅れ。新人賞もウィルコ・ケルデルマンの4位、1時間20分遅れ。チーム順位は16位。
それなりに良い結果だったが満足はしていない、目標を達成できていないというのがチームとしてまた各々の選手の感想みたいです。
はたから見てもそんな感じでした。ただし今後の可能性も見えたかと思います。個人的にウィルコ・ケルデルマンが調子を崩さなければいいとこいけそうな感じだったので注目ですね。
山岳の協力アシストがもう一枚くらい欲しいところですね。スプリントも同様に最終局面まで張り合えるアシストがいると違ってきそうです。