1,850

“CANNDALE F400″フルリジッドMTBに生まれ変わる。【お客様の一台】
by: 木立春之介

こんにちは。作業担当です。
普段はお客様からご依頼いただいた修理やカスタムを承っております。
今日はそんな日々のカスタムや修理の中から私の琴線に触れる一台を担当させていただきましたので、ご紹介させていただきます。
まずはブログの掲載にご協力いただきましたオーナー様に感謝申し上げます。

CANNONDALE F400

前回投稿したCAAD9のカスタム記事で、「あとどれくらい、HAND MADE IN USAの文字が入った車体に携われるか」なんていう、しんみりとしたコメントでブログを締めくくったのも束の間、そのチャンスはあっさりとやってまいりました。CAAD9をお客様へお引渡してから、ほんと直ぐにこのF400の修理のご依頼をいただいたんですね。我ながら、なかなかの引きの強さです。F400と言えば独特なフロントフォークが真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。「ヘッドショック」というキャノンデールが生み出したフロントサスペンションがF400には搭載されていて、ヘッドチューブの真下に延長するような形で取り付けられたサスペンション構造は今見ても中々に独創的。個人的には、この攻めた発想にグッと来てしまうわけです。

お客様よりお借りした当時の資料。

今回のご依頼

今回のご依頼は正にこのヘッドショックに関する内容で、ヘッドショックを保護しているフォークブーツが破損しているのでフォークブーツだけ交換できないかというご依頼内容だったのですが、残念ながらこの個体はヘッドショック自体が完全に抜けきっている状態で、サドルに座ると完全にサスがフルボトムしてしまうところまで来ていました。前回ヘッドショックをオーバーホールをされたのが当店で10年以上前とのことなので、このフロントフォークも大分ここまで頑張ってきたということですね。

作業に夢中で車体に取り付けてある状態の画像を撮影し忘れました…。

となるとサスペンションを再度オーバーホールに掛けたいところではあるのですが、ヘッドショックの部品供給は年式的もに終了していますので、このルックスを維持したまま乗り続けるというのは現実的になかなか厳しいわけです。オーナー様はこの車体に愛着のある方でしたので、どういう形であれ乗れる限り乗りたいと考えていらっしゃいます。今回はその意向を汲んで、こんなご提案をさせていただきました。

フルリジッドMTB化

ヘッドショックを搭載しているキャノンデールのフレームはヘッドチューブのパイプの規格が一般的に良く使用されるヘッドチューブと比べて、径が大きいものを使用しています。それに合わせてフロントフォークの柄の部分も径が太く設計されているので、汎用のフロントフォークがそのままでは細すぎて付けられないという事情を抱えているんですね。

※左がヘッドショック、右が一般的なコラム。

 

こうやって見るとヘッドショックは極太です。

しかし偉大な先人たちのお陰もあって、汎用のフォークをこのフレームに付けるための変換用のヘッドパーツというものが存在しており、それを純正のヘッドパーツを取り払って新しくこのヘッドパーツに付け替えることによって、社外のサスペンションフォークから、はたまたリジッドフォークまで多彩な選択肢の中からフォークを選択できるようになるという、なかなか夢のような代物が世の中には存在しているのです。

RESET RACING CTRL-C
幸いなことにお取引様より最後の一つとなるRESET RACINGの変換用ヘッドパーツを入手することに成功しました。ちょっとニッチな部品ですので、こういう商品をリリースしているパーツメーカーさんというのは非常に貴重な存在です。何とかヘッドパーツが入手できたのでフロントフォークの方はどうにかなります。
ここで重要になってくるのがフロントフォークの種類。オフロードがメインということであれば、最新のサスペンションフォークを入れて山と戯れるなんていう使い方も乙ではありますが、お客様の自転車の楽しみ方を伺ったところ、街乗りやツーリングをメインに楽しまれているようでしたので、今回はリジッドフォークを入れるご提案をさせていただきました。サスペンションの機構がない分、漕いだ力のロスが減るのと、サスペンションのメンテナンスからも解放されるので、使用用途で考えると使いやすいバイクに生まれ変わると思っています。

GRUNGE カーボンリジッドフォーク
このフォークの個人的お気に入りポイントはフォークの肩の部分。マウンテンバイクのサスペンションフォークのような角張ったルックスなのもあって、この辺りの年式のバイクと合わせても雰囲気が壊れないのが嬉しいのと、26インチMTBの為にカンチブレーキ台座が付いた仕様をちゃんと用意してくださった事にトキメキますね。パイプ部分はカーボンなので軽量化も期待が出来るでしょう。オーナー様、次回ご来店されましたら感想を聞かせていただけると嬉しいです。

フォークが変わったことでステムとコラムスペーサーも新しく用意して、いざ組み付け。

完成

良い。
漂うアンダーグラウンドな空気感。サドルをベタ下げにしてトリックを決めていたとしても何ら不思議ではありません。

 

こうやって見るとタイヤのクリアランスにも、まだ余裕がありそうなのでフロントだけなら更に太目のタイヤが入りそうです。

フォーク側にもフレーム側にもディスクブレーキ台座が装備されているので、将来的にディスク化なんてことも可能です。

「HAND MADE IN USA」「MADE IN GERMANY」海を越えた共演がここに実現。

いかがでしたでしょうか。
未だに根強い人気がある2000年代のCANNONDALEのMTB。仕事の休憩時間にSNSを見ていると、このバイクが現役だった頃のライディング映像が良く流れてきますが、遡って見てたりなんかすると気が付いた時には時間が溶けて無くなってますね。残念ながらこのバイクが全盛で走っていた頃を知らないのが悔やまれますが、今こうやってカスタムで実車を見ると今のバイクたちとはまた違うカッコよさを持っているように感じます。前回のCAAD9同様、少し前の時代のバイクを現代仕様にアップデートして再び元気に走れるようするというのは何とも気持ちが良いものです。

改めてオーナー様、作業のご依頼とブログ掲載のご協力をいただいたことに感謝申し上げます。

最後に素敵な写真の提供はスタッフ下山田でした。

 

 

 

施設案内

 

大型屋内駐車場併設!
雨でも濡れることなくお店に来れます!
店頭自転車即日納車強化中!