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~スタッフ高橋の奇行~Vol.4.3 唐突にキャノンボール【DNF編】
by: 高橋

前回に引き続き、ライド後編です。

箱根の洗礼を受けながらも、ようやく静岡県まで辿り着いた高橋。しかし本当の地獄はここから。静岡県内のルートでは海に近い場所を走るため、これまで以上の強風が待ち受けます。

ここから先は、向かい風に真正面から立ち向かう精神の闘いです。

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ひたすらに進まない

静岡県に入って向かい風に精神をゴリゴリ削られながら走る最中、知人から一枚の画像が送られて来ました。

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なんとこの日「風強すぎ」がtwitterトレンド入り。

「こんな日に風向きに逆らいながら500km走ろうとするなんて、馬鹿じゃなかろうか…」 「大阪→東京キャノンボールだったr…(略」などと考えながらペダルを回します。

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右に富士山、左に駿河湾という絶好のロケーションですが、風を遮るものが何も無いためこれまで以上の暴風に襲われ、海岸の砂まで飛んでくるオマケつきです。

静岡県内は大きなアップダウンもなく、ひたすら平地ですが向かい風の影響で20km/h前後しか出ません。登り坂でスピードが出ないのであれば「そういうもの」として認識して勾配に合わせたペダリングになりますが、平地では平地なりの姿勢、ペダリングになっています。「この勾配ならこれくらい進む」という経験からくる認識と、実際に進む距離の乖離が精神の消耗を一層早めます。

ここまでの暴風ともなると、35mmハイトのリムでも足元が掬われます。ビル風や通りすぎる車が起こす不規則な気流は、警戒を怠れば車道に押し出されるか、縁石にぶつかるか。浜中湖を渡る橋の上では、あまりの風の強さに車体を傾けながらカーブを曲がる時のような姿勢で走らなければならない程でした。

写真など撮っている余裕も、景色を楽しむ余裕さえも残っていません。キャノンボールを27.5時間以内で走りきれば[完走]となりますがそれすらできそうになく、もはや30時間掛けてたどり着くかどうかというレベルに。

300km地点。やっとの思いで静岡県を抜け、残り220kmほど。今後ずっとこのペースと考えた時にいよいよ私は「リタイア」を決意しました。

無計画ライダーの避難所

リタイアするとは言っても、当然ホテルなんて予約していません。そんな時にも役に立つのがネットカフェ。予約不要で利用でき、「ただ休憩する場所が欲しい」という時に非常に便利です。
場所によってはシャワーが無料で使える場所もあるので、身体を休ませるには必要十分な設備。私は利用する可能性がある場合には財布にオレンジ色の会員カードを入れています。

○活クラブの鍵付き完全個室は横1,200mm 縦2,000mmと言われているので、輪行バッグに入れてしまえば余裕で入ります。

 

豊橋市の快○クラブにチェックイン。シャワーを浴び、今後のライド計画を考えます。
Windyによると、翌日は風も穏やかになる様子。「朝起きて風が穏やかだったら大阪市道路原標まで走ってから帰ろう」と取り敢えず目的地に辿り着くことを目標にします。

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予報通りならかなり穏やかになるはずだが…

朝7時半に起床。さて外はどんな様子かな〜?と出入り口を開けた瞬間、昨日と変わらぬ冷たい強風が通り過ぎます。

「・・・帰ろう。」

自然とは無慈悲なものです。大きなため息をつきながら朝食を摂り、帰路を考えます。

かいしんのいちげき!

筋肉痛1つ無くピンピンしている高橋。大阪→東京キャノンボールだったらどうなっていたのか」を体感してみることに。帰りの300kmも自走で行くことを決意します。

チェックアウトを済ませ、走り出すとまるで背中を押されているような感覚。昨日は20km/hも出せなかった道路で40km/hが余裕で出せてしまいます。
「イャッホー!!楽しい〜!!」と元気に走り出す私ですが、この後悲劇に見舞われます。

走り出して10kmほど進んだところで後輪に引っ掛かるような感覚を覚えます。「ガムでも貼り付いたか?」と思い、確認してみると。

プスーーーーーーー…という嫌な音。。。

 

「おいおいおいおい嘘だろ!?」

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何となんと釘がブッスリ。
そんなことある!?このタイミングで!?
そしてパンク今回の被害はパンクだけではありません。1本あたり10円もしないであろう釘にSMITHのカーボンリムが抉られてしまい使用不可能に。

これには流石に頭を抱えました。

シーラントがセンターの穴は塞いでくれ、「おぉこれがシーラントの力…」と感心していましたが、タイヤサイドに開いた穴は塞げず、チューブを入れクリンチャー化して走ることに。

 

結局、最寄駅から浜松駅まで輪行し、新幹線で新横浜まで移動。
そこからは自走で帰宅しました。

スタッフ高橋の「唐突にキャノンボール」は始まりも終わりも最悪な結果となってしまいました。

キャノンボールを振り返って

今回の無謀とも言える向かい風キャノンボール。思い返せば出勤前にカロリーメイトの箱で指を切ってしまったところから既にダメだったのかもしれない…。なんて冗談はさておき、走ってみて感じたことを書き綴っていこうかとおもいます。

キャノンボールは競争じゃない

キャノンボールは誰かと比較するようなものではありません。完全に自己責任の”チャレンジ”。故に結果は非常にシンプル。[達成]もしくは[完走]するかしないか。それ以外の何物でもありません。

使えるものは使っていく

競争じゃないということは、フェアでなくてもいいということです。誰かと比較するわけではありませんから。
そして今回私はそれを失念していました。故に追い風になることを「甘え」と考え、DHバーのような物の使用も「純粋じゃない」と勝手にフェアプレー精神を抱いていました。しかし今回この地獄のキャノンボールを通して、「風向きに、機材に頼っていい。これはそれほどのチャレンジだ。」と認識を改めることができました。

挑戦を「楽しむ」

私はレーサーではありません。恐らくこの記事を見ているほとんどの人もそうでしょう。であれば、最優先すべきは「楽しむ」こと。
速く走る・長距離を走る・KOMを取る。そこに「楽しさ」を見出せるのであれば、そこに向かって苦痛を伴うトレーニングを積むのも大切だとは思います。
しかし今回のライドは残念ながら、私としては何一つ楽しくは無く、何も残せず。ただただ虚無感に包まれただけです。
目標に向かって努力を積み重ねていくことも大切ですが、目的は見失わないようにしましょう。

「好きこそものの上手なれ」

まずは楽しみましょう。自転車を。
「走らなければ」ではなく「走りたい」と思えるように。
ライドスタイルに合わせたパーツのご案内、ライドのノウハウなど。そのお手伝いを我々ワイズロードのスタッフはしていきますので、お気軽にご相談ください!

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