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2025/10/03 22:59
ワイズロード東大和店の高橋です。
ロードバイク用レーシングタイヤで最速と言われるVittoria CORSA PRO。
トッププロ含む数多くのライダーに選ばれるこのタイヤですが、実は私がマトモに使うのは今回が初めてです。
今回はCORSA PRO TLRとCORSA PRO TUBE TYPEの比較と、TPUチューブとラテックスチューブの2種類のチューブで使ったときの比較をしてみました!
トピックス
国内外で絶大な指示を得ているVittoria CORSA PRO。
選ばなかった理由はあまりにレビューやインプレが多く、敢えて自分がテストするまでも無いと感じていたこと。そして、前モデルCORSA GRAPHENE 2.0でしっくり来なかった事が大きな理由です。
私がまだ”飛び道具”を持っていた頃に1度使ったことはあるのですが、乾いた走行感とグリップ感などのフィーリング面、耐久性などなど。全体的にGP5000が優勢に感じ、「CORSAは自分には合わなかったんだ」と結論付けました。
CORSA PROが発表されてからも皆が口を揃えて言うのが「転がり抵抗が~」「コットンケーシングによるしなやかな乗り心地が~」といったもの。
正直、レースに出るわけでは無いので耐久性、耐パンク性は重視したいですし、性格の合わないタイヤを使うのも気が乗らないので選択肢から除外され続けていました。
1つは「そろそろ食わず嫌いしてもいられないか」という思いから。
「ヨッコイショ…」と重い腰を上げたような感じです。
そしてもう1つはCORSA PRO TUBE TYPEを装着した車体に触れる機会があったことです。
数百メートルしか乗ってはいませんが「あれ?このタイヤ良くね?」と感じたことを切っ掛けに、使ってみることを決意しました。
実は以前こちらのブログを投稿した際に、サムネイルに使用している画像。これは私がCORSA PRO TLR 28Cを使ってみた時の写真です。
使ったシーラントはVittoriaのUNIVERSAL TUBELESS TIRE SEALANT。
といってもVittoriaの製品はとても上手くできていて、CORSA PROにはこのシーラントしか使えないのです。
定番のMac-offや、液体を残さないマクハルですらこのタイヤは受け付けません。
これは素直に本当に凄いと思います。
今回はTUBE TYPEに焦点を当てるためにTLRのインプレはざっくりと済ませます。
まずは定評のある転がり抵抗。
これは確かに秀逸。高速域になればなるほど他のタイヤとの違いがハッキリと分かるほどよく転がります。
クリテリウムなどの高速レースにおいてユーザーが多いのも納得です。
前モデルのCORSA GRAPHENE2.0とは使用環境があまりに違うため、一概に比較はできませんが、根っこの部分の性格は同じでありながらも全くの別物というレベルで扱い易くなっているように感じました。
しかし、今回に限った話ではありませんが、どうもチューブレスレディは初速の鈍さが気になります。
液体の抵抗を感じているのかどうなのかは定かではありませんが、ピュアチューブレスのIRC FORMURA PRO RBCCやクリンチャーのGP5000,R1Xのような、心地よいダイレクトな漕ぎ出し1歩目が感じられません。
速度が乗ってしまえばその後の加速感などには影響しないのですが、レースや信号の少ない田舎道で使うならまだしも、東京のような信号だらけでストップ&ゴーが多いシチュエーションだと、漕ぎ出しの軽さが欲しくなります。
CORSA PRO TLRでネックに感じた初速の鈍さ。CORSA PRO TUBE TYPEでは重量も軽くなっているため、この弱点が克服されるのではないかという期待を胸にTUBE TYPEを使ってみます!
まずはその肝心の重量から。
公式では
25c-245g
28c-255g
30c-270g
ですが…
実測259g…。
留めてる輪ゴムの重さかな!誤差ですよ誤差!(すっとぼけ)
TLRの28cが公式280gですので、公式重量比較で25g軽くなっています。
今回使ったTPUチューブはPanaracerのPurpleLite。
重量は36g。ほぼシーラントと同じ重さ。と考えると、25g+チューブレスバルブ4gの約30g軽量化となります。
この数字を大きいと捉えるか小さい捉えるかは、意見が別れるのではないでしょうか。
─────インプレッション─────
ネックに感じていた初速の鈍さはクリア。
非常に軽い漕ぎ出し。重量差以上の違いを感じました。
登坂性能も重量の恩恵か優れているように感じます。
TLRに比べて少ししなやかさが損なわれているように感じますが、他のタイヤと比べれば圧倒的にしなやかで乗り心地が良いのは変わりません。
特に段差を越える瞬間には明らかにゴムとは違ったソフトな感触が伝わってくるため、「これがいわゆるコットンケーシングによるしなやかな乗り心地ってやつか」と実感しました。
TPUチューブとの組合せでは少しドライな乗り心地となり、代わりに俊敏さが手に入りました。
また、転がり抵抗に関してはTLRと遜色ない仕上がり。
初速もクリアで高速域にも対応、ユーザビリティの高さなど評価していくと最も私の好きな組合せはCORSA PRO TUBE TYPE+TPUチューブです。
では次にラテックスチューブを使ってみたらどうなるのでしょうか?
一般的なブチルチューブと違い、ラテックスチューブは非常に柔軟性が高いです。
これにより振動吸収性やグリップが高くなり、変形する際のエネルギーロスも減るため転がり抵抗も軽くなる。と言われています。
おもしろい事に、海外の自転車系youtubeチャンネルでチューブの話題を取り扱っている動画がありました。
その動画内では「TPUは酷い」「ラテックスが良い」という評価な一方で、コメント欄には「TPUにして走りも重量も軽くなった」「ラテックスは高価な上に使いづらい」といった真逆の意見が寄せられていたのです。
国内メディアでもラテックスチューブを推す記事を見かけますが、果たしてどうなのでしょうか?
今回使ったチューブは同じくVittoriaのCOMPETITION LATEX。
25/28cで重量は85g。TPUチューブが一般的な選択肢の1つとなった現在では、お世辞にもこの数字は「軽い」とは言えなくなってきました。
ひとまず片方だけ交換して、1つはラテックスチューブ、1つはTPUチューブにして5barにセット。
手で圧して感触を確かめますが、この状態では違いは全くわかりません。
両方ともラテックスにしてロングライドに出掛けます。
ラテックスチューブは空気の抜けが早いという話をよく耳にするので、最初は5barでスタート。
漕ぎ出しではやはり少し重さを感じますが、チューブレスレディの時のような違和感に感じる鈍さはありません。シンプルに少し重くモッサリしています。
乗り心地は空気圧を高めに設定したため、硬く、転がり抵抗が減った気もせず、あまりよくわかりませんでした。
走り出して約7時間。
峠を登っている最中に、明らかに走り出した時に比べて空気が減っている事に気がつきました。フロントのタイヤの潰れかたが違います。
峠を越えてダウンヒル。
乗り心地もよくなっており、コーナリングのグリップも良好。
アジリストのような突っ張るようなグリップとは違い、路面を捉えて自然な感覚に近いグリップ感。
イメージ的には、アジリストはバイクを寝かせた瞬間から曲がり、直線から円弧曲線に切り替わる印象。
CORSA PRO+ラテックスは曲がり始めは緩やかで徐々に曲がり、クロソイド曲線を描くような印象。
自然なコーナリングができ、扱いづらさを感じることはありませんでした。
グリップの限界点は他のタイヤと比べて感じ取りにくいものの、これは恐らくショルダー部分にパターンなどが存在しないからだと思います。
GP5000やFORMULA PROはタイヤの肩にパターンが彫られているため、タイヤのどこが接地しているのかを感じ取れます。
CORSA PRO CONTROLには「フィッシュボーン・テクスチャ」が施されているため、この辺の挙動はより感覚で捉えやすくなっているのではないかと思います。(CONTROLも気になるのでチューブタイプが欲しいな~…)
とはいえ、CORSA PROのグリップの限界点が見えないわけではなく、遥か遠くにあるイメージ。
高速でも安心してコーナーに突っ込めるのはこの性能があってこそだと思います。
トッププロやレーサーに好まれるのも納得の性能です。
また、空気圧をチューブレス並みの低圧状態(フロント4.1,リア4.3bar)に設定した場合は乗り心地も良く、コーナリングも超良好、転がり抵抗も軽くTLR並みに優れた性能を発揮してくれます!
しかし、ラテックスの弱点。
空気の抜けが早い
この点が非常に賛否を分ける要因だと思います。
結局のところどちらが良いのか。
これは使い方によって変わります。
一般にレース等をするわけではなくサイクリング目的であったり、軽さが大きなアドバンテージとなるヒルクライムにおいてはTPUチューブに軍配が上がります。
一時出ていた安価なTPUチューブは確かに乗り心地が露骨に悪くなっていました。
しかし、PurpleLiteでそれは十分解消されているように感じます。
PurpleLiteもやや空気の抜けは早いですが、ラテックスほどではありません。「ライド中に空気が抜ける分を逆算して…」なんて必要はありません。
価格、満足度、ユーザビリティを考えればTPUチューブがオススメです。
反対に高速域のレースや、短時間のライドに使用する場合で、かつ頻繁な空気入れが億劫でなければ、ラテックスチューブと組み合わせて使うことで非常に頼もしいパートナーとなってくれることでしょう。
クリンチャーの扱いやすさはそのままにチューブレス並みの走りの良さを享受できます。
決戦用としてたまにしか使わない場合でも「シーラントが一か所で固まってしまう」などといった事を考える必要もありません。
各メディアで商品を紹介、レビューする人は大概「ガチ勢」と言われる人たちがほとんど。
“何を基準に”良しとするか。「ガチ勢」、特にレースに参加するような人たちにとっては、”勝利へと導く“ことが最良の選択となるため、一般消費者との感覚に乖離を生んでいるように思います。
CORSA PRO TUBE TYPE+ラテックスがTLRに肉薄するレベルの完成度と言っても、TLRにはTLRの強みがあります。
1つは空気の保持性がラテックス以上であること。
しっかりと装着できていて、エアーが漏れているという事がなければ空気の抜けはラテックスよりゆっくりです。
もう1つはやはりリム打ちパンクが無いこと。
クリンチャーで低圧運用はやはりリム打ちパンクのリスクが上がるため、なかなか思いきることができません。
TLRなら低圧運用でもパンクを恐れず走れます。
そして非常に重要なもう1つのポイントが、パンクした際の空気の抜け方がゆっくり。ということです。
チューブレスタイヤはその特性上、パンクしてから空気が抜けきるまでに時間がかかります。
仮に高速走行時にパンクをしてしまったとしても、安全に停車できるだけの時間を確保してくれます。
CORSA PRO TLR or TUBE TYPE
TPUチューブorラテックスチューブ
最適な組合せを選ぶ参考になれば幸いです!
それでは!!