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暑さに負けるな!真夏の熱中症対策グッズを科学的に解説します
by: 小田

こんにちは!

ワイズロード京都店の小田です.

暑い日が続きますね.

今年は太平洋の海水温が非常に高く,長期間にわたって高気圧が日本列島を広く覆った影響で,雨が極端に少なく,いつにも増して気温の高い夏となりました.私は北海道出身なので,京都の溶けるような暑さに毎日辟易しております.私の地元は30℃を超えるだけでも猛暑だと大騒ぎだったのに…

外に出ることさえ億劫なこの季節,それでもサイクリングに出かけようとするタフなあなたへ.熱中症対策は必須です.休憩地点のない道での炎天下の熱中症は,適切な治療が難しく,最悪命を落とすことにもなりかねません.

そこで,当店で販売している熱中症対策グッズをご紹介します.暑さに負けず,真夏のライドを楽しみましょう!

FREEZE TECH 『氷爽』冷感ミスト

数日前に同じ商品のブログをアップしましたが…

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衣服の上から体に吹きかける冷感ミストです.ミスト中に含まれるメントールという成分が冷感をもたらします.

氷を触ったとき,人間がなぜ冷たさを感じるかというと,皮膚の表面にある,温度を検知するセンサー(TRPM8といいます)が温度に応じて反応し,脳に「冷たい」という信号を送るからです.メントールはこのセンサーにくっついて,温度に関係なく「冷たい」という信号を脳に送らせます.その結果,脳はたとえ温度が下がっていなくても「冷たい」と錯覚し,冷涼効果がもたらされます.実際に温度を下げるわけではありません.

FREEZE TECHはこの商品に関連する技術に関して特許を取得していました.何が革新的かというと,メントールの効果持続時間を長くしたことです.水が蒸発するように,ミスト中のメントールも放っておくと蒸発して,どこかへ飛んでいってしまいます.FREEZE TECHはメントールが蒸発しないように,ミセルという膜でメントールを覆う技術を発明したのでした(特許7649496).

TRPM8は本来は26℃以下の温度に対して反応するため,メントールを使用して得られる冷感は26℃以下のものが肌に触れたような感覚と同じになります.気温を35℃とすると,9℃も温度が下がる(ように感じる)わけですから,効果は凄まじいものです.

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図1:メントールによる冷感のメカニズム

FREEZE TECH 『氷撃』キャップシリーズ

同じFREEZE TECHより肌に直接当てるキャップシリーズです.ヘッドバンド・インナーキャップタイプがありますが,いずれも「冷感プリント」で体温を下げると書かれています.冷感プリントの本体は穴がたくさん空いた層のようで,ここに水が入り込みます.

穴にはエリトリトールやキシリトールといった物質が入っています.これらの物質は砂糖のように水に溶けるのですが,このときに大量の熱を周囲から吸収します(溶解熱といいます).『氷撃』は汗に含まれる水にエリトリトールなどが溶けることで,周囲の温度を下げます(脳に錯覚させるだけのミストとは異なり,本当に温度を下げます).

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図2:エリトリトール・キシリトールによる冷却のメカニズム

私はものすごく汗をかくので,キャップは水が多すぎてあまり涼しさを感じられません.個人的には冷感ミストのほうが,汗を抑える涼しさを感じられます.とはいえ,高すぎない強度で適度に汗をかくようなサイクリングをする方は,実際に温度を下げるキャップの方が涼しく感じられると思います.

なお,2つのグッズを併用することは,個人的にはあまり意味がないように思います.キャップは汗に反応して温度を下げますが,ミストがその汗を抑えてしまうからです.

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その他,当店では保冷ボトルや日焼け止めなど,熱中症・日焼け対策のグッズをご用意しております.体調にはくれぐれも気を付けて,炎天下のサイクリングを楽しみましょう!