【からだを学ぶ】フィッティングその3:「ハンドル」の[位置]の考え方&合わせ方
by: 高橋

1handle

シリーズ最後はハンドルの位置です。
自転車と人が接するところ「ペダル」「サドル」「ハンドル」これでポジションが決まり、フォームが作られます。

 

ハンドル形状

2-20230813_092613

通常のロードは肩の部分と下ハンがほぼ同じ幅か下が若干広いハンドルが多いです。

 

3下の幅広9

グラベルロードなどに見られるような下が広がっているハンドル(フレア)も多くなってきています。

 

ENVEにわかりやすい画像が有りました。

4enve一覧

 

 

5エンビサイズ

 

一般的にはハンドル下の芯~芯の幅がサイズです。

ブランドによっては外~外が幅のブランドもあるので注意して下さい。

モデルごとに「リーチ」「ドロップ」が違うのでここもチェックして下さい!

 

 

 

ハンドルとブラケットの位置・角度

平均的な取り付け位置↓は、ハンドルの上面が少し下向き・ブラケットは少し上向きにセットします。

6ブラケット基準

スラムはシマノ同じような感じで取り付けられますが、カンパはハンドルとブラケットの上面が直線に近い設計です。

 

 

7ハンドル角度

8ブラケット位置6

 

 

 

最近のプロ選手の流行です↓

9ブラケット取り付け0

*シマノの油圧ケーブルでは負荷がかかり不具合が起こる場合がありますので、内向きにする場合は注意が必要です。

 

走行強度によってハンドル位置は変わる!ブラケット位置をベースポジションとしてセッティングします。

10前傾メリット1 - コピー

上の画像ではブラケットと下ハンのポジションですが、考え方は「ハンドルが近くて高い/遠くて低い」場合の考えと一緒です。

ブラケットをベースポジションにすることで、「フラット部=前傾が緩く、ゆったり走れる」「下ハンドル部=前傾が深く、速く走れる」ハンドル全体のポジションの幅ができます。

 

 

ゆっくり走る場合

ハンドルが高め「体が起きたポジション」(↑画像左/↓画像左も参考)のようにします。
ゆっくり走る⇒ペダルに乗せる体重が少なくて良いためです。
深い前傾=「体を倒したポジション」をとってしまうとペダルに乗せる力が少なくて良い(=スピードが遅い)ので、余った上体の重さを腕が支えることになります。
腕の負担が増えるので、肩が凝ったり腕が疲れたりしてしまいます。

 

6ペダリング

速く走る場合

ハンドルが低く遠い「体を倒したポジション」上体の重さを多くペダルに乗せます。
上体の自重を使ってペダルに荷重を乗せます。
股関節の可動域いっぱいまで臀筋を引っ張ることで、臀部の大きな筋肉をペダリングに使いやすくなります。

*ハンドルが高く近い「体が起きたポジション」で速く走ろうとすると、体が起きているのでペダルにかかる重さが減り、その分を踏力でカバーしないと同じ出力がでません

 

 

 

ハンドル位置の決め方は「バイオレーサー」の実施!

11ハンドルポジション

当社のフィッティングサービスバイオレーサー

「ライト」コースでも十分に参考になります!

12baioシート

 

ハンドル位置だけでなくサドル位置も、大きく外れないポジションを提案できます。

ここからポジション出しを進めるとかなり近道できます。

走行強度によるハンドル位置も提案できます。ノーマル(走行強度並)/リラックス設定(強度低め)

 

ハンドルの角度
ブラケットの取り付け位置
ブラケットの角度  まで考えると1つのハンドルでも無限沼にはまるので、まずは「基本」通りに取り付けましょう。

フレームのジオメトリ(設計)によっては再現できない場合もあります。
その場合はケースバイケースで対応します。

 

 

想定する走行強度に対してハンドル位置が合ってない時

ハンドルが高い

前傾が足りないので上体の重さをペダルに伝えにくくなります。
空気抵抗も増えます。
踏力を大きくしないと想定する強度で走れないので、脚の負担が大きくなります。
ペダルに力が乗らない感覚も出ると思います。

 

 

ハンドルが低い

前傾が深すぎるため、上体の重さが(ペダルだけに収まらず)ハンドルにもかかってしまいます。
ハンドルに体重が乗るので肩・首・腕への負担が増えます。

 

ハンドルが遠い

腕が伸びきるので、使いにくくなります。
肩甲骨から伸ばされるので、広背筋や肩周りの筋肉の負担が増えます。
ダンシング時もハンドルが遠いため、前荷重でダンシングすることになり後輪への荷重が抜けてしまいます。

 

ハンドルが近い

こちらも腕が曲がりすぎるために、使いにくくなります。
上体が縮こまるので呼吸がしにくかったり、腕と膝が近くなって干渉してしまうこともあります。
ハンドルが近いので下り坂でコントロール性能が下がります。
登りでも後傾になり、荷重が後ろに逃げてペダルに乗せにくくなります。

13登り重心

 

腕という自由度の高い部位で、ある程度はアジャストできるので考えすぎないことも大切です!

 

ここまできてこの結論!?普段の姿勢や体の使い方も関与するので、自分で出来ることをコツコツやっていくしかありません。試行錯誤するしかありませんが、自分の感覚だけでは遠回りしたり体を痛めたりすることも。。。

 

私とハンドルポジション

大島で育ったのでアップダウンのみで、ほぼ平地が有りません。
ダンシングも多い乗り方をしているので、自然と幅が広いハンドルが使いやすくなりました。肩幅より少し広いハンドルを使ってました。

上京し、荒川サイクリングロードを走る様になるとハンドル幅が狭い方が走りやすくなりました。
肩幅以下の幅で走っていましたが山に行くと走りにく、山を楽しみたいので元のハンドル幅に戻りました。

レースなども出るようになると、深い前傾が欲しくなりドロップが大きいハンドルにしたこともあります。
実際はドロップが大きすぎて前傾がきつく、ブラケットポジションとの兼ね合いでポジションが出しにくかったこともあり、あまり長くは使いませんでした。今はリーチもドロップも大きくないものを使っています。
(ショートリーチ、ショートドロップのハンドルも多いので利用者も多いということ?)

ブラケット取り付け位置は標準的ですが左手の癖で、ブラケットは左だけ少し内向きに付けています。
(まっすぐ付けても気付くと内向きになっているので、まっすぐにするのは諦めました)

今はレースの強度で走ることも無いので、20代の時よりもハンドルが20mmくらい高くなっています。

ハンドルまでの距離は、昔から肩甲骨周りが固く可動域が狭いのでバイオレーサーのデータよりも、ハンドルを近くしています。
可動域が狭いのにハンドルを遠くするとライド後半に肩や腕がかなりきつくなるので近くしてます。

 

 

 

おまけ:柔軟性について

バイオレーサープレミアム実施時にやっていた肩回りの柔軟性評価方法

顔の前で「両肘と両手をつけて(合掌)」手と肘を離さないように、腕を上に上げる!

柔軟性低=肘があご以下の高さ(あごまで上がらずに肘が離れてしまう)
柔軟性普通=肘が顎から鼻くらいの高さ
柔軟性高=肘が鼻を超える高さ
腰をそらさずに行ってください。

体と上腕の角度(下図の腕と体の角度)を参考にしていました。
お客様がブラケットポジションを取った時に同じくらいの体と上腕の角度になるようなハンドル位置を提案していました。

14柔軟テストハンドルポジション

自分はテストすると肘があごくらい、横から見ると90°程度の柔軟性なのでブラケットポジションでもそのくらいになる様にステム長を変えています。

 

 

ちなみに↓これも手がまったく届きません。。。。

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どうでしょうか。参考になることもあったでしょうか。

自分で見つけ出す楽しさもあります。

フィッティングサービスを受けることが一番の近道だと思います。

 

当社のYouTubeも参考にして下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=nWMYFz8nhhg

 

「痛い」シリーズもよろしくお願いします。