エアロロード・トライアスロンの殿堂 日本最大級トライアスロンショップ
2025/01/11 07:37
皆さんこんにちはワイズロードお茶の水店、関です。
以前のブログでシマノのパワーメーターでペダリングが詳しく解析できることをご紹介しました。
でも実際どんなペダリングがいいのかいまいちわかりません、、、
今回は先日ご紹介したシマノのパワーメーターで計測できるフォースベクトルなどのデータを使ってペダリングを解析してみようと思います。
シマノのクランク型パワーメーターでできる事や、フォースベクトルについてはコチラで紹介しています。
シマノのパワーメーターを活用すると、ペダリング中クランクに対してどんな力をかけたかデータとして残すことができます。
「フォースベクトル」のグラフはペダリング中どの方向にどのくらいパワーを出しているかを示していて、中心の数字は「ペダリング効率」です。
シマノのペダリング効率は100%ならいいというわけではなく、プロでも60%くらいだそうです。
100%にするにはモーターのように全周均一に踏まないといけませんが、人間の足では逆に非効率となります。
「ペダリンググラフ」はフォースベクトルの内訳をグラフにしたもので、緑とピンクはそれぞれ左右の接線方向のパワー(加速力になるパワー)
青と黄色は左右の法線方向のパワー(無駄になるパワー)です。
表示方法は切り替えることもできます。
基本的な理想のペダリングは、、
・クランク90°(3時)またはその少し上の位置で最大のパワーを発揮している
・180°(下死点)で下向きに無駄踏みしていない
・210~300°(引き足)でペダルに体重が乗っていない
・上死点から下死点まで、でできるだけ長い時間パワーをかけれている
他にも細かくはたくさんありますが、これが基本だと思います。
今まではこの基本がわかっていても、自分のペダリングを客観的に見ることはできなかったので、何となくフィーリングのいいペダリングを覚えて、できた気になるしかありませんでした。
しかし、このパワメを使えば、誰でも効率的なペダリングができているかチェックすることができるのです!
少し使ってみた結果、自分のペダリングには
・90°での若干の踏み遅れ(ROTORの楕円リングが関係している?)
・下死点で真下に踏んでいる
・想像以上に引き足で体重が乗っていることがわかりました。
これはどうやって修正するのか、それとも許容範囲なのか、漕ぎ方を変えて試してみます。
ローラー台を使い、漕ぎ方ごとのフォースベクトル、パワー、スピードを記録します。
試したのはこの項目。
何も気にしない250W
いつも通りのペダリング200W
いつも通りのペダリング250W
いつも通りのペダリング300W
引き足強め200W
引き足強め250W
楕円に合わせて250W
3時最大で250W
高効率で250W
ダンシング300W
ダンシング全力
では、試したペダリングごとにデータを見ていきましょう。
何も気にしない250W
特に何も意識せず漕いでいる状態。意外と悪くなさそうですが、下死点付近でも下に踏んでいるのが気になります。
いつも通りのペダリング200W
これもほとんど意識せず、普段通りペダルをキレイに回そうとするペダリング。
先程とほぼ変わらず。
パワーが高い方がペダリング効率も高まりやすいので少し上がっている。
先程から左足は90°でやや前に踏み込む癖があり、下死点でも強く踏んでしまっている傾向がある。
FTPを越える300W。集中して踏んでいるのでペダリング効率も高く、下死点や引き足でのロスも少ない。
いつも通りのペダリングでは引き足は無理に使わない代わり、体重分はしっかり持ち上げているつもりでしたが、赤矢印が出るので引き足を強めにしてみました。
いつも通りの200Wよりも効率が良くなっていて赤矢印が少しだけ短くなりました。
いつも通りの250Wと比べて効率に大きな変化なし。不慣れなせいかむしろ下がっている。
左足は赤矢印がわずかに減った。
自然にできる範囲で行ったのでデータでわかるほどの効果は出なかったようです。
今度は踏み遅れの実験。楕円の重さが最大になるポイントで最大パワーになるように意識して踏みます。
いつものペダリングとほぼ同じ結果。
新円ギアでは踏み遅れていなかったのに、ROTORでは踏み遅れてしまいます。
ROTORの楕円リングは独自の設計思想に基づき108°でギアが一番重くなります。
他の楕円のクセでギアが一番重くなるところで踏んでしまっているので(自動的に踏まされるので)踏み遅れのような結果が出ているのでは?
楕円が重くなる位置(108°)ではなく3時で踏めるように早め早めのペダリングをしてみました。
グラフ的にはほとんど変わりませんでした。
楕円ギアで強制的に108°で重くなる=パワー最大になるのでグラフにもそれが反映しているようです。
ただ、体感的には大きく違い、早めに踏むことで、ケイデンスがどんどん上がり、パワーも出やすく感じました。
慣れればこの方が高ケイデンスかつ高トルクで踏めるかもしれません。加速のシーンを中心に今後も試してみたいです。
クランクをぐるぐる回し、引き足も積極的に使ってペダリング効率を高めるだけのペダリングを試してみます。
あれ?思ったより効率も高くないし、引き足もできてない、、、
別日に実走で出しました。
効率は70%越えで、矢印も全部青。
データ的には効率がいいといえますが、実際には不自然なペダリングで効率的とは言えません。
やっぱりアマチュアレベルでは60%程度が効率の上限な気がします。
300Wなので全力ではなく、休むダンシングに近いペダリング。
30~120°まで矢印が回転方向ではなく真下を向いています。
また下死点でも真下に踏んでいて効率が悪いといえます。
グラフも180°付近で青の法線が高まり、無駄踏みしていることがわかります。
ダンシング全力
全力のダンシングでは引き足も動員するので矢印は全部青になります。
しかし、グラフを見ると120°で最大になっていて、下死点でも踏んでいるし、写真では表示されていませんが、法線グラフも高まっているので、シッティングと比べると効率は低そうです。
やはり、瞬間的に最大パワーを出すとき以外はシッティングの方がロスが少ないですね。
ダンシングでも定期的にチェックと練習をすればロスの少ないダンシングに改善できるかもしれません。
ペダリングを変えてデータを見比べてみましたが、自分の場合は驚くほど大きな違いは出ませんでした。
もっと大げさにペダリングを変えればよかったかもしれません。
また、実走ではFTPを越える300W超で踏んでいる時は効率よく漕げているようです。あるいは効率よく漕がないと高負荷を維持できないともいえるかもしれません。
ペダリングの種類ごとに同じパワーでのスピードを計測しました。
ローラー台での計測なので、速度が高いほど効率的といえますが、手動計測なので誤差が出る可能性もあります。
いつも通りのペダリング200W 引き足強め200W
グラフや体感では大きな違いを感じなかったが、引き足をしっかり使った方が速かった。当然といえば当然か??
引き足強め250W
250Wでは逆に引き足を意識した方がわずかに遅かった。
引き足を意識するあまりぎこちなくなってしまったのか、データが少ない故の誤差か、、
やはりもともと必要最低限の引き足(抜重)をしているので大きな差が出なかったのかもしれません。
これも大きな差は出ず。
体感でグングン踏めたこのペダリングも同じパワーならスピードは同じだった。
FTPに近く、レースペースの250Wでは漕ぎ方のちょっとした違いではデータでわかるほどの結果は出なかった。
初心者さんほど大きな差や改善効果が出るかもしれせん。
いつも通りのペダリング300W ダンシング300W
同じパワーのシッティングとダンシングを比べた場合、効率の良いシッティングの方がスピードが速かった。
200kmのライドデータでペダリングスキルをチェックします。
ライドのデータを後からチェックして改善点を探すことは重要です。
ライドの目的ごとにチェックする内容も異なります。
例えば、
トレーニングなら、しっかり目標の負荷まで上げられているか、最後までダレていないか、
ヒルクライムなら、しっかりペースを保っているか、その中で出し切れているか、勾配に対応できているか、
スプリント練習なら、最大パワーが出ているか、高負荷でも乱れていないか、
などなど。
また、200kmのライドでは34,000回ペダリングしているので、1回のペダリングに少しでもロスがあると、トータルでは大きなロスになってしまいます。
今回はロングライドなので、ペースを保っているか、後半ペダリングが乱れていないかなどをチェックします。
往路は上り基調で、向かい風も強かったため、スピードは変化していますが、ケイデンス、心拍、パワーは一定に保っています。
ロングライドでは向かい風や上りでもパワーを一定に保つことが重要です。
ペダリング効率のグラフ。
ほぼ横ばい、、、なはず。
効率がガクンと落ちている場合は補給や休憩不足、ペースが速すぎるなどで披露している証拠。
前半の一部分のペダリング。
後半の一部のペダリング。
前半は上りであることもあり、ペダリング効率が高い。
後半は平坦区間で疲労もありペダリング効率が前半より若干低いが乱れているというほどではない。
フォースベクトルを見ても普段通りのペダリングができている(左が下死点でも踏んでいるが、疲労というよりクセなのでここではOK)ので後半までフォームが乱れていないといえそうです。
これは右の負荷とペダリング効率の相関図。
負荷が高い(→)ほど効率が高く(↑)なるのが一般的。
点の分布が右上に伸びていきますが、右上に行くほど点がばらけたり、横ばいになるポイントがあれば、その負荷でペダリングが乱れているサインです。
これはライド前半をトリミングした図です。
後半をトリミングした図
大きく乱れている様子はありませんが、効率が50を超えていることが少なくなりました。
疲労や寒さでペダリング効率が下がってしまったのでしょう。
このように前半と後半で、ペダリングが乱れていないか見比べる事ができます。
ヒルクライムやスプリントインターバルのような高負荷練習の方が変化が大きく出るかもしれません。
ここではギアチェンジの使い方も確認することができます。
どこでどのギアだったか確認できます。グラフの上下がリアの段数で、上が重いギア。
青い部分はフロントがインナーです。
今回の歯数はフロント52-36(楕円) リア11-34
前半の平坦区間はアウターでリアも真ん中を使えています。
上り区間は10%を超える勾配がしばらくありましたが、インナー×ローは信号待ち?で短時間使ったのみ。
10%までならリア32Tでも十分だが、シマノのラインナップにないのが残念。
ロングライドでは30Tじゃ足りないかな??
逆に下りと平坦では意外と重いギアも使っていたようです。
このようにコースに合わせてギア比を見直すことができます。
ギア比とケイデンスの関係。
重いギアまで8~90回転をしっかりまわせています。
ギア比とスピードの関係。
これもコースと一緒に振り替えるといろいろな発見があるかも。
意外にも一番重いギアより一枚軽い方がスピードが出ている。
おそらく下りで回したのでしょう。
これらのデータはレースでも役立ちそうです。
今回のデータから自分の改善点をまとめると、
・左右バランスは50:50に近く問題ないが、左足の踏み込む角度や下死点でも踏んでしまっているなど左右差を改善する必要がある。
・下死点でしてに踏んでしまっている。
・もっと上死点から踏み込んだ方が強く加速できる。
・巡航ペースではおおむね効率の良いペダリングができているので、高負荷やダンシング時でもできるようにする。
・10%以下の勾配なら11-30のカセットでもいいかも。
パッと見ただけでもこれくらいのことがわかりました。
これらを意識しながらペダリングを改善して、たまにチェックすることでどんどんペダリングが良くなっていきそうですね!
いかがでしょうか。
今まで感覚でしかできなかったペダリング練習やペース管理が乗り手のスキル・用途に合わせて客観的に見られるようになりました。
今回ご紹介したのはあくまで私のクセや改善点なので、皆さんも自分のペダリングをチェックして、自分だけのペダリング改善練習をしてみましょう!