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海と廃墟とブロンプトン。【真鶴半島走行譚】
by: 湯浅智暁

この記事内で実際に廃墟に伺っておりますが、管理者への確認及び許可を頂いております。
建造物が廃墟に至った経緯は様々な理由があり、中には物理的に危険という理由もあります。立ち入り禁止はもちろん、禁止されていなかったとしても安易な探索は非常に危険です。
床や壁、屋根の崩落等生命に危険が生じる事態が発生しかねません。
インターネットや書籍にて在りし日の姿を想像する等、個人で楽しむことを強くお勧めいたします。


 それは遡ること2023年7月末

私はふと思い立って廃墟についてのまとめサイトをよく閲覧し、実際に行けそうな場所であれば近くまで向かって、雰囲気に浸る。なんてことを友人と共に大学生の頃から楽しんでいました。

そんなある日、神奈川県足柄下郡の真鶴半島に(そのサイトの定義上の)廃墟が密集していることに気が付きました。
それに加え、昼と夜に家系ラーメンを食べる程ラーメンが好きな私は、テレビより”真鶴で芸能人の方がラーメン屋を営んでいる”との情報も既に仕入れていました。

しかし、距離がそもそも遠いので日帰りサイクリングはキツイ。車で行ける距離だがそもそも車が無い。ただ電車で行くのではもったいない。
様々な理由によりなかなか行く機会がなく、どうしたものかと半年以上考えていましたが「もう輪行でブロンプトン持っていけばいいや」と覚悟を決め、家を飛び出しました。

 とりあえず出発

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とりあえずゆったりと11時過ぎに到着です。

気温はやや高め、湿度もやや高めでした。
たださすがは半島。吹く風は冷たく、サイクリング中は非常に気持ちがよいものでした。

到着して間もなく、真鶴港方面目指して漕ぎ始めます。

伊藤商店

神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴852-1

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真鶴半島の付け根、駅から5分ほど移動した後到着です。

 このお店は芸能人のデビット伊東さんが経営されているお店です。
もともとデビット伊東さんは、テレビの企画でラーメン屋にて修行したり、このお店の前に別のラーメン屋を都内で数店舗営業されていました。(現在はすべて閉店)
のちに2021年3月にこのお店を開きました。比較的新しいお店です。

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鶏そば×味玉 + 自家製餃子

店内は比較的広くゆとりがありました。
ラーメン屋さんってカウンターだけで、しかも座っている人の後ろを歩くにはカニさん歩きで且つおなかを引っ込めないと進めない程狭いことがよくあります。
(嫌というわけではなく醍醐味です。)

それはまったくありませんでした。

カウンターは6席、テーブルも1つ(それぞれ記憶の範囲です。)あります。
常連さんがひっきりなしに来店されているようでした。

肝心のラーメンはすごくあっさりしていて普段コッテリ系をメインに食している自分からしても物足りない、なんてことはありませんでした。
具もメンマの色が物語っているようにしっかりと味がついていながら玉ねぎのアクセントが抜群。味玉は美しい半熟度合いでした。
餃子は小ぶりながらも中身はみっちり詰まっており、自家製ラー油との相性ももちろんばっちり。醤油は付けずに頂きました。

厨房にはデビット伊東さんご本人様がいらっしゃいました。
話しかけずにただ後ろから眺めることしかできませんでしたが、なんと表現するべきか難しいのですが、恐ろしいほどにオーラがありました。

駐車場も少なくとも数台分はありましたので、お車でぜひ伺ってみてはいかがでしょうか?

 ヒルクライムを控えた真鶴港

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もちろん時間的に賑わいはありませんでしたが、遠くに見える相模湾が癒しをくれます。
駅からダウンヒルでしたのでほぼ間違いなくヒルクライムがあります。いったん休憩がてら軽い散策をしました。

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にぎやかな船を発見。
これだけでなく幾つかこの港に停泊していました。

この船は真鶴伝統のお祭りで国指定重要無形民俗文化財に指定されている”貴船まつり”を控えた船でした。
この日は25日火曜日、開催されたのは28日金曜日と29日土曜日とのことでした。
思いがけずいいタイミングで訪れていました。

しかもこのお祭りは日本三大船祭りにもなっているそう。
せっかくなら見てみたかった気もしました。

半島の先っちょへ

カンカン照りの太陽に照らされ、潮風を浴びながらしばらくヒルクライムです。

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海水浴が気持ちよさそうです。

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少し登ればこんな景色。
きっと向こう側は小田原・平塚辺りでしょうか?
すごく遠くに来てしまったと実感。

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さらに少し上ると木々がお出迎え。
もはや熱く感じる原因が太陽だけなので少しでも遮られるとずっとそこに居たい気分でした。
気が付くとめっちゃ蚊に刺されました。O型の運命です。

ほぼ目の前までついたので近くの施設に駐輪し徒歩で海岸まで向かいます。

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海の街で育った人間としてはやはり海を見ると落ち着くものです。
向こうに見えるのは三ツ石というもので見た感じ歩いて近づけそう。ただ、見たことない海の虫(?)がたくさん居たために断念。

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でっかい流木を発見。

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冷静に考えればここは静岡県とのほぼ境の場所。伊豆半島がコンニチワ。

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いくら何でも暑かったので近くのお食事処でかき氷を頂きました。
うちわも貸していただき、少し早めのやつ時の憩を過ごします。

食べ終わってもうちわの柄の魚の漢字を眺めていました。

廃墟を目指して

さて時間は過ぎていく一方なので本来の目的へ向かいます。

1か所目:海が見える焼き肉屋さん

結論から申し上げますとやはり危険なため立ち入り禁止でした。クヤシイ!

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サドルの向こうに見えるコンクリートの壁が廃墟本体です。
ここはもともと崖の斜面に沿って建てられ”海が見える焼肉屋さん”をコンセプトに建設されました。(諸説あり)
が、やはり安全が確保できないなどの理由により未完成のまま放置されています。

この廃墟の見どころは”有名人がMV撮影で来るほど素晴らしいグラフィックアートが立ち並ぶ”ところです。
(実際に入った方のブログによると)建物の中はいくつもの壁があり、その壁ごとにストリートアートやグラフィックアートが描かれています。
ただ描かれているだけでなく、全国のアート作者がこの地に訪れ「自分の方が上手い物を描ける」と思ったら描かれているアートに自分のアートを上書きしていく。
よって、トップレベルのアートだけが常に残り続けるそう。

現在のアートたちはどうなっているか一切わかりませんでしたが、自分も紹介されていたとあるアートに一目惚れしていました。
自分の目で見てみたっかのですが禁止されているのであれば仕方がない。
大人しく次の目的地へ向かいます。

 ※余談ですが、管理者へ確認したところかなりの数の問い合わせがあるそうです。ただ、崖にありいつ崩れるか分からない状況のため、現在はいかなる理由であっても中に入る許可は与えていないとのことでした。

2か所目:水族館跡地

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岩があり、いかにも入れなさそうな場所でしたが、問い合わせてみたらあっさり「車が入らないようにしているだけなので自転車なら超えても大丈夫ですよ。ただ危ないので押して歩いてくださいね。」と仰っておりました。

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いかにも押さないと歩けなさそうな道です。雨ならなおさら。

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……
ここまでかと思いましたがせっかく入れるなら、とブロンプトンを持ち上げたり一緒にくぐったり大冒険。

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そして無事到着!大島でしょうか。遠くに島が見えます。
ここからは散策タイムです。

ここが廃墟と呼ばれる所以はもともと釣り堀が併設された水族館があり、それが廃墟となり解体されたというものです。

その水族館の枠のようなものも残っています。

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またこの敷地内に観音様がいらっしゃいます。
道なき道の草をかき分けながら進み、到着しました。

お参りを済ませてパシャリ。

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これはその観音様が見ている景色です。(個人的に観音様のような神聖なものにカメラを向けることに抵抗があるため、この写真を代わりとしました。)
すんごい緑!!

岩々を乗り越え少し行動範囲を広げます。

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釣り堀を奥から。
右奥にある、四角い黒いくぼみの中に観音様がいらっしゃいます。

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伊豆半島と多分初島。

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もはや抜けそう。

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さらにでっかい流木。

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何かの跡と南国な木。

更にぼーっと過ごして大体15時。
そろそろ帰路へ着きます。

没ネタ:真鶴のモアイ像

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いくら何でも生い茂りすぎぃ!
この草木の奥にあります。写真だと非常に分かりにくい、もはや無いように見えますが実際にはうっっっすらと見えました。

なぜここにあるのかはリサーチ不足なところはありますが何が何だか…

最後に

ブロンプトン×廃墟という新しい境地を見出せそうなそんなサイクリングになりました。
押して歩いたり持ち上げたり、大変なこともありましたがそんな瞬間は一人で笑顔で過ごせました。「自転車で来たのにこんなことになるとは(笑)」な気分でした。

やっぱりブロンプトン輪行で大正解でした!!

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