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2026/10/16 00:05
※タイヤ交換による走行感の変化は、車体、現在装着されているタイヤ、空気圧、走行条件などによって異なります。
前回の記事では、DAHON・KHS・BROMPTON、それぞれの設計思想や得意分野の違いをご紹介しました。
今回はフォールディングバイクに限らず、あらゆる自転車に共通する「タイヤ選び」のお話です。
▶ 前回の記事はこちら
「連載コラム⑥【同じ“折りたたみ”でも別物です】DAHON・KHS・BROMPTONを選び分ける」
自転車を購入してしばらく乗っていると、
「もう少し軽く走りたい」
「乗り心地を良くしたい」
「パンクへの不安を減らしたい」
「見た目の雰囲気を変えたい」
と感じることがあります。
そこでホイールやコンポーネントを調べてみると、想像以上の価格に驚く方も多いのではないでしょうか。
しかし、自転車の走りを変える方法は、高価なパーツへの交換だけではありません。
目次
タイヤは、自転車の中で唯一、路面と直接接している部品です。
ペダルを踏んだ力を路面へ伝え、曲がり、止まり、路面から受ける衝撃もタイヤを通してライダーへ伝わります。
そのため、タイヤを交換すると、
漕ぎ出しや加速の軽さ
速度の維持しやすさ
路面から伝わる振動
コーナーでの安心感
雨天時のグリップ
パンクへの強さ
自転車全体の見た目
などが変化します。
ホイールやコンポーネントほど大きな金額をかけなくても、比較的効果を体感しやすいのがタイヤ交換です。
「自転車をカスタムしてみたいけれど、どこから始めればよいか分からない」
そんな方にとって、タイヤは最初に検討したい部品の一つです。
店頭には、見た目の似た黒いタイヤが数多く並んでいます。
しかし、軽さ、しなやかさ、耐久性、耐パンク性、グリップなど、その中身と得意分野は大きく異なります。
以前、私はDAHONのBoardwalkに乗っていました。
完成車に装着されていたタイヤからSCHWALBE MARATHONへ交換したところ、ペダルを踏んだときの進み方が軽くなったことを、はっきりと感じました。
MARATHONは、極端な軽量タイヤではありません。耐久性や耐パンク性も考えられた、実用性の高いタイヤです。
それでも、タイヤの構造やゴム、適正空気圧などが変わることで、同じ自転車でも走行感は変わりました。
私はかつて、タイヤメーカーがサポートするチームにも所属していました。
競技ではグリップや転がり抵抗が重要ですが、日常で使う自転車では、速さだけが正解ではありません。
軽さ、快適性、耐久性、耐パンク性。
何を優先するかによって、選ぶべきタイヤは変わります。
完成車に最初から装着されているタイヤは、価格だけで選ばれているわけではありません。
耐久性、扱いやすさ、幅広い路面への対応など、完成車としてのバランスを考えて採用されています。
一方で、一台の自転車をさまざまな人が使えるようにするため、特定の用途へ尖らせにくいのも事実です。
街中を軽快に走りたい人。
毎日の通勤でパンクを避けたい人。
休日に長い距離を走りたい人。
未舗装路にも入りたい人。
使い方が違えば、適したタイヤも違います。
純正タイヤが摩耗するまで待つだけでなく、自分の使い方が明確になった段階で交換するのも、立派なカスタムです。
タイヤを選ぶ際、重量は分かりやすい数字です。
特に小径車では、軽量なタイヤへ交換したときに、漕ぎ出しや加速の軽快感を得やすい場合があります。
ただし、軽ければ必ず優れたタイヤとは限りません。
軽量化を優先すると、
耐パンク層が薄くなる
摩耗が早くなる
荒れた路面への強さが下がる
空気圧管理がシビアになる
ことがあります。
反対に、耐久性の高いタイヤは重量が増えることがありますが、通勤や旅行では、その安心感が大きな価値になります。
大切なのはカタログ上の重量だけではなく、使用目的に合っているかどうかです。
タイヤ交換で何を変えたい?
↓
最も重視するものは?
軽快さ・スピード
→ 軽量性と転がりの軽さを重視
通勤・耐パンク性
→ 耐摩耗性と耐パンク構造を重視
快適性・安定感
→ 適度な太さとしなやかさを重視
未舗装路・冒険
→ タイヤ幅、トレッド、グリップを重視
タイヤ選びで大切なのは、すべての性能を一度に求めるのではなく、現在の自転車で何を変えたいのかを決めることです。
軽さ、耐久性、乗り心地、グリップには、それぞれ異なる方向性があります。
まず一番改善したいことを決めると、自分に合うタイヤを絞り込みやすくなります。
自転車用タイヤには、インチ表記、フランス式表記、ETRTO表記など、複数の表し方があります。
たとえば店頭では、
「20×1.50」
「700×28C」
「28-622」
といった異なる形式の数字が並んでいます。
初めて交換する方が混乱しやすい部分ですが、タイヤの適合を確認するときに、最も基準にしやすいのがETRTO表記です。
なお、406や622という数字はセンチメートルではなく、ミリメートルを基準にした表記です。
例えば「40-406」と書かれている場合、
40:タイヤ幅の目安
406:タイヤのビードが収まるリムの直径(ビードシート径)
をミリメートルで表しています。
同じように「28-622」であれば、おおよそ幅28mm、リムへ取り付く部分の直径が622mmという意味です。
タイヤ交換では、特に後ろ側の406、451、584、622などの数字が重要です。
この数字が使用しているリムと一致しなければ、基本的に取り付けることはできません。
フォールディングバイクやミニベロでは、同じ20インチという呼び方でも、主に二つの規格があります。
| 一般的な呼び方 | ETRTOのリム径 | 主な傾向 |
|---|---|---|
| 20インチ・406 | 406mm | タイヤの種類が多く、太めも選びやすい |
| 20インチ・451 | 451mm | 外径が大きく、細身でスポーティーな製品が多い |
どちらも20インチと呼ばれますが、タイヤがリムへ取り付く部分の直径は45mm違います。
そのため、406のホイールへ451のタイヤを装着することも、451のホイールへ406のタイヤを装着することもできません。
「20インチ用だから使える」と判断せず、タイヤ側面にあるETRTO表記まで確認してください。
さらに分かりにくいのが、ロードバイクの700CとMTBの29インチです。
一般的な700Cロードタイヤと、多くの29インチMTBタイヤは、どちらもリムへ取り付く部分の直径が622mmです。
| 呼び方の例 | ETRTO表記例 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 700×28C | 28-622 | ロードバイク |
| 700×40C | 40-622 | クロス・グラベル |
| 29×2.25 | 約57-622 | MTB |
取り付け部分の直径は同じでも、タイヤ幅、リム幅、フレームとの隙間、想定される空気圧が大きく異なります。
したがって、後ろの数字が同じだからといって、すべて自由に組み合わせられるわけではありません。
MTBで使われる27.5インチと、グラベルバイクなどで使われる650Bも、代表的な規格ではどちらも584mmです。
呼び方が違っていても、ETRTOでは同じリム径になるケースがあります。
反対に、同じインチ表記なのにリム径が異なる場合もあります。
これが、自転車用タイヤのサイズ表記を分かりにくくしている理由です。
インチ表記だけではなく、406・451・584・622など、ETRTOのリム径を確認することが重要です。
フォールディングバイクやミニベロは、タイヤ交換による性格の変化が分かりやすいジャンルです。
転がりの軽さや加速感を重視した、比較的軽量で滑らかなトレッドのタイヤが候補になります。
舗装路を中心に走り、フォールディングバイクでもスポーティーな走りを楽しみたい方に向いています。
耐パンク性や耐摩耗性を重視したタイヤが安心です。
多少重量が増えても、旅先や通勤途中でのトラブルを減らせることには大きな意味があります。
車体に十分なクリアランスがあれば、少し太めのタイヤも選択肢になります。
タイヤ内部の空気量が増えることで、段差や荒れた路面から受ける衝撃を和らげやすくなります。
ただし、フレーム、フォーク、ブレーキ、泥よけとの間隔を確認しなければなりません。
ここでは、目的の違いが分かりやすい小径車用タイヤをご紹介します。
ロードタイヤの技術を小径車用へ応用した軽量モデルです。
完成車用タイヤから交換した際に、漕ぎ出しや加速の軽さを感じたい方、舗装路をスポーティーに走りたい方に向いています。
406と451の両規格が用意されていますが、サイズによって幅が異なるため、現在のリムと車体への適合確認が必要です。
軽快さだけでなく、通勤や長距離走行での安心感も重視したい方に適したモデルです。
耐パンク性能を強化した構造が採用され、406と451の双方に対応するサイズが用意されています。
「実用タイヤから軽快な方向へ変えたい。しかし、耐久性も大きく落としたくない」という方に提案しやすいタイヤです。
毎日の通勤や旅行など、トラブルを減らしながら長く使いたい方に向いたシリーズです。
モデルによって重量、走行感、耐パンク性能は異なりますが、速さだけでなく、移動手段としての信頼性を重視して選べます。
私がDAHON Boardwalkでタイヤ交換の効果を実感したのも、SCHWALBE MARATHONでした。
舗装路での転がり、グリップ、日常での扱いやすさをバランスさせたアーバンタイヤです。
通勤や街乗りを中心にしながら、完成車用タイヤより軽快な走行感を求める方に適しています。
| タイヤ | 重視する性能 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|
| Minits Lite | 軽さ・加速・スポーツ性 | 小径車で軽快に走りたい |
| Minits Tough | 走りと耐パンク性 | 通勤・ロングライド |
| MARATHONシリーズ | 耐久性・信頼性 | 毎日の使用・輪行旅行 |
| CONTACT Urban | 転がりと街乗り性能 | 通勤・都市部での移動 |
※掲載商品の店頭在庫、サイズ、価格は記事掲載時点のものです。
※同じ20インチ表記でも406と451には互換性がありません。必ず車体とリムの適合をご確認ください。
【DAHON K9X標準タイヤとSCHWALBE SMART SAMの比較】
現在のロードバイクでは、700Cと呼ばれるホイール規格が主流です。
大きなホイールは、速度を維持しやすく、路面の凹凸を乗り越える際にも有利です。
ロードレースの歴史や競技規則、部品供給の統一など、さまざまな要素が重なり、現在の標準として定着してきました。
ただし、700Cであれば走りが同じになるわけではありません。
近年のロードバイクでは、以前よりも幅の広いタイヤが使われるようになりました。
細く、空気圧を高くすれば速いとは限らず、タイヤの構造、路面状況、ライダーの体重に合わせて、適切な幅と空気圧を選ぶことが重要です。
荒れた一般道では、適度な太さと空気量を持つタイヤの方が、跳ねを抑えて速度を維持しやすい場合もあります。
ロードバイクのタイヤ交換では、
レースや高速走行を意識した軽快さ
ロングライドでの快適性
濡れた路面での安心感
通勤での耐パンク性
カラーサイドによる外観の変化
など、目的に合わせて走りの方向性を変えられます。
有名な上位モデルを選ぶだけでなく、自分が実際に走る場所や距離から選ぶことが大切です。
マウンテンバイクでは、かつて主流だった26インチから、27.5インチ、29インチへとホイール径の選択肢が広がりました。
大径ホイールには、
段差を乗り越えやすい
荒れた路面で速度を維持しやすい
接地面を確保しやすい
高速域で安定しやすい
という利点があります。
さらにタイヤを太くすることで、低い空気圧を使いやすくなり、グリップや衝撃吸収性を高められます。
一方で、ホイールやタイヤが大きくなるほど、重量、取り回し、加速感への影響も出ます。
29インチが常に最良なのではなく、身長、車体サイズ、走るコース、求める操作感によって適した規格は異なります。
ここでも「大きいほど速い」「太いほど安心」という単純な話ではありません。
あなたの自転車は?
↓
フォールディング・ミニベロ
→ 406/451の確認
→ 携帯性・軽快さ・耐久性を選ぶ
ロードバイク
→ リム幅と車体のクリアランスを確認
→ 速さ・快適性・雨天性能を選ぶ
MTB・グラベル
→ 路面とホイール径を確認
→ 太さ・トレッド・空気圧を選ぶ
同じ「走りを軽くしたい」という希望でも、車種によって選び方は異なります。
小径車ではサイズ規格と折り畳みへの影響、ロードバイクではタイヤ幅とリム幅、MTBでは路面に合ったトレッドと空気圧が重要です。
商品の評判だけで決めるのではなく、車体との適合と実際の使用環境を確認して選びましょう。
良いタイヤへ交換しても、空気圧が合っていなければ、本来の性能は発揮できません。
空気圧が高すぎると、路面の凹凸で跳ねやすくなり、乗り心地やグリップが悪化する場合があります。
低すぎると、走りが重くなり、リム打ちやタイヤ損傷の原因になります。
適正な空気圧は、
ライダーと荷物の重量
タイヤ幅
リム幅
前輪と後輪の荷重差
路面状況
チューブド、チューブレスなどの構造
によって変わります。
タイヤ側面に記載された数値だけでなく、車体やホイールの指定範囲も確認し、その中で実際の使い方に合う空気圧を探していくことが大切です。
【自転車タイヤのETRTO表記47-305とインチ表記16×1.85の読み方】
タイヤ幅を変更する場合は、次の点も確認する必要があります。
使用しているリムへの適合
フレームとフォークの隙間
ブレーキとの干渉
泥よけとの間隔
チューブの対応サイズ
折り畳んだ際の収まり
車体やホイールが指定する空気圧
特にフォールディングバイクでは、タイヤを太くしたことで、折り畳み寸法や車体の固定方法に影響する場合があります。
新しいタイヤを選ぶ際は、現在装着されているタイヤ側面の表記を写真に撮っておくと確認しやすくなります。
タイヤ交換は、単に消耗した部品を新品へ戻すだけの作業ではありません。
今の自転車を、
もっと軽快にしたいのか。
もっと快適にしたいのか。
もっと遠くへ走れるようにしたいのか。
毎日の移動で安心して使いたいのか。
その目的を改めて考える機会でもあります。
高価なホイールやコンポーネントへ進む前に、まず路面と接しているタイヤを見直してみる。
それだけで、乗り慣れた自転車に新しい印象を感じられるかもしれません。
ワイズロード上野本館では、ロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク、フォールディングバイク、ミニベロなど、さまざまな車種に対応するタイヤを取り扱っています。
「今の自転車を、もう少し軽く走らせたい」
「通勤用なのでパンクに強くしたい」
「輪行旅行へ向いたタイヤを選びたい」
「自分の自転車に装着できるサイズが分からない」
そんな場合は、現在お使いの車種やタイヤサイズ、走り方をスタッフへお伝えください。
タイヤ側面の表記を撮影した写真をお持ちいただくだけでも、サイズ確認の手がかりになります。
自転車の楽しみ方に合ったタイヤ選びをご案内します。
高価なパーツへ交換する前に、まずはタイヤから。
自転車の走りを変える、効果的なカスタムの第一歩です。