日本最大級のスポーツサイクル専門店!サイクルライフサポート!
2023/11/04 21:02
スタッフおおもとです。
ワイズロードが主催する年に一度のビッグイベント『スポーツバイクデモ』
ロードバイクを始めとした最新モデルの試乗、展示が盛り沢山!
注目のアイテムを実際に見て触って、メーカーと直接お話が出来る貴重な機会となっております。
このイベント開催に先立ち、ワイズロードスタッフ達も勉強を兼ねた『社内試乗会』を開催しました。
今回は社内試乗会でスタッフおおもとが試乗してきたロードバイクをインプレッション形式でご紹介したいと思います。
スポーツバイクデモのワクワク感がちょっとでも伝われば幸いです!
トピックス
いきなり大本命
乗っちゃいました
ロードバイクのカーボンフレームを最初に出したブランドは諸説ありますが、ツール・ド・フランスを最初に制したカーボンフレームが『LOOK』なのは有名な話。
カーボンフレーム黎明期から名を連ね、世界中の誰もが憧れるブランドの魅力は今もなお色褪せない所です。
1986年のツール制覇から37年、以降様々な傑作カーボンフレームを生み出してきたLOOKの最新カーボンフレームが『795 BLADE 2 RS』となります。
前作『795 BLADE RS』からフレーム形状が刷新され、空気を切り裂くようなエアロ感がそぎ落とされ細身なフォルムへと変更されました。
ですが空力性能は勿論捨ててません、よりレベルを高めながら軽量化され、プロチーム『コフィディス』が使用するレースバイクはなんと7kgに仕上がっているとの事。
フレームセット価格は税込88万円と超高級!これは期待せずにはいられない一台という事で、混み合う前に真っ先に乗りに行きました。
そして乗った感想は『これは最初に乗るべきではなかった』
レベルが高過ぎて以降のバイクを純粋にジャッジ出来なくなるのではと思うぐらい素晴らしい。
粗を探しても全く目立った欠点が見つからない、ステータス全方向が振り切っているような完璧さ。
踏み込んだときに反発感を覚えること無く加速する異様なスムーズさ、リアから込み上げる様な加速感は高速域になっても続き、余力を持って試乗コースの端へと着いてしまいました。
わがままを言えば試乗コースにあと1kmぐらい直線が欲しいと思わされるほどで、平坦に於いては底なしな性能です。
試乗車のホイールがダイレクトエンゲージメントテクノロジーで駆動剛性が極めて高い『SHIMANO DURA-ACE WH-R9270-C50』、タイヤが今年グランツールを全て制したユンボヴィスマも使用している『VITTORIA CORSA PRO』という足回りの完璧さはあるものの、それだけでこれほど走る事は考え難い。
秘めている高い剛性を負担として足に感じさせないロードバイクは誰もが求めるところではないでしょうか。
ステアリング性能は28cである事を考慮してもかなり素直で旋回しやすく、気難しさはありません。
試乗コースのカーブは全てヘアピンですが、不必要に大回りせずとも内側に沿って十分に曲がれ、走行ラインが限られる集団でのコーナーリングも労せずこなせそうです。
28cでも十分な快適さがあり、剛性と空力に一辺倒ではないのも好印象です。
クリアランスは最大で32cにまで対応するとの事ですが、これは最新のレーシングバイクでは今やマスト!
ホイールの内幅に様々なサイズが存在し、取り付けた時にタイヤの実測幅が変化するのでこれぐらいないと30cも迂闊に使えませんからね。(例:内幅25mm フックレスリムに30cを取り付けた場合、タイヤの実測値は約32mm)
一見一体型に見えているカーボンハンドル、実はステムと別体になっています。
コンボエアロカーボンハンドルバー(104,500円)とコンボカーボンステム(88,000円)は個別に購入が可能であり、ステム長やハンドル幅を任意に組み替える事が出来ますよ。
ただ、フレームセットに初期付属の組み合わせは選ぶことが出来ませんので既に買う気マンマンという方はご注意ください。
また本フレームは無線式電動コンポーネント専用となりますので、現行ではSHIMANO 12速電動コンポかSRAM e-TAP AXSでのみ組み立て可能です。
トップグレードに相応しいハイエンドパーツで組み上げた時の完成想定金額は150万~200万以上は確実、凄く良いけどスタッフおおもと的にはちょっと手が出ませんね・・・
でも『今最高なロードバイクを手に入れたい』とお考えなら猛プッシュさせて頂きたい一台でした。
ミドルレンジと思えぬ
優秀さが光る一台
『PRINCE』の後継に位置するミドルレンジモデル『F5』
フレームは最上位モデル『DOGMA F』と瓜二つ、『これがDOGMA Fです』と言われても信じてしまいそうです。
ピナレロらしいカッコ良さを体現していますが、この上に更に2モデル存在する事を知っているので試乗する前は正直そんな期待をしていませんでした。
東レのトレカと言えばT700、超すごいフラグシップに乗った後では物足りないだろうなと。
『うわぁ、乗り味凄い好きだわ』
本当にミドルレンジでございますか?
無理のない自然な初速感からの中速域までの伸び方が秀逸、とても乗りやすい。
ライドフィーリングが十分に気持ちよく、レースイベントから離れたアラフォースタッフおおもと的には絶対的な速さよりも感覚的な乗りやすさを重視したいのでツボに来ました。
フレームからの反発感がマイルドで漕ぎやすく、時速30~35km/h範囲を維持するのが楽な印象です。
スルーアクスル特有の嫌な硬さが無く、大きく尖った性能はないものの、目立った欠点がありません。
レーサーには少し物足りなさはあるかもしれませんが、万人受けにチューニングされたオールラウンダーですね。
高速域での伸びは物足りませんが、これは明らかに初期で付属されるホイールが原因です。
FULCRUM Racing 800 DBは個別販売の無い完成車専用エントリーモデルで、こんな事言ってはなんですがフルクラムラインナップ最弱。
そんなホイールでも乗り味を気に入ってしまうほどにはフレーム自体のポテンシャルが良いのだと思います。
真っ先にホイールを交換したいところですが、F5はピナレロが行っている『WUPサービス』対象モデルなのがポイントです。
WUPは『WHEEL UPGRADE PROGRAM』の略です。
このサービスは対象モデルにアップチャージをする事でカンパニョーロ・フルクラムのよりグレードの高いホイールにアップグレードできます。
アップチャージ額はホイールを通常購入するよりも手頃な金額となっており、ホイールを後々変更するならば車体購入時にWUPでアップグレードをオススメしたいですね。
もし私がF5を購入するならば、WUPで6万円近くお買い得になる『CAMPAGNOLO SHAMAL CARBON』を履かせて乗ってみたいと思います。
ピナレロの対象モデルを買うならば、このサービスは絶対に利用した方がいいですよ。
先日当店でも試乗会をさせて頂いたCHAPTER 2のレーシングモデル『TOA』
残念ながらお借りしてる間に乗る機会が無かったので、今回の社内試乗会でバッチリ乗らせて頂きました。
一世を風靡したニールプライドの創業者が新たに起こしたブランドという事で、ずっと気になっていたブランドでしたがワイズロードでは扱いが無く今まで縁がありませんでした。
ですが今年から『メニーズ』様が代理店契約を結び、ワイズロードで新規取り扱いが可能になったのです。
新ブランドの事は知っておかなければならない、スタッフとして渾身の試乗体験です。
モデル名になっている『TOA』とはマオリ語で『勝利』を意味する言葉というだけあり、これはかなりのピュアレーサー。
『F5』で前述の通り私がマイルドな乗り味を好むタイプなので、踏み込んだときの剛性感の高さにビビりました。
初速で明らかな硬さを感じ、加速のフェイズでも若干足が求められます。
ですがスピードに乗ってしまえばこのロードバイクが得意とする領域、抜群のエアロ性能と強反発とさえ感じる剛性感で容易に高速域へ踏み込むことが出来ます。
実力・体力のあるレーサーであれば存分に能力を発揮して由来の通りの結果を得ることができるかもしれません。
レースイベントから離れた身としては、オーバースペックを感じてしまうほどに見た目のオシャレさとは裏腹なマッシブさのあるロードバイクですね。
フレーム以上に印象に残ったのが、アッセンブルされているカーボンハンドル『MANA HANDLE BAR』です。
ブラケット位置で幅360mm、ドロップ位置で幅380mmと約12度、幅が2cmもフレアしたエアロハンドル。
最小サイズのラインナップとはいえ、ブラケット位置で360mm幅の一体型エアロハンドルは珍しいです。
実は最近、上と下で幅に差があるエアロハンドルが増えてきています。
最近プロレースでも体格に対して異様に狭いハンドル幅を使用する選手が出てきていますよね。
それは巡行姿勢で握るブラケットポジション時、肩幅が狭くなり前面投影面積が減少し、空力的なメリットが高いという観点です。
でもその幅ではいざスプリントとなった時に存分に加速する事は難しいはずです。
そこでドロップ位置は最適な幅になるよう大きく広げる事でスプリントフォームの動作性担保、更にグリップ箇所が外に開くようハの字になる事でより上半身を使ったスプリントが行いやすくなります。
ブラケットを握って巡行姿勢を取った時の収まりの良さはまるでTTバイクのようでペダリングに集中しやすく直進走行に専念できます。
そして下ハンドルを握ったスプリントではより全身を使った振りやすさがありますね。
このハンドルバーは別売りとの事ですが、TOAに乗るならチョイスしたいハンドルだと思います。
ビアンキの傑作エアロロード『OLTRE』が大胆なモデルチェンジをして登場!
規定の緩和によりエアロロードバイクは形状の自由度が大幅にアップしましたが、これほどまでに変わるとは。
特に今回注目なのはレースで使用NGである『エアディフレクター』を採用している所でしょう。
ヘッドチューブの両サイドに設けられたエアディフレクターはフレームとの間にわずかな隙間があります。
外側を通る空気の流れと内側を通る空気の流れに速度差が生まれ、より空気のスピードの出る内側は低圧になりライダーの足回りに生じる圧力が減少し、空気抵抗の最たる原因であるライダーで生じる負担を軽減可能です。
また専用のエアロハンドルとフロントフォークに設けられたヴォーテックスジェネレーターで境界層剥離を引き起こし、空気の圧力抵抗を更に軽減しています。
前モデル『OLTRE XR4』と比較して50km/h走行時に必要なワット数を約17wも軽減し、パワーメーターを利用している人ならばこの数値が決して小さくはない事をお分かり頂けるはずです。
エアディフレクターは着脱が出来ますので、レース参加時は取り外せるのでご安心ください。
これだけエアロエアロしているというのに、真っ先に感じたのが乗り心地の良さでした。
OLTRE PROは最上位モデルOLTRE RCの空力要素を完璧に継承し、更にビアンキの独自素材『カウンターヴェイル』を採用しています。
カウンターヴェイルはカーボンの積層に加える事で特殊な機構無しに路面からの振動を減衰し、高い快適さをもたらしてくれる技術でビアンキのカーボンロードバイクを語る上では今や欠かせぬ存在となっています。
身体で感じるロードノイズが小さくなる事で、疲労感・不快感が軽減し、安定したペダリングが行いやすくなります。
快適なロードバイクはより長く速く走ることが出来ますから、快適に感じられるかはロードバイクを試乗して選ぶ時の重要な要素です。
そしてエアディフレクターの効果、『正直感じられるのかなぁ』と思っていたのですが巡行維持は確かに楽!
言われてみれば足回りの抵抗を少なく感じますが、劇的な変化を体感できるという訳ではありませんね。
エアディフレクター・ヴォーテックスジェネレーター・カウンターヴェイル、革新的技術が持つ一つ一つの効果を積み重ねたマージナルゲインがOLTRE PROの安定した走りやすさに繋がっているのだと思います。
空気抵抗を減らすエアロフォームを長時間維持する観点から見ても、ロードバイク自体の空気抵抗を減らすよりもライダーの負担を減らすことこそがエアロロードとしての最適解なのではと考えさせられます。
乗り味が妙に硬い、このシーンで速いみたいな尖った特徴は感じませんが、その一定感こそがOLTRE PROの常に速いの原動力か。
じゃじゃ馬感のない扱いやすさでロングレース・ロングライドに最適そうなエアロロードバイクですね。
試乗会最後に乗ったのはトレックの人気エンデュランスロードバイク『DOMANE AL』の第4世代です。
DOMANE ALはロードバイク最初の一台目に高い人気を誇り、様々なライドスタイルに対応できる広い拡張性とビギナーでも安心して乗りやすい快適さが魅力です。
第4世代となる今作ではタイヤクリアランスが拡張されて最大38cにまで対応が可能になり、より広いフィールドに対応可能となり荒れた路面も不安なく走れるようになりました。
ロングツーリングの為に荷物を多く載せて積載重量が増えたとしても、ワイドタイヤで安定性と操作性が担保され、このタフさはもう半ばグラベルロードバイクなのではというレベルです。
ケーブル・ホース類がセミ内装化されて見た目的にスマートになったのも良いですが、見えない所でフロントフォークがステアラーまでカーボンになり遂にフルカーボン化されました。
これにより大きく軽量化され、完成車重量で10kgを切ったのは注目すべき点ですね。
こういうのでいいんだよ!というぐらい乗りやすい。
というのもスタッフおおもとは前述しましたがアラフォー、最近は熱心に山でタイムアタックしたりトレーニングライドをしたりなんかしてません。
昔は日の出前から夜まで走って300kmオーバーのロングライドなんかもよくしていましたが、最近は50km走ればお腹いっぱい、100kmも走ったら数日筋肉痛に悩まされるレベルです。
だからこそ今、エンデュランスロードバイクの良さに感動し惹かれる事が増えました。
タイヤが32cでも漕ぎ出しはスムーズ、ワイドタイヤとフルカーボンフォークの恩恵で路面凹凸から生じるロードノイズは最小限で非常に乗りやすいです。
タイヤの接地面が広いのでコーナーリングは当然安定し、かなり倒しこんでもグリップ抜けが無く安心感バッチリ。
試乗コースは舗装路のみでしたが、路面環境に左右されない対応力の広さが確実にあります。
オフロードを楽しんでいるシクロクロッサー・グラベルライダーが乗ったら、このまま砂利道ぐらいは突撃する事でしょう。
ロードバイクビギナーのみならず、中高年になり以前から乗っているレーシーなロードバイクが何だか乗りにくい、走っていて疲れやすいと感じている方のセカンドバイクとしてもオススメ出来ると思います。
中速ペースで無理のないロングライドを楽しみたいならこれは最良な一台ではないでしょうか。
機材で楽が出来るなら楽したいですもんね。
スタッフおおもとの『社内試乗会-ライド編-』はここまで。
皆様が気になっていたモデルについて感じた感想を少しでも伝えれていれば幸いです。
次は『スタッフおおもとの社内試乗会-アイテム編-』です。
最新スマートトレーナー、イチオシ補給食、超軽量パーツ、パワーメーターの新しい使い方を見てきましたので、ぜひご覧ください。