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変速、駆動系システムの使用やメンテナンスのお話
by: 藤平悠介

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変速使ってますか?

当ブログをお読みの皆様こんにちは!

新宿クロスバイク館の藤平です

 

ほとんどのスポーツバイクに採用されている外装式の変速機構

走行中にギア比を変更出来るとっても便利な優れものなんですが、実は使い方があんまり分からないなんて方も多いんじゃないでしょうか?

 

今回は変速、駆動系のアレコレについてお話しましょう。

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上手く使えばライダーにも機材にも優しい

メンテナンスで入庫する自転車に多いパターンが「変速を全く/ほとんど動かしてない痕跡」

歯車は沢山あるのに一部の歯だけが著しく摩耗している物ですね

そしてこのパターンに特に多い特徴が「ずっと重めのギアを踏んでいる」というもの

 

パーツへの負担が集中してしまい交換頻度が高くなるのでとっても勿体ない使い方です

使う筋肉も一定になってしまう為あまり効率的な走り方ではありません

 

「変速使ってないなぁ」なんて思う方はとりあえず「加速時/上り坂/向かい風で使う」「巡行時に使う」「下り坂/追い風/高速走行などで使う」という三段を決めてギアを動かしてみましょう

慣れてきたら傾斜の変化などに合わせてさらに使う段数を増やしていけばより効率の良い走行が出来ます。

 

変速操作の基本として「変速時はペダルにあまり力を入れず軽く回転させながら」が重要

トルクを掛けたままの変速操作はショックが大きく機材にもライダーにも優しくありません。

逆にペダル(クランク)が回転していない状態で変速操作を行うのもNG

パーツの破損や調整不良を起こしてしまいます。 

 

ディレイラーハンガー 折れ

右向きに倒すと壊れやすい

自転車という乗り物は名前にも「転」が入っているような乗り物

ライダーが乗っていても、乗っていなくても倒れる事は当たり前にあります。

 

当店で販売の強いクロスバイクのカテゴリを選ぶユーザーの多くはキックスタンド取り付けを希望される為に右向きに倒れるリスクが特に高いのですが、そういった事があると変速機の出っ張っている部分が地面にぶつかり大きな衝撃を受けてしまいます。

「ちょっと倒したくらいだし大丈夫でしょ」なーんてそのまま乗ってしまったりすると歪んだパーツが後輪に巻き込み修理費が大幅にUP

走行中に巻き込んでしまうといきなり後輪がロックするのでライダーはとても危ない目に遭います

 

自分自身で倒してしまうという事ももちろんあるとは思いますが、駐輪中に風や他人に倒されたりして気が付かないうちに破損する事も多いです

変速の調子がおかしく感じたり、変な音がするなんて時はすぐに自転車店にご相談下さい。

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消耗品である

自転車という乗り物は全体が消耗品ではあるのですが、その中でも人間のパワーを受け止めほぼ常に稼働している駆動系は負担が大きいパーツです

特に外装変速機構は構造上真っすぐに回転している訳ではなく、歯車に対してちょっと斜めにチェーンが掛かる為に負担はさらに増大

使い方が悪いと寿命を縮めてしまい快適に動作しなくなったり、高い修理金額を頻繁に払う必要が出てきてしまいます。

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悪い例で一番多いのはオイル切れ

潤滑が不足すればチェーン内部や歯車が削れやすくなってしまいますし、表面が保護されていない事により錆びが発生します

金属は錆びると表面が凸凹になり、動作部分ではそれがヤスリのように他の部分を攻撃してしまうので交換が必要です

街中などでキュルキュルと異音をさせながら走っている自転車を多々見かけますが、あの状態になったらかなり手遅れ

チェーン表面が錆びで茶色に変わっているようなレベルだと歯車側もアウトな事が多いです

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逆にオイルを注しすぎて表面が真っ黒になっている状態もダメ

砂などの異物や摩耗時に出た金属粉がオイルに練り込まれてしまっているのですが、この粒子が駆動系パーツを攻撃して著しく寿命を縮めます

こういった状態になってしまうと汚れを落とす労力も尋常ではなく、パーツが既に削れてしまっている可能性も高い為清掃よりも交換の方がコストパフォーマンスが良い事も多々あります

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駆動系は元のパーツの色をしっかり保ちつつも表面を触るとわずかにオイルが付着する程度の状態が理想的です。

オイルの量が多すぎると汚れを拾いやすくなってしまうので表面に滲み出てきたら適宜拭き取りましょう

リムブレーキ車の場合振動などでオイルが飛び散るとブレーキに影響してしまう可能性があるので表面の拭き取りは需要な工程となります

 

 

以前比較実験をした事があるのですが、理想的な注油状態で10,000㎞以上の走行をしたチェーンよりも劣悪な環境(※上記画像は劣悪な環境の一例)で1000㎞程度の走行をしたチェーンの方が摩耗が大きかったです

状態が悪いと10倍以上の速度で摩耗していってしまうんですね

 

チェーン 伸び

一般的に言われているチェーンの寿命は3000~5000㎞程度ですが、その十分の一となると一般的なライダーでもすぐに超えてしまう距離だと思います

 

チェーンの交換は一回¥5,000~(※変速段数などによりパーツ価格は変わります)程度

それに対してオイルとクリーナーは¥3,000~程度で揃い、複数回使えます

注油や清掃の手間を考えたとしても対費用効果がどちらが良いかは明確でしょう。

もちろん駆動系の寿命が延びるだけでなく抵抗が減る事により軽快に走れますし、適切に清掃されていればチェーンなどに触れてしまう事があっても手やズボンの裾が汚れにくい為快適度が大幅に上がります。

 

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駆動系清掃&注油の極意

一度強く汚れた物を頑張って綺麗にするよりもこまめに拭き掃除をして綺麗な状態を保つ方が楽だったりします

 既に強く汚れてしまっている場合は時間と労力を掛けて洗浄するのも良いですが、有料の洗車サービスを行うお店を頼ってみるのも良いかもしれませんね

水を使った洗浄が難しい住宅環境の場合も多いと思いますし・・・

 

チェーンオイルが良好な状態であれば拭き掃除だけでも表面の汚れのほとんどは除去出来ますし、表面が汚れていない方がクリーナーなどケミカルの効きが良くなるので結果的に内部の清掃も楽になります。

 

個人的に推したい重要なコツが清掃に使うウェス

要らなくなったタオルや服、使い捨ての紙ウェスやキッチンペーパーなどを使う方も多いと思いますが、ちょっとコストを掛けてマイクロファイバータオルを使うと洗車や注油のクオリティが上がります

最近は結構どこでも入手出来るので一度お試し下さい。

 

クリーニングに使うケミカルは色々な種類がありますが、大きな違いとして「水有り洗車」と「無水洗車」があります。

クオリティを重視するならば水で流すケミカルの方が洗浄力も強く綺麗になりますが、水道を自由に使える環境でなければ難しいでしょう。

無水洗車用のケミカルは速乾性が高い場合が多いので手早く清掃を行う必要がありますが、屋内での施工も可能

ただし、大量の液体で流せるわけではないので強い汚れには向きません。

元々の状態がある程度綺麗であれば無水洗車でも十分なクオリティを維持出来ます。

 

 どちらの方法でも重要な事がチェーン内部に残った水やクリーナー成分をちゃんと除去してから次のオイルを注す事

外側からは乾いたように見えても内部には残っている事が多く、新しいオイルが本来の性能を発揮出来なくなります。

水分の除去には「水置換」を謳うケミカルを使うと効果的♪

 

注油に関しての注意点もいくつか

どんなオイルでも必ずやるべき点として「注油前に軽く振る」という事

成分が沈殿してしまうので使用前に攪拌する必要があります。

また、多くのオイルは成分が揮発する事でチェーンに定着し性能を発揮する為注油から使用までに少し時間を空ける必要があります

 

注油時はブレーキに関わるパーツにオイルが飛び散らないように気を付ける必要があります

特にスプレータイプのオイルを使う場合は要注意

 

「いっぱい塗っておけば性能が良くなるんじゃないか」と期待して多めに塗ってしまいがちですが、量を多くしても汚れを拾いやすくなるだけで潤滑に良い効果は無く、メンテナンス頻度はむしろ高くなります。(※雪や泥など特殊なコンディションにおいてはオイルの量を増やす事もありますが)

適量である事が重要なので注油後はしっかりと表面を拭き取りましょう。

 

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チェーンオイルの種類の話

注油に関する話をしたのでオイルの種類についても語っておきます

 

ドライ

注油後に乾燥し表面に被膜を作るタイプ

砂埃などの汚れを拾いにくく乾燥したコンディションに向く一方、使用に伴い被膜が剥がれていく為持続期間は短めで悪天候などは苦手です

振動で飛び散りにくいので為駆動系だけでなくフレームなども汚れにくいですし、駆動抵抗も少ないのが特徴

乾燥時間が必要な為、注油後6時間程度は待ってから表面を拭き取りましょう

 

ウェット

 オイルが液体のまま流動性を残してチェーンに留まります

耐水性が高く悪コンディションでも長距離の潤滑が出来る一方、汚れが付着しやすい為チェーンやギア周りが黒くなります。

ドライタイプに比べ油膜の影響で駆動抵抗はわずかに大きくなります

注油後すぐに走行しても問題ありませんが、30分程度置いてから表面を拭き取るのがオススメです

 

セミドライ、セミウェット

名前の通りドライとウェット両方の特性を持つタイプで、今はメインストリームと言える物でしょう

良い所も悪い所も中間くらいのバランスなので一番使いやすいです

乾燥時間は必要なので注油後6時間程度は待ってから表面を拭き取ると良いです。

 

ワックス

ドライ系の一種で厚めの被膜を形成するタイプ

駆動抵抗が非常に少ない一方、持続期間は短く頻繁な注油が必要です

乾燥時間が必要な為注油後6時間程度置いてから拭き取りましょう

 

ワンステップ系オイル

オイル自体に洗浄剤としての効果を追加し、注油と同時に汚れたオイルを流すタイプ

洗浄時に油膜を切らさない為チェーン表面に優しい一方、汚れを流す為に一回の使用量は多くなります。

 オイルとしての特性は物により異なり、乾燥時間や拭き取りが必要かもまちまちです。

 

 

 どのタイプを選ぶのが良いのかは使用環境に大きく左右されます

注油の目安は200㎞に一度程度がオススメですが、悪天候での走行があったり雨ざらしの保管環境なのであればもっと頻繁に

 

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最後に

普段使っている自転車でも駆動系に関して考えた事の無いライダーは多いと思いますが、使い方が悪いと快適度が下がるうえにランニングコストが上がり良い事はありません。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが変速や注油、クリーニングなど是非お試し下さい。

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