【まつののCicli通信】はじめてのDi2操作
by: 松野 海丸

こんにちは、新宿本館のまつのです。SHIMANO社の電子式変速システム“Di2(デジタル・インテグレイテッド・インテリジェンス)”。変速機をシフトワイヤーではなくモーターによって駆動させるシステムでレースだけでなくロングライドにもおすすめな機材のひとつです。

どの業界も値上げ値上げといわれる昨今ですが、かつて機械式のラインナップしかなかったSHIMANOロードコンポーネントの上から三番目のグレード“105”がDi2に対応したことにより低価格化が進んでいます。当店では、初めてロードバイクに乗る方も多くご来店頂いていますが、1台目のロードバイクでも、Di2を採用したバイクを選ばれる方も増えてきました。既にロードバイクに乗っているエキスパートの方でもDi2に触れるのは初めての方も多いです。そこで、Di2の基本操作を改めて復習してみましょう。そんなおはなしです。基本的には“乗る”という視点でご案内していきますので、変速調整などの技術的な内容は敢えて省きます。また、投稿時の現行モデルR9200、R8100、R7100系Di2の基本操作の解説となります。

 まずは機械式変速機の基本操作を振り返る

まず、Di2といっても基本的な使用ルールは機械式の変速システムにかなり近づけており、プラスアルファで機能が拡張されたものだと思ってください。よって基本的な機械式の使用方法を先に把握してください。どこをどのように操作したら変速するのか、変速中にやってはいけないことはなにか、変速出来ないシチュエーションはどういったものか、前後のギアでやってはいけない組み合わせはなにか、またその理由はなにか、トリム調整とはなにか。こういった基本操作が結構なぁなぁになっていることがあります。

当店ではご納車の際、ビギナー向けに基本操作の説明会を行っています。基本的な使用感に不安がある方は御成約時にお申しつけください。

電源

油圧ディスクブレーキ式 Di2 システムは、左右のシフトレバーにそれぞれボタン電池によって電源が供給され、シートポストに仕込まれたバッテリーによって前後の変速機に電源を供給します。よって電源は 3 箇所ということになります。充電方法等の詳細は後述します。

メカニカルブレーキ式 Di2 の場合は前後の変速機と左右のシフトレバーが全てバッテリーと有線で繋がれます。

シフトボタンの位置関係

Di2 の大きな特徴として、すべてのシフトスイッチがブレーキレバーから独立していることが挙げられますが、シフトスイッチの位置関係はメカニカルシフトと共通しています。

Di2 にのみ搭載されている機能

つぎに、Di2にのみ搭載されている機能を見てみましょう。

連続変速操作

右手のシフトレバーで RD(うしろの変速機)を操作する際は、シフトボタンを押し続けることによって連続して変速操作が可能です。

オートトリム

“トリム調整”は、Di2 では自動的に行ってくれるため不要です。

トリム操作

FD(前側の変速機)の位置を若干移動させることによりチェーンと変速機の干渉を防ぐ“トリム調整”

充電ケーブル

専用の充電ケーブルがあります。車体に付属しない場合もありますので、付属品を確認し必要に応じて準備しましょう。USB Type-A端子を採用していますのでお手持ちのモバイルバッテリーなどでも充電が可能です。

充電方法

専用のコネクタがありますのでフタを空けて下さい。

コネクタに充電ケーブルを差し込みます。

1.5～3時間ほどで充電できることが多いです。充電中につく青いLEDが消えたら充電完了です。

ファンクションボタンの操作を覚えよう

後側の変速機“リアディレイラー”にファンクションボタンがあり、このボタンを操作することで様々な調整や確認が出来ます。 

シングルクリック

ファンクションボタンをシングルクリックすることで、バッテリーの残量を確認することができます。

LEDランプが光りますのでカラーや点灯パターンによってバッテリー残量を確認できます。LEDのパターンは以下のようになっています。

Di2 のメインバッテリーを 1 回充電すれば、約 1,000 km を走破できます（目安であり、変速頻度や走行環境によって異なります）。バッテリー残量が少ないとき、まずフロントディレーラーが動作しなくなり、続いてリアディレイラーが動作しなくなります。バッテリーが完全に無くなるとディレイラーは最後に変速したギア位置で固定されます。

 ダブルクリック

ファンクションボタンをダブルクリックすると、3つの変速モードが順番に入れ替わっていきます。

青点灯 マニュアルシフト

通常の変速挙動

青点滅 2 回 セミシンクロナイズドシフト

フロント変速の落差をリア変速で埋める

前側のギアは 2 段しかないため後ろのギアと違い
最も重いギアと最も軽いギアの間に刻みがありません。
変速のギャップが大きすぎるとパワーロスになります。
これを自動的に解消する機能です。
前側のギアを変速したときに自動で後ろ側のギアを変更
●前を重くしたときは後ろを 2 段軽く
●前を軽くしたときは後ろを 2 段重く
これにより前のギアを変速したときの落差を後ろと同等に収める機能です。

青点滅 3 回 シンクロナイズドシフト

セミシンクロナイズドシフト＋更にクロスギアを回避

前後のギアの重さが対極の組み合わせ 2 つを“クロスギア”と呼び、ギアがねじれることから走行中はこの組み合わせにしないことが推奨されています。前のギアを変速したときに自動で後ろのギアを変速してこの組み合わせを避けます。

RD プロテクションリセット

転倒などからシステムを保護するため、強い衝撃を受けると、RD プロテクション機能が働き、モーターとリンク部の接続が一時的に解除されリアディレーラーが正しく動作しなくなります。

復旧方法

車体をハンガーに吊るしたりさかさまにするなどしてホイールをフリーにします。
つぎに、リアの変速をロー(最も軽いギア)からトップ(最も重いギア)まで行き来させます。

E-TUBE PROJECT

Di2 ユニットのファームウェアの更新、電動シフトのカスタマイズ等の詳細設定はE-TUBE PROJECT 上から行えます。

LED が青点滅するまでファンクションボタンを長押ししてスマートフォンとの接続モードに移行します。E-TUBE PROJECT でのセッティング後、アプリケーションとの接続を解除しないと変速機は動作しません。

シフトスイッチのバッテリー残量の確認方法

シフトスイッチを2つ同時に0.5秒以上押し続けるとバッテリー残量によってLEDが図のいずれかの状態になります。

電池は CR1632 で電池の寿命は、約 1.5～2 年ほどです。ボタン電池はレバー先端のブラケットカバーをめくりあげた部分から交換可能です。SHIMANO は左右同時に交換を推奨しております。

スイッチ A(DURA-ACE・ULTEGRA のみ)

DURA-ACE、ULTEGRA のみ、シフトレバーのてっぺんに“スイッチ A”が搭載されています。対応したサイクルコンピュータのページ送りなど、特定の役割を割り当てることが可能です。必要に応じて設定してください。

最後に

レースからロングライドまで幅広く使えるDi2を使いこなして快適な自転車生活をおくりましょう。新宿本館ではDi2搭載のお得な完成車も多数在庫しています。ご来店お待ちしています。

  

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