日本最大級のスポーツサイクル専門店!Y`sRoadのウェア専門館第1号!
2022/03/29 22:49
スポーツシューフィッター有資格者がおくる、靴選びに役に立つかもしれない情報や、シューフィッター目線での製品情報などお伝えしていきます。週一回のポストが目標。
目次
日本フットウェア技術協会(JAFT)が定める【スポーツシューフィッター】の有資格者である私が、その知見を活かして皆様の靴選びの役に立つ(かもしれない)情報や、フィッターならではの目線で話題のプロダクトを見る。そんなコラムにしようと考えております。
週一更新を目標に、あれこれ書いていこうと思います。
スポーツシューフィッターの資格は2019年夏に取得しました。
今現在そのノウハウを基にお客様の靴選びのお手伝いをさせていただいております。
今日は前回の記事の最後でお話しさせていただいたシューズ選びの重要な要素である”ボリューム”について解説していきたいと思います。
ボリュームとは…言葉で説明しますと「足の立体の大きさと形状」と表せるでしょうか。
人間の足は当然のことながら立体です。
靴を履くということは、その中にこの「足という立体」を入れることになりますので、靴の立体の形状と、靴に足を入れる人の立体のバランスが適切に保たれていなければ「きつい」とか「合わない」という感想に行き着くわけです。
靴の立体を「ラスト」、ご自身の足の立体を「ボリューム」と表現させてください。
今回ご紹介するのはボリュームの方。ラストについては次回のお題にしたいと思います。
前回のサイズの概念同様、何を当たり前のことを仰々しく言ってんだこいつは!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、靴が合わない=サイズが合っていない、と誤解していらっしゃる方は非常に多くいらっしゃるなというのが私の印象でございます。
そう、合っていないのはサイズではなくボリュームなのです。
ボリュームやラストについて語り始める前に大事なことを一節書かせてください。
よくある話なんですが…
このシューズブランドは海外のだから細くて…とか、これはネットに幅広だって書いてあったから…
靴選びの際に本当によく聞きますこういうワード。
お客様からも多い。同業者からも多く聞きます。
私もこのお仕事を始める前までは靴を選ぶ際にそんな先入観を抱くことも確かにありました。
ただ、靴と足の相関関係に興味を持つにつれ、こういったワードの危うさに気づきます。
こういった考え方の最も危険なポイントは
・誰が、何を基準にそう言っているのか
・自分の足を使って、かつ正しいサイズ選定の考え方に基づいてその靴を履いた結果として言えているのかどうか
ということ。
根拠がないことが多々あるわけです。
少し今回の話から脱線しますが、人の足の形は千差万別です。
骨格という民族性が強く出る各部位の中では、生まれてかららの生活習慣や体型、体格の変化、傷病歴などで著しく変化される方もいらっしゃる部位と言えます。
なにせ体重という非常に非常に強力な荷重を支えている部分ですので、変化は必然です。
もちろん性別や典型的な日本人の骨格だったり年代別の骨格(これは世の中の生活スタイルの時代変化による部分が大きいです)といった大別できる特徴のようなものはありますが、それでもやはり一人一人の異なるキャラクターが強く出る部分ではあるわけです。
自分の足を「幅広/甲高」だと思っている方も同様です。
実際に測った事がある方でも、その意味を靴選びの参考にできる形で理解されているというのは少数派のように感じます(理解していないことを悪く言っているわけではありません。念のため)。
ブランドについても同様のことが言えます。
なぜそのブランドの靴は細い(狭い)という評価になるかの根拠が曖昧な場合が非常に多いと感じています。
先述したように、足の形は少なからず後天的に変化するものです。
これに国籍は関係ありません。
ポピュラーなブランドのほとんどが欧米のもので占められるサイクルシューズですが、欧米の方でも靴選びに戸惑う人も多くいるのが実情です。
このブランドは細い(狭い)、特に海外ブランドだから細い!という結論づけはやめておいたほうがいいと思います。
とにかく、まずは先入観を捨てましょう。
靴を選ぶ楽しさや、自分にとっての正解を見つけにくくしてしまうだけなのかな、と私は思っています。
当然全てが自由に!というわけではありませんが、この先入観から解放されるだけでもかなり靴選びの幅が広がるのではないでしょうか。
これについては次回詳しく掘り下げていこうと思います。
では本題のボリュームについて。
基本的に3Dデータを解析できるような機材がなければ、ご自身の足のボリュームについて具体的に知る、ということはなかなか難しいです。
が、ここを押さえておけばとりあえず…というポイントをご説明させていただきます。
わかりやすくするために写真に○をつけてみました。
この○をつけたポイントが重要となってくる部分です。
ボリュームとは「足の立体の大きさと形状」と書きました。
ご自身の足のキャラクターとでもいうべき部分が○をつけたところとなります。
具体的に言葉で表すと
①前足部分
②中足部分
③踵部分
この3つのポイントにおけるボリュームを把握しておくことで、靴選びが格段に楽になります。
まず①の前足部分について。
つま先から足指の付け根の骨あたりまでが該当部分となります。
ここで重要なのは「指の長さと付け根の骨部分のキャラクターを把握しておく」ということ。
指の長さとは相対的な長さのことではなく、親指から小指までがどう並んでいるか、という部分を把握することです。
一般的に第一指(親指)もしくは第二指(人差し指)を頂点として、小指に向かって短くなっていくという傾向がありますが、ご自身の足指がどのような並びをしているか確認してください。
稀につま先揃えで小指まで似たような長さという方もいらっしゃいます。
何が正解!というわけではありませんが、どのように並んでいるかを把握しておきましょう。
次に付け根の部分ですが…ここが皆さんよく「横幅」とおっしゃる部分になります。
確かに平面的に見れば幅なのですが…ボリュームは立体ですので、ここの部分の「厚み」も非常に重要となってきます。
親指から小指までをぐるっと測った周長を「足囲」などと言ったり、この親指から小指までの足裏の盛り上がりを「横アーチ」などと言ったりしますが…今回はもう難しいことは無し!
厚みがなく幅が広いのか、厚みもあって幅も広いのかまたはそれぞれの逆パターンもあります。
数値で考えるのではなく、ざっくりとした印象で大丈夫です。
まずは特徴を捉えることが肝心!
続いて②の中足部分。
こちらは「甲」と皆様がおっしゃる部分です。
足裏から見れば「土踏まず」なんていう言葉が出てくる部分になります。
ここで重要なのも「立体の形状を捉える」ということ。
ポイントとしては、この部分の全体的な高さ(厚み)と、荷重をかけた時(立っている時)の足裏の形状を把握するという事です。
鏡などを使ってこの部分を内側、外側と見比べてみると良いかと思います。
特徴の強い方の傾向として、荷重時に足裏がベタッと地面についてしまうような状態の方、この場合横から見ると足裏の肉が潰れたような形状になります。
こういった方の場合、高さ自体はそれほどでも無い場合が多いですが、骨の太さや筋肉のつき方で高さが出る場合もあります。
足裏がベタッとつく感覚があるか、加重した時のこのポイントの骨の盛り上がりはどうか…この2点を確認してみてください。
そして最後に③踵部分。
ここに関してはまず無荷重の状態での大きさを把握しましょう。
手で掴んでみての手ごたえで特徴をつかんでみてください。
次に、荷重時にどのように形が変形するかもみていただくと良いかと思います。
大きく形が変形する方は、踵の脂肪分が多い傾向にあります。
基本的には大体の大きさを把握するだけでも良いのですが、骨がしっかりしているのか、脂肪が多くついているのか、はたまたその両方なのか…
ここを捉えていただくことが重要となってきます。
さて、ご自身の足をざっくりとでも把握できたでしょうか。
専門的な知識はなくとも、改めてご自身の足を見る、特に今回ご紹介させていただいたように「立体として捉える」「区分けして見てみる」というプロセスを経て見てみると、ここはなにか一般的な足の認識とは違うかも???という部分が出てくるかもしれません。
今回はそこが掴めていれば大丈夫。
次回は実践編!靴の立体である「ラスト」を解説させていただきつつ、「サイズ」「ボリューム」「ラスト」の関係をまとめていきたいと思います。
次回はいつ更新になるやら…
しかし頑張って書きますので気長にお待ちください。
よろしくお願いします。