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【解説】プロのタイヤ幅と空力の話。
by: 石川一瑳

先日、某SNSを閲覧していたらブエルタを走るプロチームのタイヤ幅の調査結果と言った投稿が目に入りました。

どのチームも小さくても28、30が平均程で、最大で32という太さに絶句…、23c派の友人が「ンアァァァ‼タイヤ幅が太すぎます!」と絶叫していました。

ではなぜ、彼らのタイヤ幅は太くなったのでしょうか?

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太くなっていった理由

それはひとえに空力の為と技術の進歩と言えます。なるべく細かく紐解いていきましょう。

 

昔は細いほうが良かった

前方投影面積という単語を耳にした事のある方もいらっしゃるかと思いますが、航空機やレーシングカーの開発などで頻繁に用いられる単語で、簡単に解釈するのなら『正面からモノを見た時の断面積』になります。

コレが小さくなればなるほど空力的に有利になるというわけです。TT競技などにおいて選手がTTバーを握って屈むことをエアロポジションと言いますが、これも前方投影面積的に有利に作用します。

 

流体力学の進歩

流体力学とは動きのある物質の表面を流れる流体(水や空気)を可視化し最適な形状を求めたりするのに扱われる学問のことで、よくTTバイクやエアロ系ロードバイクのメーカーホームページに謎の空間でペダル漕いでたりする画像や動画、フレームの周りを青や緑、赤のような粒粒が流れていくCGを目にすると思います。風洞実験という車体表面を流れる空気を可視化し、最適な形状を求めるものです。

カンパニョーロのBORA WTOのWTOはWind Tunnel Optimized(ウィンド トンネル オプティマイズド)の略。Wind Tunnelとは風洞を意味し、Optimizedとは直訳すると「最適化された」というものになります。つまり、[風洞的(空力的に)最適化されたBORA]という意味なのです。

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DE ROSA SK Pininfarinaというフレームはみなさんご存じでしょうか。モデル名にある Pininfarina「ピニンファリーナ」とはイタリア最大のカロッツェリア…すなわち自動車のデザイン、製造をする会社であり、ときにはF1マシーンの開発の一部を手掛けるほどです。

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もっとも有名なモータースポーツの一つであるF1は空力に関する技術の最先端と言え、それに携わるピニンファリーナの風洞設備は世界屈指と言っても過言ではありません。 SK Pininfarinaはそんな設備活用し開発されたものであり、性能は過去にワールドツアーでコフィディスが証明しました。

そんな近年発展の著しい空力実験の結果、「ディープリムならタイヤ幅太い方がいいんじゃね?」みたいな感じの意見が出回りました。これが、よくディープリムホイールの解説でいわれる「太いタイヤを履くことで空力が向上する」と言われるようになった理由なのです。

 

ディスクブレーキの登場

空力技術の発展のほかに重要なのが『ディスクブレーキの登場』です。リムブレーキ/キャリパーブレーキでは本体とタイヤのクリアランスの問題でタイヤの太さに制限がありました。

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店内在庫のCAAD Optimo 1はR7000系105です。リムブレーキだと太いタイヤは入りません。とは言ってもロードバイクというもの十分に楽しめるため、まだまだおすすめの一台です。

例えば、フレームがいくら太いタイヤに対応していても9000系デュラエースのキャリパーだとクリアランスの制限により~25cまでしか入りません。それがディスクブレーキの登場によりタイヤ幅を取り巻く状況は一変、タイヤ幅の依存先がブレーキキャリパーからフレームになったのです。

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店内在庫のRIDLEY KANZO SPEED。タイヤの太さはフレームに依存する。この車体はまだ太くできます。

そのおかげで、近年のレースでは30cなどの比較的太いタイヤ幅のものが使用可能になったと言う事なのです。

そんな太い幅のタイヤですが、メリットはもちろんデメリットもあります。

 

メリット

チューブレスと併用することで空気圧を下げれる

これが最大のメリットと言っても過言じゃないです。空気圧を下げることで路面からの突き上げをいなすことができます。そうすることで長距離のライドでも疲れにくくなるので走行距離が延びます。

 

チューブレスと併用することで多少の荒れた路面なら問題なく入れる

悪路を駆け抜けるクラシックレースなどではプロ選手は石畳でも躊躇なく速度を出します。

昔はサスペンションんや独特な気候が搭載された荒れた路面を走れるバイクが開発されていたのですが、現代のバイクはワイドリム、チューブレス、太いタイヤの登場で一機種に統合するメーカー・チームが増えており、ピナレロがこの例なら一番わかりやすいと思います。

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チームSkyの時代、DogmaKをブラッシュアップし石畳を走る為にシートステーとシートチューブの接合部にサスペンションの様な機構を搭載したDogma K8-Sというモデルが2016年ごろラインナップにありましたが現代のラインナップを見るとそのようなレースバイクはなく、Dogma Fに統一されています。Dogama Xもありますがあれはレースバイクではないそうです。

 

直進、カーブの安定性が向上する

太いタイヤであるため路面との接地面積が増え安定性が向上します。23cのバイクに乗っていて28~30cなどのバイクを乗った時とハンドルの安定性の違いに驚きました。ハンドリングが安定すると言う事は事故の隔離が大きく減らせますし、長距離の走行も疲れにくくなるのです。

 

デメリット

重量が重くなる

数十グラムの差ですが、細いものより太い方が重量は増します。レギュレーションが緩いヒルクライムではその数十グラムを稼ぐために細いタイヤを使っている方もいます。

 

チューブレス運用でないと恩恵にあずかりにくい

メリットで話したものは結局チューブレスで運用していて初めて効力を発揮するというものがほとんどです。チューブレスはやはり、初めての時はハードルが高いので回避されがちです。

 

リムブレーキだと扱えない

やはりディスクブレーキの登場で発達した技術なのでリムブレーキだと太くできる限界があり扱いにくいものはあります。

 

最後に

自転車のカスタムは皆さんがやりたいことをするのが一番。

流行などを無理に追わず、自身の好きなことをするのが一番です。池袋チャーリーはそんな皆様のカスタムや自転車ライフをよりよくすために出来る限りの力添えをしますので、何かございましたら遠慮なくご相談ください。

 


 

 

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