日本最大級のスポーツサイクル専門店!サイクルライフサポート!
2020/03/22 23:43
ブルベライダーの佐藤です
商品紹介ではなく
コラムにジャンルを変更しろと
怒られましたが続けます
前回はライバルが10万円以上にしかいない
とてつもなく高コスパなホイール
をご紹介しました
やはりリムにこだわるメーカーが
ホイールを作ると良いものが出来上がりますね
今回ご紹介するのは皆さんご存知
SHIMANOのホイールです
早速ネタばらし
SHIMANOのホイールってどんなイメージでしょうか?
エントリーグレードは補修用といえるものから
フラッグシップはそれこそ世界のトップ選手が
愛用するものまで広い範囲を手掛けています
日本ブランドらしく
デザインよりも機能性にこだわり
精度や耐久性には定評があります
どちらかといえば
保守的なイメージのあるブランドですが
今回のホイールははたして……?
SHIMANO
WH R9170 C40
¥223,838 +tax
WH 9170 C40とは?
SHIMANOの最上位グレード
DURA-ACE9100シリーズ
に属するディスクブレーキ系統の
グループセットに含まれるホイールです
これまで紹介してきたホイールとは異なり
リムはフルカーボン製
となっており見た目に反してリムは軽量です
ディスクブレーキ化に伴い
これまでは出来なかったリムの加工がしやすくなり
採用された技術が
D2リム
です
D2リムとは
エアロダイナミクス効果を
より高めたホイールにするべく
SHIMANOが注目したのは
タイヤを装着した際の
リムとの隙間/段差
でした
まだ世の中が23Cから25Cへと
タイヤサイズの主流が変わろうとしていた数年前
ナローワイドのホイールに
25C タイヤを取り付けたら
ブレーキシューにひっかかって
ホイールの着脱がスムーズにいかない
なんて事ありませんでしたか?
SHIMANOはこの出っ張りが
高速巡航時においては
空力特性に大きなデメリットになると考え
この隙間/段差を最小化するべく研究を続けてきました
今回は紹介を省きますが
MAVICでは「CX01」というテクノロジーが
ありました
当然これまで多くのホイールを開発してきた
SHIMANOですからどうすれば解決できるのかは
ある程度のノウハウがありました
まず1つ目は
ワイドリム化
でした
これで25C以上のタイヤインストール時に
低転がり抵抗とリム剛性の両立が可能になりましたが
当初の目的であった
エアロ効果の向上
にはもう一歩踏み込んだアイデアが必要です
最終的にSHIMANOが採用した
手法が
タイヤベッドを深くする
というもの
⇧ D2リム(チューブラー)の例 ⇧
より深い位置でタイヤを固定し
広い範囲のリムでタイヤを保持することで
SHIMANOはリムとタイヤの段差を
少なくすることに成功しました
段差が無くなったことで
向かい風と斜め風の集合体である
ヨー角
に対して
これまでのエアロホイールよりも優れた
空気抵抗軽減効果が得られました
かくしてSHIMANOはD2リムシステムを
手に入れました
リムは出来た!
後は最高のホイールを組むだけ!!
MAVICやALEXRIMと同じく
SHIMANOも理想とするリムを手に入れました
ただ、この9170というホイールに関しては
もう1段階
SHIMANOはスポークの構成という点で
進化のアプローチをかけてきました
【2:1】ですか? いいえ、【16:8】です!!
9170のホイールを改めてみてみると
ハブのフランジ部が
かなり特殊な形状をしています
1つのフランジ山にスポーク穴が
手前と奥の2箇所配置されており
その2つがほぼ180度反対方向へ伸びています
このスポーク構成
2:1組をしているホイールは
割と似たような形をしていることが多いのですが
9170ほどスポークの角度は開いていません
開いていることによるメリットとしては
回転方向にトルクが加わった際に
スポークテンションの変化が最小限に抑えられる……
まぁ、反応性が良くなる
と推察します
あえて似ている他社の技術を
引用して説明するのであれば……
⇧ ALLROAD PRO UST DISC ⇧
ハブフランジ周辺の形状は
MAVICのALLROAD系に似ています
⇧ SHAMAL ULTRA ⇧
スポーク構成は
CAMPAGNOLOのG3に似ており
⇧ RACING ZERO CMPTZN ⇧
ホイール剛性の確保は
FULCRUMの2to1に近い設計思想
勘違いして欲しくないのは
例え他に類似する技術があったとしても
それを1つにまとめて製品としてのバランスを取ることは
並大抵の努力では実現できません
しかもそれが
DURA ACE
というグレードであればなおのこと
当店の田中伸也が以前紹介した
の記事を引用改変するのであれば
DURA ACEは
ツールドフランスで勝利することを
義務付けられ、
世界最高クラスの要求を満たす為に
常にSHIMANOの全知全能を授けられる
特別な存在がDURA ACE
⇧この言い回しカッコよくて好きです⇧
といっても過言ではないと思います
そんな存在のホイールだからこそ
この9170は更にもうひとつ工夫を加えました
ディスクブレーキが存在する反フリー側を
ラジアル組するばかりか
徹底的に軽量化を狙ったフランジ設計
CAMPAGNOLOのDISC版G3
が出たときと同様に
「大丈夫かコレ」
と不安になりますが
その結果は既に多くのレースで証明されています
いつもならここで
「SHIMANOが頑張って技術開発しました」
で終わってしまう話なのですが
個人的に毎回「SHIMANOはすごいな」
と思う点として
こうした革新的な技術が
下位のグレードまで降りてくる時間が短い
ということ
OPTBALに関しては
既にRS330(105グレード)にも
採用されています
いまは限られたモデルにしか採用されていない
D2リムシステムも
数年後にはエントリーグレードに
普通に採用されている技術になるかも知れません
保守的な一見地味に思えるブランドも
技術から逆引きして製品を見ると
違った魅力が感じられるというもの
↕ ↕ ↕ ↕
いや、どっちゃねーん
次回は
「クロモリフレームを作っていたら最軽量ホイールが出来た」
そんなメーカーのホイールをご紹介します
お楽しみに
頑張っても文字数が減らないでござる……
【ホイール関連もくじ】
○FULCRUM RACING ZERO CMPTZN(CL/DB)
○SHIMANO WH 9170 C40
掲載当時と価格や在庫状況などに変動がある可能性があります
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