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【バイオレーサー】サドルの高さについて考えてみる【その②】
by: 永平 宏行

バイオレーサーの中の人です。

 

 

前回からポジションの基本、

「サドルの高さ」について考えています。

(今回も長文です)

 

 

サドル高ビフォー

 

 

前回の記事はこちら

【バイオレーサー】サドルの高さについて考えてみる【その①】

 

 

今回は2回目、ということで
サドル高の値は、

 

 

 

何が影響して決まるのか?

 

 

 

と、

 

 

 

どうやってセッティングするのか?

 

 

 

について考えてみます。

 

 

 


 

 

 

本題に入る前に、前回のおさらいです。

 

 

 

「ペダルの踏みやすさ」

 

「クランクの回しやすさ」

 

「推進力の生み出しやすさ」

 

 

 

この3つの「やすさ」のバランスをとることが、

理想的なサドル高セッティングの「キモ」、とお伝えしました。

 

 

 

今日はこれに「にくさ」が1個加わります。

 

 

これを踏まえて、本題に入りましょう。

 

 

 


 

 

 

 

踏みやすさだけを重視すると、サドル高が高くなり、回しづらくなります。

 

 

多くのビギナーライダーは踏みやすさだけを重視して、

サドル高を高めにセッティングしてしまいがちです。

 

 

2016-08-15

 

バイオレーサー5000でお渡ししている「現在のバイクポジション」シート。
バイオレーサーの推奨値と、現在の値を数字で比較することが出来ます。

ちなみにこの被験者も、サドル高の推奨値661mmに対して680mmと高めでした。

 

 

そこで、

「回しやすさ」

を考慮するわけですが、

(誤解を恐れず、単純化して言えばサドルを「低く」します)

必然か、偶然か、

回しやすさと一緒に得られるものがあります。

 

 

それが、

 

 

「故障のしにくさ」

 

 

です。

 

 

加えて、

 

 

「推進力の生み出しやすさ」

 

 

まで得られてしまいます。

 

 

 


 

 

 

 

ここからは、理想的なサドル高を決定する要素について考えてみます。

 

 

人間の脚は機械的な仕組みをしていますが、

機械ではなく、あくまで生物です。

車のエンジンのように(設計に破綻が無ければ)、

どんな角度の運動でも音を上げない

鋼鉄のピストンロッドとコンロッドで

出来ているわけではありません。



生物の関節は、機械と違って、

「運動に適した角度」

というものがあります。

 

 

その角度は

 

 

関節の可動域の中心1/3の領域

 

 

です。

 

 

2016-08-15 (4)

 

 

この領域の運動が最も効率よく、安全に、強い力が出せます。

スクワットをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。

膝がこの中心1/3に来た時に一番「気持ちよく」力が入っているはずです。

(「きつい」負荷を最も感じるのは初動の1/3)

 

 

関節、筋肉、腱に負担が掛かって、

故障するのはどんな時でしょう?

縮み切った位置から高負荷の運動をした時や、

伸び切った時ではないでしょうか?

 

 

サドルが低いと、膝が屈曲した縮んだ状態から高負荷の運動を強いられ、関節に負担が掛かります(初動の1/3領域での運動)。

 

 

サドルが高いと、下死点で膝関節を最大角度(180度)付近まで伸展させるため、膝裏の腱に負担が掛かります。

また、サドルが高いセッティングは、足首を支える膝下の筋群にも負担が掛かり「足がつる」原因にも繋がります。

 

 

そういう訳で、中心1/3の領域を有効に使うことが、安全で高効率な運動のためのキーなのです。

 

 

「ペダルの踏みやすさ」

「推進力の生み出しやすさ」

「故障のしにくさ」

 

 

に寄与するキーです。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

また、エンジンのクランク機構と違って、

人間の脚にはもう一つ支点(関節)があります。

足首です。

そしてペダルに踏力を加える作用点は、

拇指球・小指球エリアです。

これらの複雑な機械的特徴も考慮しなければなりません。

 

 

エンジンのように歪まない鋼鉄で出来た、

支点の少ない単純なクランク機構であれば、

下死点で伸びきってもスムーズな円運動ができますが、

人間の体はそんなに単純ではありません。

 

 

下死点では、足首まわりの機械的特徴を包み込む、

マージンがなければ、毎分90回転の高回転運動は出来ないのです。

(かかとでペダルを踏んで90回転は維持するのは大変ですよね)

 

 

伸びきらない適正なマージンを持つことが、

「回しやすさ」

に寄与するキーなのです。

 

 

 

「膝関節の可動域中心1/3の領域で仕事をさせる」

「足首周りの機械的特徴を包み込むマージンを持つ」

 

 

その為には「下死点で余裕が必要」という事が分かりました。

別の言い方をすれば、下死点で脚を伸びきらせてはいけない、

という事です。

 

 


 

 

 

では、どうしたら下死点に“適切な”余裕のあるセッティングが出来るのでしょうか。

 

 

過去の経験則から、一般的に言われているのが、

 

 

「下死点で膝角度が30度(150度)を成すように」

 

 

2016-08-15 (1)

 

 

というもので、

恐らく世界の全てのバイクフィッティングがこの原則に則っています。

(好みや慣れに対する許容範囲として、+-5度の幅を持って25度~35度の間で調整します)

 

 

この30度という「黄金律」をポジションに落とし込むために、

あるフィッティングでは関節角度計を使い、

あるフィッティングではモーションキャプチャーを使い、

バイオレーサー1000/5000では、

簡易かつ測定者による誤差の少ない、

股下長から計算する方法で算出している訳です。

(0.875等の単純な係数ではなく、企業秘密の計算式で算出しています)

 

 

 

2016-08-15 (3)

 

バイオレーサー5000のデータシート例

 

 

この30度を実現するサドル高は、同じ股下長のライダーでも様々な要素により、一定ではありません。

 

 

下死点時の足底角度や、足長、クリート位置に影響されます。

これらが平均的な値の範囲であれば、股下長からの計算でかなり良い値が得られます。

 

 

足底角度などに平均値から外れた個性的な癖や好みがある場合は、関節角度計で膝角度を実測する方法がより適しています。

 

 

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バイオレーサー1000/5000では時間効率に優れる「計算」により、バイオレーサープレミアムでは精度に優れる「関節角度の計測」により、サドル高を決定しています。

 

 

 


 

 

 

 

「膝角30度」に代表されるような、

「標準的」なサドル高セッティングは、

一度に様々なメリットをもたらします。

3つの「やすさ」と1つの「にくさ」です。

 

 

「好み」であえてポジションを特化するとしても、

一度ベーシックなポジションをしっかり乗り込んでから

行うことをお薦めします。

 

 

特化することのメリット・デメリットを理解した上でのセッティングと、

自己流で勘に頼ったセッティングとでは、デメリットの補い方に大きな違いが出るからです。

 

 

 

ポジション沼にはまってしまった方、

一度フィッティングの原理・原則に基づいた標準的なポジションを体験してみてはいかがでしょうか?

 

 

バイオレーサー各コースのご予約、お待ちしております。

 

 

 

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