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2017/01/12 19:27
【映画「疾風スプリンター」】の機材解説!
by: 奥平 総帆
2017年1月7日から封切られた
ダンテラム監督作品「疾風スプリンター」
皆さんもうご覧になりましたでしょうか?
台湾を中心に活躍し、本場ヨーロッパでの活躍を夢見るプロロードレーサーたちの友情、愛情、勝利や重圧をリアルに描いた作品です。
特に台湾、韓国、中国で撮影されたロードレースシーンは圧巻で、まるで本当に開催されたレース中継を切り取ったかのような迫力の映像が繰り広げられます。キャストはこのためにロードレースのトレーニングを実際に行い、スタントなしでの撮影に臨んだそうです。
是非劇場でその迫力のある映像を体感してください。
http://shippu-sprinter.espace-sarou.com/
さて、ワイズロードはスポーツ自転車販売店ですので、映画の評論をしてもいけませんので、
昨年度に #ドラマ弱虫ペダル の監修をさせて頂きました、
ワイズロード本社商品部所属の奥平が
劇中で使用されている機材に目を向けたいと思います。
エンドロールを見ると様々な自転車ブランドが撮影に協力していることが判りますが、その中でもキャストに次いで大事な主人公であるロードバイクにフォーカスしようと思います。
実際に手に入れることのできるモデルが多数あるので、映画を見てロードバイクに興味を持たれた方にも見て頂けると幸いです。
(若干のネタバレもありますので以降は映画をご覧になってからお読みください。)
プロロードの世界を描いた作品なので、チームごとの状況に左右された機材選びがされています。物語が進むにつれて、使用している機材も状況に合わせて変わっていっています。
主人公たちが最初に所属するTEAM-RADIANTはこれから上を目指すチームとして描かれており、懐事情もあまりよくないようです。使っている機材も多分メンバーそれぞれが好みで選んだ私物バイクを使用していると思われ、ブランドや車種はバラバラな物が使用されています。
エースのチェ・シウォン(チョン・ジウォン役)は
MASI EVOLUZIONEを使用しています。
MASIはイタリアの自転車ブランドで、日本国内では細身のクラシカルなバイクが人気ありますが、EVOLUZIONEは本格的なカーボンレーシングモデルです。
極太なカーボンフレームはスプリンターに必要な推進力を余すことなく地面に伝えるための形状となっており、エーススプリンターに適したバイクです。
写真は2017年最新モデルのMASI EVOLUZIONE105
劇中ではシマノ アルテグラDi2にカーボンディープホイールを履いたオレンジの車体になっています。
アシスト役のエディ・ポン(チウ・ミン役)は
MERIDA SCULTURA6000を使用しています。
MERIDA社はGIANT社に次いで大きな自転車メーカーブランドで、今回の映画に様々なバイクを提供しています。
SCULTURAシリーズはオールラウンドな性格をしたロードレースバイクで、走行性能と快適性を合わせつつ、空力特性、軽量性をバランスよく合わせた車体となっており、あらゆる場面で走破能力が求められるアシストに適したバイクといえるでしょう。
写真は2017年最新モデルのMERIDA SCULTURA6000
劇中で使用されている物とほぼ同じパーツ構成となっているようです。
もう一人のアシスト役のショーン・ドウ(チウ・ティエン役)は
CENTURION GIGADRIVE 4000を使用しています。
CENTURIONはドイツのスポーツバイクブランドで、ドイツらしい質実剛健なバイク作りをしているブランドになります。
GIGADRIVEシリーズはCENTURION社のトップレンジのカーボンロードバイクで、扱いやすいニュートラルな性格のバイクとなっています。
写真は2017年最新モデルのCENTURION GIGADRIVE 4000
劇中で使用されているにはカーボンディープホイールを履かせています。
ヒロインのワン・ルオダン(ホアン・シーヤオ役)が使用しているのが
MERIDA RIDE です。
MERIDA RIDEシリーズはロードバイクにつきものの荒れた路面の振動を積極的にフレームで吸収させることでロングライドに適したフレーム設計となっています。小柄な体格の人にも乗れる小さなサイズがラインナップされています。
写真は2017年最新モデルのMERIDA RIDE3000
劇中で使用されている物とほぼ同じパーツ構成となっているようです。
物語が進むにつれてさらに上のクラスのチームが出てきますが、チームジャージに車体ブランドの名前が入り、チーム内で共通機材を使用するなど機材の提供を受けているような描写がなされています。
チェ・シウォン(チョン・ジウォン役)は
移籍先で使用されているCervelo R3を使用しています。
Cervelo社はカナダを本拠地とし、ロードレースシーンは勿論、トライアスロンの世界でも多くのアスリートに支持されているブランドです。
CerveloのRシリーズはロードレースに焦点を当てたカーボンレーシングバイクで、高剛性&超軽量そして、空力を極限まで高め、あらゆるロードレースシーンで勝つために設計されたたモデルです。
写真は2017年最新モデルのCervelo R3
劇中で使用されたバイクにはギア周りにはシマノのアルテグラ、
ホイールにはVISION社のディープホイールmetron81がセットされています。
新たな移籍先でチームのエースとなったエディ・ポン(チウ・ミン役)はチームカラーに塗装されたMERIDA REACTO5000を使用しています。
その独特なフレーム形状は、空力性能を極限まで求められるタイムトライアルレースに使用されるモデルの技術が使用されており、最大の敵である風を味方につけるための形状をしています。
このバイクはUCIワールドツアーで活躍中の日本人、
新城幸也選手が使用しているフレームと同じ形状をしています。
写真は2017年最新モデルのMERIDA REACTO5000
ショーン・ドウ(チウ・ティエン役)は移籍先でも移籍前のTEAM-RADIANTで使用していたCENTURION GIGADRIVE 4000をそのまま使用しています。描写が無いので勝手な深読ですが、TEAM-RADIANTと移籍先のTEAM-TWISTERのスポンサード環境はほぼ同じで、車体のスポンサーがないため自前のバイクをそのまま使用しているのかもしれません。
最後に復活をかけて再結成されたTEAM NOVA では、青にペイントされたMERIDA REACTO7000がチームで使用されています。
新しいチームはちゃんと車体スポンサーが付いたようですね。
新宿武蔵野館に飾られている青いREACTOはアルミモデルの400ですが、劇中に出てくる車体はよく見るとカーボンモデルの7000という刻印がかかれています。(写真をクリックすると拡大されます)
このバイクは先に紹介した5000と同じフレームを使用した部品違いの兄弟車となります。
写真は2017年最新モデルのMERIDA REACTO7000E
如何でしたでしょうか。
かなりマニアックな目線での解説ですが、ちゃんと理由が考えられた機材選びがされていることが判ると同時に、キャラクターにも性格があるように車体にもそれぞれの性格があり、選ばれた理由が裏にあることが判って頂けたでしょうか。
スポーツ自転車に少しでも興味を持っていただけたでしょうか。
もし、気になることがあれば、ぜひお近くの各ワイズロードのスタッフにお声かけください。きっとあなたのキャラクターに合う一台を見つけるお手伝いが出来ると思います。