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続【軽量VSエアロ】ヒルクラで速いのはどっち? 激坂決戦編
by: 関 和貴

みなさんこんにちは、ワイズロードお茶の水店 関です。

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今回は、前回に引き続きヒルクライムに行ってきたのでコースをご紹介します。

 

さらに今回は、パワーメーターなどを使ってトレーニングのチェックと、

「ヒルクライムでは最新エアロロードと軽量リムブレーキモデルどちらが速いのか」もデータと感覚で検証していこうと思います。

 

前回のライドはコチラ

 

前回の検証はコチラ

 

 

飯能ヒルクライムコース

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今回も3日前に来た超激坂で有名な「子の権現」に来ました。

めちゃくちゃしんどいけどクセになるぜ、ぐへへ。

 

 

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(前回の写真ですが)約3km強の区間で、後半は常に10%以上、ラスト300mくらいは最大勾配28%!(手元のサイコンで25%くらい)の上りきるだけでスゴイ超激坂を楽しむことができます。

 

 

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今回も無事に登坂成功!

タイムや感想はあとでご紹介します。

 

今回は軽量性全振りのEMONDAで来ました!

この日は春一番ということで、平坦区間はかなり風を受けましたが、上りではよく走るバイクです。

 

 

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前回のライド同様、子の権現を北側に抜けて、正丸トンネルの横の旧道に入ります。

 

 

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すぐにまた分岐があり、左は前回行った正丸峠でその先が通行止め。

今回は右の道を行きます。

 

 

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するとすぐに走行注意の看板。

 

 

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それも1つや2つじゃない。定期的に走行注意の看板があります。

あと怖い看板は、「発砲注意」

撃つとき注意ってこと?

撃たれないように注意ってこと??

 

 

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進んでいくとかわいらしい苔アートがあります。

 

 

 

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路面はおおむね走行に問題ありませんが、何カ所も穴が合ったり、がけ崩れや急に砂利になる区間があります。

上りは問題ありませんが、下りは注意しましょう。

 

 

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虚空蔵峠に到着。

なんかカッコいい名前!

愛媛にも虚空蔵山という山がありますが、虚空蔵とは「広大な宇宙のような無限の」みたいな意味で、仏教関係の言葉のようです。

 

 

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今回は記念写真で止まってしまいましたが、ここが頂上ではなく、上りは刈場坂峠まで続きます。

 

 

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獲得標高は子の権現より高いものの、勾配は一般的なクライムなのでトレーニングやサイクリングにもピッタリなコースです。

 

 

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到着!

この林道沿いにいくつもの峠が連なりますが、一番標高が高い地点です。

東京から近い峠ではなかなか走りごたえがある峠ではないでしょうか?

景色もなかなかキレイ!!

 

 

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頂上付近は凍結していました、、、

下りは穴に落石に枝に凍結に、、トラップだらけなのでゆっくり下ります。

 

 

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下り区間にも見事な苔アート!!

 

 

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あとは下るだけですが、、かれこれずっと下っているのに全然人里に出ない、、、

下り側は勾配も緩めですが路面が悪くて速度が出ないし、森が深くて暗いし、狭いし、、

トレーニングだけなら来た道を引き返せばよかった、、、

 

 

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谷になっている国道299の周りの山をぐるっと回るコースでした。

地図の上から右半分、上り返しもあるものの、ずっと下りでずっと道が悪い、、、

 

 

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56kmで1600m上れました!

なかなか走れる峠でした!!

 

地図上側赤い部分の刈場坂峠から引き返して国道299を下ればもっとコンパクトにトレーニングできます。

 

 

トレーニングの負荷をチェック

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前回←→今回

今回もそこそこ踏み込めましたが、前回と比べると特に心拍の負荷が上げきれていないことがわかります。

今回はあえて高負荷低ケイデンスで重いギアを踏むようにした区間があったので、負荷に対して心拍が低かったのかもしれません。

あとは単純に負荷を上げきれなかったのかも。踏もうと思っても、後半に子の権現の凶悪な勾配が待っていると思うとどうしてもセーブしちゃいますよね、、、

 

 

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それでも10~30分間ではベストに近い負荷で踏めているので良しとしましょう。

今回のライドでは後半Di2の電池が無くなりそうになってしまったのでプラス思考に考えて、できるだけギアチェンジせず重いギアを踏むことで激坂対策の筋トレとダンシングの練習をしてみました。

 

 

ヒルクラでは軽量モデルと最新エアロロードどっちが速いのか

前回の検証では、ゆるい斜度では軽量モデル(EMONDA)よりエアロロード(MADONE)の方が速い事がわかりました。

*関調べ

 

今回は子の権現の激坂区間で検証してみます。

 

前回の検証については是非こちらをご覧ください

 

 

今回の検証の条件

・区間を2台のバイクでほぼ全力で走る(パワーは管理しない)

・計測は別日、MADONEの3日後にEMONDA。

・EMONDAの方が約2kg軽いが空力は悪い(詳しいスペックは前回記事)

・パワーメーターは別の機種。ライド前に校正済み

・EMONDAの計測日は風が強かったが、激坂区間での影響は少ない

 

 

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MADONE

ギア構成 52-36 11-34 最小ギア比1.05

 

 

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EMONDA

ギア構成 50-32 11-28 最小ギア比1.14

 

 

 

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まずはSTRAVAのデータをチェック

まずは緩斜面~頂上までの全体区間約3.6km

 

 

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EMONDAは空力が悪いうえに風も強かったので、緩斜面も含むコース全体ではMADONEの方が3.6kmで1:08秒速かった。

つまり1kmあたり約18秒差

 

 

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同じような区間をシマノコネクトラボのデータでもチェック

 

 

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MADONE←→EMONDA

3.6km、獲得標高330mの区間。

このデータでもMADONEの方が1:07速かった。

 

 

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それぞれどんな負荷で踏んでいたか確認します。

平均でみると、速度、ケイデンス、心拍ともにほぼ同じで、MADONEの方がパワーが10W高いことがわかります。

パワーが全く同じでないので何とも言えませんが、10Wの差では1:00以上をひっくり返すことは難しいと思います。

ただし、風の影響が違うのでこの区間は参考程度に。

 

 

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続いて子の権現激坂区間のSTRAVAデータ

1.1kmで167m上ります。

 

 

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この区間ではEMONDAの方が9秒速い結果で、パワーは6W差なのでほぼ誤差でした。

20%を超える登坂が登場して、初めてEMONDAの方が速い結果が出ました!

 

 

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MADONE←→EMONDA 

一番きつい区間。580m 獲得標高84m 平均勾配14%

EMONDAの方が9秒速い結果です。

 

 

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ケイデンス、心拍はほぼ同じですが、パワーはEMONDAの方が14W高く踏んでいます。

ヒルクライムポジションによってよりパワーが出せたともとれますが、タイムは14Wで9秒なので、完全に同じパワーだったら同じくらいのタイムかもしれません。

 

 

 

 

今回のデータ上の結果

前回と今回の検証とまとめると、独走の場合。

1.5%の勾配ではMADONEの方が1kmあたり5秒速い

10%の勾配ではMADONEとEMONDAは同じくらい

15%の勾配ではEMONDAの方が1kmあたり8秒速い

という結果になりました。

 

 

 

 

*MADONE、EMONDAと名指しで検証しましたが、非エアロ形状の2kg軽いバイクと、ややエアロ形状の2kg重いバイクと考えてください。また、カスタムの内容によっても結果は変わります。この実験はあくまで自分のエモンダとマドンです。

また、MADONEの速さが目立つ結果になりましたが、EMONDAも素晴らしいバイクであると付け加えておきます。EMONDAは決戦仕様にするとさらに2kg軽くできるので激坂ではより有利になります。

さらに、このデータは自分の脚力によっても変わってくるはずです。例えば、よりパワーのある人の方が平均速度が高くなるので、剛性や空力の重要度が上がるなど。自分の脚質や用途に当てはめて自分なりのベストなバイクを探しましょう。

 

 

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コチラはMADONE開発時のデータ。24年モデルEMONDA(自分の物より新型)の速さを基準(0の線)とし、勾配ごとに速さを比較しています。

点線がエアロ特化の第7世代MADONE、黄色線が最新MADONEのプロトタイプです。

このデータでも、勾配12%まではMADONEの方がEMONDAより速い結果なので、今回自分が行った検証と同じような結果が公開されています。

 

 

メーカーの公表データの通り、(見た目以上に)空力の良いエアロロードでありながら、ヒルクライムも速い事が実際に証明できたし、体感もできています。

やっぱり第8世代マドン買って良かった!!

 

 

結論として、常に15%くらいの激坂ヒルクライム以外はMADONEで挑戦してみようと思います!

 

 

 

超主観!バイクごとのフィーリング

ここまで自分で検証できる範囲で、データに基づいて調べてみましたが、ロードバイクでは単純なデータだけでなく、フィーリングがとても重要です。

TREKもコンピュータで最適なフレーム形状を計算しますが、最終的にはプロライダーのテストやフィードバックを得て製品化されます。

ワコーズのチェーンオイルも、数値だけでなく乗り手が気持ちよく感じるように調整されていると聞きます。

 

今回2台のバイクを乗り比べて、自分なりに感じたことをお伝えできればと思います。

 

 

激坂で2kg差を感じるか

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まず、今回問題の激坂区間。

軽いバイクの方が当然有利だと思うし実際そうですが、15%くらいの勾配では(体感的に)軽いバイクの恩恵を感じますが、20%を超えるとどっちにしろ全力でそれどころじゃないので、(体感的には)この際どっちでもいい!って感じでした。

 

ギア比

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平均勾配10%、最大勾配15%くらいまでは52-36 11-34で上れそうですが、最大勾配20%超では軽ければ軽いギアが欲しいです(自分の場合)1.0以下にしたいです。

多少重くても上れはしますが、疲労がたまってしまいます。

 

楕円ギアの違い

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EMONDAはスギノの楕円ギア、MADONEはROTORの楕円ギアを使っていますが、感覚がかなり違います。

スギノの方がガンガン上れる感じ、ROTORの方が自然と効率的に回せるイメージ。

また、スギノなどはクランク90°(水平)で楕円率が最大になる(ペダルが重くなる)に対して、ROTORは108°(水平よりちょっと下)で最大になるのでペダリングも変わります。

スギノは緩斜面でのシッティングや、ダンシングでガンガン踏むと気持ちよく進む感じ。反面、激坂では踏むタイミングが速くなってしまう印象。

ROTORは楕円であることを意識せず、ケイデンス高めで回した方が効率的に感じ、激坂区間でも無駄なく踏めている感覚が高いです。反面ダンシングでは踏み遅れる印象。

どちらが絶対優れているわけではなく好みだと思います。軽量化の面ではROTORは重量増ですがそれでも使いたいほど気に入っています。

 

 

フレームの剛性感・乗り味

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フレームの乗り心地も違います。

EMONDAは気持ちよくしなり、250Wくらいでもよく進みます。

重心の位置が良いのか、ダンシングではひらひらと泳ぐように進みます。

 

MADONEはかなり安定感が高く感じます。ダンシングやクライムでもバイクが暴れにくいのでしっかり負荷が掛けられます。

フレームはガッチリしているので、踏めば踏むだけ進みますが、250W以下でも硬くは感じません。

タイヤの恩恵もありますが、EMONDAより乗り心地も良いです。

ダンシングでは重心が低いのか(?)少し振りにくく、ダウンヒルも安定はいいものの、急コーナーや危険物回避の急ハンドルでは少し鈍重です。

 

 

タイヤ

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MADONEではチューブレスの28C、EMONDAではチューブラーの23Cを使っていますが、乗り心地は言うまでもなくチューブレス28Cの圧勝。レースでは乗り心地を気にしませんが、、、、

以前は細くて軽いタイヤに空気圧カンカンで乗るのが好きでしたが、エアボリュームが大きく、空気圧がある程度低い方が、タイヤがしっかり地面をとらえ、走行抵抗も少ないらしい。

実際28Cでもそこまでの重さは感じないので、そうなのでしょう。新しいものを取り入れていかないとですね。

さらに、今回は激坂区間で細いタイヤのグリップ力の少なさを再認識してしまいました。

激坂や苔の生えた路面ではいくらパワーがあっても後輪が滑ったら意味がないので、25C、28Cの方が安心ですね。

10年前の自分ならそこはテクニックでカバー!といって、19Cのタイヤを選んだでしょうが、、丸くなったのかもしれません。

 

 

 

ヒルクライム向けカスタム案

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以前MADONEのカスタムについては連載でご紹介してきましたが、セラミックベアリングやビックプーリーなどはヒルクライムというより平坦メインで速くなるカスタムでした。

今回の検証でほとんどのコースでMADONEの方が速そうだとわかったので、MADONEでヒルクライムを有利に進めるためのおカスタムを考えてみたいと思います。

つまり軽量化です!

 

 

ホイール

今使っているAeolus RSL 51mmハイトはバランスが良く、とりあえず一本選ぶにはおすすめですが、ヒルクライムならリムハイトの薄いAeolus RSL 37が欲しい!

但し35万円以上かけて85g減なので軽量化と考えるとコスパはハイパー悪いです。また、フレーム同様コースによっては85g重くてもエアロ効果が高い方がトータルで速いこともあります。

51mmハイトの性能バランスよすぎ!!

 

 

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コスパが高くてさらに軽いホイールだと、SMITH CeraLightが気になります。

楕円チェーンリングのバロックギアで有名なスミスのホイールです。

 

おもしろいのがセミオーダーが可能で、、、

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リム幅、リムハイト、カーボンスポークか通常スポークかを選ぶことができ、

一番軽い組み合わせで、約1200g!!

 

価格は仕様によりますが¥258,000!

もちろん高いは高いですが、1200gの超軽量ホイール自体ほとんどなく、他社のハイエンドホイールが35万、40万、、、とする中でこのコスパは異常です!!

ヒルクライム向けに30mmハイトでオーダーしてもいいし、バランスの良い40mmも使い勝手がよさそうですね。

 

 

探せば1000g強のホイールも存在するので400g近くの軽量化も可能ですが絶対に空力と剛性は確実に落ちるでしょう。

今回の検証で軽さだけが全てでないとわかったので気になるものの手を出さないことに、、、

 

 

タイヤ

平坦やロングライドなら28Cが最高ですが、ヒルクラメインなら25Cでも十分ですね。

併せて軽いタイヤを選べば150g以上軽量化ができます。

 

 

スプロケット

同じ歯数でもアルテグラからデュラエースに交換すると101g軽量化できるコスパのいいパーツ。

 

 

チェーンリング

歯数を50-34に交換すればギア比1.0に。楕円なので新円より軽く感じるかも!?

 

 

ブレーキキャリパー

アルテ→デュラで51g軽量化可能。スプロケに次いでコスパの高い軽量化。

 

 

 

サドル

サドルは本番のみ所有のセライタリア C59(ペラペラのカーボンサドル)に交換すれば85g軽量化できます。

 

 

などなど。

練習時、ドリンク込みで9kgだったので、ドリンクや工具、ライトなどを外して7.5kgは目指したいところ。

どんなに軽くしても、空力や剛性を損なわない様にしたら6kg台はいかないだろうなぁ。

 

それでもギア比を軽くして、後はパワーを高めるのみ!!

本番が楽しみです!

 

以上、バイクごとのヒルクライム比較でした。

軽量化、ヒルクライムの事ならワイズロードお茶の水店、関にご相談ください!