開幕から約1週間、連日非常に見ごたえのあるステージが続いております。
でもその裏側ってご存知ですか?
「ロード・アップヒル」(原題:THE ROAD UPHILL)
http://eufilmdays.jp/films/2016/the-road-uphill/
先日、こちらの映画を京都のミニシアターで鑑賞してきました。
「EU FILM DAYS」
“欧州連合(EU)加盟国の選りすぐりの作品を紹介する映画祭
14回目を迎える今年は初めて、日本に大使館を置く26のEU加盟国全ての作品が上映されます
映画を通して、あなたのまだ知らないヨーロッパを見つけてみませんか?”
その中の1作品で、日本初公開となる「ロード・アップヒル」。
2011年のツールドフランスで繰り広げられた熾烈な総合争いとその人間関係、心理状態などが深く描かれていました。
世界的にも有名なロードレーサー、シュレク兄弟こと、アンディ・シュレクとフランク・シュレク。
数々の好成績を残しながらもあと一歩のところでツール総合優勝には手が届かずにいた中で再びチャンスが訪れた2011年のツールドフランス。
(2010年は総合2位でしたが1位の選手がドーピング判定を受け、後に繰り上げで総合1位になりました。)
全21ステージある中で、第20ステージまで総合1位が誰になるのか全く分からない状況。
結局この年はオーストラリア出身のカデルエヴァンスが第20ステージ、得意の個人タイムトライアルで劇的な逆転勝利を飾り念願のマイユジョーヌを獲得して閉幕という“勝者側”から見ればすごくドラマチックな展開となりました。
ツール史上初、地球の南半球出身(エヴァンスはオーストラリア出身)の選手が総合優勝、しかも34歳という年齢で優勝となれば、レースを見ていた観客のほとんどがエヴァンスのことを応援していたと思います。
しかしこの作品で描かれていたのはその裏側、シュレク兄弟のチームバスの中でのやり取りや第18、第19ステージの決死のアタックによりついに手にしたマイヨジョーヌ、そして迎えた第20ステージ個人タイムトライアルスタート直前の心理状況など。
結果アンディとフランクはそれぞれ総合2位、総合3位とこちらも史上初兄弟での表彰台となったわけですが、切望していたイエロージャージにはあと一歩のところで手が届きませんでした。
作中でもシュレク兄弟は「どちらかが1位ならもう一方は例え20位だっていい。」とも言っており、どれだけこのマイヨジョーヌに賭けていたかが窺えました。
普段ほとんど見ることのできないチームバスの中や休息日の風景、チームメイトとのやり取りなどはとても興味深く人間味に溢れテレビや動画でみる選手像とはまったく違ったものでした。
アンディの心境を知ってから見る終盤の展開は感傷的で本当に泣けます。
見終わった後はなにか大作映画を見た後のような感覚で、とにかく自転車に乗ってどこか山に上りたくなりました。
テレビ中継や大会ホームページではゴール直前の華やかな場面が取り上げられますが、その裏側では様々な人間ドラマが繰り広げられておりそういった裏事情を知るのもツールドフランスをはじめとする自転車レースの楽しみ方のひとつ。
ちょうどそういった映画も公開されているようですので是非雨予報のこの週末にでも見てみてはいかがでしょうか?