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2026/09/01 19:19
こんにちは!
大阪本館の奥田です。
皆さん初めてCOLNAGO Y1Rsを見たとき、「何この自転車?」って思いませんでした?
僕は思いました(笑)
特に目につくのが、
これだけ形が特殊だと、デザインだけなんじゃないの?とも思いますが実は。。。
空気をどう流すかを考えた結果、この形になったんです。
ということで今回はそんな形のヒミツに迫っていこうと思います。
目次
一般的なエアロロードは、
フレームの各チューブを細長い翼型にする
ことで空気抵抗を減らしてきました。
つまり
丸いパイプより、前後方向に長い翼型のパイプを使う。
⇩
空気がパイプの表面に沿って流れやすくなり、後方にできる乱れを小さくする
⇩
フレーム単体の空気抵抗を減らせる。
ここまでは非常に合理的です。
ただし、この方法を突き詰めていくと問題も出てきます。
それは
チューブを太くすれば、重量や剛性とのバランスを取る必要がありますし、そもそも実際の自転車では、前輪・ハンドル・ボトル・ライダーなど、たくさんのものが互いの空気の流れに影響します。
つまり、
「それぞれのパイプを速くする」だけでは限界がある。
そこでY1Rsでは考え方を変えました。
各部品をバラバラに空力設計するのではなく、自転車全体をひとつの空力システムとして考える。
これがY1Rsを見るうえで一番重要なポイントです。

まずはヘッドチューブとフォークです。
一般的なロードバイクでは、ステアリング機構を収めるため、ヘッドチューブにはある程度のボリュームが必要です。
そこでY1Rsはフォーク、ヘッドチューブ、コックピット周辺を連続性のある形状に
⇩
空気抵抗は「部品一個一個の細さ」だけでは決まらない
⇩
前の部品を通過した空気が、次の部品にどう当たり、どこで表面から剥がれるかを考える
そのため、フォークとヘッドを別々に処理するより、前方から見て一連の形として空気を流した方が、流れの乱れを抑えやすくなります。
結果としてこの形状ではフロントまわり全体で、空気を後方へきれいに受け流すことが狙えます。
Y1Rsの特徴的なフロント形状は、
「細い部品を作る」というより、「空気の通り道を作る」
という考え方なんです。

Y1Rsを横から見ると、ダウンチューブが前輪に沿うように大きく湾曲しています。
普通のロードバイクではなかなか見ない形状です。
ダウンチューブを前輪に沿うようなカーブ形状にする。
⇩
前輪は走行中、高速で回転しています。
そのため前輪を通過した空気は、何もない場所を通った空気ほどきれいではありません。
⇩
つまり、そのすぐ後ろにあるダウンチューブは、「すでに乱れた空気を受ける部品」という事になります
そこで、ホイールとダウンチューブの位置関係まで含めて形を作ることで、前輪から流れてきた空気をフレーム側へつなげやすくします。
結果として
「前輪は前輪、フレームはフレーム」と別々に考えるのではなく、前輪からダウンチューブまでを連続した空力形状として働かせる。
というのが空力性能においての重要要素になったわけです。

Y1Rs専用のCC.Y1ハンドルもかなり特徴的です。
真っすぐなエアロハンドルではなく、中央部分から独特な形で伸びています。
ハンドル中央部を独特なガルウイング形状にする。
⇩
ハンドルまわりは単純に薄くすればいい場所ではありません。
⇩
すぐ後ろにはライダーの手や腕があり、ステムやヘッドチューブもありので空気が表面から急に剥がれると、その後ろに大きな乱れができます。
そこで、形そのものを使って空気が剥がれにくい流れを作るわけです。
結果として
ハンドル単体を薄くするだけではなく、
コックピット中央部から後ろへ抜ける空気そのものを整える
ことができます。
コルナゴはこのCC.Y1の「WYND」テクノロジーについて、ガルウイング形状によって空気流の剥離を抑え、高速域での安定性向上を狙ったものと説明しています。

Y1Rsといえば。。。といえるシートまわり
シートチューブからシートポストまでが一直線につながらず、独特なY字型になっています。
正式にはDEFY Seatpost Jointと呼ばれる構造です。
シートまわりを一般的な一本の直線構造ではなく、Y字状に構成する。
⇩
従来のシートまわりでは、
空力・剛性・乗り心地
という複数の仕事を、同じ場所で成立させる必要があります。
ところが空力のために形を深く、強固にしていくと、今度は振動を逃がしにくくなります。
⇩
Y字構造を使えば、シートまわりの形状と荷重の受け方に自由度を持たせることができます。
結果として
シートポスト周辺の空力を改善しながら、振動吸収性も持たせることができる。という訳ですね。
コルナゴもDEFY Seatpost Jointについて、シートポスト周辺の空力性能と振動吸収性を向上させながら、剛性を犠牲にしないことを狙った構造と説明しています。
つまり、あのY字は単に奇抜なデザインなのではなく、
「空力と快適性を同じ一本のパイプだけで解決しない」
ための形でもあるわけです。

フレームだけを風洞に入れて速くても、ロードバイクとしてはそれだけでは不十分です。
なぜなら実際にはボトルやボトルケージを付けて走るからです。
Y1Rsでは専用ボトルケージまで含めて、フレームとの一体感を高めています。
⇩
空気はフレームだけを避けて流れているわけではありません。
⇩
途中にボトルやケージが入れば、そこで流れが変わります。
つまり、
実走状態で付いているものまで含めて考えた方が、実際の空気の流れに近い。
結果として
「何も付いていないフレームを速くする」のではなく、
実際に走る状態で速くする
という方向へ設計を進められます。
コルナゴもY1Rsでは専用ボトルケージからシートポストまで含めた統合設計を特徴として挙げています。

風洞写真を見ると、真正面から風を当てているイメージがありますよね。
でも実際の道路ではそうとは限りません。
走行中は自然風と自転車自身の速度が合成され、斜め方向から風を受ける状況も発生します。
⇩
真正面からの空気だけを最適化しても、風向きが変わればフレームに対する空気の当たり方も変化します。
⇩
だから現実の走行を考えるなら、さまざまな風向きで流れが崩れにくいことも重要になります。
結果として
Y1Rsは真正面だけで極端に速い車体というより、
実際の高速走行で遭遇するさまざまな空気の流れを意識したエアロロード
として設計されています。
コルナゴも「all wind conditions」での空気流最適化をY1Rsの特徴として説明しています。
ここまで形の話をしてきましたが、メーカー公称値もかなり大きく変化しています
コルナゴによるとY1RsはV4Rsと比較して、
前方投影面積を19%削減。
さらに実走に近い構成での風洞試験では、
50km/hを維持するために必要な出力が20W少ない
としています。
加えてフレーム剛性についても、従来モデル比で3.5%向上したとされています。いずれもコルナゴによる試験・公称値ではありますが、「空力だけ良くして剛性を落とした」という設計ではないことが分かります。
ここまでをまとめると、Y1Rsの面白さは単純に、
「すごい翼型チューブを使ったエアロロード」
というところではありません。
従来は、
形状をエアロにする
↓
その形状に沿って空気が流れる
↓
各部の抵抗が減る
という考え方が中心でした。
Y1Rsではさらに、
前輪が空気を乱す
↓
なら、その乱れを受けるダウンチューブまで一緒に考える
↓
前輪からフレームまでの流れを整える
ハンドルまわりで空気が剥がれる
↓
なら、薄くするだけでなく剥がれにくい通り道を作る
↓
コックピット全体の流れを整える
空力を優先するとシートまわりが硬くなりやすい
↓
なら、構造そのものに自由度を持たせる
↓
空力・剛性・振動吸収のバランスを取る
という考え方になっています。
これが、Y1Rsがあれほど独特な形になった理由です。
Y1Rsを初めて見ると、
「すごい形のロードバイクだな」
という印象が先に来ると思います。
ですが一つずつ見ていくと、その形にはかなり明確な理由があります。
パイプ一本一本を速くするのではなく、前輪から後輪まで空気がどう流れていくかを考える。
その結果として、
湾曲したダウンチューブになり、
独特なハンドルになり、
そしてあのY字型のシートまわりになった。
そう考えて改めてY1Rsを見ると、
奇抜な形をしたロードバイクではなく、空気の流れを優先した結果として必然的に変わったロードバイク
に見えてくると思います。
見た目だけでもかなり印象的な自転車ですが是非今回深堀りした観点で見てみると面白いのではないでしょうか?
現在大阪本館の在庫は

税込1,243,000円
となっています。