新しいスタイルを提案するフラッグシップショップ!
ワイズロード新橋店 Y'sRoad shimbashi
[英語対応可]
2024/12/17 23:10
新橋店ふくてんちょの間野です。
ふだん本社で内勤している同僚が先日、九十九里で行われたビーチクロスに『シクロクロスバイク』で参戦して酷い目に遭ったらしく(笑)、太いタイヤが使えるようにグラベルロードを買うことにしたらしいのですが、どういう仕様が良いのか訊かれました。
そういや自分のバイクを紹介することは多いけど、どういう考えでパーツを組んでいるか、あまり説明したことがないかも。
ということで、私のバイクのセットアップを紹介しつつ、日本のグラベル環境にはどんなセットアップが良いのか考えていきたいと思います。
Contents
よく誤解をされていることですが、
グラベルロードバイクとは『グラベルも走ることができるロードバイク』です。決して『非舗装路専用バイク』ではありません。
だって、走る区間の最初から最後まで非舗装路だなんてことは滅多にありませんよね。実際にはどこの国でも大部分は舗装路を走ることになります。その舗装路でストレスにならないうえで、非舗装路もこなせるバイク、それがグラベルロードバイクです。
・ロードバイクのタイヤだと辿り着けない荒れた道を走りたい
・荒れた路面でバイクをコントロールするのが楽しいと感じる
・走る楽しみは必ずしもスピードではない
・オフロードは走りたいけどMTBだと重い、遅い
・クルマが通る道はストレスを感じる
・最短距離よりも寄り道が楽しい
・荷物積んでツーリングしたい
上記のような方はグラベルロードが合っているかもしれません。
いま、わたくしが主に使用しているグラベル系バイクは2台。
いずれも舗装・非舗装をシームレスに走れ、峠越えなどもこなせることを前提にしたツーリングバイクとしてのセッティングです。
コンポーネント:SRAM FORCE22
ギア:F46×30T/R11-34T※
タイヤ:700×40C、ルートによっては650×47B
主な用途:ややハードなグラベルを含むルート(Leftyフォーク使用時)、バイクパッキングツーリング(リジッドフォーク使用時)
コンポーネント:Shimano GRX RX815
ギア:F46×30T/R11-34T
タイヤ:700×40C
主な用途:比較的軽装でファストグラベルライド
……もうちょっと用途別に違いがあれば良かったのですが、ギアとタイヤサイズはほとんど共通です。
これらはすべてキャノンデールの『オフセットAi』採用バイクで、(今ではほかにも手段がありますが)基本的にキャノンデールのHollowgramクランクしか使えず、それに合うチェーンリングも構成が限られるためです。とはいえ、私自身がフロントダブルを好きなんですけどね。
※FORCE22はWiFli(ロングケージ)でも最大スプロケットは32Tですので、自己責任運用です。
パーツはあとでどうにでもなるとして、フレーム&フォークは大きな分かれ道になりかねない部分です。一言でグラベルバイクと言っても、その内容は千差万別。大別するならレース、アドベンチャー、ツーリングといった分け方ができると思います。乗り手のスキルで対応可能だとしても、やはり方向性の違うバイクでは十分なメリットが享受できません。
ロードバイクがメインのブランドが出している、かなり値段の高いグラベルバイクは大抵がレースバイクです(Cervelo、Pinarello、Factorなど)。速く走るためのバイクなので、かなり硬めです(乗り心地はタイヤで調整してくれ!)。見た目のスタイルもロードバイクに近いので、カッコイイでしょう。
かなり荒れた路面、場合によってはシングルトラックを走行することも想定されるジャンルです。より太いタイヤでオフロード走破性を確保できるバイクが良いでしょう。MTBに強みがあるメーカーさんはこのジャンルが強い傾向にあります。この方向性だとフロントサスペンションフォークがあるとより楽しいかもしれません。
キャンプ道具をどれだけコンパクトで軽量なものにできるのかがポイントではありますが、基本的には金属フレームで、荷台などを取り付けできるアイレット(ネジ穴)があるバイクが良いです。これらの多くは高速走行に対応しながらも、低速安定性を重視した設計になっていることが多いです。
近年、シクロクロス専用フレームの開発をやめて、グラベルレーサーと共通化しているブランドが多くなりました。端的に言うとこの両者は要求される特性が異なりますが、似ていることも確かです。
シクロクロスは1周3kmほどのサーキットを1時間で競う競技です。コーナーが多く、極端に長い登りは存在しません。バイクに求められる特性は、コーナーリングでの旋回性能を重視するなど、若干安定性を犠牲にしてもよく曲がり、瞬発性能の高さが求められます。
グラベルレースは100km以上を走る長丁場であり、環境は刻々と変化します。瞬発力よりも安定して長距離を走れること求められます。また太いタイヤへの対応やセルフメンテナンスに対する積載力も若干ですが必要です。
それぞれの競技でトップを目指す方であれば、このような点を理解しつつ機材を用意すべきですが、とはいえシクロクロスもグラベルレースも開催地などの条件によって内容は大きく変わるものですし、一概にまったく違うとは言い切れない部分もあります。例えばキャノンデールのSUPERSIX EVO CX/SEは多くのシクロクロスUSチャンピオンが使用し、Unbound Gravel 200マイルで勝利するなど、兼用フレームでもまったく劣らない成績を挙げています。
答えから言うと、あったほうが安全だし楽しい!
ただしグラベルバイク用に設計されたサスペンションフォークであることが条件です。MTB用はストロークが多すぎてバイクが起き上がりすぎてしまいます。現在は複数のメーカーからストローク量30mm程度のグラベルサスペンションフォークが登場しています。
メリットとしては時折訪れるやや大きなギャップを乗り越える際などにスムーズな重心移動を手伝ってくれます。またコーナーなどでのスリップを軽減し、タイヤが路面をグリップし続けることを助けてくれます。グラベルライドは路面が不均一なのが当たり前、そんな路面でサスペンションフォークが振動を抑えてくれるので、より走ることに集中できますし、よりチャレンジしたくなるのは間違いないです。
デメリットを上げるとしたら、やはり重量面でしょうか。どうしても重くはなります。またリジッドフォークであれば側面に荷物を積載できる場合が多いですが、難しくなります(まったくできないわけではない)。
手元で操作することで、走行しながらサドル高を上げたり下げたりできるのがドロッパーポストです。ドロッパーポストのメリットは、しっかり漕ぎたいときは高く、激しい下りでは下げることで重心を下げることができる点です。一部のアドベンチャー系グラベルバイクにはドロッパーポストが標準装備されているものがあります。
デメリットとしては、グラベルロードで走るようなルートだと精々スキー場の下りくらいで、本当にたまにあったら良いな、と感じるくらいでしょう。本当にドロッパーポストが必要になる状況とは、大きなドロップオフなどで、そんな状況ではグラベルロードは耐久性などの問題で降車した方が良いかと思います。あとは重量が増す、配線が増える、等々でしょうか。
結論から簡単に言うと、こんな感じ。
フロントシングル
→ とにかく軽いギアが欲しい、だいぶ荒れたルートを走りたい
フロントダブル
→ ツーリングでの快適性や高速レースでのバランスを求める
わたくしのライド傾向は主にツーリング系で、距離を走る中でグラベルを交えていくことが多いので、峠越えなども想定して重めのギアから軽いギアまで満遍なく使える構成を重視して、フロントダブルにしています。
フロントダブルの場合、グラベル用のギアは多くが『46×30T』、GRXでは一部『48×31T』を採用しています。ロードほど大きなギアが必要ないこと、軽めのギアが必要なこと、フロントディレーラーが現在の技術的にこれ以上の歯数差で使えないことなどが理由です。
(ロード用のギアをそのまま使っているレーサーもいます。)
フロントダブルでは変速機の性能上、極端に大きなリアスプロケットは使用できませんが、フロントシングルに比べてより小さなチェーンリングを装備していることで、広い範囲のギア比を、細かく調整して使えるメリットがあります。
例えば私が使用するF46×30T、R11-34Tの組み合わせだと、いちばん重いギアでギア比4.18(クランク1回転でホイールが4回転以上回る)。いちばん軽いギア比で0.88。高速巡行から、激坂登りまで対応し、なおかつ中間ギアも多いので選択肢が多く、変速時のショックも少ないです。
欠点として、特にオフロードでのフロント変速はチェーン脱落のリスクが増えます。丁寧に変速できるタイミングを見極めることが大事です(ロードバイクでもそうですけど)。
最近はフロントシングルが主流になってきました。これはリアにより大きな(軽い)ギアが使えるようになった(リアディレーラーの対応範囲が増えた)ことが理由です。
たとえば1×11速のシマノGRX(RX812)では、フロントは純正で40T、リアの最大スプロケットは42Tなので、軽い方のギア比は0.95でした。しかし同世代のフロントダブルだと30×34Tで0.88というギア比なので、ダブルのほうが有利です。シングルにはチェーンが外れにくいというメリットくらいしかありませんでした。
しかし現行12速のGRX(RX822SGS)ではリア最大51Tのスプロケットが使えます。フロント40Tだとするとギア比は0.78。トップ側のギアも10Tが使え、ギア比も4.0になるので、ロードの50×12T(ギア比4.16)にかなり近くなります。これで汎用性と激坂登坂能力が非常に高まりました。
ただし、これだけ最大最小のギア歯数に差があるスプロケットを使用すると、1段ごとの変速ショックが大きいし、脚の回し具合にもかなり違いが出ますので、高速巡行性を重視するならフロントダブルはこれからも必要です。
グラベルとは異なるのがシクロクロス。路面環境はグラベルに近いですが、高強度・短時間の周回レースという特性から、(1)極端に軽いギア比は必要ない(瞬発力で解決するような登りがほとんど)、(2)チェーンが外れたら大きなロスを生む、といった事情で、現在は『フロントシングル&大きすぎないリアスプロケット』が大勢。あえてフロントダブルを選ぶメリットはありません。
シクロクロスバイクをそのままグラベルライドに使う方も多いですが、その際の注意点としては、日本のグラベル環境だと長くきつい登坂が多いので、軽いギアが足りなくなる場合が多いことです。それなら最初から大きなスプロケットを付ければいいじゃない、と思いがちですが、大きなスプロケットは変速時のロスが大きく、シクロクロスレースには向きません。
1台でシクロクロスレースとグラベルライドをするのであれば、その際にはフロントダブルを考えても良いかもしれません。
(この項はギアの話なので多くは触れませんが、タイヤも競技規定の33mm幅だと細くて辛いですね)
一言でグラベルといっても、高速レースからツーリングまでいろいろあります。その中で、レースシーンではタイヤのワイド化が進んでいて、2024年のUmbound Gravel 200マイルで優勝したラクラン・モートン選手はフロントに29×2.1インチ(700×53mm相当!)のMTBタイヤを使っていました。これはコースにもよるので、UCIグラベル世界選手権はそこまで太くはなかったようですが、世界のトレンドは50mmに迫ろうとしています。
グラベルバイクがオフロードバイクである以上、不整地での安定性は必須です。タイヤは太ければ太いほど安定します。しかし、太くなるとそれだけタイヤは重くなります。重量も増えますが、クッション性が増すことにより推進力が失われるのです。
それでは何故グラベルレースでタイヤの太さが増しているのかというと、タイヤの外周(周長)が長くなるので、ホイール1回転で進む距離が増えるからです。より重くなったホイールを回す脚力があれば、スピード勝負で有利になります。これは一時MTBで流行った27.5インチホイールが少なくなり、現在では29インチホイールが主流になっている状況と似ています。
(29インチ有利になった理由は他にもあります、念のため)
ただ、MTBでも日本人には29インチは重く大きくて回せないと言われた時期があったように、エンジョイ層のライダーが太くなりすぎたグラベルタイヤを扱いきれるのか、という問題はあります。
ここはかなり個人的な経験が大きいのですが、日本では現状700×38C、もしくは40Cが主流であり、わたくしもそれがベストのように思います。重量的に重すぎず、コーナーで滑りにくい接地面があり、エアボリュームも十分で乗り心地も良く、耐パンク性やビード外れなどのリスクも少ないという、バランスの取れた太さと言えます。
このあたりのサイズは各タイヤメーカーでもラインナップが多いので、いろいろ選ぶこともできます。
また、これは機材上の制限ですが、2020年前後のグラベルバイクだと、45mmのタイヤはクリアランスが足りない場合があります。それでも太いタイヤが良い場合、後述する『650Bホイール』という選択肢があります。
グラベルバイク用のタイヤには多くのパターンがあります。舗装路メインのスリック系のものからオールラウンドと呼ばれるもの、深い泥を想定したものなどがあります。それぞれメインに走る環境に合わせてチョイスしていきます。余裕があるライダーは複数ホイールにタイヤをセットして持っている場合もあります。このあたりはシクロクロスバイクの機材と考え方が似ています。(Vittoriaのグラベルタイヤのデザインは、そのまんまシクロクロス用の拡大版になっているくらいです。)
写真は日本国内で販売されている、パナレーサー社のグラベルタイヤ『Gravel King』のバリエーションです。
左から、オールラウンドの『X1』、舗装路メインで通称無印と呼ばれているモデル、サイドにパターンがある『SS(セミスリック)』、ちょっと荒れた路面想定の『SK(セミノブ)』という4パターン。
この中でビギナーの方におすすめなのは『X1』です。センターは連続したブロックがあり、舗装路での路面抵抗を少なくしています。一方、グラベルに入るとノブが地面を掴んでグリップを増す設計になっています。
締まった土道やわずかに砂が浮く砂利道などで、上級者の方が好むのが『SS』を後輪のみに使うパターンです。グリップ力は落ちるのですが、ドライブ側のタイヤが軽くなると走りも軽くなるという狙いがあります。前輪は滑るといけないので、サイドグリップがしっかりしたものを使うことが多いです。
タイヤのパターンを見てそのタイヤの得意な路面、不得意な路面が分かるようになると、タイヤ選びとその後の走りが一層楽しくなりますよ。
チューブを入れるか、チューブレス(チューブレスレディ)にするか。わたくしは35mm以上の幅のタイヤであればチューブレスをおすすめします。チューブを入れるより軽量で、より低圧運用ができます。空気圧を下げるメリットは乗り心地とグリップの向上です。ガタガタする路面でパンパンの空気圧だと疲れますし、タイヤも滑りやすくなります。わたくしは2気圧を目安にして走っています。
チューブを用いて低圧運用すると、リム打ちパンクのリスクが増えます。リム打ちパンク自体はチューブレスでも起こり得ますが、タイヤ内部にシーラントを入れておくことで、小さな穴は補修してくれることが期待できます。また補修キットを携帯すると、タイヤ外側から詰め物を入れて穴をふさぐことができます。
チューブレスの欠点もいくつかあります。まず、大きすぎる穴はシーラントでは塞げないので、その場合はタイヤ交換、出先であれば予備チューブを入れるなどで対応しなくてはいけないことです。その際、タイヤ内のシーラントはべたべたして手やホイール周りが汚れますし、入れたチューブはタイヤに貼りついてしまうかもしれません。
またシーラントは水分が抜けて乾くので、定期的な追加が必要です。乾いたシーラントはホイール内部で固まります。タイヤを交換する際にシーラントのカスが残っていると、隙間が空いて空気が保持できなくなるので、きれいに清掃しなくてはいけません。また、バルブがシーラントによって詰まりやすくなる点も気にする必要があります。
バイクそのものの使用頻度が低いのであれば、チューブを入れての運用もありかもしれませんね。
ディスクブレーキになったことで、1台のバイクに700Cと650Bのホイールを使い分られるようになりました。近年のトレンドはより外径(周長)が長い700Cのメリットが強く、650Bはタイヤの選択肢も少ない傾向がありますが、前述のようなフレームのクリアランスが少ないバイクでは、650Bホイールを用いることで径を小さくした分、太いタイヤが使えます。
わたくしの場合、かなり荒れた路面が予想される場合には650Bホイールに47mm幅のタイヤを装着して走ることもあります。冒頭の同僚にもこの手段が考えられたかもしれませんね、増車しなくて済むし(笑)
また、小柄なライダー向けに造られたグラベルバイクのなかには、最初から650Bホイールを採用しているものもあります。
思い付きでツラツラと書き始めてしまったので、ここまで1か月以上かかってしまいましたw
それでもまだ漏れている事柄や、あるいはわたくしの経験範囲外の重要なポイントもあるかもしれません。
まあ、多少なりとも皆さまの参考になれば幸いです。
新橋店にはキャノンデールのコンセプトストアがあり、グラベルロードバイクを多く扱わせていただいています!
また、キャノンデールのほかにもTREK、BIANCHI、PINARELLOの各コーナーにグラベルロードバイクをご用意しているほか、NESTO、FUJIといったブランドのグラベルロードバイクも展示しています。
オンロードとオフロードの境界付近が大好物な、キャノンデール専任スタッフ間野が皆様のお越しをお待ちしております(*^^)v
17th December 2024
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