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2023/04/08 07:00
ピナレロの新型F seriesとX seriesを、ピナレロジャパン様のご好意によりインプレッションする機会を得られました。
昨今様々なものが値上げされていますが、価値や機能が変わらずに値上げされているのでしょうか。そうであれば、単なる「値上げ」ですが、各トップブランドがそのような単純な値上げをしているとは思えませんし、そのようなことはブランド価値を落としかねないことになります。
(残念ながら、コストを吸収できずに値上げのものがあるのも事実ですが、各ブランド、生き抜くために色々考えています。)
数値やパーツグレード、そこから感じる印象も大切ですが、バイク(フレーム)そのものの持っている「機能・性能」と「コスト」が釣り合っているのであればそれは「正しい値段=価値」だと考えます。
それでは、今回のピナレロの新型を実際に乗車してみてどうだったのか、、、詳細を見ていきましょう。
目次
さすがトップブランド。正常進化を遂げた、高機能レーシングバイクでした。
モデル名 | 素材 | コンポ | ハンドル | ホイール | 価格(税込) |
DOGMA F | T1100 | D/ADi2 | TALON ULTRALIGHT | フルクラム SPEED LITE 40 | ¥2,035,000- |
F9 | T900 | D/ADi2 | TALON ULTRALIGHT | MOST ULTRAFAST | ¥1,606,000- |
F7 | T900 | ULTDi2 | TALON ULTRALIGHT | MOST ULTRAFAST | ¥1,298,000 |
F7 | T900 | ULTDi2 | TALON ULTRALIGHT | フルクラム Racing 800 | ¥1,155,000- |
F5 | T700 | 105Di2 | JAGUAR AERO XA | フルクラム Racing 800 | ¥836,000- |
PRINCE FX | T900 | ULTDi2 | JAGUAR AERO XA | フルクラム Racing 800 | ¥836,000- |
PRINCE | T700 | ULT11s | JAGUAR AERO XA | フルクラム Racing 800 | ¥583,000- |
ここで注目したいのがPRINCE FXとF5が価格が同一ということです。価格は同一ですがスペック表で見ると、内容にずれがあります。
↑PRINCE FX ULTEGRA DI2
PRINCE FXがTorayca T900 CARBON
F5がTorayca T700 CARBON
PRINCE FXがアルテDi2
F5が105Di2
スペックだけ比べると値段は同じなのに、カーボンマテリアルとコンポは一つ下になっていることに気づきます。
単純に見ると値段は同じなのに、それぞれ一つ下のスペックなので、単純比較だと値段が高くなったように感じると思います。
これが値上がり感のあるポイントとなっていますし、実際にカタログ値で対比するときのポイントとしては間違いなく、この違いを見てしまうことになります。
ここからは、実際に価格に見合わない値上げとなっているのか、見合った価値があるのか、実走インプレッションです。
実際にF5に乗って思ったことは「これってPRINCE FX!?」というのが正直な感想です。
新しいPINARELLO F seriesは、デザイン、空力、剛性、重量を高次元でバランスさせたDOGMA Fの直系モデルとして、生まれています。
これは何を表すかというと、形状がほぼDOGMA FとFseriesは似通っているため、PRINCEシリーズに比べて、以下のようなポイントが改善されていると思われます。
●空力性能が向上している。
●剛性も形状的にDOGMA Fに準じているため向上していると思われる。
●F5はフレーム重量が990gとかなり軽量。
これが理由だと思いますが、乗った瞬間に重たいアルミホイールがついているのにも関わらず、軽いペダリングをまず感じることができました。
この車体に高性能なホイールを入れたらどうなってしまうかワクワクしてしまいます。
高速で巡行するとさらにレーシングバイクとして開発されてことがよくわかる、速度の維持のしやすさと、心地よい剛性と反発力のある踏み心地があることがわかります。
今までの中間モデルであれば、良い言い方をすれば優しさがある。悪い言い方をすると反応が悪くもっさりしている。と言う感想が出るのですが、そのような印象はありませんでした。
正直当初、私も中間モデルで、80万か、、、と思っていましたが、それは杞憂でした。マテリアルや、コンポは違っていてもフレーム設計を大きく見直した効果というのはここまで大きく違う印象が出てくるのかとびっくりしました。
見た目の形だけでなく、DOGMA Fの遺伝子をしっかりと受け継いでバランスのとれたレーシングバイクとして成立している一台です。
新たなフラッグシップバイクというコンセプトのふさわしいレーシングバイクです。あまりにF5の進化がすご過ぎたため、乗車した印象がおかしくなってしまいましたが、F5と同じフレーム形状で、使用するカーボンマテリアルをTorayca T900 CARBONとしているため、他社製品で言うところの最上位レーシングバイクと同じ印象を持ちました。
F9とF7は同じTorayca T900 CARBONを使用したフレームとなっていて、パーツ違いのモデルとなります。
F9とF7の両モデルとも、Torayca T900 CARBONとすることで、改良点はF5の要素にプラスして剛性と軽量になっていることが特徴です。
●空力性能が向上している。
●剛性も形状的にDOGMA Fに準じているため向上していると思われる。
●F5はフレーム重量が950gとかなり軽量。
新しいフレーム設計とより高剛性のカーボンマテリアルにより、軽量であり、なおかつパワー伝達性の優れた一台と感じました。
カタログの位置付けで言うと、F9の上位モデルはDOGMA Fとなり、こちらはプロ御用達のスーパーフラッグシップとなります。これは前モデルのDOGMA F12 X-LIGHTに当たるモデルですので、F9とF7で十分にレーシングバイクと言えると思います。
X seriesはピナレロには単に長距離を楽に走るエンデュランスモデルというのはなく、快適性とパフォーマンスの融合を目的として設計されています。
レースで勝つためのトレーニングをしているプロ級のライダーではなく、一般のライダーが1日中ピナレロのパフォーマンスを得ながら長距離を走れるように設計されています。
まず、第一印象が太いタイヤからくる快適性の高さです。32cのタイヤは通常、快適性が高いのですが、重さと反応の悪さを感じますが、このバイクは決して走りが重たいのではなく、ちゃんとピナレロらしい芯のある剛性感は残っています。
流行りの28c程度の太さとチューブレスにすることで、重さを軽い乗り味に変化させて、快適さ強めのレーシングバイクにすることができると思いました。
フレームマテリアルにはTorayca T600 CARBONを使用することで固過ぎず、ちょうど良いフレーム剛性と、これまたDOGMA F譲りの空力性能も併せ持ったスーパークルージングバイクということを感じることができます。
他のブランドで言うと、エンデュランスバイクに当たりますが快適性だけを求めたものではなく、クラシックレースで活躍できる上位機種のエンデュランスバイクといった印象を受けました。
F seriesとの見た目の差は、リアシートステーの弓なり形状により、振動吸収性能を高めているのが形状的に目立つ違いとなっていますが、他社製品にあるいわゆるエンデュランス系のバイクになると、見た目がおとなしくなってしまうセオリーから外れ、レーシングモデルと比べても引けを取らないルックスはさすがピナレロといったところです。
昨今のスポーツバイクは世の中の事情(材料費高騰、為替レート変動など)により、どうしても値段が高くなってしまっています。しかし、それだけでは説明しきれないくらい、ハイエンドバイクの値段は上がってきています。
しかし、上述したように、新しく新設計されたバイクはちゃんと進化を遂げており、スペックシート上だけで新旧の違いを判断するのは危険だと感じた今回のインプレッションでした。
また、数年前はトップレンジバイクにしか装着されていなかった、電動ギア、一体型カーボンハンドル、ワイヤー完全内装、カーボンホイール、ディスクブレーキなどの各部品の進化もあり、それにに伴った機能の向上と合わせて値段も上がってきているのだと感じています。
ピナレロに限らず、大手のブランドは軒並みそのようなラインナップとなってきており、バイクを選択する際は、自身の乗り方にどのような機能を持ったバイクを選ぶことで、ライドをより楽しむことができるのかをより、検討することが大切になるでしょう。
もちろん、格好の良いデザインも大事な要素の一つです。
バイク選びに迷ってしまった場合は、川崎ピナレロルームを頼ってください。きっとあなただけの素敵な一台があるはずです。
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