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2025/05/26 18:54
電動アシストロードバイク!SmaChari FARNA DISC TIAGRA-e 100kmインプレ
by: 本部

2025.8.26:Qファクターの左右差について追記しました。
2025.6.3:Qファクターについて追記しました。
最先端の電動アシストシステム「SmaChari®」シリーズ初のロードバイクモデル、「FARNA DISC TIAGRA-e」の実走テスト兼インプレライドを行いました!
製品化にあたり試験機でのテストは行っていますが、「実際走ってどうなのか?」をいくつかの峠越えを含むルートで確かめてきました。スポーツ走行を目的とするロードバイクと電動アシストの相性はいかに?
そもそもSmaChariとは?という方はこちらをご覧ください。
Hondaが開発した、スマホアプリでコネクテッド制御を行う先進の後付け電動アシストシステムです。
※写真のFARNA DISC TIAGRA-eは、試乗用に各種装備を取り付けています。ステムはポジション出しのために変更しています。一般的にカーボンコラムのバイクで写真のようなスペーサーの積み方は推奨されませんが、インプレの間の短時間のみのセッティングとして例外的に行っています
目次
どんなルートでどれだけバッテリーが残ったか?


さっそく、電動アシスト自転車で一番気になる、航続距離について。
今回のルートは、普段から走っている東京・埼玉の西部地域で距離100km、獲得標高1000mを目安に引きました。「ロードバイク」として走らせるなら、この距離・獲得標高がひとつのベンチマークになるかと思い設定。
結果的に、Garminで距離100km、獲得標高1147m、平均時速24km/hのライドとなり、帰着時点でバッテリーは80%を使用し、残り20%の余裕を持ってライドを終えることができました。
まだ一山二山は走れたかもしれません。 平均時速は図らずも法規でアシストを0にしなければならない24km/hに偶然なりました(狙ってません)。

なお、ライダーの走力によって電動アシストの働き具合・アシスト可能距離は変わります。法規でアシストが認められている時速24キロ以下の走行が多いならバッテリーの持ちが悪くなり、アシストが働かない24キロを超える速度での走行が多いなら、バッテリーの持ちが良くなります。
今回は普段からロードに乗り慣れているライダーによるテストであったこと、バイク自体がそもそも高速巡行性に優れたロードバイクであることから、平地では街中を除いて24キロを超えての巡行がほとんどを占めましたので、アシストはストップ&ゴーの際と、山地での登坂時にほぼ限られた格好です。
アシストがどれだけの時間・距離まで機能するかは獲得標高やその斜度にも影響を受けますので、今回の結果は上記の距離・獲得標高・平均速度における一例としてお考えください。

100kmのライドなので、ダブルボトル仕様です。残念ながらSmaChari仕様車は、フレームのボトルケージ台座が使えないため、サドルやハンドルにこのようなアダプターを付けてボトルを携行することになります。MINOURAのアダプターと、柔軟性と保持力の高いELITEのボトルケージで、使い勝手は良好でした♪
フレームからボトルを取る際は、通常低い姿勢にかがまないといけませんが、サドルの後ろであれば、かがまずに高い位置でボトルが取れるので、慣れればフレームから取るよりも使いやすいとも感じました。
平地での印象は?

街中では、信号によるストップ&ゴーが多いため、そのたびにアシストが働きスムーズに巡航速度まで加速してくれます。アシストが切れる24キロまで達するのにおよそ3秒ほど。モーターによるアシスト+そもそも加速の軽いロードバイクなのであっという間ですね!
街中の信号ストップ&ゴーは、地味にストレスになりかつ脚も削られますが、その負担が軽減されるので、街乗りメインの方や使用速度域が低い方には恩恵が大きいかもしれません。
そして発進時には、SmaChariの制御による「急発進抑制」が効いていて、アシストによる急発進で怖い思いをすることはありません。電動アシスト自転車の中には、良くも悪くもびっくりするくらい急発進するバイクがありますからね…。
人によってはSmaChariのアシスト感を、「物足りない」と思うかもしれませんが、SmaChariのアシストの味付けは、「乗り手の走力を自然に増幅・拡張する」方向なので、ここは好みの問題ですね。スポーツとしてロードバイクに乗っている自分にとっては、「自分で漕いでいる」感覚を損なわないこのアシスト感が好印象です。
HondaのSmaChari制御技術についての詳しい解説はHondaテクノロジーサイトをご覧ください。
いかに「後付け電動アシストシステム」で法規適合を実現したのかや、快適な制御について、コネクテッド機能についての技術や裏側を見ることができます。
街中以外では、上でも書きましたが平坦の巡行ではアシストが切れる時速24キロを超えての走行が多かったため、ベース車体のFARNA DISC TIAGRAの走行性のがそのまま出る格好です。「マイペースでサイクリング楽しみたい人のためのロードバイク」とKHODAABLOOMのサイトにもあるように、レースバイクではないため俊敏というよりはリラックスできる安定志向の走行感です。
この印象には、フレームのジオメトリーや剛性だけでなく、ホイール・タイヤの足回りのパーツスペックも多分に影響しているように思います。普段自分が乗っているバイクが、足回りが軽いそこそこのスペックのバイクのため、また乗り方もレース・トレーニング志向のため、比べるとゆったりとした印象で、正直なところ物足りなさを感じました(スミマセン)。
ただし、SmaChari仕様のバイクの良いところは、車輪径・タイヤ幅さえ維持すれば簡単にパーツ変更・カスタムができるところ。後輪モーターのモデルではそう簡単にできません。軽量タイヤ・チューブに替えたり、軽量ホイールにしたり、足回りをいじってあげると軽快感をプラスできると思います(会社の試乗車をいじりたくてうずうずしているw)。
※SmaChariの制御による法規適合を守るため、決して車輪径・タイヤ幅を変えないでください
↓おすすめのカスタムパーツたち
平地の街中では電動アシストの恩恵を受けられるものの、ロードバイクの走行速度とのアシスト制御の関係で、街中を出て巡行できる時間が増えると走行時間の大半はアシスト無しでの走行になる、という結果でした。
いよいよ山地走行へ!
電動アシストの恩恵をフルに受けられるシチュエーションは、やはり山地の登坂。ルート中のいくつかの小さな峠で、パワーメーターを使い「アシストオン」「アシストオフ」の両方で記録を取って比較してみました。
アシストオンで1本マイペース(z2:エンデュランスペース)で走り、そこで記録されたパワー値と同じ値になるよう、アシストオフで2本目を走行し、両者のタイムを比較しました。
パワー計測は、計測精度と安定性に定評のある、愛用のASSIOMA DUOにて実施。ペダル式パワーメーターなので、バイク間の付け替えも簡単で、今回のようなインプレライドにも最適でした。

パワー値の記録はGarminのEDGE530(現行540の前身)にて。
※Strava等のログ管理アプリにe-Bikeのライドをアップロードした際は、アクティビティの種類を「e-Bikeライド」等に設定し、リーダーボードの公平性を守るようにしましょう
【セグメント①】
4.9km 2.4% 119m UPの緩斜面セグメント。
写真のラップ2はアシストオン、ラップ4はオフ。
結果、同じパワーでもアシストオンで約2分速く登れました!
【セグメント②】
1.06km 7.8% 82m UPの割と斜度のキツいセグメント。
ラップ6はアシストオン、ラップ8はオフ。
同じパワーで約2分46秒速い結果!
結構な斜度の登りなのに流れる景色が速くて笑っちゃいました。
ちなみに、このアシストオンの3:36というタイム、自身のロードバイクでのベストタイムと偶然ですが全く一緒でした(狙ってません:2回目w)。
通常のロードバイクでどのくらいのパワーを要したかというと303wで体重比では約4.9倍。パワーゾーンで言うと、z5(VO2Max)領域となり、ほぼ全力走。ゼーゼー、ハアハア、息を切らして最大心拍まで上げるような走りで出すタイムを、z2のエンデュランス領域で鼻歌交じりに出せてしまうのは、電動アシストの恩恵以外の何ものでもありません。電気の力、スゴイ…。
数値で言うと、このセグメント②でアシストオン時の平均心拍数が119bpm(z2心拍:エンデュランス域)、ロードバイクでの直近の記録では148~152bpm(z4心拍:閾値域)でした。※ロードのベストタイム時に心拍計測エラーがあったためその時の心拍数は不明
アシストオン時の「鼻歌交じり」での登坂が、数値にも表れていますね。

このルート、距離こそ短いものの、登りには事欠かないので、このテストのあとも電動アシストの力を借りていくつもの登坂を「鼻歌交じり」で堪能しました。
ちなみに、先の平地で感じた足回りの重量に起因する「物足りなさ」は、アシストの効く登坂では全く感じられませんでした(当たり前)。1ランク、2ランク上の足回りに変えたような俊足での登坂となり、乗り手によって異なりますが、「頑張って出す速度を楽ちんに」「頑張っても出せない領域の走りを体感できる」という、ちょっと非日常のライド体験が可能となります。
この、登坂のアシストを存分に味わうためのコツとしては、
「アシストの最も効く20km/h手前くらいの速度になるように踏力を調整する」
「乗り手が頑張るとアシストが弱まるので、適度に軽く漕ぐ」
「下りからの登り返しでスピードに乗っていても、敢えて漕がずに20km/h付近まで速度を落とす」
というテク?が有効なので、試乗の機会や、ご購入後のライドの際に参考にしてください。
25.8.26追記:Qファクター増と左右差について

試乗にあたってネガティブに感じる要素がありました。
「電動アシストユニットの搭載でQファクターが広くなっている」
「そのQファクターに左右で差がある」
ことです。
一般的なロードバイクのQファクター(クランクの左右外面幅)は、メーカー・モデルで差がありますがおよそ150mm前後。対してSmaChariに採用しているモーターユニットのQファクターは200mmほど。約5センチの差があり、片側2.5センチ足が外に移動します※。この200mmという数値、クロスバイクのQファクター(190mm前後)に近い値です。
※正確には右のQファクターは114mm、左のQファクターは87mmで左右差があるため、単純に片側2.5センチの移動ではなく、およそ右40mm、左10mmの移動となります
バイクフィッティング的な観点ではかなり大きな差ですが、実際に走っての感触はどうか?
5センチの差なので、当然最初は違和感があります。元のポジションにもよりますが、膝の軌道がまっすぐ下向きだったものが、斜め外側への軌道に変わるのでそれはそうです。
ただ、意外なことに5分ほどのライドで違和感は消えました。自分は割とこういうのはセンシティブな方だと思っていましたが、案外そうでも無いのかな?ライド中もライド後も膝の痛みも出ず、個人的には「すぐ慣れるし、慣れたら特に問題無い」という結果となりました。また、Qファクターの左右差は違和感として感じられませんでした。
もちろん、感じ方には個人差があるのですべての方に当てはまらないかもしれません。関節の柔軟性にも左右されるはずなので、気になる方は試乗して確かめていただいた方が良いと思います。
今回クリート位置は普段のままで、広がったQファクターに合わせた調整は特に行っていません。試乗して気になった方は、クリートを調整して足を内側に寄せても良いでしょう。ちなみに以前試乗したRAIL系のSmaChari試乗車はフラットペダルで乗ったこともあり、ビンディングペダルで試乗した今回ほどQファクターの幅の広さは気になりませんでした。
また、足が左右に広がることで仮想的にサドルが高くなるので、それに合わせて走りながらサドル高を下げて調整しました。なお、クランク長は170mmのみの設定となります。
電動アシストとは関係ありませんが
電動アシストとは関係ありませんが、ベースバイクの性能の美点として油圧ディスクブレーキと、スルーアクスル固定のホイール、28cのタイヤ、安定志向の設計による下りの安定性が挙げられます。
油圧ディスクもスルーアクスルも28cも、現在のロードバイクの基本スペックなので今さら取り立てて語るようなものではありませんが、今回のルートはアップダウンのあるロングライドでしたので、速度の乗る下りのワインディングでもとても安心して走ることができました。
「バイクを信頼して安心して走れる」というのは、地味ですが大事な性能であり、ベースバイクのKHODAABLOOM FARNA DISC TIAGRAは、それをきっちり実現できている車体と感じました。
まとめ「どんな人におすすめ?」

現在乗っているバイクとの比較や、乗り手の脚力レベル、走るコースなどにより評価は異なると思いますが、私の今回のライドを通してのFARNA DISC TIAGRA-eへの印象は、「ロードバイクのライディングをより“楽しく”してくれる」バイク、というものでした。
楽しい、の定義も人によりますが、走っていてその速度感・移動の体感に思わず笑みがもれるような感覚といいますか。

登坂でアシストが効いている時は、「うわっ、コレおもろ!」と思わず声が出てしまいました。「バイクが進んでいく、登っていく」という体感に宿る、ライドの原初的な楽しさを電動アシストの力で加速・拡張してくれる乗り物でした。
【どんな人におすすめ?】
歳を重ねて体力の衰えを感じても、若い時のようなアグレッシブな速度感で登坂したい方
自身の体力レベルでは味わえない非日常の登坂速度を味わいたい方
速い仲間やパートナーとのライドでペースを合わせ、遅れを取らず走りたい方
平坦・街乗りメインでも使用速度域が低く、ストップ&ゴーも多い方
におすすめです!

スポーツ自転車(特にロードバイク)は、「乗り手の脚力ありきな乗り物」という側面が少なからずありますが、その前提を「技術の力で覆す」電動アシストロードバイク、スポーツ自転車の選択肢として大いにアリ、と感じたテストライドでした!





