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リム・ディスクブレーキの違いを徹底比較!どっちのブレーキショー
by: 石澤貴志

ディスクブレーキかリムブレーキか

ワイズロードオンラインの石澤です。

 

ロードバイクといえばリムブレーキ!というのが以前の常識だったのですが、時代はすっかり変わり、ディスク搭載のロードが次々と登場するようになりました。

リムブレーキのロードバイクに乗っているんだけど、ディスクロードってどんなものだかわからない…
取り扱いの方法が知りたい…
リムとディスクのどっちがいいのかわからない…
など疑問をお持ちの方にぴったりの記事です。

それではさっそくリムブレーキとディスクブレーキの違いについてご説明いたしまSHOW!

 

仕組み

ディスクブレーキ

P20_DOGMA_F12_DISK_432

最近増えているのがディスクブレーキを採用した、いわゆる「ディスクロード」。

ホイールのハブ左側に設けられた円盤「ディスクローター」を、フォークやフレームの先端に取り付けられたブレーキ本体ではさんで制動します。

 

 

リムブレーキ

P20_DOGMA_F12_429

従来からあるブレーキ形式です。

ホイールの最外周部に加工を施し、その部分をフォークやフレームの根本付近に取りつけられたブレーキではさんで制動します。

 

 

ディスク VS リムブレーキ 8番勝負!

ディスクブレーキとリムブレーキ、ロードバイクならどっちがいいの?と言われると、どちらかが一方的に優れている、ということはありません。

今回はブレーキ力、安定性、操作性、耐久性、乗り心地、重さ、整備性、かっこよさの8つの要素で比べてみました。

 

ブレーキ力

両者引き分け!(タイヤなど他のパーツの影響も大きい)

よく言われがちな「ディスクブレーキのほうがよく止まる」というフレーズ。実は半分正解ですが、半分間違いだとも言えます。
結局のところ、ブレーキの制動力はタイヤのグリップ力を超えて働くことはできません。過剰なブレーキ力を持っていても、タイヤが滑ってしまえば自転車は止まらないからです。

同様にブレーキのコントロール性についても、両者にそれほど違いはありません。

ブレーキレバーを軽く引けば自転車はゆるやかに速度を落とし、力強く引けば自転車は急制動します。

 

ブレーキの安定性

雨にも負けない制動力を持つディスクに軍配があがる

リムブレーキはその名の通り、ホイールのリムをはさんでブレーキをかけます。そのため濡れると制動力が落ちてしまい、晴れと雨とで操作感が変わる原因となります。リムは路面に近いため、どうしても雨などで濡れた路面の水を浴びてしまうのが現状です。

またリムはもともとブレーキのために作られた部品ではなく、あくまで自転車を走行させるためのホイールの一部品です。そのため走行能力を優先して作られていて、メーカーや素材によってブレーキ性能がまちまちになってしまうのもデメリット。

制動力を高めるため各メーカーがあらゆる技術を用いて対策していますが、このような加工を行えるメーカーは限られ、コストもかさみます。

リム加工例:MAVIC KSYRIUM SL UST

マヴィックの完組ホイール表面を精密に加工する特殊技術が導入されるマヴィックの完組ホイール。

 

 

カーボンホイールではさらに深刻な問題があります。カーボンは走行性能を劇的に上げ、強度の高い素材といわれていますが、実はカーボン繊維と樹脂の複合体。樹脂は熱に弱いため、ブレーキの摩擦熱でリムがダメージを受けてしまうことも。

カーボンリム加工例:カンパニョーロ BORA WTO 45

カンパニョーロのホイールカーボンリムに表面加工が施されたホイール。特に雨天の制動力は底上げされたが熱に対する問題はついて回る

 

日々改良はされていますが、それでも取り扱いにはライダーの気配りが必要です。

 

それに対して、ディスクブレーキは「どんな環境でも安定した制動力を発揮する」というのが最大のメリット。

ディスクブレーキで制動を担当するのは、専用部品であるブレーキローター。リムと違ってホイールに左右されず、どんな素材のものを使っていても、一定の制動力が約束されます。路面からも遠いため水を浴びにくく、また浴びても制動力にそれほど変化がありません。

路面の環境変化が激しいMTBでは、ロードバイクよりもずっと先にディスクブレーキが普及していますが、その理由はまさに一貫した制動力にあるのです。

 ディスクブレーキにもリム同様に熱の問題はありますが、加工技術が発達し解消されてきています。

ディスクブレーキの熱を逃がす技術ディスクブレーキにも熱の問題はあるが、技術の進歩で解決しつつある

 

 

操作のタッチ

なめらかで正確な油圧式ディスクが頭一つ抜きんでる

ブレーキの性能に決して無視できない違いを生み出すのが、ブレーキングの操作感。

まずはリムブレーキ。一般的なワイヤー引き(いわゆる機械式)は、ブレーキケーブルの処理が大きくタッチに影響を与えます。長さに過不足があったり、切り口の処理や、潤滑が不十分だったり、etc.etc…。

さらにグレードによっては、ブレーキそのものの操作感が重いものも存在します。やたら強いバネが入っていたり、動作が渋いものも。それらはあなたがブレーキレバーを引く力をブレーキに伝えず、摩擦抵抗としてロスさせてしまいます。

 

それに対して、ディスクブレーキでは油圧式のものが主流(下位グレードでは機械式のものがございます)。きちんと組み付けられていれば、ケーブルの取り回しなどに左右されず、リムよりもなめらかで軽快なタッチを提供してくれます。
油圧特有の引っ掛かりのないタッチは、ブレーキの作動状態を正確にライダーに伝え、適切なスピードコントロールの手助けになってくれるのです。

 

耐久性・お手入れ

どちらにせよ消耗品なので耐久性は五分五分。
ただリムのほうが替え時の見極めと交換作業がラク

リムブレーキの場合、ブレーキパッドは見た目で消耗が判断しやすく、交換作業も簡単なのがメリット。

それにリム側は削れないから 大丈夫・・・なんていう油断は禁物!

リムも減ります。

ほかの部材ほどはわかりにくいのですが、リムブレーキではリムがすり減っていきます。長期的な目で見ると、アルミだろうがカーボンだろうが、リムは消耗品なのです。忘れずにチェックしておきましょう。

 

一方ディスクでよく心配の声をいただくのが「走行中にホースが切れたら心配じゃないか!」というもの。走っているときの機材トラブルはなるべく減らしたいものですよね。
しかし安心してください。ホースは切れません。もし切れるほどのダメージを受けたなら、機械式のブレーキでも無事ではありません。

それはさておき、実際に心配したほうがよいのは、ブレーキパッドやローターの摩耗。

ディスクブレーキのパッドは、リムブレーキと違いブレーキ内部に隠れているため、消耗が確認しにくい弱点があります。
パッドの交換時期はおおよそ3000〜5000km走行ごとと言われています。定期的に内部をチェックしましょう。

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DISCブレーキパッド交換目安のお話し。 | 東海地区で自転車をお探しならY’s Road 名古屋本館

そしてローターもブレーキングによって消耗します。
こちらはパッド交換2回ごとに1回程度で交換が必要。一定の厚みより薄くなった時が交換の目安です。
店舗でお申し付けいただければ厚みをチェック可能です。お気軽にお声掛けください。

 

乗り心地

ディスクはリムのジレンマを解消し快適性UP。ロスなくパワーが使えるのも◎

 「ディスクに関係あんの?」と言われがちな要素ですが、実は無視できない影響が。

リムブレーキでは、後ろのブレーキはシートステーと呼ばれるチューブに取り付けられることがほとんどです。

実はこのシートステー、快適性の面ではしなってほしいのに、ブレーキを取り付けるためにはしなってほしくないチューブなのです。

筆者石澤の愛車、lapierre AIRCODE SL ULTIMATE(リムブレーキ)筆者石澤の愛車、lapierre AIRCODE SL ULTIMATE(リムブレーキ)。シートステーにブレーキがダイレクトマウントされている

この矛盾した要求が突き通されてきたシートステーですが、ディスクブレーキでは無縁です。

ディスクブレーキはリアホイールの根本付近に取り付けられるため、シートステーはしなやかさを最優先してチューブを設計できるようになりました。

lapierreのXELIUS SL DISCおなじくlapierreのXELIUS SL DISC。ディスク化でブレーキ台座を取り払うことができたため、よりしなやかなシートステーの設計が可能となった

これによりライダーは後方からの突き上げを忘れ、ライディングに集中できます。

 

続いて忘れてはいけないのが、ホイールの固定方法。

ほぼ100%が「クイックリリース」というレバーで固定するリムブレーキに対し、ほとんどのディスクロードは「スルーアクスル」という固定方法をとっています。

スルーアクスルはクイックリリースとくらべて格段に強固なホイールの固定が可能なので、ディスクのほうがパワーをロスなく推進力に変え、正確なハンドリングを提供してくれます。

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【横浜Techセンター / ディスクロード】スルーアクスルって何!? | Y’s Road 横浜店

 

重さ

重量増=悪とは言い切れないものの、軽さだけを見るとリムが有利か

ディスクロードでどうしても増えてしまうのが重量。

実はコンポーネントだけで言えば、リムブレーキとディスクブレーキの間にそれほどの重量差はありません。

重量に大きく影響を及ぼすのは、フレーム・フォーク、ホイールの3点。

ディスクブレーキは、実際に制動力が働く場所(タイヤ)から離れた場所で機能する関係で、リムブレーキよりも大きな力が働きます。

この作用は、フレーム/フォークとホイール、それぞれに大きなねじれを生み出すため、それを受け止めるために強化が必要なのです。

その重量差はモデルやグレードによっても異なりますが、およそ500g〜最大では1kgになることも。

一方で、実走行に影響を与える部分では軽量化される部位もありますし、重くなった分ブレーキの性能はアップしているわけなので、単純にこの重量増=悪とは言い切れないもの。ただ、やはり軽さが最優先されるのであればリムブレーキのほうが有利なのは間違いないようです。

 

整備性

リムに比べてディスクの整備性はどうしても劣る

ディスクブレーキを買ったら、気を配っていただきたいのはメンテナンス。

ぱっと見ではどこも調整をしないで乗り続けられるようにも見えますが、だからこそ整備を怠ってしまうという罠が。

「耐久性」の欄でお話したパッドやローターの摩耗もそうですが、油圧ディスクブレーキでは、ブレーキフルード(オイル)は定期的に交換する必要があるもの。

開けなければ劣化がわからないフルードだけに、「まだ乗れるから」とほったらかしにすると大変なことになってしまいます。

 

 

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さらに、ローターやパッドに油を付けるのはNG!一度ついた油分は簡単には落ちません。最近では専用のクリーナーがありますので、それに頼ってみてもいいかもしれませんね。

 

 

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さて、このようにチェーンの潤滑油やディスクブレーキのブレーキフルードなどがよく問題になりますが、意識されないトラブルで多いのが「手で触って皮脂がついてしまった」というパターン。とくに露出しているローターは触ってしまって音鳴りの原因となることが多いので、うっかり触らないようにご注意ください。

そしてさらに起きがちなのが、自転車を袋に入れて交通機関で持ち運ぶ「輪行」のとき。

パッドにスペーサーを挟まなければいけなかったり、逆さまにしたときにエアの噛みを心配したりしなければならなかったり、はたまたローターを曲げてしまったり…。気を遣うポイントがいくつかあります。

 

 

かっこよさ

リムは細身で繊細、華美な印象。
ディスクは力強く重厚感がポイント。ケーブル内蔵対応ですっきりしたものも。

完全に個人の趣味じゃん!って思う項目ですが、ディスクロードとリムブレーキのロードでは美しさのポイントが違うと思うので書いてみます。

リムブレーキの車体は、フレーム中央から先端(フォークやフレームのエンド)にかけてすらりと細くなっていくデザインの車体が多い傾向。くわえてホイールもスポーク本数が少なく、メーカー独自のスポークパターンに工夫を凝らしていることもあり、繊細で華美な印象を与えます。

lapierre AIRCODE SL ULTIMATE(リムブレーキモデル)曲線主体のフォルムも相まって、流麗な印象のlapierre AIRCODE SL ULTIMATE(リムブレーキモデル)

一方でアルミホイールの場合、ホイール側面に銀色のエリアが入ることで、タイヤとホイールの一体感が薄れるのは気になるポイント。

また、フォーククラウンやシートステーなど、車体の高い位置にブレーキがついているのは、ディスクロードに見慣れた後だと「余分なものがついている」印象が目につくかもしれません。

 

対してディスクロードの場合、ブレーキ本体やローターの存在感も相まって、フレーム全体で力強いボリューム感があります。スポーク本数が多く、オールブラックでタイヤとの一体感があるホイールもあわせて、どっしりとした重厚感のあるフォルムの車体が多くなってきました。

MERIDA REACTO TEAM(ディスクブレーキモデル)直線的なフォルムとボリューム感ある足回りが重厚感を与えるMERIDA REACTO TEAM(ディスクブレーキモデル)

一方で、ブレーキの取り付け位置は乗車中には目につかない低い場所に移動。

また油圧ホースで組まれることを前提に、ケーブル類を完全内蔵する車体が多いことから、車体の高い位置についてはむしろリムブレーキモデルよりすっきりした印象のモデルが多数あります。

 

そうだ ロード、乗ろう。

ブレーキ力だけが意識されがちなリムブレーキモデルとディスクロードとの違いですが、実は様々な特性に差をもたらしているのがお判りいただけたでしょうか。

一長一短ながら、これまでにないメリットをもたらすディスクブレーキは、続々とラインナップを拡大中。

サイクルライフのスタイルに合わせて、あなたにベストマッチなロードバイクをお選びいただける時代は、まさに今来ているのです。

 

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