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2020/12/10 13:36
プリンスの完成度が望外に高かったので、急に心配になってきたFXの試乗。
並足ライダーでもなんとかなったバランスの良い乗り味をキープしているのか
よりドグマに近づいて手に負えない存在になってしまったのか。
考えててもしょうがないので、とりあえず乗ってみてから判断します。
〇PINARELLO 2021 PRINCE FX DISK ULT ¥589,000-+TAX
〇まずは見た目。
プリンスとFX。金型は共通、弾性率違いのカーボン素材で作られた兄弟モデル
なので、その雰囲気や佇まい、迫力やカッコよさも共通。
トップチューブに透けて見えるカーボン地やピラーのブラック化など、黒比率
が上がったことで、FXの方が若干ですが引き締まった感じに思えます。
〇乗ってみての第一印象。
T900カーボンはやっぱり硬い。打てば響くような硬質感が脚から伝わってきて
そのいかにも走りそうな気配にテンションが上がります。
ただ、上位モデルと聞いて想像するような「驚きの軽さ!」的なものは今一つ。
まあFXだけでなくピナレロ全般に言えるのですが。
〇乗り心地。
快適性が売りではないので、路面からの振動はそれなりに伝わってきます。
大きなギャップを通過する時に衝撃で腰が軽く浮いてしまうこともしばしば。
サドルにドカッと座って走るというよりは、ペダルにしっかりと体重を乗せて
こぎ続ける方が乗り心地の硬さをカバーできるような気がします。
要は「常にペダル荷重、それも強く踏み続けている必要がある」という事。
こんなところも実にレーサーっぽいと思うのは贔屓目でしょうか。
〇加速性能。
同じ方向に帰るスタッフと一緒に走っていた時。
クリートキャッチにてこずっていたらちょっと距離が空いてしまって、慌てて
追いかけたら・・・あっという間に追いつきました。
加速性能は文句なし。30km/hをあっさり超えてそのまま踏めば35km/hまで
スピードがポンと上がります。
乗り始めてすぐは自分が出している速度に感覚が追い付かないくらいでした。
その分入力が必要なのも確か。プリンスだと足位置が2時くらいの時にグッと
一瞬力を入れるだけで上手く速度が上げられたのですが、FXの場合は1~3時
くらいにかけてしっかりと踏まされる感覚があります。
これが硬さか・・・
〇巡行性能。
フレーム形状が同じなので空力的にはプリンスと同じはず。遅いわけでも巡行
が苦手とも思えないのに、何かちょっと物足りない。
サイコンを見る限りでは十分なスピードが出ているにも関わらず。
プリンスより明らかに速く走れるフレーム性能にホイールが負けているのかも。
同じフルクラムのレーシング800なのに、速さの次元が違うとこうまで感じ方
が違ってくるとは・・・
〇総括。
ドグマF10がF12に変わった時にも感じた、パワー=速さという至極真っ当な
レースバイクになっていました。
個人的な思い入れは別にして、レース機材として考えれば間違いなく正常進化。
並足ライダーが求める情緒などは速さには1ミリも貢献しないという事実に涙。
パリの登場によってロングライドもOK!という要素を切り放せるようになった
プリンスは、速さを意識したよりレース向けなモデルへと進化していました。
それを受けてFXも、更なる速さを追求するためにもう一段レベルを上げてきた
ように思えてなりません。
〇補足
ゼロ発進からのキレ味アップを狙い、コスカボに履き替えて300gほど軽量化。
しかしフレームの個性は想像以上に手強く「大きな変化なし」という結果に。
ただ30km/hを超えてからの安定感は大幅に向上。バイクに慣れてきて余裕が
生まれたのかもしれませんが、実際の速度よりも体感では遅く感じることも。
このFXが得意とする世界はやはりレーシングスピードの中にあるのでしょう。