日本最大級のスポーツサイクル専門店!サイクルライフサポート! 川崎で自転車をお探しならY's Road 川崎店
2023/03/25 02:11
ワイズロード川崎店 店長の奥平です。
川崎店では、PINARELLOをはじめ、CIPOLLINI、COLNAGOなど多くのイタリアンバイクを扱ってきています。
Bianchiは世界最古の自転車ブランドとして、チェレステGREENと共に多くの人に認知されているイタリアンブランドです。
そのBianchiより、突如発表された新型の「OLTRE」。その形状は、あらゆる意味で話題となりました。
その話題の新型OLTREを実際に触る機会を頂きましたのでご紹介いたします。
インプレッションも後述しますが、今回は、他のスタッフが触れないデザイン面からアプローチしてみようと思います。
OLTREとは “自らを超えていくと” いう意味があるそうです。
今までのロードレーサーの概念、そして、OLTRE XR4、XR3などの既存モデルを超えていくということになります。
まさに今まで見たことのない、意外な形状がBianchiの出した今までの概念を超えていく、新しいエアロロードのということなのでしょう。
新旧のシルエット比べをしてみました。写真だとわかりにくいのでイラストで。
発表当初、新型の形状はあまりの形状変化に、気持ちがついていけない人が多くいたように思います。
かく言う私もその一人でした。
今回のモデルは今まで以上に空力に力点を置いて設計されています。そこに形状のヒントがあると思っています。
イラストを見るとわかりますが、新型のOLTREはあらゆる曲線が複雑に絡み合うような形状、前作のOLTRE XR4はシンプルな曲線形状となっています。
メーカーにより作り方は違うと思いますが、個人的にイタリアンブランドの多くはデザイン→機能と作っていることが多いと感じています。
川崎にも専用ルームのあるPINARELLOは一目見てわかるONDA形状が印象的ですが、これこそデザインと機能が融合した機能美の表れだと思います。
逆にアメリカンブランドは機能→デザインと設計している印象があります。
機能を追い求める際にはコンピューター解析により、空力や剛性、軽量性のバランスをとって作られます。
最終的には風洞実験や、実走試験を行い最終的な形状を追い求めます。
レーシングバイクはルールの中で形状を追い求める必要があるので、ある程度の制約がある中で機能を追い求めると、どのブランドのバイクも似たようなシルエットになってきます。
ただ、ここ最近は、TREKのMADONEのように形状に独自性をもった機能の高いバイクが出てきています。
今回の新型OLTREは、まさに既成概念にとらわれずゼロベースでレースに求められる空力性能を考えたとしています。その結果、誰も見たことのない形状となったのだと思います。
機能の解説は後述いたします。
人間は往々にして保守的です。シマノのデザイン然り、出た瞬間は「前の方が良かった」と違和感を持つことがありませんでしょうか。
ORTLE XRシリーズは10年近く、初期のデザインに近いシルエットで進化してきました。
10年も見慣れたものが、突然、他に見たことのない形状に変わったので、違和感が出て当然です。
ただ、デザインにこだわりがあるイタリアンブランドが単に機能だけでこの形にするはずがありません。絶対かっこいいはず。
斜め後ろからのデザインが美しいと感じました。カタログ写真は横からの写真が多いのですが、個人的に新型OLTREのオススメ角度は斜め後ろです。
絵:奥平
立体で見ていただくのが一番なのですが、すぐにそれはできないので、デフォルメして伝えやすいようにこれもイラストで描いてみました。
描いて見て気づいたのですが、まさに前から来た風を切り裂くようなデザインになっていました。
是非機会があれば実物を立体で見ていただきたいです。
・OLTRE XR4と比べ、速度50km/h走行において約17.1ワット削減
・OLTRE XR4と比べ、横風を受けた際のCDAが約5.1%改善。
・OLTRE XR4と比べ、時速250ワットで距離40km走行時に約45秒短縮
空力を考える時、機材の占める割合は20%、人体の占める割合が80%となっています。
ということは、バイクだけエアロ効果を高めてもすぐに限界が来てしまいます。
そのため、新型OLTREは人とバイクを一つのユニットと考え、総合的に空力を改善させることを考えました。
また、単に空力を考えた形状にするのではなく「整流」することで空気の流れを支配し、意図した空気の流れを作り出す形状になっています。
今回の新型OLTRE、一番の特徴がこの「エアディフレクター」と言うエアロカバーだと思います。
これはヘッド周りに来た空気を整流し、意図的に負圧のエリアをライダーの足回りに作ることで、ペダリングにより一番の空気が乱れる足回りの空力改善を行っています。
このカバーは、UCIルール適応のレースに使用することはできませんが、外すことでルール上、問題なく使用することができるようになっています。
ほとんどの一般ライダーにはUCIルールは関係ありませんので、ルールに縛られない高機能は、大歓迎でいいのではないかと個人的には思っています。今後このようなバイクがたくさん出てくることを期待したいです。
ちなみに、ルール適合のためにエアディフレクターを外した後は、後述するヴォーテックスジェネレーターの形状がカバー台座を兼ねているため、整流効果を一部残せるような工夫がされています。
ハンドル上部、フォーク先端、エアディフレクター台座の3か所に涙目型のエンボス加工がされています。
車のデザインにも取り入れられているので見覚えがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、空気が流れる際に流れを乱す原因となる境界層剥離の発生を意図的な形状で防止し、狙った空気の流れとすることで、空気の乱れを整える効果があります。
実は、境界層剥離の発生を抑える工夫がもう一つあり、「つや消し塗装」も同じような効果があるそうです。
エアディフレクターと同じ効果をハンドル周りで狙った構造です。
穴に入る空気と上面のを流れる空気の速度さにより発生する負圧を利用して空力を高めています。ハンドルにもヴォーテックスジェネレーターが付いています。
スペーサーを外すとトップチューブとステムが流れるような一体感のある形になります。ポジションの問題もありますが、スペーサーをなくすと非常に美しい形状になります。
特殊な構造ではないため、通常の内装ハンドルのバイクと同じように作業できそうです。
コラムは1インチにシムをかませて、オーバサイズ径になっています。コラムサイズを変更することでホースを通すためのクリアランスが設けてあります。
税込2,002,000円
レースで勝つために究極の空力性能と軽量性、剛性をバランスさせたレーシングモデル。
軽量で高剛性なハイモジュラスカーボンを使用し、軽量化のためあえて振動除去装置のカウンターヴェイルは非搭載。
同時開発された専用ブランド、RCコンポーネントの最上位ホイール、3Dプリンターで作成されたサドルを搭載し、コンポーネントはパワーメーター付きシマノR9200系デュラエース。妥協の一切ないフラッグシップモデルです。
さすがグランツール優勝を目指して作られているモデルだけあり、鋭い加速が得意と感じました。
振動除去装置のカウンターヴェイルがついていないためか、高速の下り時に地面が荒れると車体がかなりはねるのが気になりました。
ホイールはチューブレスに対応し、車体も最大30Cまでの太さのタイヤに対応しているので、チューブレスに太いタイヤで低圧運用することで解決するかもしれません。
鋭い加速と速度維持のしやすさはさすがレーシングモデル。1分1秒を争う人に是非乗っていただきたい車種です。
税込1,155,000円
上位機種と形状は全く一緒。エアディフレクターやエアロハンドルバーもRCと同様のものが搭載されています。
軽量高剛性なハイモジュラスカーボンに、今までのハイエンドバイク全てに搭載されていた、振動除去機構のカウンターヴェイルがカーボンに組み込まれたモデル。
往年のXR4の後継機種であることを考えると、価格は抑えめにつけられており、一押しモデルです。
振動除去装置のカウンターヴェイルがついている分、重量が若干重くなりますが、重さをきにする生粋のヒルクライマーでなければ、PROが一番いいと思います。
乗った感想もOLTRE XR4のインプレッションで感じた走りの鋭さと振動吸収の良さのバランスがされているので、ビアンキのレーシングバイクらしい味付けを感じられます。
パーツアッセンブルなどを考えると、価格的には結構コスパのいい組み合わせと感じます。
781,000円
エアディフレクター、カウンターヴェイル共に非搭載。
パーツは上位ブランドのレパルトコルサから同じくオリジナルパーツブランドのヴェロマンコンポに変更されてます。
レースを目指すユーザーに手の届く高機能バイクとして注目での一台です。
時間の関係で乗ることができませんでしたが、一緒にインプレした東大和店の大野店長は「俺にはこれが一番あってる!」とのこと、ノーマルカーボンに空力パーツはなしとなっていますが、ほとんどのライダーが空力特性の効果が現れやすい40km/hで走ることはないので、大野店長の感想はまさにそれを表していると思います。
電動コンポを使用しているのでよほど贅沢を言わなければ、パーツ変更がほとんど必要のないパッケージだと思います。
フレームセットの場合専用コックピットが別売りです。
今回はデザインの切り口からバイク解説をして見ました。いかがだったでしょうか。
確かに機能は大事ですが、見た目を気にいることは走るモチベーションや、長く乗りたい気持ちに直結します。
最初に違和感があったデザインも、現物を見て、この記事を書いていくと見慣れて来て今では「悪くないかも」と思っています。
夏くらいには入荷するのではないかと思われますので、是非店頭でチェックして見てください。
ビビッと来ている方は、台数に限りがあるのでご予約もお待ちしております。
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