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ビンディングペダルの完成形!【SPEEDPLAY スピードプレイ】の魅力とは!?
by: 石澤貴志

SPEEDPLAY ZERO STANDARD

 

ワイズロードオンラインの石澤です。
ロード用ペダルを選んでいると、ときおり得体のしれない丸っこいペダルが売り場に現れることがありませんか?
今日はそんな謎のペダル、SPEEDPLAY(スピードプレイ)について、皆様にご紹介したいと思います。

 

SPEEDPLAYとは

ながらくロードバイク用ビンディングペダルとして3大勢力と目されていた、SHIMANO、LOOK、TIMEの前にさっそうと現れた、アメリカンブランドのスピードプレイ。

創設者であるリチャードベイネは、プロレーサーとして活動している時から、固定ローラーや、世界初のエアロハンドルバーを作るなどエンジニアとしての才能を発揮していまいた。
彼は、トップアスリートの豊富なコーチング経験で、早くから航空力学を自転車競技に取り入れエンジニアとしても有名です。

その後、念願のペダルシステム特許を取得し、1991年にスピードプレイを設立しました。
製品発表からしばらくは、トライアスリートだけが使うキワモノペダルという扱いでしたが、転機が訪れたのは2003年。
プロロードチームの「CSC」が、スピードプレイを2年間使用する契約を結んだのです。
その後の2006年、スピードプレイを使い、チームCSCのイヴァン・バッソはジロ・デ・イタリア総合優勝を達成。
さらに2008年には同チームのカルロス・サストレがツール・ド・フランスを制覇
見事にグランツールを制覇し、その名をロードレース界に膾炙しました。

興味深いのは、監督や選手が口コミで採用を広めている点です。
実際に使用して勝利を挙げた選手が、移籍後も新チームに使用を勧めるケースが多くいのです。
また一般にペダル選びは選手の好みに大きく左右され、契約外のペダルを隠れて使うケースも多いのですが、スピードプレイを採用したチームではほとんどの選手がそのまま使っています。
チームCSCは、監督のビャルヌ・リース(彼もツールでの勝利経験を持つ元プロロード選手です)は、「スピードプレイは他のペダルより選手の膝の故障が少ない」と絶賛し、契約終了後も自主的にスピードプレイを使用していました。

選手から愛され、世界のひのき舞台で実績を上げたことによって、旧来の勢力に大きく食い込む有名ペダルメーカーへの転身を果たしました。

 

全く異なる発想で生み出された、真のビンディング「ペダル」

ほかのロード用ペダルと全く異なるその形状は、そもそもの発想のスタート地点が違っているから。
ロードバイク用を含め、一般的なビンディングペダルは、実はスキーのビンディングを模倣するところから設計がスタートしています。
ペダル本体に可動部分が設けられ、その内部にクリートを収めるという構造は、スキー板のビンディングとブーツの位置関係をそのまま縮小したもの。しかし、スピードプレイはその構造に満足しませんでした。

ロードバイクのペダルはあまり大きすぎると、コーナーを曲がる際に地面に接触してしまいます。
かといって小さくしすぎると、今度は踏面積が小さくなり、ペダリングパワーを効率的に伝えることができません。
結果的に、それまで市場に存在するロード用ペダルは、面積を確保するために大きくなり、踏み面が片側のみのものばかりでした。それがロード用ペダルの常識だったのです。

 

SPEEDPLAY ZERO STANDARD

 

スピードプレイはその常識にメスを入れました。
可動部分はクリート側に設け、ペダル本体はシンプルな丸形状にまとめました。
地面により近いペダルがコンパクトになることで、路面との接触は最小限に抑えられます。
さらに踏み面を増やしてもペダルの体積がほとんど増えないことから、ロード用ビンディングペダルでは類を見ない、両面踏み面を実現しています。
ロードバイク用ビンディングペダルとしてほぼ唯一、「ペダルのためのビンディング機構」として設計されているのがスピードプレイなのです。 

 

ライダーへの負荷を最小限に抑えるフリーフロート

 ビンディングペダルはライダーの踏力を強力に自転車に伝えることができますが、一方でヒザへの負担が増えることもある諸刃の剣。

スピードプレイはその問題点を解決すべく、ボディ形状を真円にしています。
ペダルを中心にクリートが左右に回転することで、他の追随を許さないなめらかなフローティングを実現しました。
さらに現行のZEROシリーズでは、 フローティングの可動角度を自由に調整可能
最大の左右各15°から、全く動かない0°まで、左右を個別に無段階で調整でき、あなたが希望する最適な角度を実現します。 

 

ビンディングとして最高クラスの空力性能

 SPEEDPLAY ZERO

すべての稼働機構をクリート側に収めたことで、ペダルがコンパクト化したことは空力の面でも有利に働きます。
ペダルがクリートに埋没することで、他社に比べ優れた空力を発揮。さらにクリートには歩行性を確保するとともにディンプル加工で空気をきれいに受け流すカバーを設け、シューズとも一体化したエアフローを確保。
空気の流れを止めないなめらかな形状で一体化したペダルとクリート、そしてシューズが、エアロロードにも劣らない空力効果を発揮します。

 

こまやかで性能を犠牲にしないセッティングの自由度

先に挙げた「フリーフロート」による回転のセッティングもそうですが、セッティングの作業性が非常に優れているのもメリットです。
他社の場合、クリートの位置を変更しようとすると、前後・左右・角度のどれかを調整する場合でも、クリートをシューズから一度浮かせる必要があります。角度だけを調整したいのに、前後位置がずれてしまうなど、調整したい項目だけを独立して調整するのは手間がかかります。

スピードプレイの場合、クリートの前後、左右、そして角度はすべて別々のボルトで調整します。
角度を調整したい場合、クリートの前後左右とは全く別のボルトを操作して作業を行うため、あなたが本当に調整したいセッティングだけを変更できるのです。
また、調整範囲が広いのもメリットの一つ。
各メーカーの最新モデルのセッティング幅が以下の通りですが、スピードプレイは圧倒的に調整範囲が広いことが分かります。

モデル SPD-SL LOOK KEO TIME XPRO SPEEDPLAY ZERO
前後 11mm 9.3mm 12mm 16mm
左右 5mm 3.36mm 1.3mm(ペダル自体がフロート) 6mm

広い調整範囲を適切に調整できることが、体にぴったりと合ったフィッティングを提供します。

 

着脱しやすい!歩きやすい!

独特の機構から、
・両面踏み面
・クリート形状が独特
という特徴を持っているスピードプレイ。このことが、着脱と歩きやすさに大きく貢献しています。

通常のロード用ビンディングペダルは、踏み面が一つの面にしかありません。
うっかり裏側を踏んでしまうと、当然ペダルは嵌まりません。
ペダルメーカーもそのことに配慮はしていて、重心を調整して踏み面が上を向くよう設計していますが、いつでもそうなってくれるとは限りません。

一方、スピードプレイは表裏がありません。どの向きになっていても、ペダルはクリートに嵌まってくれるのです。
着脱の際にいちいちペダルの向きをチェックしなくて済むのはすごく快適ですよ!

 

また、クリートの形状も歩きやすさに配慮されています。

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一般的なロード用クリートは、シューズの裏側から大きく飛び出しています。
歩くための地面に接するでっぱり(ポントゥーン)も付いてはいますが、決して歩きやすくはなく、しかもすり減るとペダルの着脱に悪影響が出ます。
摩耗を抑えるためには「クリートカバー」という製品を使いますが、これを装着するとペダルに嵌まらなくなります。
自転車に乗る場面と頻繁に歩く場面とで、いちいちカバーを付け外しする必要があるのです。

 dsc_1438

一方で、スピードプレイはクリートの形状が滑らかなドーム型。
非常に歩きやすく、しかもクリートカバーは初めからクリートに一体化しています。
ペダルに着脱できる状態でクリートカバーが装着できる、唯一のペダルがスピードプレイ。
レース好きだけでなく、街乗りにもそのメリットは発揮されます。

 

スピードプレーにまつわる誤解

 その独特すぎる形状から、さまざまな憶測が飛び交うスピードプレイ。中には「磁石の力でくっついてるんでしょ?」という質問まで飛んでくることも…

さらに、他と異なる使い方のノウハウが必要なことから、「失敗の経験談」ばかりが出回ることもあるようです。
そんな誤解をひとつひとつ、ここで解き明かしてまいりましょう。

 

はめにくいんでしょ?→セッティングが肝心です

着脱の動作、とくに装着がキツいというイメージはよく出回っていますが、それは複数の原因があります。
実はスピードプレイのクリートは、同じZEROでも世代によって違う形状のものがあります。
旧型のクリートはその設計上、固定ボルトを締めすぎるとクリートの着脱がキツくなってしまいます。
また、スピードプレイはクリートを取り付ける前に、ソールのカーブに合わせてシムを組み合わせ、クリートのベースの平面を出すという作業があります。
これを適切に選択していないとやはり着脱がスムースでなくなってしまいます。
最新のクリートで適切なセッティング(取り扱いに習熟したショップでの作業をお勧めします)をきちんと行えば、スピードプレイはスムースな着脱をお客様にご提供いたします。

 

バネが折れるんでしょ?→お手入れすれば大丈夫!

 クリートの内部にバネ(といってもいわゆる弦巻バネではなく、C字型の鉄板です)が入っているのですが、これが折れるというトラブルが起きることがあるようです。

しかしこの現象が起きているクリートを写真などで拝見すると、クリートがホコリまみれになっていたり、かなり使い込んで消耗していることが多々あります。
スピードプレイに限らず、可動部分はできるだけ清潔に保ちましょう。
定期的な清掃と、ホコリを寄せ付けないドライタイプの潤滑剤を塗布することで、トラブルを最小限に防ぐことが可能です。
また、前項でお話ししたクリートの取り付けセッティングが不適切な場合も、バネに不要な負荷がかかり、折れる原因になります。
また、高価だからといってクリートを何年も使い続けると、どんなメーカーのクリートでも壊れてしまいます。消耗の状態を確認し、定期的に交換しなければならないのはどのペダルでも共通です。

 

小さいからパワーロスするんでしょ?→むしろ・・・!

 スピードプレイのペダルは他社と比べてコンパクト。

「小さいので力を効率的に伝えられない」というイメージを持っている方もいらっしゃるようです。

たしかにペダルのサイズそのものは小さいのですが、重要なのはサイズではなく接触面積。
実は、一般的なロード用ペダルは、クリートとペダルはわずかな面積でしか接していません。
それに対してスピードプレーは、クリートとペダルのフラットな面がほぼ全域で接触。踏力をロスせず、効率的に力を伝えることができるのです。
ちなみに他社のペダルは、面積ではなくクリートとペダルの接触幅を広げることで安定感を確保しているモデルが多いです。たしかに固定感は向上するのですが、一方で足首の可動域に制限が発生し、ひざの痛みにつながることもあるので注意が必要です。

 

長持ちしないんでしょ?→今のモデルは大丈夫!

以前のスピードプレイは、どうしても消耗しやすい部位がありました。
なめらかなフローティング実現したため、ペダルのエッジはクリートとこすれて摩耗します。
しかし最新モデルになってからは、特に消耗しやすい部位をこれまでの樹脂製から金属製に変更することにより、摩耗に対して強いボディに生まれ変わりました。
また、ベアリングのグリスが抜けやすく、定期的な洗浄・潤滑が必要なのも面倒でしたが、これもべアリングのタイプを変更し、メンテナンスフリーへと進化
消耗しやすいペダルだというのは、昔話となりました。

 

 たった一つの気を付けるべきこと

ここまで多くのメリットをご紹介してきたスピードプレイですが、一つだけご注意いただきたいのは。

一部のシマノシューズで装着ができない

ということです。

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SPEEDPLAYのペダルはロード用に分類されるので、3つ穴タイプのロード用シューズに装着が可能です。
ただし一部のシマノ製ロードシューズは、実は他社のシューズとクリート取付ナットの位置が違っています。

後ろ側のクリートナットの左右の間隔を実測したところ、一般的なシューズが38mmなのに対し、シマノシューズのネジ間は37mm。
たった1mmの差なのですが、精密な取り付け精度で設計されたスピードプレイとは相性が悪いのです。
逆に相性が良い製品は、「NORTHWAVE(ノースウェーブ)」のシューズです。

 

 

ノースウェーブの中級以上のシューズには、専用のスピードプレイ用アダプターが使用可能です。

 

 

このアダプターを組み合わせることで、ペダルとシューズの距離を2.5mmも短くできます。
ダイレクト感が上がり、ロスなくペダリングパワーを車体に伝えられ、さらにセッティングが簡単で重量も軽くなるといういいことづくめなコンビネーションです。

 

スピードプレイを使おう

スピードプレイが単に奇をてらっただけのペダルではなく、数多くのメリットを持ちながら欠点を克服したペダルであることはお判りいただけたでしょうか。
パワー伝達効率に優れ、膝にやさしく、両面キャッチで楽々着脱ができるうえ、細やかなセッティングが可能で空気抵抗まで少ないという、ペダルとしてゼロから考えられたビンディングならではのメリットをたくさん持っているスピードプレイ。

 

ラインナップ

 そんなスピードプレイのラインナップはこちらでございます。

 

ボディ本体にカーボンコンポジット、シャフトにチタンを奢り、ペア164gの軽さを実現した「NANO」

 

 

ステンレスシャフトを採用し、体重制限のないスタンダードな「ZERO」

 

 

クロモリシャフトでコストダウン、さらに着脱が楽な「イージークリート」が付属。初心者にオススメの「COMP」

 

 

あえて踏み面を片面とし、空力効果を最優先した「AERO」

 

 

さらに、レースを視野に入れたトレーニングに必須のパワーメーター内蔵タイプもラインナップ。
高精度で左右のパワーバランスを測定できる両側センサーと、低価格でパワー計測ができる片側センサーをラインナップしています。

 

 

 

また、パワーメーターつきモデルは輸入代理店のインターテックのオンラインストアから10日間お試しレンタルが可能
高額なパワーメーター付きペダルを、事前に感触を確認してから買えるのは安心ですね。

 

 

実際にレンタルしたスタッフのインプレはこちら!

 

 

数多くの利点を持ったスピードプレイ。豊富なラインナップから、あなたにピッタリの1ペアを取り付けて走りに出かければ、その使い心地をきっと感じていただけるはずです。

 

 

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