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複雑怪奇!フリーボディとスプロケットの互換性を徹底解説!
by: 石澤貴志

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ワイズロードオンラインの石澤です。

自転車の走りを一番大きく変えるのはホイールだ!ということは、既に何回かこのブログやワイズロードオンラインの記事でもご紹介してまいりました。

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そんなホイールの交換ですが、事前にチェックが必要な部分がたくさんあるのが面倒!
フレームに取り付けたホイールに、さらにタイヤ、チューブ、スプロケット、ブレーキローターなど、様々な部品を取り付けるので、すべての部品の規格をチェックしなければいけないからです。

その中でも最もわかりにくいのが、後輪のギア「スプロケット」を取り付ける、「フリーボディ」の形状と互換性です。
今回はこのフリーボディとスプロケットに焦点を当て、どんなホイールにどのスプロケットが取り付けられるのかを見ていきましょう。

※この記事は、ワイズロードオンライン内の下記ページ「このホイール履けるかな?て思ったら!」の拡張コンテンツとなっております。
こちらの記事と併せてご覧ください。

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 フリーボディとスプロケットの互換性

ホイールについているフリーボディの仕様ごとに、以下のカセットスプロケットが装着できます。

 

シマノロードバイク/SRAM ロードバイク・グラベルバイク編

 

  スプロケット
シマノ
8/9速
シマノ
10速
シマノ
11速
シマノ10/11速
一部モデル
シマノ
リンクグライド
シマノ
12速
SRAM
8-10速
SRAM
11速
SRAM
12/13速
SRAM12速
トップ11T





①シマノ8-10速 OK OK NG OK OK NG OK NG NG NG
②シマノ10速 NG OK NG NG NG NG NG NG NG NG
③シマノ11速 ※1 ※2 OK ※1 ※1 OK ※1 OK NG OK
④シマノ12速 NG NG NG NG NG OK NG NG NG NG
⑨SRAM XD-R NG NG NG NG NG NG NG NG OK NG

 

シマノ グラベルバイク編

    スプロケット
    シマノ
10速
シマノ11速
ロード用
シマノ11速
ワイドモデル
シマノ
リンクグライド
シマノ11速
MTB用
シマノ12速
ロード用
シマノ12速
MTB用





①シマノ8-10速 OK NG OK OK OK NG NG
②シマノ10速 OK NG NG NG OK NG NG
③シマノ11速 ※2 OK ※1 ※1 ※2 OK NG
④シマノ12速
ロード用
NG NG NG NG NG OK NG
⑤シマノ12速
マイクロスプライン
NG NG NG NG NG NG OK

 

カンパニョーロ ロードバイク・グラベルバイク編

    スプロケット
    カンパ
9-12速
カンパ
13速(EKAR)





⑥カンパ 11速 OK NG
⑦カンパ N3W ※3 OK

 

シマノ/SRAM MTB編

    スプロケット
    シマノ
8-11速
シマノ
リンクグライド
シマノ12速
マイクロスプライン
SRAM
8-10速
SRAM11/12速
トップ10T
SRAM11/12速
トップ11T





①シマノ8-11速 OK OK  NG OK  NG OK
⑤シマノ12速
マイクロスプライン
 NG NG OK  NG  NG  NG
⑧SRAM XD  NG NG  NG  NG OK  NG

 

※1:別売り、もしくは同梱の「1.85mmスペーサー」を組み合わせて装着可能
※2:別売り、もしくは同梱の「1.85mmスペーサー」と「1mmスペーサー」を組み合わせて装着可能
※3:一部モデルでは同梱のスペーサーを組み合わせて装着可能

 

 

 

リストにしただけでこれだけの情報量がありますが、フリーボディとスプロケットが特定できれば互換性はチェックできます!
では、自分が持っている or ほしいホイールやスプロケットがどの種類に該当するのか、ページをスクロールしてチェックしていきましょう。

 

フリーボディの規格と形状

まずはフリーボディの規格をチェックしましょう。

 

 

① シマノ8/9/10速用フリーボディ(HGスプラインM)

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永らくシマノでスタンダードとされてきた形状です。
浅めのリブでスプロケットと篏合する形状です。

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スプロケット取り付け部根元からフリーボディ先端までの長さは35mm。
ちなみにロードバイクでは「シマノ8/9/10速用フリーボディ」と呼ばれるこの規格ですが、MTB用では11速用のスプロケットも装着が可能です。
段数で表記するとちょっと紛らわしいことになってしまうため、シマノではこの規格を「HGスプラインM」と呼んでいます。

余談ですが、ロード10速の篏合は9速以前よりも1mm短いため、10速のスプロケットを8/9/10速フリーボディに装着する際は1mmのスペーサーを組み合わせる必要があります。

 

 

 

② シマノ10速専用フリーボディ

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シマノがDURA-ACE 7800シリーズで10速用のロードコンポを発売した時に、新たに制定した規格です。
先ほどの「シマノ8/9/10速用フリーボディ(HGスプラインM)」でも10速のスプロケットは装着できるのに、なぜこんなものを出したのかというと、これまでの規格はリブが浅すぎ、フリーボディを軽量なアルミ製にすると篏合面積が不足するから。
リブに段差を設け、篏合面積を広げることで、スプロケットがフリーボディに噛み込むのを減らす意図で設計されました。
シマノ製のロード用10速スプロケット以外は取り付けられません。
互換性が狭いことや、旧来のフリーボディでも10速スプロケットが装着できることなどから、採用期間は短く、現在ではどのブランドも採用していません。

 

③ シマノ11速用フリーボディ(HGスプラインL)

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シマノがDURA-ACE 9000を11速で発表した際、同時に制定した規格です。
10速専用フリーボディが後方互換性を持っていなかったために普及しなかったことの反省か、リブの寸法そのものはHGスプラインMと全く同一です。

 

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寸法面の違いはリブの幅で、HGスプラインMから1.85mm拡大されて36.85mmとなっています。
このことから互換性が広く、幅の違いを埋めるスペーサーとの併用で8/9/10速のスプロケットも装着が可能

 

のちに出たロード12速スプロケットも装着可能な設計にされたことから、シマノ用としては最も互換性に優れたフリーボディです。

 

④ シマノ12速専用フリーボディ(HGスプラインL2)

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シマノがDURA-ACE 9200を12速で発表した際、同時に制定した規格です。
フリーボディの噛み込み対策を諦めないシマノが再び新規格を制定したかたちです。
10速のときはリブの背を高くしましたが、今回はリブの数を倍に増やして対策しています。
幅自体は変わっていないことから、「HGスプラインL2」の名を冠しています。
スプロケットの溝の数も倍になっており、両者が広い面積で接触することで噛み込みを防いでいます。
スプロケット側は11速までのフリーボディ(HGスプラインL)にも装着可能な設計になっていることから、コンポ自体は幅広いホイールに使用可能です。

 

⑤ シマノ マイクロスプライン

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11速まではロードバイクと共用を進めていたMTBですが、12速になって全く異なる進化を果たしました。
トップギアを小さくしたい、ホイールのおちょこ量を減らしたいという需要から、コンパクトな形状のフリーボディを新規に提唱しました。
リブも非常に細かく数の多い規格のため、フリーボディの噛み込みや破損が少ないのも特徴です。
12速スプロケットの中でもMTBにしか採用されていませんが、一部のグラベルロード用コンポではMTB用スプロケットを使用するため、ロード系の車体でもまれに出番があるフリーボディです。

 

 

⑥ カンパニョーロ ロード用

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カンパニョーロのフリーボディとスプロケットは、シマノとは全く異なる規格で設計されています。
そのため、どの段数でもシマノとは互換性がありません
長きにわたって形状が変更されておらず、12速までのスプロケットであれば、同一のフリーボディで装着が可能です。

 

⑦ カンパニョーロ N3W

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グラベルロードでのワイドレシオのスプロケット需要に応え、カンパニョーロが新たに制定した規格です。
先ほど紹介したカンパニョーロ ロード用フリーボディの先端を切り欠いたような形状で、最小で9Tまでのトップギアが使用可能です。

 

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ちなみにカンパニョーロ製のホイールに装着されるフリーボディではアダプターが同梱されており、組み合わせることでロード用のスプロケットも使用できるようになっています。

 

⑧ SRAM XD

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SRAMがMTB用に開発したフリーボディです。
シマノ同様にトップギアの小型化などに応えた規格ですが、形状はシマノと完全に異なっています。
これまでのスプロケットは装着できず、同規格のスプロケット専用のフリーボディです。

 

⑨ SRAM XD-R

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SRAMはロードバイクでもトップギアを小型化する路線で製品を開発したため、MTB同様の技術的要求がありました。
このため、XDをベースにロード用にアレンジした新たなフリーボディが登場しました。
形状はXDと似通っていますが、リブの横幅が拡大されています。
XD-Rのボディに1.85mmのスペーサーを組み合わせれば、MTB用のXDスプロケットも装着が可能です。
ちなみにロード用(12速)とグラベル用(12/13速)はどちらもXD-R用のスプロケットが発売されており、シマノのように「グラベルロードなのに、スプロケットによってはMTB用のフリーボディが必要」といった事態は発生しません。

 

スプロケットのタイプ

基本的には
・メーカー
・車体のジャンル
・段数
を基準に区別ができるスプロケットですが、一部に注意を要するモデルがあります。

シマノ ロード10速用 ジュニアスプロケット等

10速のコンポーネントのうち、ULTEGRA CS-6600にはトップギアが大きい「ジュニア用スプロケット」が展開されています。

 

 

また、現行のTIAGRAでは「CS-HG500-10」、1世代前では「CS-4600」というスプロケットを使用します。

 

 

これらのスプロケットはロード10速用ですが、9速のスプロケットと同じ寸法で作られています。
そのため10速専用フリーボディには装着ができず、8/9/10速用フリーボディに装着する際にも1mmスペーサーを併用しません。

 

シマノ ロード11速用 ワイドスプロケット

11速の105とULTEGRAグレードには、ロー側が34Tのワイドレシオの製品があります。
他のスプロケットと品番が異なり、「CS-HG700-11」「CS-HG800-11」という型番が充てられています。

 

 

これらのスプロケットはロード用11速用ですが、9速のスプロケットと同じ寸法で作られています。
こちらも10速専用フリーボディには装着ができず、11速用フリーボディに装着する際にも1.85mmスペーサーを使用します。

 

 

シマノ リンクグライドスプロケット

シマノが「CUES」用として、「リンクグライド」シリーズのスプロケットを発売しています。
「CS-LG○○○(グレード)-○(段数)」という商品名のものが該当します。

 

 

このリンクグライドスプロケットは9/10/11段の各モデルが存在しますが、段数に関係なく9速のスプロケットと同じ寸法で作られています。
こちらも10速専用フリーボディには装着ができず、11速用フリーボディに装着する際にも1.85mmスペーサーを使用します。

 

SRAM ロード・グラベル用12速スプロケット

SRAMのロード・グラベル用12速スプロケットは基本的にXD-R用ですが、型番が「PG」から始まる以下のモデルのみはシマノ11速(HGスプラインL)用です。

 

 

SRAM MTB用11/12速スプロケット

SRAMのMTB用11/12速スプロケットは基本的にXD用ですが、型番が「PG」から始まる以下の2モデルはシマノ8-11速(HGスプラインM)用です。

 

 

互換性がない時は?

互換性のないスプロケットを装着したい場合は、メーカーによってはフリーボディ単品を販売していることがあります。
フリーボディはホイールのメーカーやモデルごとに形状が異なっております。

 

 

モデルや変更内容によって、手で簡単に交換できるものから、アクスルを交換するなど、店舗での大掛かりな作業が必要なものまで仕様はまちまちです。
シマノのように、標準で装着されているフリーボディから変更ができないブランドもあります。

 

同じ名前のホイールでも、年式が違うと必要なフリーボディが異なることもあります。
詳細は店舗にてご相談いただくか、チャットでお問い合わせくださいませ。

複雑な互換情報の確認が必要なフリーボディですが、この記事がお客様のホイール選びの参考になれば幸いです。

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